おかっぱ/ボブカット(髪型)

登録日:2024/09/17 Tue 10:41:09
更新日:2025/03/28 Fri 23:09:55
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おかっぱ(御河童/犬耳)は、日本にて主に女性、特に髪を結う前の少女の髪型として親しまれていた髪型の一つ。

現代では“ボブカット”と同義とされ(というより“おかっぱ”もボブに含まれてアレンジされるようになった)、年齢に寄らず女性の定番の髪型の一つとなると共に、非常に多くのバリエーションを含めるカテゴリーとなっている。


【概要】

特に“おかっぱ”と呼ばれていた髪型とは、現代では“ワカメちゃんカット”と呼ばれる『サザエさん』の磯野ワカメや『ちびまる子ちゃん』のまるちゃんの前髪から後ろ髪までを同じ長さで切り揃えて襟足を刈り上げる“あの髪型”である。
30年ほど前までは義務教育の枠内では男児の坊主頭と共に女児にはおかっぱしか許さないと校則で定めていた学校も少なくなかった。
これに対して、現代では(創作世界でのキャラ付けなんかでは)主にストレートのボブカットのことを“おかっぱ”と呼んでいる場合が多いのだが、リアル世界では後述のように相当に広い範囲での種別・カットも含めてボブカットの仲間とされている。

おかっぱ(ボブカット)の定義とは、真っ直ぐに伸ばした髪の毛を“前髪やサイド・襟足などの部位に合わせて同じ長さで切り揃えた髪型”ということである。
なので、切り揃える髪の長さによってショートボブ・あご丈ボブ・ミディアムボブ……と種類が分かれ、前髪以外を背中や腰に届くほど長く伸ばした状態で切り揃える“姫(プリンセス)カット”もボブカットの一つである。
また、前髪ぱっつんもオンザ眉毛か眉毛を越えた位置で揃えるかでも印象が変わる。
顔の形がいい人なら生え際辺りで揃えても似合うんだから参るというかズルいというか。

また、基本的にはストレートのイメージが強いが、元から癖っ毛の人やパーマをかけた人では“おかっぱ”にしても大きく印象が変わるし、
同じく癖っ毛の人やわざとカールをかける人はサイドや襟足の毛に外巻き、内巻きが加わるので印象が変わる。

また、単純なカットのタイプでもAラインボブ・バズカットボブ・逆ボブ・シャギーボブ・前下がりボブ・切りっぱなしボブ……etc.

……というか、含められる髪型が多すぎんか?


【大まかな歴史と文化的な広がり】

日本では江戸時代以前から存在していたと考えられており、元々は比較的に地位の高い家柄(武家)に生まれた男の子の髪型だった。
これはちょんまげを結うために頭頂部は剃った状態で周囲の髪の毛を均等に伸ばしていた準備段階が始りの為と思われ、ここから禿(かむろ)とも呼ばれていた。(禿(はげ)ではない。また髪の話してる……。
つまりは金太郎さんの髪型である。

“御河童”の名前の由来は、そのまま妖怪として有名な河童からで見た目が似ていたことからの呼び方である。

とはいえ、当時から頭頂部のみを剃り上げる“禿”は傍目にも恥ずかしい髪型であるという認識はあったらしく、江戸時代ともなると真っ当な髪型としての“おかっぱ”(頭頂部を剃らないもの)が子供の髪型━━特に、女の子の髪型として定着していった替わりに、
頭頂部を剃った恥ずかしいものは見せしめとして髷を切られた罪人(いわゆるざんばら頭)や、修行を止めて世俗に戻った坊さんといった後ろ指を指される類の人間の髪型として区別されるようになっていったという(罪人や元ボンズの場合は断髪頭と呼ばれていた)。

この頃にも男の子の髪型として頭頂部を剃らないバージョンも残っていたが、男の子の場合は“おかっぱ”ではなく“稚児頭”と呼んでいたらしい(ややこしいね)。
この当時の子供の姿をモデルとした着せ替え人形玩具が有名な市松人形である。

西欧では“ボブカット”と呼ばれ、ボブカットを含むショートカット(ショートヘアー)が流行したのは日本よりも遅く、第一次世界大戦後の1910年代と20世紀に入って以降のこと。
勿論、それ以前から髪の毛を短くする女性は居たものの健康面で髪を伸ばすのが難しくなったり、困窮から売らざるを得ない……といった事情でも無い限りは西欧では一般的には女性らしさの象徴として髪の毛を長く伸ばすことが尊ばれていたので、
髪の毛を短くするということ自体が自分の個性を出せる位に地位の高い意識高い系女子しかやれない行動であり、しかも周囲からは眉をひそめられる類の行為と見なされていたらしい。
この価値観に変化が生じたのが前述の第一次世界大戦からで、外に出て働いていた男性達が兵隊として前線に出された替わりに家庭を守っていた女性達が男性が家に居た時にしていた仕事をやることになったのだが、その際に長い髪は不便だが短い髪だと便利で楽ちんだと多くの人が気づくこととなり、実用面とオシャレの双方から好まれるようになった。

歴史的に有名なボブカットの女性としては、かのジャンヌ・ダルクが有名で、世界初の有名人美容師(カリスマ美容師?)と呼ばれたアントニ・シエルプリコフスキーは1909年頃にジャンヌ・ダルクをモデルにショートボブの髪型を考案して、1920年代以降には先進的な意識を持った女性に広めていったという。
彼の顧客にはココ・シャネル、グレタ・ガルボ、ブリジット・バルドー、ルーマニアのマリー王妃……といったセレブ達が居り、彼女達が最初期のアイコンとしてショートボブを世の女性達に広め、その後も定期的にアイコンとなる女性達が現れてはボブカットを流行させている。

近代に限っても、1988年からアメリカ版『ヴォーグ』誌の編集長として辣腕を振るったアナ・ウインターは自らがボブカットにサングラスというスタイルを確立して存在感を強調すると共に、同誌の看板としてもボブカットを推し進めた。
1994年には、スーパーモデル級の美貌とスタイルを持つ女優ユマ・サーマンがクエンティン・タランティーノの『パルプ・フィクション』にて黒髪に染めてのボブカットを披露して注目を集め、同じく94年にはリュック・ベッソンの『LEON』にて2000人以上のオーディションを勝ち抜きシンデレラガールとなった12歳当時のナタリー・ポートマンがボブカットの大人と子供の境界線に居る少女を演じて注目された。
彼女達のスタイルは映画の大ヒットと共に世の女性達の憧れ、かつ後の実写に限らず漫画やアニメを含む創作世界全般に於けるフォロワーを生んでいくことになった。


【おかっぱ/ボブカットのキャラクター】

ボブカットは定義が難しい気もする。

■おかっぱ


■ボブカット

黒髪ショートも参照。

■姫カット




追記・修正は前髪ぱっつんにしてからお願い致します。


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最終更新:2025年03月28日 23:09

*1 一時期ボスから「オカッパ」というニックネームを与えられた(後に「カリアゲ」に変更)