或る屋台における芋の皮剥き by黒トド





しゃりしゃりしゃり。
忍は芋を剥いている。
じゃがいも、長芋、タロイモと。
あの指輪騒動からはや1週間。忍は露子の屋台で芋を剥いていた。
逃げようにも何故か捕まり、芋を剥けと剥き続けられさせる。
自分はなんなのか。
う号なのか、シノブなのか。
忍者の工作員なのか、生徒なのか、シノブの人生を代わりに生きる者なのか。

頭はぐるぐる回るが、ぼっとしてると芋の皮剥きで指を切る。
刃物の使い方は慣れたものだが、芋の扱い方は未だ慣れない。

芋は不揃いで、色んな凹凸がある。
まるで学園の生徒のよう。
忍はますますわからなくなった。

しゃりしゃりしゃり。忍は芋を剥く。
屋台で使う芋を剥く。これに修行3年はかかるという。
高校は3年しかないのだが。と尋ねると芋が増えた。解せぬ。

段々色々どうでも良くなってきた。
芋が少しは綺麗に剥ける。
タロイモをエステルに渡しそうになりメイドに怒られる。
しゃりしゃりしゃり。


なんか初めて日常を感じた。

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最終更新:2022年10月19日 00:26