勇気ある戦い





近頃、太鼓橋付近に化け物が出るという。

巡回班士の左門は、その化け物を倒す、夜間写真部員の忍は、化け物に関するスクープをつかめという指令を受けた。

太鼓橋付近で張り込む左門は、苦しそうにうずくまる女子生徒を見かける。
屯所に連絡するも、手空きの女子班士がいないということで、やむなく左門が背負って送っていこうとする。

しかし突然、その女子生徒は、左門の髪をつかんで、空中に浮きあがった。

見上げる左門の目に映ったのは、額に二本の角を持つ鬼。
鬼は長いカギ爪を左門の喉めがけて振るう。
しかし左門はその腕を斬り飛ばす。
さらに、鬼の額に同じく橋付近で張り込んでいた忍の手裏剣が命中した。

忍は、左門が斬り落とした、鬼らしき生物の腕を自分のスカートで包み、さらに露子に連絡して迎えを頼んだ。



一方そのころ、夜食を求めて自販機横丁を彷徨いていた敦也は、片腕を三角巾で吊った少女に遭遇していた。
彼女の額には二本の角。
驚いた敦也が光線を浴びせるが、鬼の少女は眩しそうにして、敦也に文句を言ってきただけだった。

鬼の少女は学園の制服を着ており、自分も学園の生徒だと主張する。
敦也と少し会話した後、彼女は買い物をすませて闇の中へ消えて行った。

寮へ戻ろうとする敦也のところへ、太鼓橋で二人をピックアップした露子の走行屋台が東リすがった。

四人は、それぞれのいきさつを話し合ったあと、左門の部屋で一息つくことにする。

そこで、露子は民俗学研の先輩から聞いた化け物の話を一同にする。
その化け物は「ロクショウ様」という名で、太鼓橋付近を中心に暴れまわっていたが、白い犬を連れた猟師に打ち取られ、その後橋の袂に作られた祠に祀られたという。

「皆自分が鬼だったとして、腕取られたらどうする?」
「当然取り返しに行くね。茨木童子みたいに」
「取り返して、ついでに切ったやつをぶっ殺すね」



夜半過ぎ、敦也が寝落ちしてしまった頃。

席を外していた露子が戻ってきたが、左門に「自分の知り合いに鬼の腕を調べてもらうので貸せ」と主張を始める。
その様子は普段の露子とは明らかに違っていた。
訝しむ左門。

と、そこへ本物の露子が戻ってくる。

騒ぎで目を覚ました敦也を含む一同の攻撃に、露子に化けていたロクショウ様は、壁をぶち破って敦也の部屋の窓から逃走した。

後を追う一同の前に、額から二本の角を生やした少女が現れる。
すわ、また逃げた鬼か? と構える一行。

彼女はロクショウ様ではなく本物の鬼、二年生の烏丸ネレディと名乗り、ロクショウ様が彼女の姿に化けていることを説明する。

ネレディを加えた一行は、ロクショウ様を追って笛野の森に突入した。
ロクショウ様の正体は大きな鼬。

泥と油にまみれすべりやすい体表に手を焼きつつも、一行はどうにかロクショウ様を倒すことに成功し、そのまま笛野の森で朝を迎えたのだった。

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最終更新:2022年10月19日 00:14