光と影 第三編
やぁ こんにちは!
私は 百地忍(ももちしのぶ)ちゃん 永遠の15歳!
いまを輝くJK!…ではないな…JC!
ピッチピチの幽霊です!
そう!幽霊なんですよ!びっくりですね!
え?幽霊らしくない?それはしょうがないですね!
だって私、関西人ですから!
おっと、もう人ではありませんでした!関西幽霊ですね!
関西人は一人でも漫才する生き物なんですよ!
おっと、私はもう死んでましたね!はははっ!
幽霊だからって誰かを祟ったり呪ったりはしてないんですよ?
んじゃぁ何で、幽霊なんかしてるのかですって?
なんででしょうね?
私にもわかりませんが、生きてないことだけは確かです!
なんなら、命かけてもいいですよ?
おっと私、死んでましたね!はははっ
まぁ生きる目的…死ぬ目的?…じゃないですね…なんでしょうか…
ともかく、私が最近はまってること?…といえば、あの子を見守る事。
※光と影 第二編
あの子っていうのは、私の戸籍をあげた不幸な女の子「う号」のこと。 ※光と影
いまは「百地忍」を名乗っています。
ですが、あの子にはもう一つ名前があって、それは「月陽」(つきひ)といいます。
私とあの子と、あの子の彼氏の三月さん、この3人の秘密の名前
名前を失ったあの子に私がつけた名前…いい名前でしょう?
まぁ「月陽」はあの子の彼氏があの子を呼ぶとき専用みたいなもんなので。
だって、私がいくら呼んでも、聞こえませんからね…
寂しくはないですよ…だって毎日いろんなことを見させてもらってますから!
あの子は今、彼氏の三月さんの妹の九重ちゃんのお屋敷に住んでいます。
九重ちゃんというのは、ロボット?作りの超天才お嬢様で、和服を着こなすかわいい子なんですが引きこもりなんですよね…
お姉さん、心配だわぁ…でも、実の兄妹たちが心配してないんで、大丈夫なんでしょう…大丈夫なのかなぁ?
おっと話がそれました。
あのこはそのお屋敷で、葉車家のみなさんと暮らしています。
部屋がいっぱいあるってすごいなぁ…さすが、世界の金持ち一族…
もう、三月さんと結婚間近なのでいいと思いますけど…
羨ましい!何人もの使用人がいて、なにからなにまでしてくれる…
こないだまで、カップラーメンで食いつないでいたあの子の生活からすれば
天と地ほどの差がありますね!
ふかふかのベッドで、三月さんの横で起きて…もう、この時点でおかしいでしょ!
高校生が!高校生が!おっといけない、あんまり怒ると荒魂になってしまいますね ふふふ
和魂でいたいものですね!
朝食は、なんかお米がつやつやで輝いています!
焼き魚もおいしそうだし、お味噌汁もおいしそう…
ただ、納豆はちょっと…
あの子が他の人よりも長く手を合わせていますね。
あれ、私のために祈ってくれてるんですよ ふふふ てれますね!
胸の奥がじんわりと暖かくなって、力が湧いてくるようです。
葉車の兄弟の皆さんが登校するのを、九重ちゃんと使用人の皆さんが見送ってます。
九重ちゃん…今日も、登校しないのね…私は、貴女が心配だよ…。
葉車の皆さんはそれぞれ運転手付きの車に乗って登校ですよ。
金持ちぃ…一台のバスでいいじゃないのよ、何で無駄にそれぞれ車持ってんの…
あ、三月さんだけは自分でスポーツカーみたいなのを運転するんですね、その横にあの子を乗せて登校です。
こないだまであの子は、あの物凄い人ごみをすり抜けるように登校してたのがいまや、彼氏の車で送り迎え…周りから羨望や嫉妬の視線を集めていますが、ラブラブすぎて気づいていませんね、あれは。
教室では友人の「不建」(さらち)さんや「藤矢」(ふじや)さんと談笑しながら、時には真面目に授業を受けて、放課後には手品の部活に顔を出してから三月さんと待ち合わせて下校、あの子を送った後、再び部活…仕事?へ出かけました。
あの子は、九重ちゃんの自動からくり人形「紅桜」との戦闘訓練…JKのすることじゃないよ…
九重ちゃん曰く、あの子の動きを解析して人形作りに反映させるんだとか…
九重ちゃん、私は貴方が本当に心配だよ。
九重ちゃんと一緒にお風呂に入った後少し間を開けて夕飯ごろ、兄妹の皆さんが帰宅。
それぞれに学園でのことを話したりして就寝…
約二名、ここからが本番みたいな人がいますけど…
さて、私も実はここからが本番なんです。
え?二人を覗くのかですって?
今日はそんなことしませんよ!
じつは、ずっとあの子を見ている穢れた感じの気配がしてたんです。
だから、それを払うのが本番ってことです。
その嫌な気配は、三月さんのカバンからあふれてきています。
どろりとしてそれでいて、黒い靄を発散させている。
それは次第に大きくなり人の顔…女の顔が浮かんできます。
お?なんか言ってますね?なになに?ああ、あの子の名前を呼んでます。
おそらく、三月さんに惚れていた女の怨みでしょうけど、お門違いですね!
それが人そのものなら、あの子が気づかないはずはありません。
けれどこれは…呪詛とか呪いとか、そういうやつでしょうね。
詳しくは私にもわかりません。
えぇ?幽霊ならわかるんじゃないかって?
わたし、JCの幽霊ですよ?何を期待してるんですか?
カバンから出てきたそれですが、そこから動けずにいますね。
理由は簡単です。
私がそれと二人の間に居るからです。
おやおや、黒くドロリとしたものの表面に浮かぶ、女の顔が眩しそうに恨めしそうに私を見ていますね。
出来るだけ触りたくないので、ちょっとだけ力をこめてみますか。
力を籠めるっていう表現が正しいのかじつはよくわかりませんけどね。
そう意識すると、なんか光るんですよ私。
人には見えない光が出るみたいで、それがこういう類の穢れたモノに効くらしくて
黒いドロリとしたものは徐々に灰のように…ずいぶん粘りますね…
いつもなら、この程度のやつはすぐに、くずれて跡形もなくなるんですが…
ん?女の顔が私ではなくて、私の後ろを見てる?
ああ…うん…そりゃぁ、目の前でまさに最中なら、怨みも深まるよねぇ。
私からのダメージと深まる怨みとか…このままでも、いいけど、時間をかけてもいいことないし、じゃぁもう少し行きますか!
部屋中が私の光で満たされて
黒くドロリとしたものは耐えきれなくて灰となって消えていきました。
さて、二人はまだまだ元気なようですね…覗いててもいいんですが、先程の許を断たないといけませんね。
まずは、三月さんのカバンの中に何が入ってるのかなぁ?
そうそう、わたし幽霊になってからカバンの中身位なら見えるようになったんですよ!
凄いでしょう!?
なんで、三月さんのカバンを開けなくてもみえるんですよね。
特に、穢れた感じのモノってのは他のモノよりもはっきりと。
あれは、アニメか何かのマスコットでしょうか…かわいい顔して…お仕置きだぞ?
ピキって音とが聞こえました。
人形がこわれてその力を完全に失いましたね。
まだ何もしていませんから、人形自身が自壊したのでしょう。
人形にはこころが宿るなんていますものね。
こんなことに使われた人形も、本意ではなかったのでしょう。
人形のために手を合わせておきました。
さぁて…おおもとの女を懲らしめないといけませんねぇ…
ああ!だめだめ!荒魂になっちゃダメ・・・あぶないあぶない。
いや、何でダメなのかっていうのはよくわかりませんが、あの子を悲しませる気がするんですよね。
チョット懲らしめるだけ、冷静に冷静に…
んじゃ いきますか!
というわけで、臭い?みたいなものをたどってきましたが、此処は女子寮ですね。
その一室から匂いがしますね。
さて、服を着替えないといけませんね。
前回、別の件では中学の制服のまま行ったせいか、舐められてましたからね。
脅すくらいなら、悪魔っぽいかっこう?なんだかプライドが許しません。
ヤンキーみたいな恰好?いや、それは脅す路線が違いますね。
ああ、忘れてましたが、服なんてイメージなのでなんにでも着替えれます。
うーん…どうせなら、めっちゃ可愛い感じとか?ゴスロリとか!
いいかも!それで、相手の女の前に出て、止めるようにいうの!
うん!だめだわ!恐くもないし、畏れ多くもないわ!
巫女さん!?いまなんか閃いたわ!巫女さんで行きましょう!
では、突撃!
翌朝、その女は頭を丸めてあの子の許へ
あの子は何のことかわかってないけど、取り合えず謝るようにいい聞かせたから。
やさしく言い聞かせたから。
教室の入り口で頭を丸めた女があの子に土下座。
ふむ、これで下手にあの子に手を出そうってやつはいなくなるでしょう!
あの子は完全に、訳が分からないって顔してたけど。
ふぅ、これで一仕事終えた感じだわ。
最後にお天道様へ向かって 二拝二拍手一拝
なんとなくですけど、力を貸してくれてるように思うので
感謝の意味を込めて 二拝二拍手一拝 てしてます。
後から知ったんだけど、この土下座事件は
三月さんに惚れた女が、あの子に何かしようとして返り討ちにあった。
その女を三月が懲らしめてあの子に謝らせた。
三月さんすげぇ!ってことになったみたい。
人のうわさって凄いねぇ。
まぁ真実は私と土下座女しか知らないから、しょうがないんだけど。
とまぁ、こんな感じで楽しく幽霊やっています!
もしあなたが幽霊なら是非、宇津帆島へ!
此処には何でもありますから!きっと楽しいですよ!
あ!ごめんなさい!一つだけ無いものがあります。
それは「退屈」です!
では、どこかで、私の思いを受信してくれる人に向けて!
またね!
了
最終更新:2022年10月19日 18:14