概説
飯田史彦(いいだ ふみひこ、1962年6月3日-)は、経営学者、カウンセラー、音楽療法家であり、
「光の学校」の運営者としても知られる。広島県竹原市出身で、広島県立呉三津田高等学校を経て、1985年学習院大学経済学部経済学科を卒業、1990年に学習院大学大学院経営学研究科を修了し、福島大学助教授となった。1995年に霊的世界観や死後生存の可能性に触れた論文「生まれ変わりに関する科学的研究の発展が人生観に与える影響について」を『商学論集』第64巻第1号に発表し、翌年の1996年には同論文を発展させ
『生きがいの創造-生まれ変わりの科学-が人生を変える』(PHP研究所 1996年)を出版している。2005年12月に脳出血手術時に
臨死体験をし、「まぶしい光たち」からいただいたという使命を果たすため福島大学教授職を辞し、
「光の学校」を設立した。なお、飯田の
臨死体験及び、その中での究極の光とのやり取りについては、
『ツインソウル 死にゆく私が体験した奇跡』(PHP研究所 2006年)の中で詳述されている。
飯田は霊的世界や
死後生存、
生まれ変わりの存在に言及しているが、最終的な焦点は、それらの存在の有無ではなく、それらが「生きがい」に及ぼす効果についてである。しかし、
『生きがいの創造』シリーズは、200万部を超えるベストセラーとなっており、日本において霊的世界観の方向付けに大きく影響を与えたと言える。なお、飯田は
死後生存や人生論について扱っている著作が多いが、いかなる宗教団体にも属しておらず、宗教的・思想的には完全中立の立場をとっているとしている。
霊的世界観
飯田の霊的世界観において強調される事は、
ブライアン・ワイスや
ジョエル・ホイットンらの前世療法・退行催眠の研究、さらに
胎内記憶の証言などに基づいていると言え、この世で被る境遇の全てはその人自身が自ら選んで引き受けたものであると考える。そして、
臨死体験後も、宇宙の本質である精神宇宙(後述)の存在理由である愛としての自分の成長を目指していると考えている。また、肉体を超えた魂(意識体)の繋がりをもつ人間として
ソウルメイトを考え、親しい他者との関わりが各人の成長に深い意味をもつという事も強調している。
宇宙観
飯田は、
臨死体験をした際に「まぶしい光たち」と非言語的なやり取りをしている。その際、宇宙は二重構造になっていると考え、
「精神宇宙」は、「成長を志向する無境界かつ無限界の普遍意識」であり、あらゆるものの根源であるとともに、あらゆるものを一定の法則の元で統制しながら自らを限りなく成長させようとしている存在であるとしている。それに対し、私たちが目に見える肉体として存在している場所を
「物質宇宙」と呼び、「精神宇宙」が自らを成長させるために創造した学びの場であるという。なお、ビッグバン以前について、「まず最初に、宇宙という名の意識(精神宇宙)が存在しており、その意識が、私たちが宇宙と呼んできた、形を持った物質世界(物質宇宙)を創造したのだ」という仮説を立てる事ができるとしているが、このような考えは木内鶴彦が
臨死体験で見たという宇宙の始まりや、岸根卓郎が「この世の万物は形のある物理学的宇宙(見える宇宙、物質宇宙、三次元宇宙、有)から生まれるが、その形ある物理学的宇宙は形のない非物理学的宇宙(見えない宇宙、反物質宇宙、四次元宇宙、無)から生まれる」と述べている事とも概ね一致していると言える。飯田は自身の宇宙観を以下のような図で表している。
(自分と相手との人間関係『生きがいの探究』p.81より)
精神宇宙は、物質宇宙のように形や距離という概念を持たないため、それに相当するのが「愛」という言葉で言い表される観念であるという。そして、「自分の真心」や「相手の真心」は潜在意識の水準において、「愛」を本質とする精神宇宙とつながっているとしており、心の奥(真心)において、自分と相手の区別はなくなるという。また、「自分の邪念」「相手の邪念」は、心を成長するために課した試練としての産物で、「真心」と「邪念」との二重構造でイメージ化されるものを存在を自覚する意識体という事で「自分の意識」「相手の意識」としている。
最終更新:2023年04月24日 13:04