種族を超えた
生まれ変わりを認めるかどうかという点も
生まれ変わりについて考えていく上で問題となると言えるが、再生型事例、
生まれ変わり事例の中には動物としての前世を提示するものもある。動物としての前世についての主張の大部分は立証できないが、タイには前世がニシキヘビだったと主張するダラウォンという少年の奇妙な事例がある。
ダラウォンという名の少年は、過去生の1つで鹿だったと主張し、ハンターによって殺された後、ヘビとして生まれ変わった。そして、ダラウォンの父の知人であるヒューは長い格闘の末、ニシキヘビを殺し、ダラウォンが生まれる前、ヒューによって出されたヘビの肉を食べたところだったという。
ダラウォンが3歳の時、隣の家で開かれたパーティで、それまで会った事のなかったヒューを見た時、ダラウォンがヘビだったとき、ヒューが彼を殺そうとしたのだと言った。そして、殺害が行われた状況について、特定の洞窟やヘビと犬との間の戦い、その後に続く犬の飼い主との対決(その結果、ヘビは殺された)も含め、ダラウォンが知るすべのないものも詳細に語った。そして、ヒューはそれが細部に至るまで全て正しい事を確証したという。ダラウォンによれば、ヘビとしての前世で殺された後、スピリットは未来の父親を見て、この人はヘビの肉を食べる他の男達より親切そうだと思い、その男性について家に行き、間もなく母親の体内に入ったのだという。また、ダラウォンは体、特に下半身がウロコに覆われているような肌の状態であったと言われ、ヘビとしての前世を象徴するものとして捉えられるかもしれない。
ジム・タッカーも、この事例は受け入れられるギリギリの線に近いと述べており、
生まれ変わりの存在を受け入れたとしても種族を超えた
生まれ変わりや動物としての前世を受け入れるには壁があるかもしれない。なお、タッカーは、罠にかかって動物園に連れていかれたというチンパンジーだった過去生の記憶を語った子どもがいたことも述べており、近年では、前世療法、退行催眠で動物としての過去生を想起する人もいるが、それらの記憶の大部分は立証できない。しかし、ダラウォンの事例については、ヘビが一連の出来事についての記憶を保持する事が出来るという事が科学的には信じがたいとしても、ダラウォンの記憶がヒューによって正しかった事が確証されているという点で注目するべきものであると言える。
ちなみに、日本の民話の中には、種を超えた
生まれ変わりの存在を示唆する話も一定数あるようである。児童文学作家の松谷美代子(松谷みよ子)は、人が人以外のものに生まれ変わるという話として、馬や牛、犬などに生まれ変わったという話もあると指摘している。松谷によれば、その中でも、富山県の尾島きみ枝が寄せたという話は夢の知らせと重なる点もあるといい、以下のようなものである。
昭和の初年、一周忌に親戚一同が集まった時、その中の一人が、箪笥を開けようとした。他の人が何故かと問うと、故人が夢に出てきて「死んだ私は馬に生まれ変わったが、そこの主人は大変親切なので御礼がしたい。ついては箪笥の三番目の引き出しに白の長襦袢があるが、その衿の芯に銭が入っているので、それを馬の飼い主にあげてもらいたい」といった理由を語ったという。そして、一同立ち合いのもと、三番目の引き出しを開けると、まさしく白い長襦袢があり、衿に金が縫い付けてあった。そこで、家の人が連れ立って、夢で見たという駅で降り、馬の飼い主の家を訪ねていくと、そこに子馬が一頭、親馬にじゃれていて、家の人が子馬に近づくと子馬は鼻をこすりつけて大変嬉しがったという。
最終更新:2024年12月19日 22:46