概説
ソウルメイト(soulmate, soul mate) は、soul(魂)とmate(伴侶、仲間)を組み合わせた英語の造語で、文字通りに言えば、魂の伴侶の事である。
ブライアン・ワイスは、ソウルメイトは、愛によって永遠に結ばれている人たちの事で幾つもの人生で何回もの出会いを繰り返しており、運命がソウルメイトどうしの出会いを導いてゆくとも述べている。
飯田史彦は、トランスパーソナルな人間観を認め、人間の本質は肉体を超えて存在する魂であるという前提によって「魂」が肉体をを超えて繋がっている相手の事であるとしている。また、飯田はソウルメイトという言葉の背景には深遠かつ壮大な宇宙の仕組みが存在すると考え、ソウルメイトという言葉で言い表されるものは多岐に渡るが、一般的な意味として「ソウルメイトとは、たがいに肉体を超えた魂のつながりを持つ人間どうしのことを言う。」としている。
なお、
ツインソウルは、自分とは違う別個の魂との関係を指す用語であるソウルメイトとは異なり、元々、1つの魂が、生まれるときに2つに分かれて、別個の肉体に繋がった場合に、それら2つの魂どうしを指す言葉である。そして、それら2人のツインソウルが人生の途中で予定通りに出逢い結婚する事で一心同体の夫婦として生きていく事を飯田はツインソウル型の結婚と呼んでいる。なお、飯田は
臨死体験をした際に、生と死の境界を覗いたと言い、次々に生まれていく無数の魂たちの半分以上(7割か8割くらい)が2つに分かれていくのが見えたと言い、分かれてもそれぞれが同じ大きさで、まさに、それらはツインソウルたちの姿であったと述べている。
ソウルメイトの定義
飯田史彦は、ソウルメイトという言葉を定義するにあたり、「物理的な対象範囲」「生命の種の範囲」といった
「範囲尺度」と「関係を持つ人生の回数」「それぞれの人生における関係の深さ」といった
「関係尺度」という2つの尺度と4つの指標について考察しないとならないとしている。そして、飯田はそれらの尺度、指標を総合し、以下の7種類に大別できるとしている。
最も広い意味
宇宙に存在するすべての生命は、根源的なところでつながり合っており、みなソウルメイトであると考える。
かなり広い意味
人間以外の存在(動物など)を含む、地球上のすべての生命は、みなソウルメイトであると考える。
やや広い意味
人間以外の存在を含む、地球上のすべての生命のうちで、深いつながりを持つ生命どうしが、ソウルメイトであると考える。(人間どうしだけでなく、人間とペットの動物などの関係も重視する)
一般的な意味
すべての人間のうちで、家族・夫婦・恋人・親友などの身近な関係を持った人間どうしが、ソウルメイトであると考える。
やや狭い意味
数多くの人生において、家族・夫婦・恋人・親友などの身近な関係を持った人間どうしがソウルメイトであると考える。
かなり狭い意味
数多くの人生において、深い恋愛関係や夫婦関係を結んだ人間どうしが、ソウルメイトであると考える。
最も狭い意味
数多くの人生において、夫婦関係を結んだ人間どうしが、ソウルメイトであると考える。
魂のグループ
ブライアン・ワイスは、患者の
中間生での体験を聞いてから、生まれる前にその人生での家族を自分で選択するのだと信じるようになったといい、最大の成長を与えてくれるパターンと状況を効果的にもたらしてくれる仲間の魂を自分で選び出すという。そして、ワイスは人間の魂は1つのグループとなって、何回も一緒に生まれてくるという事を指摘しており、転生を繰り返す中でグループは大きくなるが、核となるグループは同じ顔触れで、たとえばある過去生で母親と息子という関係で生まれた魂は、他の転生では兄と弟として生まれ変わる事もあるという。
また、過去生で深い関係にあった人を潜在意識で認識すると、時として一目で魅かれ合ったり反発を感じ合ったりすることもあり、上司と部下、近所の人たち、先生と生徒、時には世界の指導者として力と力で対峙する事もあるようである。ワイスは親との間に問題を持っている患者の治療に退行催眠という方法を使う事で大幅に歪みを取り除くことが出来たという。さらに、ソウルメイトをもつことの意味や魂のグループについて以下のように述べている。
ソウルメイトを持つということの本当の意味は、もう一つの魂と多くの人生を共に生き、喜びや悲しみ、成功や失敗、愛や許し、怒りや優しさ、とりわけ終わりのない成長を共に分かち合うということです。ソウルメイトは会った瞬間、もうずっと前から知っていたかのように、深いつながりを感じる相手であることが多いようです。多分、私たちはお互いにすでに知っていたのでしょう。ソウルメイトだからといって、その関係を十分に味わうために、その人とロマンチックな関係にならなければならないというわけではありません。
また、ソウルメイトは一人に一人だけしかいないわけでもありません。私たちそれぞれに完璧な相手がいて、不完全な二つの魂が合わさって完全になるというプラトンの考え方は、部分的にしか正しくありません。ソウルメイトが私たちの体験を完全なものにする――すなわち、成長や親密さや喜びを増幅するということはできますが、むしろ、私たちは多くのソウルメイトから成る魂のグループを持っている、といった方が適切ではないかと思います。
ワイスによれば、強烈に感情やものの見方を共有していると感じる相手は、一人だけではないといい、同時に一人以上のソウルメイトと出会う場合もあるという。そして、ロマンスの相手と2人で魂の成長を完成する事もあれば親友、親、子といった関係でそうなることもあるという。また、マイケル・ニュートンは誰もが人と化す前に、スピリットの世界という無形の領域に居り、他の魂と共に成長を始めたと言い、死んでから生まれ変わるまでの無形の生活では他の魂と共感を寄せ合う関係が要をなすことを指摘している。そして、マイケル・ニュートンは、ソウルメイトを以下のように3つのカテゴリーに分類している。
第一のソウルメイト
第一の、もしくは筆頭のソウルメイトは人生でも縁の深いパートナーとなる事が多いという。このパートナーシップは兄弟姉妹や一番の親友、偶には親という事もある。
仲間のソウルメイト
仲間のソウルメイトは、特性も違えば、才能も互いに補うようなものを様々にもっているという。互いに人生で重要な補佐役を果たしたり果たされたりするらしく、このような魂の数は平均で3〜5名であるという。
同系列の魂
第一群には入らないものの、精神世界で大体同じような近辺に居る二次的なグループのメンバーに関わるという。一次集団を取り巻く二次的なグループの数は1000以上にのぼる事もあるようである。
斎藤忠資「
臨死体験者が地上で会ったことはなく、肉体の五感・脳では知りえぬ情報を入手した臨死体験例」の中では、
臨死体験の世界では脳と肉体を超えた意識は、グループ意識、ソウル・ファミリーを形成していて、地上では知り得なかったグループ意識の死者に関する情報を知る事ができるものと考えられると述べられており、
臨死体験時に魂のグループというものが垣間見られると解釈され得る事例も間々あるのかもしれない。
ソウルメイトに関するエピソード
ブライアン・ワイスは、"Only Love is Real: A Story of Soulmates Reunited" (邦題:
『魂の伴侶 傷ついた人生をいやす生まれ変わりの旅』)で、運命の相手との出会いを目指す転生論を主題としている。ワイスの患者であったメキシコ生まれのペドロとアメリカのミネソタ州生まれのエリザベスは、互いに全く面識がなかったが、それぞれ治療を続けていくと、それぞれが思い出したパレスチナでの過去生に奇妙な一致がある事に気づいた。ペドロが思い出した過去生ではエリという名前で、革の服を着た軍人たちに酷い目にあわされ、愛する娘の膝に頭を乗せながら息を引きとったというものだった。一方、エリザベスの思い出した過去生はパレスチナの陶工の娘で、エリという名前の父親がローマの軍人たちによって馬の後ろに縛り付けられ引きずられ、血が流れる頭を抱えているというものだった。2人の過去生の記憶は完全に表裏一体であり、身体的な特徴に関する描写、そこで起こった事、名前も全く同じで2人は過去生で父と娘という間柄であった。
ワイスは精神科医としての守秘義務から、2人の予約を前後に続けてとり、愛で結ばれた相手を見つけたいと考える2人が出会うように遠回しに計らったが、待合室で2人は見つめ合ったものの、その出会いを追求しようとしなかった。そのため、2人のどちらか、または両方に話す事によって、守秘義務を破らない限り、彼らが結ばれることはないと考えたが、2人の再会は運命づけられていた。ペドロは仕事でニューヨークに行き、その後、ロンドンに行くことになっていた。そして、エリザベスは乗るはずのボストン行きの便が欠航になり、ニューヨークに行き、そこからボストン行きの便に乗る事になった。このスケジュール変更により、エリザベスとペドロは同じ便に乗り合わせる事となり、ワイスのオフィスの待合室で会ったと知ると、ペドロはエリザベスを見つめ、エリザベスも直観的にこの人は安全だと分かると2人は非常に強く互いに魅かれ合っていたという。
最終更新:2023年04月24日 10:49