SAN値の概要
SAN値の増加に関するルール
SAN値が増加するのは大体以下の通り。
- キーパーからセッション終了時の報酬として貰う
冒険が成功した時、普通キーパーは探索者に報酬としてSAN値上昇のためのロールをさせる。
報酬は探索者の犯した危険の度合いに大体比例するべきだが、具体的な内容はキーパーが決める。
- ステータスPOWを上昇させる
SAN値はPOW×5のため、POWが上昇するとそれだけSAN値も上昇する。
但し、滅多に起こる事ではない。
- 技能の何れかを90%に上昇させる
1つの技能に90%以上の能力を獲得した場合、ボーナスとして2d6ポイントをSAN値に加算する。
技能をマスターするために必要だった厳しい規律と自負心に対する報酬である。
- 超自然の存在を打ち負かす
異界の生き物を負かしたり、追い払ったり、殺す等した時にボーナスとしてSAN値が上昇する。
ボーナスの量はキーパーが決定。
但しその上昇値は、そのモンスターに遭遇したことによる最大のSAN値喪失ポイントを上回らない。
- 精神科医に入院し、精神医療を受ける
一月に一度、95%のロールを行い、成功した場合は1d3ポイント分だけSAN値が上昇する。
但し、ロールに失敗した場合は、1d6のSAN値を消失し、違う病院を探す必要がある。
これは、治療中に何らかの問題が起きて、その精神分析機構との関係が壊れた事を表す。
- 精神科治療薬の投与を受ける
薬が聞いているのであれば、一月に一度、1d3ポイント分だけSAN値が上昇する。
しかし、副作用が出る可能性がある。(つまりロールプレイに影響がある)
1890年代、1920年代では、薬を望んだ場合、前項の精神医療と同時に行なう必要がある。
それが時代の流れだった。
SAN値の減少に関するルール
SAN値が失われるのは、次のような場合である。
- <クトゥルフ神話>の技能値を得て、最大SAN値が現在のSAN値を下回った場合。
- クトゥルフ神話の魔術を唱える場合。
想像を絶するものを可視化させ、その精神はこの世ならぬ思考過程を辿らなければならない。その行為は精神を傷つける。
- クトゥルフ神話の秘儀書を読んだ場合。
今まで真実だと思っていたことが霞み、今まで信じていたものに重きを置かなくなり、自信を喪失する。
- クトゥルフ神話の魔物と遭遇した場合。
異界の生き物は本質的に不快感や反発心を抱かせる。これは本能的な反応だ。
- その他、平常で居られない何かに遭遇した場合。
予期せぬ死や暴力的な死を目撃したり、手足切断の場面に直面したり、裏切られたり、社会的地位の喪失、失恋など。
SAN値チェック
探索者が精神の平衡を失うような状況に遭遇した時、<正気度>ロールを行なう。いわゆるSAN値チェックである。プレイヤーは自身のキャラクターのためにd100(2d10や1d100で実現)を振り、ロールの結果が探索者の現在SAN値以下であれば、そのロールは成功。現在SAN値より高い出目が出た場合は、そのロールは失敗となる。
正気度喪失ポイントはスラッシュ(/)で区切られた二つの数値またはダイスで書かれる。例えば「1/1d4+1」等。左の数値は、ロールが成功した場合に失うSAN値で、右の値はロールが失敗した時に失うSAN値である
ロールに成功した場合のほうが、失うかもしれないSAN値は少なくて済む。
恐ろしさに慣れる
同じ衝撃に精神が晒され続けると、その衝撃に対し「慣れる」事がある。例としては下記。
- クトゥルフ神話の魔道書を読んだ場合、SAN値が減るのは最初に読んだ時だけである。
- 同じ魔物を何度も見た場合も、その魔物を見て失う可能性のある最大のポイント以上は減ることがない。
例えば正気度喪失が0/1d6の魔物を100匹見たとしても、SAN値を6ポイント以上失う事はない。
- 通常の生活の中での心的外傷で、客観的に考えて慣れが発生しうると考えられる事。
但し、これは一定期間「慣れる」だけで、ある程度の時間が経って再び遭遇した場合は、またSAN値を失う事になる。異界や精神的なショックに対して完全に慣れるという事はない。適切な期間や内容については、最終的にキーパーが決定する。
また、呪文を学んだり呪文をかけるという事については、慣れるという事はない。必ずSAN値の消失を招く。
精神に大きなダメージ(大きなSAN値減少)が起きると、探索者は狂気に陥る。狂気の内容や、狂気がどれくらい長く続くかは、SAN値の喪失の値や、割合によって違う。
狂気には、一時的狂気、不定の狂気と、永久的狂気の3種類がある。
一時的狂気
1回のSAN値チェックで5ポイント以上のSAN値を失った場合、一時的狂気に陥る可能性がある。
探索者は<アイデア>ロールを行い、ロールに成功した場合は一時的狂気に陥る。目撃した、経験したことをはっきりと理解してしまったという事だ。ロールに失敗した場合は、自己の精神を守るための防衛本能が働き、記憶の抑制や目撃した内容のすり替えが起きて、一時的狂気から逃れられる。
一時的狂気の内容は、下記の表からダイスによって決めてもいいし、その探索者・状況に相応しい物をキーパーが選んでも良い。
出目 |
短期の一時的狂気([1d10+4]ラウンド) |
長期の一時的狂気([1d10*10]時間) |
1 |
気絶あるいは金切り声の発作 |
健忘症(親しい物のことを最初に忘れる;言語や肉体的な技能は働くが知的な技能は働かない)あるいは昏迷/緊張症(短期の表を参照) |
2 |
パニック状態で逃げ出す |
激しい恐怖症(逃げ出すことはできるが、恐怖の対象はどこへ行っても見える。) |
3 |
肉体的なヒステリーあるいは感情の噴出(大笑い、大泣き等) |
幻覚 |
4 |
早口でブツブツ言う意味不明の会話あるいは多弁症(一貫した会話の奔流) |
奇妙な性的嗜好(露出症、過剰性欲、奇形愛好症など) |
5 |
探索者をその場に釘付けにしてしまうかも知れないような極度の恐怖症。 |
フェティッシュ(ある物、ある種類の物、人物に対し異常なまでに執着する) |
6 |
殺人癖あるいは自殺癖 |
制御不能のチック、震え、あるいは会話や文章で人と交流する事ができなくなる |
7 |
幻覚あるいは妄想 |
心因性視覚障害、心因性難聴、単数あるいは複数の四肢の機能障害 |
8 |
反響動作あるいは反響言語(探索者は周りの者の動作あるいは発言を反復する) |
短時間の心因反応(支離滅裂、妄想、常軌を逸した振る舞い、幻覚など) |
9 |
奇妙な物、異様なものを食べたがる(泥、粘着物、人肉など) |
一時的偏執症 |
10 |
昏迷(胎児のような姿勢を取る、物事を忘れる)あるいは緊張症(我慢することはできるが意思も興味もない;強制的に単純な行動を取らせることはできるが、自発的に行動することは出来ない) |
強迫観念にとりつかれた行動(手を洗い続ける、祈る、特定のリズムで歩く、割れ目をまたがない、銃を絶え間なくチェックし続けるなど) |
不定の狂気
探索者が1時間内に現在のSAN値の1/5以上を失った場合、その探索者は無期限の狂気である"不定の狂気"に陥る。不定の狂気に陥ったキャラクターはしばらくの間プレイから外れていなければならない。狂気が続く期間は平均して1d6ヶ月。
狂気の内容は、上にある一時的狂気の表からロールで決定する。どちらの表を使うかはキーパーの判断。ロールの結果が状況に相応しくない場合、キーパーはセッションの終わりまで判断を保留してもいい。差し当たって探索者は、強い予感のような物にとりつかれる。
不定の狂気は健忘症、うつ病、強迫観念など、連続的な症状を呈する物もあるし、多重人格性障害や解離性同一性障害、転換性障害、間欠性爆発性人格など特定の時点しか現れない物もある。面白いRPを期待する。
探索者が出会う状況やストレスは、不安障害のようなものが一番適切な場合が多い。生命の危機に瀕した際の想像や夢、フラッシュバックや連想に悩まされるなどで精神が破壊され、解離症候も現れる。
永久的狂気
正気度ポイントがゼロに達した探索者は、永久的な狂気に陥る。精神療養所に入っている期間は平均して4年と数ヶ月である。
狂気の内容については全てお任せする。
狂気の治療
一時的狂気はすぐに終わるので、大掛かりな治療計画のようなものは必要ない。
不定の狂気は(キーパーが認めるならば)1d6ヶ月後、社会復帰できる程度に精神のバランスを取り戻す。
永久的狂気は治療できるものではない。
SAN値喪失ポイントの参考例
喪失ポイント |
状況 |
0/1d2 |
メッタ切りにされた動物の死骸を見て驚く |
0/1d3 |
人間の死体を見て驚く |
0/1d3 |
人体の一部分を発見して驚く |
0/1d4 |
川に血が流れているのを見る |
1/1d4+1 |
メッタ切りにされた人間の死体を見て驚く |
0/1d6 |
目を覚ましてみたら、棺桶の中に閉じ込められている |
0/1d6 |
友人の非業の死を目撃 |
0/1d6 |
食屍鬼を見る |
1/1d6+1 |
死んだはずの者に出会う |
0/1d10 |
酷い拷問を受ける |
1/1d10 |
死体が墓場から立ち上がるのを見る |
2/2d10+1 |
切り取られた巨大な頭が空から落ちてくるのを見る |
1d10/1d100 |
大いなるクトゥルフを見る |
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