『ジェーン・ドゥとジェーン2 秋の夜長の説教タイム』


■ジェーンさん:白いゴスロリの魔法使い。
見た目は小学生。
女難の相あり。←多分自業自得。


今生名:瑠璃堂院月子

イラストは、( 「ケモ魔女メーカー」 )にて作成


■セブンさん:ジェーンが【運命の方翼】と呼ぶ女。輪廻の中でジェーンと親子だったり恋人だったりと切っても切れない中。
セブンにはその記憶は無い。
※絶賛里帰り中


イラストは、( 「女メーカー」 )にて作成


■那須さん:ジェーン大好き。女装男子→女。
中国拳法と東洋医術を修めている。
推しの幸せは...私の幸せ...



イラストは、( 「ひよこ男子」 )にて作成


■不老転生体:
殺さない限りは死なないが、死ねば数年から数十年の間を開けて人から生まれてくる。
同族により特殊な武器で首をはねられると消滅、転生できなくなる。
同族殺しを行ったものは力を得ていく。
ジェーンはこの戦いに否定的であるため魔法と口先で逃げ回っている。


※※※※※※


 ジェーン・ドゥは人間ではない。
 狭義の意味で人間ではない。
 彼女は魔法で空を飛び、海を割り、島を沈め、一瞬にして1000年の森を顕現させることができる。
 そして、殺されない限り永遠の時間を生きる。
 どこぞの自称神よりも神っぽい。
 そんなジェーンさんは今、絶賛土下座中であった。

「で?説明しろよ、早く」ジェーンさんの彼女の葉車奈菜(はくるまなな)はジェーンの部屋のソファーにドカリと腰かけて彼女を見下ろしながらそう言った。
「そうですわ。わたくしたちの子について説明してあげてくださいね あ・な・た」と自称婚約者の朋田千穂(ともだちほ)は横から口をはさむ。
「パパ?ママ?お腹すいた」とジェーンの幼女時代にそっくりな謎の知性体(以下ジェーン2と記載する)が千穂の袖を引く。
「センセェ、私との子ですか?」と、ジェーンの魔法で男から女へ存在転換を果たした、ジェーンの診療所(ほけんしつ)のスタッフにして拳法の達人、そして戦友である女、那須幸男(なすゆきお)、通称はユキ。

「まてまてまてまて!話がややこしくなるからちょっと黙っておれ!」
 蓬莱学園の女子寮であるここ弁天寮は男子寮と比べて、1人部屋なのにかなりの広さを有する。
 ジェーン自身は家具をほとんど持たないため、その部屋は他と比べて広く感じる。しかし、いま息苦しさを感じているのは、個々の発する圧ゆえだろう。
 各々がお気に入りの場所を占領し、部屋の主であるジェーンだけがフローリングの床に座布団もなしで土下座状態である。
 因みに、セブンは前述のソファー、千穂とジェーン2はベットの上、幸男(ゆき)はクッションにもたれるように寝転がってその腕をジェーンに絡ませている。

「なんだよ!やっぱり浮気じゃねぇか!」
「月子様が子供の頃に婚約した私からすれば、貴女が浮気相手ですけどね?」
「パパ浮気?」
「でも、初めての相手は私だし、私の子では?」

「セブンよ違うんじゃ!千穂は少し黙っておれ!お前は・・・もう本当に「ジェーン・ドゥ」じゃな!幸男(ゆき)!お前まで何を言い出すんじゃ!?」

 因みに「ジェーン・ドゥ」というのは「名無しの権兵衛」に相当するもの。なので、ジェーン2はまだ名前がないためにジェーンさんも困っているのだ。

「何が違うか言ってみろ!納得できなない内容ならお見合いするからな!」
「月子様はそうやっていつも私にだけきつく当たるんですのね!は!これが特別なものに対していじめたくなるってやつですのね!」
「ママはパパの特別?」
「この中で一番特別といえば私でしょうね?生死を共にして、どこぞの悪魔崇拝者からすれば私の体にはセンセェの力が宿ってるらしいから!は!私の体にセンセェのが宿ってる!?これは第二子の誕生では!?」

「ああもう!いいかセブン!千穂とユキについては今更じゃろう!そしてこの……儂に似ておるこやつは……ナノマシンの集合体っていうか?狂ったコンピュータ研の産物というか?」

「ああん?んじゃこいつは人間じゃねぇのか?」
「ひどい!月子様!こんなにも貴女に似た子を人間じゃないなんて!」
「……我は……人じゃない?」
「たとえ何者でもセンセェの子供なら愛を持って育てて見せますよ?」

「あ、いや、おぬしは人間じゃ。儂の因子を持ち、儂と同様の思考を持つようじゃしの」

「お前の遺伝子を持つ!?お前と同様の嗜好をもつだと!?やっぱりお前の子じゃねぇか!」
「だから言ってるじゃないですか!この子は私と月子様の子だって!」
「やっぱり我はパパとママの子?」
「私がパパよ?」

「千穂!お主とは手しかつないどらんじゃろうが!それで子供ができるとかあるわけないじゃろう!」

「ははは!なんだよ!子供だなんだって言っててやってることはその程度かよ!俺の方がジェーンとすすんでるぜ!」
「な!?な!?なんですって!月子様!今すぐキスしてくださいまし!」
「それはちがうのでは?」
「私から見れば団栗の背比べよね?うふふ」

「じぇーん・どぅ!?」

「おい!ユキてめぇ!やっぱりジェーンと……くそ!そういうことかよ!」
「なんなんですの?この疎外感は!」
「ママが一番 初心(うぶ)
「あらあら?そういうってどういうことかしら?わたしこれでも一応もと男ですから?届かないところまで届いてたかもしれませんよ?センセェはほら、体が小さいですし?」

「な!?お……おぬし……そういうことは口にするでない!」

「口でするだって!?」
「ちょっと!先ほどから何お話をしてるんですの!?」
「ママは小学生かな?」
「一人だけ男子中学生が混ざってるみたいね」

「もう!お主らとにかく一回黙れ!」

「男子中学生も混ざってたのか!?この陰売巫女!色魔!淫行魔女!」
「あ」
「あ」
「あ」

「だぁれが魔女じゃぁ!!!!」

 宇津帆島史に残る巨大台風はこうやって、ジェーン・ドゥの自室で生まれ、三日三晩、その被害を拡大させたのでした。

※※※※※

 秋の夜長の説教タイム  おわり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2022年10月19日 18:23