ブライアン・ワイスは、退行催眠によって患者を過去に導くだけでなく、未来へも導き、彼らと一緒にその様子を見ることが出来る事を知ったという。また、患者が治療の最終段階で、自然に未来へと行った事例も幾つかあり、彼らが未来に見たことが本当になる事もあるという。そして、ワイスは過去、現在、未来は1つであり、過去が現在に影響を与えるのと同じように、未来も現在に影響を与え得るという事を指摘しており、運命と自由意志について次のように述べている。
自分の現在の行動や振る舞いによって、つまり自分の自由意志によって、私たちは自分の人生の将来や、これからやって来る未来世がどのように展開していくかに、影響を与えることができます。
ワイスに前世療法を依頼した霊媒体質のヒューという人物は、トランス状態に入ると、未来とこの次元を超えたより高い意識のレベルへと旅をした。次元が異なるにつれ、光の質が変わり、人間の頭脳では理解できない無限を超えた場所へ進み続けたという。ヒューが見た未来は物質的存在から霊的存在への進化を象徴しており、高次の意識レベルと地球上での未来世は最高の次元へと達する途中のある時点で1つになると推察されている。
ワイスの患者であった分子生物学の研究者であるチトラは、1回の未来世療法で3つの未来世と思われるものを体験したという。最初の未来世では筋肉と骨と神経に重度の障害をもつ子どもの母親で自分のエネルギーをその子どもに向けるばかりであったという。2番目の未来世では、窓のある飛ぶ事のできる大きな筒のような乗り物が誤ってプログラムされ真正面から木に衝突した事で、交通事故により重傷を負ったという。そして、家族の愛がなければ彼女は元気になれたか分からなかったと述べ、ここでは最初の未来世とは裏返しに思いやりと愛のエネルギーが彼女へ一方向に流れ込んできた。そして、3番目の未来世では、整形外科と神経外科の医者で、自分自身を愛すると同時に他の人々を愛する事も出来たという。そして、チトラは、これらの3つの未来世は順番があるわけではなく、同時に進行している並行的な未来世で、実際に起こる人生は今の人生を如何過ごすかによって変わってくる事を指摘している。
ポールという人物は未来世療法により、スライドショーのように3つのスナップショットを見る少し変わった体験をしている。スナップショットとして、ポールは過去生から関連していた娘のアリソンの孫として生まれ変わり、45年先の未来にはアリソンの未来の家族に愛と喜びで迎えられているという。
ワイスはセミナーで参加者のグループを100年後、500年後、1000年後、それ以上というように、幾つもの遠い未来へと導いた結果、90パーセントのビジョンに驚くべき類似性を見出しているようである。具体的には100~200年後は今と殆ど同じ世界であり、300~600年先くらい迄は第2の暗黒時代で、その後、理想的で豊かで平和な世界が実現するという。また、ワイスは、患者が未来を見たからといって、必ずしもそれが本当の未来であるとは限らない(未来世の存在を証明するわけではない)としているが、患者の現在と未来の人生を改善するという点が重要であるという。そして、このように未来を見た人々が自身を変える事によって、未来を変える事ができるという話は、未来の情景を見たという臨死体験者が決定されているわけではない未来を改善しようという意志をもって生きている事とも共通していると言える。
最終更新:2023年04月24日 10:50