絵柄変化

登録日:2011/08/28 Sun 21:47:28
更新日:2024/12/10 Tue 11:43:12
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絵柄変化とは、漫画家やイラストレーターなどの絵柄が変化していくことである。
「絵柄」という言葉に馴染みが無い人に説明すると、本来この言葉はそのまま「絵の柄」、もしくは「構図、模様」を指すが、
俗語として絵の雰囲気、特徴の事を指す「画風」や「作風」と混同して使われている。
したがって正確には画風変化、作風変化と表記するべきだが、本項目では「絵柄変化」と統一して表記する。

ただし、ここではストーリーや思想の変化については扱わない。
大抵の場合のは数を重ねることである程度自然に変化していくが、中にはその変化が非常に顕著な人物も多い。
また、単に画風の引き出しが増えて描き分けることができる人物もいれば、
長期の間が空いたことで以前と同じように描けなくなってしまったというパターンも存在する。
前者の場合変化逆手に取り、劇中で時間が経過するタイプの作品は物語開始以前~直後の出来事を後から扱った回で以前の画風(デザイン)を意図的に真似るというテクニックも存在する。

比較的数は少ないが、絵柄があまり変化しない人も存在する。これを「いい意味での安定」と見るか「停滞」と見るかはジャンルや本人の意識次第。
スーパーマリオくん』の作者・沢田ユキオ氏のようなパターンは前者と言えよう。

絵柄変化によって従来のファンの感性に合わなくなってしまう事もあり、
そのような場合はファンの間で賛否両論になる事もある。
多くのファンが集まるコミュニティでは荒れやすい話題なので、注意する事。

絵柄変化に関する論争で「劣化」と評する従来のファンも多いが、多くは主観での評価である。
また、 技術的に劣化かどうかを判断するのは、評する側にも相応の教養が必要である事は留意しておきたい

【変化の例】

  • 絵を描く基礎・技術の上達
単純な画力の上昇。おそらく最も多いパターン。
多くの場合は場数を踏むことで基礎部分が上達していくが、プロになってから専門学校や美術大学に入学して学ぶ人物もいる。
逆に自身の絵柄を追及するあまり、基礎の部分から外れていく事も。


  • 無駄な線の削減
こなれてきたことによって無駄が少なくなっていく。大体この手の場合は初期がごちゃごちゃしていて読みづらいことが多い。
中には繊細でやわらかな絵柄から、シンプルで力強い絵柄になるということもある。


  • 無駄じゃない線も削減
いわゆる簡略化。従来の作品よりもシンプルな印象を受ける事も多い。


  • 描き込みの増加
画力の上昇や描く速度が上がったことで緻密になっていく。
これには元から上手い人がさらにグレードアップしていくというパターンも見受けられる。


  • 他者の影響からの脱却
他者の影響が強い人物が、次第に独自の画風を確立していく。


  • 他者の影響を受ける
逆に他者の影響を受けて、自身の作風に取り入れていくというもの。
デビュー時とは別の人物から影響を受けている場合や人間関係の変化でも変わる。
編集などから作風を指示される場合もこれに含まれるだろう。


  • 個性の特化
絵柄の特徴的な部分が強化され、より独自性を持っていく。


  • 時代の変化
時代の流れに伴い、その時々の傾向に沿った絵柄となる。
逆に時代の流れに背くパターンもある。


  • 造形そのものの変化
上記の要素がいくつか複合されたことによって、全く違った絵柄へと変貌する。
中には前途のように、間が空いたことで全く違う絵になってしまったというパターンも。
従来の絵柄も描く事が出来るが、意図的に変えている場合も多く、
一つの作品内であれこれ挑戦してみたり、作風や作品によって変えてみたりと色々ある。
特に後者は、それだけの芸当ができる画力の持ち主でもあったりする。


  • 製作環境の変化
アナログで描いていた人がデジタルに移行するなどして、絵の印象が変わる場合もある。
使っていたトーンが販売停止となり、別のものを使うorデジタルに移行などの例もある。


  • カラー絵の塗り方を変える
塗りを変えると、絵柄そのものは変化していなくても受ける印象が大きく異なる場合がある。


  • アシスタントを雇った
最初は余裕がない新人でも、連載が続き余裕ができればアシスタントを雇えるようになる。
そうなれば、従来よりも一ページ当たりに割ける労力が大きく増すことになるので、より細かい書き込みができるようになる。
また、「人物は得意だけど背景は苦手」という漫画家に「背景が得意」なアシスタントが付けば、それもまた画力が向上したように見えるだろう。


  • 作品に合わせる
作品の内容に合わせて絵柄を変えるという物。
元々引き出しがある人物が行うことが多いが、そうでない人は猛勉強をする事になる場合も。
またコミカライズなどで元デザインに合わせるというのもこのパターンといえる。


  • 体力的な変化
老いや怪我などによる身体機能や集中力の低下などで作業量を減らさざるを得なくなったり
複雑な絵が描けなくなったりしたのをカバーするために絵柄自体を変える例。


  • 病による変化
病などで身体を壊し、作風が変化してしまう物。
腕や指が動かなくなり複雑な書き込みが難しくなったり、脳や眼、精神が病に侵された時にも見受けられる。
作者は自覚しておらず、編集や読者などに指摘されて初めて異常に気付くというパターンも多い。


  • 単なる手抜き
作者のモチベーションが無くなり、雑に書き上げてしまうというパターン。
また、商業作家の場合、締め切りに間に合わせる為に手抜き同然の内容になってしまう事も。
単行本などで修正されるケースも多い。


【大きく絵柄変化してる人物】

デビュー年降順、()内はオリジナル漫画、コミカライズ、イラストレーションなどごちゃまぜ















追記・修正はイラストを書いてるうちに絵柄が変化した人にお願いします

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最終更新:2024年12月10日 11:43

*1 ボクが小学生の頃、近所に小さな貸本屋さんがありました。毎日マンガを借りて寝る前に読むのが日課となっていました。時には十冊以上読んでしまうこともありました。ある時、「何だよこのマンガ!1巻からだんだん主人公の顔が変わってきてるじゃん!」--時は経ちました。--「遊戯王」の1巻を見てみると、何と!今の主人公とは微妙に顔が違うのです。…というワケで子どもの頃の疑問は晴れたのであった。

*2 『将太の寿司』は1巻と2巻のみ短期集中連載で、3巻以降の本編とは繋がらない。

*3 元の絵柄が描けなくなったわけではなく、最終回に登場したまる子の娘は1話の時点でのまる子に似せたキャラデザになっている。