Honoka's Short story 2
「友達が変えてしまったもの」
主な登場人物
柊ほのか
賀陽麗奈
囚われた魂をあるべき場所に還して、全ての元凶の博士を捕らえて帰るだけになった時...
僕は無性に「あの人」に電話がしたくなって携帯を手にする。
ー
ーー
ーーー。
「もしもし、あれ、ほのかちゃん?どうしたの?」
安心する声の主。僕はこの人に会って、色々変わった。
「麗奈、君が心配する副会長は無事だよ。会長も近く帰るから万事無事に片付いたよ。」
淡々と会長と副会長が無事だということを伝える。
本来ならそこで電話を切る筈なのだが...
「...。」何かが引っかかる。
『本当にそれだけで良いの?』
ー伝えたい。
ーー君が僕を変えてしまった。
ーーー良い方向に変えてくれた。
伝えたいことが頭の中を駆け巡っては過ぎ去っていく。
「ほのかちゃん?」
麗奈の心配そうな声で我に返る。
「んん、ちょっとぼーっとしてたよ。」
ちょっと息を整える時間を稼いでゆっくり息を吸いゆっくり言い放つ。
「ありがとう」と。
「へ??」
電話の向こうで不意を突かれた麗奈の慌て声がする。
そんなことは気にせずに溢れる思いを言葉にしていく。
「僕は君に会うまで理解してくれる人がいなかった。僕も邪魔されないから別に何も感じなかった。でも君は違った。魔法が引き寄せ、お互い特別なものを持っていて、果てには僕と同じ魔法少女になりたいだなんて...最初は僕も困ったよ。でも、君はそんな僕を否定しないで1年らしい純粋さで聞いてくれたし助けてくれた。そして僕を連れ出して色んなことをしよって言ってくれた。それが..僕には嬉しかったんだ。」
「えっ...ええっと...えへへ...//」
電話越しに時より麗奈が照れた声がする。
...麗奈もそこまで褒め慣れて無いのかな。
「実は、ちょっとした用事に出てたんだ。僕にはほとんど興味は無かったんだけど助けて欲しいから手を貸した。そこで僕は生きる屍を葬り去って、事の元凶を起こした博士を焼こうとしたけど思いとどまった...普段なら気に入らない人は問答無用で焼きはらったこの僕が思いとどまれたのは...言うまでもない、賀陽麗奈。君のおかげだよ。」
的外れかもしれない。でも、僕は変われた。少しずつ受け入れられる自分になっていった。
それは麗奈が色々と僕に知らない世界を見せてくれた。魔法にある意味「囚われていた」僕を救ってくれた。
そして、「あんた...お優しいんだね」と言われた。昔なら絶対に言われなかった言葉。
「ねぇ...ほのかちゃん。」
麗奈の声が微かに震えている。
「...帰ったら、その話もっと聞かせて?」
一瞬で察した。ちゃんと伝えて欲しいんだろうと。
ならば答える言葉は一つ。
「もちろん。」
と、言って電話を切る。
電話を切った後の心地は澄んだ空のようで気持ちよかった。
そして僕は帰り路を歩き出す。
僕の帰りを待つ人へ。
最終更新:2021年12月06日 01:13