コールド・ウォーター





9月の憂鬱



日時は2020年9月上旬。秋入学の生徒たちが次々と島に到着してくる。コロナの関係で新入生はワクチン接種後、寮で一定期間過ごす事となる。



リモート授業が受けられ、スマホを使って寮の部屋などからアクセスすれば、教室に来ないでも良しとなっている。授業はまだ始まらず、新入生のオリエンテーションなどがあるため、在校生たちは暇である。といった9月上旬のある日から始まるお話し。



【中尾影人】
「閉じこもって等居られるか、俺は無理にでも仕事を作って外出するぞ!」←閉所恐怖症



【エステル・宮里=アーレンベルク】
「たまには茶道部にでも行って顔を出しましょうかねー。」



【大田川瑞葉】「図書館行こうかな...」



リン・スーラン】「わたしは鈴な森付近で生物探してます」



フレイヤ・紅葉・ミラー
「私は住み込みの銃士兼メイドなので、詰め所の掃除・ご飯など作ったりみんなの洗濯をしております」



狐面の男


それぞれが部室や寮や図書館や外回りをしている頃(10時頃)。突然スマホが起動し狐面の男の顔が大写しになる。




【退屈翁】「やーやーきみたち。退屈な毎日を過ごしているようだね?そこでだっ! そんなみんなの為に私はささやかなプレゼントを用意した!一番最初にそれを入手した者が、それを自由にする権利を持つという事だ」



【エステル・宮里=アーレンベルク】「今度はチョコサンドですかね?」



【退屈翁】「これが宝の地図だ。でわでわ~」


お宝探しだ


この放送があった直後、恵比寿・弁天の両寮がざわりと動く。



影人は新入生たちが馬鹿な事をしない内に周辺海域を封鎖しようと海洋冒険部仲間から高速ボートを借りる。


エステルは食後の運動に。それに加勢するフレイヤ。リンは探検部の血が騒いで。瑞葉は怪奇を振りまきながら酒を売る魂胆である。



影人除く3人は偶然合流し、フレイヤ所属の軍事研のヘリを借り同乗する事となる。同時刻、影人のボートは港を出て海を南下していく。



そして昼過ぎ頃にはヘリは南端上空に到達。南端の地上にはどんな手段を使って到達したのか、生徒たちの緑色の制服がうごめいている。



あちこちを引っ掻きまわしていたり、地面を掘ったりしている。しかしながら、まだ誰も手がかりすら見つけてない。


宝の場所


考古学研のリンは、この地図の×印は地上にない事に気づく。同じくエステルの応石「示」によって場所が特定される。×印は海上にあるがモノは海底にあるようだ。水深は深くても10m程である。



【大田川瑞葉】「先を越されるかっての!」



召喚銃を額に付け、丁度水上にいた影人のボートに、ペルソナ「ヤマタノオロチ」を召還する瑞葉。船のすぐ横に巨大な多頭の蛇が!



【大田川瑞葉】「そーれ、そこのボートと陸にいる生徒を脅かせてやれぃ!あー...沈めないでよ?」


フレイヤ海底へ



フレイヤ・紅葉・ミラー】「なるほど・・水中ですか」


と呟き、おもむろに脱ぎ始めるフレイヤ。エステルに服を預け海底の中へ・・・。

※コロナ副作用の為、水中でも光があれば呼吸ができる。


潜っていくと赤い×印が示す所に、横穴があるのがわかる。それはすぐに空気のある竪穴に繋がっている。どうやら海中洞窟の一端に入ったようだ。洞窟は非常に広く、頭上は低いが奥行きは200m程ある。

フレイヤのライトがあるものを照らし出す。



フレイヤ・紅葉・ミラー】「これは・・・イ号・・・」



洞窟の中にある海面に巨大な潜水艦「イ‐405」がぽかりと浮いている。全長約130mの巨体に、攻撃機3機を搭載する潜水空母といえるものである。普段感情を見せないフレイヤも驚愕の表情である。


その頃地上では



その頃地上では、海上に現れた巨大蛇に一瞬度肝を抜かれる生徒たちであったが、すぐにお宝探しに舞い戻る。さすが蓬莱学園(笑)


そこへ突然地面から金属の棒が突き出され亀裂が入る。エステルの応石「棒」の力を使い「扉」を見つける。扉を開けるとその下には巨大な潜水艦の姿が見える。


リンはラブコメ技能で(無理矢理)影人と知り合いになり、瑞葉と三人でエステルに続き潜水艦まで辿り着く。


幻の潜水艦


伊405は、つい昨日作られたかのように新品の輝きを放っている。



フレイヤ・紅葉・ミラー】「お前は・・ここで80年近くも・・・帝国の勝利を願って・・ただただ・・その時を待っていたのね・・・」



棒を追ってきたエステルは、フレイヤを見つけると、無事を喜びフレイヤを抱きしめる。



【エステル・宮里=アーレンベルク】「こんなに濡れちゃって、大丈夫?」

フレイヤ・紅葉・ミラー】「サー・・」顔真っ赤


合流


エステルは艦橋に、厳重に鍵で封印された扉を見つける。フレイヤと扉の前で色々やっていると、後ろから数人が中に入ってくるのに気づく。エステルは一応銃士隊としてもこの中を検分したい。みんないいね?という事で話がまとまる。


【大田川瑞葉】「しっかし狭いもんだな...」


【中尾影人】
(太田川さんの言葉で正気に戻り、即座に発狂)暗いよ~狭いよ~怖いよ~」


影人の意外な一面に爆笑して恋に落ちるリン。


潜水艦の主?


突然、艦橋の中が赤い光で包まれる。各計器が動き出し、艦の後方から大きなエンジン音が。頭上のハッチが閉じてロックがかかり艦が動き出す。ここが艦橋・指令室であった。



鍵のかかった扉は艦橋の隅にある。エステルがマスケット銃の銃把で鍵を壊し、扉を開ると・・・・そこは赤い光で包まれている小さな部屋(畳二畳ほど)に5つのガラス器が並んでいた。中には人間の「脳」が入っている。



【?】「……君たちはいったい?」



過去の英雄


艦橋のスピーカーから、男性の声が聞こえる。



【?】「……私はこの艦の艦長である溝の口少佐だ。我々はこれより、命令に従い任務に向かう。サイパンのB-29の発進基地を攻撃するのが、我々の任務だ」



フレイヤ・紅葉・ミラー】「・・・戦争は終わりを告げました・・・大日本帝国は・・・勝利し、戦争は終わり、海軍はその任をすべて説かれています」



【溝の口少佐】「…………なるほど。わかった。いったん任務は休止しよう。まずは本国に連絡をせねば」



フレイヤの何とか止めようと説得するが、潜水艦は外海に潜航する。その時、艦体を通して鋭い「ピンッ!」という音が響く。海洋冒険部の潜水艦が水中で相手を探す為のアクティブソナー音だ。一歩間違えば敵と見なされ攻撃されかねない。慌てた一同は通信の許可を取りたいと船長と交渉する。
が、魚雷がこちらに向かってくる。瑞葉は操舵して何とか魚雷をかわす。



【溝の口少佐】「短波通信はこの深度では無理だ。少なくとも潜望鏡深度に上がらねば」



影人は聴音員席に着き、ヘッドホンを取ると、そこから潜水艦のスクリュー音が聞こえる。「ワレナカオ、ウツナ」完璧にモールスで交信に成功する影人。



相手の船は静かになる。可能なら浮上して臨検を受け入れてもらいたい。瑞葉は浮上を試みる。しかし瑞葉が操舵器を動かし、浮上用のボタンを押し込むと……艦はさらに潜っていく!



二度目の魚雷


瑞葉は再び操舵を試みる。405はそろりそろりと浮上を開始。
しかし影人の耳には、アクラ級の発射管が開く音が聞こえてくる。二発目の魚雷が発射されるが、エステルの応石「伏」の力で急激に進路を変え、艦の上をすり抜けていく。




フレイヤ・紅葉・ミラー】「あいつら打ちすぎ!露助かよ!」(英語で



【中尾影人】「(目が据わって)ワレアオバ連呼してやろうか畜生め」



【溝の口少佐】「こちらも魚雷を打とう。相手が回避した瞬間を狙って浮上する」



好戦的な少佐(脳缶)との通信ケーブルをこっそり切断するエステル。瑞葉は緊急浮上を試みる。伊405は海面を割って浮上、これで外部との交信も可能だ。



ハッチから一塊の海水が指令室にこぼれてきて、その後に南の太陽が差し込んでくる。あらゆる手段で通信が飛び交う。無線からは「その場を動くな」という指示が飛んでくる。


難しい問題


【エステル・宮里=アーレンベルク】
「さて古の亡霊を塵は塵に、灰は灰に、土は土に戻すべきか・・・。」



フレイヤ・紅葉・ミラー
「彼らは・・・この国の英雄たちです。・・・手厚く遇するべきです。彼らは・・・亡霊ではなく・・・生きているのですよ?」



【中尾影人】
「原則として生者として扱うなら原隊復帰ののち退役。死者ならば遺族に返還し護国神社に奉納でしょう」



少佐達(脳缶)をどうすれば良いのか話し合う一同だったが、本人達に聞いてみるのが一番だという結果になり、再び交信ケーブルを繋いでみる。


少佐の答え


【溝の口少佐】
「…………話は聞かせてもらったよ我が帝国海軍はどうやら敗北したようだな。薄々は感づいていたよ。我々のような重傷者から脳を摘出し、それで戦闘艦を動かすなどと考えた時点でね」


現在アメリカは最大の同盟国であり、日本はどこの国とも戦争しないという事を知る少佐。もう戦争しなくて済むのかと安堵する。


前代未聞の新入生



【溝の口少佐】
「一つ提案があるのだが、聞いてもらえるだろうか?我々を、君たちの学園に入れてくれはしないかね?このような姿になっては、もはや家族にも再会はできん。だが、死するまでは生き抜こうかと思う。」



【中尾影人】「よろこんで!」



【エステル・宮里=アーレンベルク】
「・・・確かに当学園は過去にロボットの生徒、地球外の生徒などがおりますので艦船の生徒がいることには問題はありません。前例はあります。」


【溝の口少佐】
「今まで黙っていたが、航海長や水雷長は学徒出陣組でだな、学校に戻りたいと思っておったのだ」



【中尾影人】
「当該艦は伊405.本学園への入学を希望している。新入生の歓迎パーティの準備を願いたし」



フレイヤ・紅葉・ミラー】「制服用意しなくちゃですね」(うれし泣き



新たな出航


伊405は進路を宇津帆島(うつほじま)に向け速度を上げる。今年最大級の新入生が入学した。

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最終更新:2022年10月19日 00:18