一大宗教の裏側である「異端狩り」の組織「聖堂教会」の中でも異端狩り、
特に対吸血鬼に特化したエリート部署である「埋葬機関」の第七位の代行者であり、
神の代行として教義に存在しない異端を抹消する任務に就いている。
とある吸血鬼を狩るために物語の舞台となる三咲町を訪れ、暗示を使って学生に成り済まし、容疑者として 遠野志貴の近辺を探っていた。
学生として過ごしている時は、ただのカレー好きな実にステッキーな先輩。優しく知的な先輩で頼りにされており、
茶道部の部長でありながら影の生徒会長とも言われているとのこと。
月箱の紹介によれば日常の象徴らしい。
『月姫』本編終了以後の『MELTY BLOOD』では、吸血鬼に汚染された街の浄化の仕事を裏で手を廻して自分単独の仕事にして、
町に滞在して学生生活も続けている。
とにかくカレー好き。カレーうどんを食べながらカレーライス食べるぐらいカレー好き。
そのカレージャンキーっぷりは「シエル=食事すべてがカレー」と定義されることがあるくらいに凄まじい。
上の台詞にある「メシアン」も近所のカレー屋の名前である。
……え? アニメではパスタを食べてたって? ハハハ、そんな馬鹿な。
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余談 |
シエルがカレーを好きになったのは埋葬機関での初仕事で出会った死徒、
「カリー・ド・マルシェ」が関係しているというきのこ氏の証言がある。
名を和訳すると「マルシェのカレー」。「マルシェ」は日本でお馴染みのカレールーのメーカーから。
本名はキルシュタインと言い、シエルがロアに支配されていた頃の部下。
アルクェイドにシエルが殺された際に逃げ延び(シエルは3年後に復活)、
強大な力を手に入れ「空棺のキルシュタイン」と名乗る。
「触れた物質の性質に干渉して変質させる」という超抜能力(?)を持っていた……が、
インドでカレーの味に出会ったことにより血の味を受け付けなくなり、弱体化してしまった。
弱体化後は「触れた物質をカレー味にする」ことに心血を注いでいた
(一応、これに関しては「血をカレー味にして大量摂取可能とする」ことを目指すという吸血鬼らしい理由がある)。
あと オカマ言葉で話すようになった。
そして弱った所を遂にシエルに追い詰められ仕留められそうになるが、最後にカレーを指差し、
「その料理こそ・・この星の宝ともいえる至高の料理・・このまま腐らせるのは忍びない 私の代わりにシエル・・貴女が食べてやってくれないか・・」
とのたまい、シエルも毒が効かないのでそれ位なら安い代価だと了承したという。
しかし彼女自身がそのカレーの味をいたく気に入ってしまい、カレーにのめり込んでしまったという。
このキャラは奈須きのこ氏(月姫のシナリオライター)が旧HPの座談会で武内崇氏(月姫のキャラクターデザイン)に語ったキャラクターだったのだが、
後に武内氏が同人でこのカリーを出し、原稿が終わった後に設定に付いて尋ねた際に奈須氏が「カリー・ド・マルシェ?そんな死徒いねぇよ」と即答、
本気で友情が崩れかけたという美談(?)がある。
この件はよほどショックだったようで、歌月十夜に「もう何がなんだか分からねぇ」という愚痴が残っている。
法螺(奈須氏はうそつき星人を自称している)なのでどの発言が公式設定なのか扱いに困る。
ただ、奈須氏が事前に他の設定全部嘘と言った上で、
「カリー・ド・マルシェだけは本当だよ」と言ったのがTYPE-MOONの旧HPにてしっかり残っていたりする。
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どこぞのマーボー神父&シスターといい、聖堂教会ってこんなのしか居ないのか。
過去のある出来事から アルクェイド・ブリュンスタッドとは犬猿の仲で、『月姫』本編で偶然出遭った時はお互い隙あらば殺そうとするほどだったが、
『月姫』本編終了後は「志貴の嫌がることはしない」という暗黙の了解からか、お互い小競り合いはするものの殺し合いにまで発展することは少なく、
アルクェイド曰く「喧嘩友達」程度の対応で済む程度の仲になっている。
尤も、シエル側が本気になってかかってもほんのちょっとだけ(奈須きのこ氏曰く「 『獅子と餌』程度の」)実力差がある為、歯が立たないからでもあるが。
だが、教会から武器を持ち出し(黒い銃身など) 遠野志貴と組んだ場合、アルクェイドを完全に殺しきることができる。
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過去のとある事情、ネタバレ注意 |
ロアにとってただの人間など退屈を紛らわす玩具に過ぎず、アルクェイドがロアを殺しにやってくる2日間に住人を皆殺しにした。
この間、シエルは意思の主導権こそロアに奪われているが意識は残っており、
自分が起こす虐殺を目の当たりにしつつも、シエルの意識が完全に無くなればロアによる虐殺がさらに凄惨なモノになるため、
意識を放棄することもできないという拷問状態を味わわされる。
この際ロアの意志の持つ知識や記憶を共有しており、アルクェイドを恨んでいるのもこの辺りが原因。
最終的にアルクェイドに殺されることで虐殺は終わり、シエル(当時はエレイシア)の肉体の死と共にロアの意志も消え、そのまま死ぬはずだった。
だが悲劇はまだ終わらなかった。
シエルの肉体は異常に多い魔術回路によって、死亡から3年の後 自力で蘇生を果たしてしまう。
シエルの遺体は「吸血鬼から人間に戻ったサンプル」として聖堂教会に保存されていたのだが、
突然そのサンプルが息を吹き返したのだからさあ大変。
それで教会の人が何をしたかといえば「 死んだ人間が生き返るのは神の摂理に反する」とし、
ありとあらゆる方法で殺し続ける、という倒錯(ロア談)した行為だった。
だがどれだけ殺し続けてもシエルが死ぬことはなかった。
TYPE-MOON世界には「世界」に重大な矛盾が生じると「世界」そのものがその矛盾を修正するというシステムがある。
ロアの転生体としてロアの魂の転移・同化を受けた時点で、意思がどうであろうとシエルの魂はロアの魂であるため、
転生したロアが存在する限りシエルが死んでも「ロアが生きているのにロア(シエル)が死ぬ」という矛盾を生み、
世界がそれを修正してシエルを時間逆行などの現象で蘇生させるため絶対に死ねないのだ。
その事実に気付くまで実に1ヶ月もの間様々な方法で殺され続けることになる。
その内容は凄惨極まりなく漫画版だと分かっているだけでも
五肢切断、全臓器摘出、酵素による腐食、高熱炉投入、王水で溶解、神経・骨髄を取り出す等聞いてるだけでも体が痛くなる内容。
そんな地獄のような行為を最低644回行われてる。
当然麻酔などかけるわけがない。
そうして教会も処理に困っていた所を知らせを聞いた埋葬機関の司祭が、
「受け継がれた稀代の魔術師であるロアの知識」、「不死性」、「肉体のポテンシャル」等を理由として
代行者としてメンバーに加えることになる。
そして時が経ち、シエル自身も不死の呪いを消すためロアの討伐に向かい三咲町に向かう…というのが「月姫」本編前のストーリーである。
…よくもこんな目にあって精神が破綻しないものである。先輩の寛大さには感心せ ざるを得ない。
ちなみにパン屋の娘で大人になったらケーキ職人になりたかったという女の子だっただけあって、
お菓子作りの腕はちょっとしたものなのだが、過去を思い出すのであまり作る気にはなれないらしい。
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卓越した身体能力、膨大な知識、任務遂行時はクールで冷徹だが、誰にでも温かく接する優しさを持つ。
前述の事情から魔術の知識だけなら魔術協会の最上位魔術師にも匹敵し、また並の魔術師の100倍を超える膨大な魔力容量を持つため、
魔術を用いた戦闘でも高い実力を誇り(さすがに 神代の魔術師には及ばないようだが)、
普通の魔術師(例えば セイバーや アーチャーの マスター達など)と比較すればぶっちぎりで勝てるほどの魔力と魔術技能を誇る。
リメイク版では「平均的な魔術師の魔力生成量を20とした場合シエルの生成量は5000に届く」とさらに盛られている。
いずれにせよ型月世界の現代出身者では魔術の素養は最高クラスと考えて差し支えない。
ちなみに年齢設定も若くなっており、なんとロアになった時の年齢=現在の肉体年齢は12歳である。 早熟ってレベルじゃねーぞ!
表立っては魔術を禁忌としてる教会(カトリックは現実にも魔法・魔術の類を否定している)に属してはいるが、
異端狩りにおける有用性から裏では重宝される。
シエル本人も根っからの信徒ではないため吸血鬼殲滅のためなら魔術を使用するが、過去の事情から本人は魔術の行使には極めて嫌悪感を懐いている。
数多くの武器を法衣の下にしまい込み、それらの武器の投擲や射撃による攻撃を主とする為、埋葬機関から「弓」 *1と呼ばれる。
主武装である投擲用の剣「黒鍵」は柄だけを持ち歩き、魔力を通すと刀身が表れるという代物である。
また単純に銃器好きでもあり、「第七聖典」と呼ばれる由緒ある角の神具を趣味で パイルバンカーに改造してしまった。
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第七聖典 |
教会が所有する神具。
1000年程前に死した一角馬の角に宿る霊と生贄の少女の霊を融合させ(本体の角に守護精霊として宿っている)、
同時に「転生、かっこ悪い」と角にびっしりと彫ることで作り上げられた概念武装。
パイルバンカーだが、法衣の形を取ることもできるため持ち運びには便利。
「転生批判」の礼装で、霊的なものに対して非常に強力な攻撃力を持ち、まともに喰らえば魂は輪廻転生かなわず霧散する。
初めは厳かな神具として儀礼の「締め」として使われていたが、時代が進むうちに槍、杭、銃剣といった武器として使用されるに至る。
極め付けには、シエルの趣味による魔改造によってパイルバンカーと化し、物理的にも吸血鬼や人間をあっさり殺せるような代物になってしまう。
第七聖典の使用時はいくら彼女といえど負担が大きいため、
全身に制御用のボディペイント(正式名称:第七聖典制御刻印 普段は見えず、第七聖典使用時のみ浮かび上がるとか)を施している。
リメイク版では大幅に設定を変更され、千年前に地上に残っていた希少な幻想種を誘き寄せ、
呼び水となった少女ごと竈にくべることで神鉄を錬成して教典として組み上げられたという、
作り方からしてトチ狂った概念武装とされている。
一角獣の角が礼装の中心という設定自体に変更は無いが、教典には人間が背負うであろう死の要因が遍く記され、
神鉄の固有振動でそれらを戒める洗礼を詠唱し続けて転生の概念を否定するというメカニズムになっており、
さらにそのパイルバンカーは機能の一つに過ぎず、本質は角を基本骨子に、
双銃・銃剣・大剣・甲冑・コアの六つの武装で構成された対吸血鬼複合車両である。
アサルトライフル・蛇腹剣・甲冑などの用途でも使用でき、さらに奥の手として六つの武装を組み上げた七つ目の形態である破城弩弓がある。
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余談2 |
第七聖典に宿る精霊はシエルからは「セブン」と呼ばれ、契約を結んでいる。
長らく ボイス無しだったが、OVA『カーニバル・ファンタズム』で 戸松遥女史が配役された。
『MELTYBLOOD』でも開始時のイントロで半透明の彼女が見え、 勝利メッセージで言及されている。
シエルのことはなんだかんだ言って気に入っており、また高いマスター補正のおかげで実体化するほどの力を得ているのだが、
由緒正しい第七聖典が魔改造されたり(ちなみに、それまでは一度も実体化したことが無かったが、あまりの暴挙に物申すために実体化した)、
雑用を押し付けられていることについては不満たっぷりなようである。
ちなみに改造の影響か、かなり性格骨子が歪んでいる。
そして「歌月十夜」ではあまりの仕打ちにシエルの元から本体である第七聖典ごと脱走した。
そしてその後、何故かドブ川を流れることになり、
中々のガラクタぶり(まさかパイルバンカーとは思わなかったようだ)に目をつけた志貴の友人である乾有彦が回収した際に、
偶然第七聖典に付いた血を元に、彼と仮契約を(勝手に)結び、押入れにしまわれた第七聖典と自分との関係を隠しつつ、
脅したり、脅されたり、「ななこ」という名前をつけられたりするわけだが……それはまた別のお話。
詳しく知りたい人は原作をやろう。
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なお、かのアニメ版では両モードとも登場せず、ボディペイントのみの登場。
代わりに怪しげな三叉槍を持って登場してたため「あれはパスタフォークだ」「流石はパスタ先輩」などと揶揄される一因となっている。
この三叉槍も黒鍵の一種なのか火葬式典が付与されていた他、
投げ付けた後は黒鍵、三叉槍共に柄ごと聖書のページに変化して消えてしまう描写がなされた。
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その各能力の凄まじさは型月世界でも相当上位で、
純粋な人間(厳密にはそうとも言えないのだが)の中では最強クラスと言っていいほど。
『MBAA』では ロアに「過度の武装は枷になる。奇跡のような肉体を知恵で拘束しているようなものだ」と評される。
その潜在能力の高さは二十七祖も認めるほどであり、折り紙つきと言えよう。
それと同時に「異端を嫌悪する前に自らの超越性と向き合え」とも言われ、
卓越した魔術技能と常軌を超える魔力を嫌悪していることが、能力のブレーキとなっている事実を指摘されている。
だが、『月姫』には更に 凄いキャラというか存在自体がチートなキャラが多く、
本編での活躍は全ルートでそれらの凄さを見せるための噛ませ犬と教会関連の要素を一手に引き受ける便利屋。
さらに自分のルートのエンディングでもアルクと志貴を取り合うことになりちゃんとした恋人同士になれない
(他にこんなEDになるキャラはいない)、
公式でカレーと尻しか取り得のないネタキャラ扱いされる、
専用ルートが削られた人に人気投票での順位を脅かされるなど、なにかと不遇の人でもある。
……え? 男性キャラや自分のサーヴァントにすら負けた人もいるって?
志貴を助ける回数はメインヒロイン中最多と言っても過言ではないのだが、名脇役のポジションに収まりがちなのが悲しい所。
同じ便利なお助け屋で名脇役でも、 遠坂凛はメインヒロインの一角として確固たる人気を築いたのに。
『歌月十夜』では……、カレー。もはやその言葉につきる。「まぁシエルだし」の格言も生まれた。
ホント、彼女が何をしたって言うんだ。
ライターも同人版は色々と制約に縛られていたせいでシエルルートに消化不良な思いがあったらしく、
リメイク版では同人版でカットせざるを得なかった「加害者と被害者の関係」なども踏まえて、
ヒロイン力、 黒鍵への愛共に大幅にリファイン、増量された展開になっている。
戦闘能力に関しても前述した魔力と第七聖典の変形武装、そして あいつのような切り札とインフレした世界観に恥じない 化け物っぷり勇姿を見せてくれる。
「強く、優しく、それでいて華麗な」シエルの勇姿を観たい方にはリメイク版に加え、漫画版『真月譚 月姫』もお勧めする。
漫画版でも基本はアルクェイドルートではあるが、そこはシエルスキーとして一部で有名である佐々木少年氏が作者のこの作品、
メインキャラとはほぼ全員戦闘するほどにシエルの出番が増量されており、原作では使用されていない多彩な魔術も使用する。
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漫画版で先輩が使った魔術一覧 |
原作で使用した物も含む。
……などなど。なんという多芸っぷり。
また、漫画で第七聖典を使用した際は 天まで届くぶっといビームが出た。……そういう武器でしたっけ?
ちなみにこのシーンでは、既に相手は黒鍵で吹き飛ばせば問題ないレベルまで弱っている。 オーバーキルすぎる……。
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それに加えて体術も駆使したその華麗なる戦闘には、原作未見でも感嘆すること請け合いである。
……だから先輩は本来もっとカレー華麗なんだよ!
なお『月姫』と同世界観である 彼の主(マーボー)と同じ組織に属するが、実力ではシエルの方が圧倒的に上。
ただし演出上どう見てもマーボーの方が強く見えるのは内緒。 てか第四次聖杯戦争の時点では衛宮切嗣への執念と大量の預託礼呪故に総合的にはシエルを上回るらしい。
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