夢見る機械





秋葉原へ射撃部で使うスコープとその周辺機器を購入に行こうとするエステルは、たまたま同じクラスで金欠のためとぐろを巻いていた左門を用心棒として雇うことになった。

時を同じくして、やはり秋葉原へ平沢進一郎教諭の必要とする楽器のパーツを受け取りに行く依頼を受けた敦也も、それに同行することとする。

まずは腹ごしらえ、と露子の屋台に向かった3人は、露子とそこで食事をしていた忍も一向に加えて秋葉原へ向かった。

エステルの目的は難なく果たせる。敦也の用事もエステルが機器を購入した店の店主が情報を知っており、パーツを入手するところまでは問題なくできた。
問題はその直後に発生した。

パーツの入っているアタッシェケースを抱えていた敦也がリヤカーにはねられた。
悪いことにそのリヤカーには同タイプのアタッシェケースが満載されており、ごちゃ混ぜになったケースはどれがどれか見分けがつかない。
さらに悪いことにその辺にいた学園生徒やその他の人間が火事場泥棒モードに突入したため、周辺は混沌に巻き込まれた。

どうにかこれ、と思われるアタッシェケースをつかんだ敦也だったが、本物よりも明らかに重い。
本物を探し出そうにも、敦也をはねたリヤカーはその場に残っていたアタッシェケースを片っ端から回収してさっさとその場を去ってしまった。

間違ったアタッシェケースを開いてみると、そこには銀色に輝くシリンダーとそれを取り巻く奇妙な装置が入っていた。
狂的科学部員の敦也は気づく。

「これは、縮退炉だ!」

手掛かりを失った一行は、楽器のパーツを入手した店に一度戻ることにする。
店主が言うには、そのパーツは手作りであり自分の最高傑作、二度と同じものはできない、とのこと。
つまりは探し出して取り戻すしかない。行き詰ってしまった一行に店主は告げる。
この街のキングを訪ねろ、と。

キング、またの名を「キャプテン・ロック」と名乗る男、六道寅泰は、秋葉原の安寧を何よりも重要視していた。

そのため、アタッシェケースを持ち去った勢力……銃士隊に所属するエステルにより、「ネオSS」を名乗る連中であると看破されていた……と一行の間を取り持ち、事態を平和裏に収拾するよう提案する。

しかし。

ネオSSに縮退炉を渡してはならない。
かと言って、パーツを渡してしまうこともできない。
そうなると、調停の意味はなくなる。ゆえに一行は、提案を拒否した。

応石の力を使い、アタッシェケースの行方を追う一行。

彼らは秋葉原の南端にある川沿いで、ネオSSの頭目である一つ目の仮面をかぶった少年、アーゴイルに遭遇した。

アーゴイルはキングと同じく、パーツと縮退炉を平和裏に交換することを提案する。しかしネオSSに縮退炉を渡すことは90年動乱時の悪夢の拡大再生産につながるとしか考えられない。

するとアーゴイルは縮退炉も大切だが現状の彼らにとっては秋葉原という街自体とのコネがさらに重要だと言い、さらに彼らを追い続けた一行に敬意を表したのか、パーツにも縮退炉にも手を出さないことを宣言した。

こうしてキングの意向通り平和裏に事態を解決した一行は、阿松岳の稜線にまたしても朝日を見ながら学園へと戻るのだった。

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最終更新:2022年10月19日 00:14