Freyja's Note By旭ゆうひ





私の名前は「フレイヤ・紅葉・ミラー
日本人の血が流れるイギリス人です。
祖父の祖父あたりが日本人らしく私にもサムライの血が流れているそうです。

日本には留学という形で来ています
いま在籍してるのは東京の南の島にある「蓬莱学園」という高校で
つまり私は高校生ということになっています。

「なっている」

私の経歴を考えれば、日本で高校生をやってることがおかしいのですが
養父が「ゆっくり休んでこい」といっておくりだしてくれたのです。

この高校は部活動が盛んで掛け持ちなんて当たり前。
そしてそれぞれがプロ級の生徒が掃いて捨てるほど居るという……
私の経歴は特殊ではありますが本土ほど浮くことはないでしょう
養父がこの学校の卒業生だということもありますが
実体験から私に向いていると判断したのでしょう。

もともと日本には興味がありました。
私のルーツの一つですからね。
よくガレージの片隅で日本の時代劇などを見たものです。

そんな私が学園でやる事といえば、そう!ソードマスター中村主水のように
法で裁けぬ悪を、人知れず裁くこと!

ですので「お掃除同好会」というクラブに入りました。
この同好会は……まぁ言うまでもないですよね

ですが、隠れ蓑的なクラブも必要かと思いまして
掛け持ちすることにしました。
新選組のような「巡回班」でもよかったのですが
それではお掃除同好会へ入った意味がありませんからね。
それに入部試験に落ちてしまいましたし……
「確かに強いが、君のそれは武道ではない」
って言われてしまいましたし……

ですので「学園銃士隊」というクラブへ入りました。
最初は巡回班の代わりでしかありませんでしたが
今では私の一番のお気に入りのクラブです。

「銃士」が何かは日本でも有名な「三銃士」を連想していただければよいかと。

其処へお掃除研からのヘルパーとして
出向の話があったときには、
悪人の情報が手に入りやくなるメリットもあって
二つ返事でこの話を受けました。

つまりメイドとして銃士隊に所属ということになったのです。

最初は、銃士隊というものを舐めていました。
マスケット銃、いわば旧時代の銃を使い
馬に乗って移動する。
そう聞いていたからです。
でも、実際は現代銃器を使い高度に訓練され組織的なクラブでした。

一部銃士においては私よりも銃の扱いに優れた学生がいたりと
驚かされることも多く、そして巡回班よりも男子率が低いのが
巡回班よりも気に入ってる点ですね。

そして、私と彼女が出会った場所でもあるからです。

彼女というのは
エステル・宮里=アーレンベルク

この島の名家の一人娘で銃士隊に所属しTVキャスターもこなす才女です。
まぁ最初は変な奴位にしか思ってなかったんですけどね。

気が付けば、彼女を目で追っていました。
まさか私が誰かを好きになることがあるなんて
そしてそれが女性だなんて
夢にも思っていませんでした。

一般的には同性愛というのは忌避されるもの
世論の中には認めろとか騒ぐ連中がいるのは知っています
人として愛を貫くのは正しいことだと思います
けれど、生物としては間違っていると思っています。
こういった矛盾を私自身が抱えている中で
彼女を巻き込むのはどうなのか?
彼女が答えてくれるほしょうなんてありはしないけど
もし……もし彼女が、私の思いにこたえてくれたなら?
きっとそれは幸せなことだと思う反面
いばらの道だとも思います。
彼女を巻き込んでいいのか……
そんな苦悩を抱いてどれくらいの時間がたったでしょう
日に日に、私の中で彼女の存在が大きくなっていきました。
彼女がパトロールに出れば、ついて行きたいと思いにかられ
でも、メイドとして所属する私はついて行くことを許されません。
せめて、彼女が帰ってきたら気持ちよく休めるように
部屋を整え、香を焚き、食事と風呂を用意する、そして笑顔で迎える

彼女がHBC―つまりテレビやラジオで仕事をする際には
付き人のような事もしました。
彼女に言い寄る男も多く
悪い男に引っかからないかと心配だったから

そうやって、同じ時間を過ごすことが多くなって
いつしか彼女の視線にも熱がこもっているのに気が付きました。

けれど、彼女が慈悲深いことをいいことに付け込んで
いつの間にやら居候まで決め込む男がいて
この男にも、同じような視線を向けていることに気が付きました。
私が長い長い時間をかけて彼女の信頼を築きあげたというのに
ようやく気持ちが通じるようになったというのに
何度か一緒に仕事をしただけの男が、まるで幅跳びでもするかのように
距離を詰めてきたのです。
しかもです、その男は一度もそんなそぶりを見せていなかったにもかかわらず……

もし、彼女が―エスティがその男へだけに思いを寄せていたなら
そしてその男が立派な男だったら、私は身を引いたかもしれません。

でも、飲んだくれて巡回班所属のくせに汚職に染まって
お世辞にも立派だとは言えません。
こんな男にエスティを幸せにできるはずがありません。
でも、だからって、私ができるのかといえば……。

そうやって、ただ時間だけが過ぎていきました。
エスティと私と、あいつで色々と仕事をすることが増えていき
私はあいつについて見た目以上の事を知りました。
マザコン。年上趣味、意思決定を他人に任す意志薄弱っぷり
何より許せないのは
エスティに気がある風を装って
エスティの母上までもその毒牙にかけようと狙っていることです!
もし、母上が未亡人であるならば100歩譲って許したかもしれません
しかし、父上はご存命であられますし
なにより母娘を……ありえません。
控えめに言って最低です。

そこから、私はあいつを排除しようと色々と策を練りましたが、どれも失敗。
ことごとく裏目に出てついには、エスティとあいつの距離は縮まる始末
そしてついにあの○○野郎は
私にまで色目を使うようになって来たのです。

エスティは私を大事に思ってくれている……自信はありませんが……
その私が、目の前であの男に襲われたら……きっとエスティも目を覚ますでしょう。
なにも、脱いで誘惑しようというわけではありません。
どうやら、私の首筋があいつにとって魅力的に見えるようです。
なら髪をかき上げたりでもすれば、きっと……

結果を言えば、ダメでした。
目の前で私があいつに襲われて泣き崩れているのに

「左門もフレイヤさんのこと好きなんだね。安心した♪ 」

彼女はこう言い放ったのです。
襲われた女を前にしていうことがこれとは……
そして、小さな事ですがあいつの事は呼び捨て、私の事は「さん」付け……
……もう、分からなくなりました。
そこから暫くは、何があったのか覚えていません。
ずっと、あいつを○す方法を考えていたようにも思いますし
ずっと、私自身を○す方法を考えていたかもしれません……

気が付けばジャングルの中を走っていました。
もう、どうでもよかったのかもしれません。
走って走って走って、もう一歩も動けなくなって
私の中にある不安や憤りや焦りや嫉妬がこの身を焦がし
目の前の崖から身を投げてしまおうか、喋る恐竜に食われてしまおうかと
そんな思いが頭をよぎったとき
一緒に行動していた宴夜というヤクザが、これらを一言で吹き飛ばしてくれました。

『恋愛ってのは喰うか食われるか、押し倒すか押し倒されるか』

さすがヤクザです、押し倒すとか……公安は速く逮捕すべきだと思います……
しかし、この言葉を言葉通りではなく
「行動するかしないか」と解釈したとき、私の心にストンを当てはまったのです。

振り返れば……気持ちをちゃんと伝えていなかったように思います。
通じ合ってる……そう思っていましたし
なによいりはっきりと拒否されるのが恐かったのです。

きっとエスティはあいつの事を本当に愛しているのでしょう。
ただそこにいるだけの男を、愛をささやいたわけでもない男の事を
こころから大事だなんて、普通は言えないでしょう?

私の事は……私が押すから受けてくれているのだと思います。
エスティは私の事も大事だと言ってくれます。
同じように大事だと
あの人の言葉を信じたい、でも……エスティは私を求めていない……
どうしても、どうやっても、そのことが頭から離れなかった私は
宴夜の言葉をきっかけに、
いっそ押し倒すくらいの気持ちでぶつかってみようと
だから

「結婚しましょう!ちゃんと夫婦になりたいです!」って……

今思えば何言ってるんだって話ですよね。
説明させてください……
押し倒すのはさすがにまずいと思うのです、そういうのは結婚してからでしょう?
だから、いっそ結婚しようと……
それでもおかしいのはわかってるんです。
でも、私だって訳が分からくなることぐらいあるんです。

出た言葉をひっこめることはできません。
この瞬間『ああ……終った……』と思いました。
でも彼女はこういったんです。

『わかった』

私は一気に幸せの絶頂……とは行きませんでした。
彼女の事です。
結婚をままごとのようにとらえてるかもしれません。
朝起きて、ご飯を食べて仕事して、
帰ってきたらご飯を食べてお風呂に入って寝る
これくらいの事しか考えてないんじゃないかと……

だから、不安になって聞いてみたんです。

「結婚って性愛研みたいなことをするんですよ?」

彼女は答えないまま、
手の甲へキスしてくれました……
皆さんご存知ですか?
手の甲へのキスは「尊敬」とかそういうのです。
もし、掌でしたら「求婚」とか……

エスティからしてくれた、初めてのキスでしたので
舞い上がってしまいましたが、思えばそういうことなんですよね……

もしかしたら、意味を知らなかった可能性もありますが……
彼女が知らないなんてことがあるでしょうか?

でもこの後
「僕は二人とも心の底から愛してる」と言ってくれたのです。

こんなこと言われたら、もう何も言えないじゃないですか。
そりゃもちろん嬉しいですよ。
その日は寝るまで身体が宙に浮いてるような
幸せな気分に浸れましたね。

後になって思えば、
やっぱりここでもあの男とセットでなんですけどね。
不満なのかって?
そりゃぁもう!不満しかないでしょう!
ただそこにいるだけで、エスティに愛してもらえるんですよ!
そのうえエスティの母上まで!

おかしくなってしまいそうです……

話を戻しましょう。
その日の夜は
ジャングルの中で野営です。
テントはヤクザとあいつが、エスティと私が2人で1つ
もう一人の同行者の熊野清女がひとりで使うことになりました。
清女は背も大きいので……

宇津帆島の南部密林と呼ばれるこのジャングルは
アマゾネスから恐竜やファンタジーやらSFやらの
モンスターが出ることで知られています。
なので、交代で見張りをするのです。
ですから、それぞれのテントを決めた時に
宴夜がサムズアップしてきたとしても
どうにかできる状況ではないのです。

その夜はお互いに手を繋いだまま寝るにとどまりました。

……嘘です。

音を気にしながら、テントの外の気配を気にしながら
唇を、どちらからともなく求めました。
お互いの息遣い、衣擦れの音、そして互いの名前を呼ぶ声
それだけが世界に満ちているような……
彼女の唇が私の唇に触れる
たったそれだけで電気が走ったように頭の芯が痺れる
舌と舌が触れ合う
お互いの舌を絡め
唇の奥へ誘う
全身へ喜びが駆け巡って……

さすがにそれ以上は……
ジャングルで汗かいてお風呂も入ってませんしね。
でも、この夜の事は一生忘れないでしょう。
私にとって、思い出したくない記憶を除けば
こんなふうに唇を重ねたことは初めてです。

こうやって眠りについたとき
不思議な夢を見ました。
かわいらしい赤ちゃんの夢です。
私とエスティは女同士なので
子供はできません。
けれど、ただの夢とは思えない感じがしたのです。
赤ん坊を抱きかかえたときに感じた
私中へ宿るような感覚……

普通なら、子供なんてできませんが
この感覚が残ってる間なら
出来そうな気がするんです。

だから、ね?

っておもってたら、エスティの実家で事件が発生!
エスティが増えるし、家は爆破されるし……
あ、爆破したのは私なんですが……

こんなこともあって
私はもう、エスティには合わせてもらえないんじゃないかと思うんです。
彼女の家は名家で
爆破してしまったのは歴史ある家屋で
しかも、御父上の大切な大切な書斎……
血の気が引きました
『今度こそ終わった』と思いました。
エスティに会えなくなる。
でも、エスティにはあいつがいる。
ただそばに居ただけで愛してしまうほどの男がいるなら
まとわりつく私がいなくてもきっとやっていけるでしょう……

でも、できればそうなりたくない。
エスティとずっと一緒に居たい。
もっとエスティとキスしたい、もっとそれ以上の事もしたい。
休日には手を繋いでデートしたい!
本土のテーマパークへいったり
温泉へ行ったり、美味しものを食べて、映画を見たり、買い物したり
同じものを見て笑い、同じものを見て涙を流して
感動を、思い出を共有したい……
終生を共にしたい
嫌だ、離れたくない!
離れたくない!!

翌日。
書斎は倒壊しましたが
屋敷のほとんどは無事です。
住み込みでメイドをしている私には、沢山やる事があります。
エスティ専属のメイドと表現するほうが近いですが……
私は、エスティから引き離されてしまうんじゃないかという思いで
仕事が手につきませんでした。
お屋敷の使用人の皆さんは
そんな私をやさしく慰めてくださいました。
でも、不安はぬぐえません。
お母さまから漂う、尋常ではない雰囲気
私はあれと同じものをかつての職場で感じたことがあります。
厳格で苛烈、敵には容赦しないというまるで前線の兵士のような……

そんななか、事件から数日が過ぎたころ
エスティが珍しくワインを飲みたいとおっしゃるので
ワインセラーから適当なものを用意いたしました。
夜も遅く、私も一通りの仕事を終えて入浴後の事でした。

ノックをするとなにやら慌てたような声で「どーぞ」と返答がありました。

中へ入ると水差しの水をこぼしてしまったらしくテーブルが濡れていました。
私はワインをテーブルに置いた後、こぼれた水を拭き
近くに中身のない薬包紙があったので合わせて片づけました。
なぜこんなものがあるのか不思議ではありましたけど……

エスティの部屋へ入るのは、なんだか久しぶりのような気がします。
専属メイドとはいえあの事件の後、万一の事を考えて
他の使用人へ引継ぎをし実質的にエスティを避ける形となっていました。
同じ屋敷にいるのに、会話自体が数日ぶり。
なんだか気恥ずかしい感じがします。

エスティはベットに座っていて、うつむいていました。
私はワインを置いて辞去しようとすると

「まっ……まって! ……話がしたいんだ」

彼女の声を聴くだけで、私の心は潤いを得たように感じます。
それが、愛の言葉だったらどれほどいいことか……

私は立ち止まり扉の前で振り返り俯いたまま 次の言葉を待つ。

「え……えっと……最近どう?どうしてた?」
「お屋敷のお仕事をしておりました、特に変わったことはありません」

努めて冷静に……、私はきっとこの屋敷を追い出されるのだ
エスティにはあいつがいる……私は……わたしは……
冷静に、冷静に……

「えっと……そう先日、左門がね将来貿易商をやりたいって!それが夢だっ……て……」
「……」私は努めて冷静に……
「露子がね、新メニューを鉄華と一緒に作ったんだって!今度一緒に食べに行こうよ!」
「遠慮させていただきます」彼女を見ないように
「てるみんがね、2か月も宴夜と一緒に住んでるのに何もないって愚痴をこぼしてたよ」
「私は、貴方と2年ほど一緒に住んでますが?」こんなことを言いたいわけじゃないのに・・・
「そ……そうだね……」
「……ご用件は以上でしょうか?以上でしたらこれで」
「まって!」腕をつかまれ振り向かされる

いけない、今の私は……

「フレイヤ!どうして僕を見てくれないんだ!」

彼女は私の頬へ手を添え、視線を合わさせる。
ああ……見られたくなかったな……

「フレイヤ……どうして泣いてるの?」

やさしく涙をぬぐってくれる、エスティの手……
その手が愛おしくて……
彼女のやさしさが嬉しくて……
失いたくなくて……
「愛しているから」そう答えた。
「分からないよ……何で泣いているのか」困惑した表情で彼女は言う
私は彼女に抱き寄せられやさしく包まれている
ああ、このままずっとこうしていられればいいのに…

彼女の手が私の髪をなでる
気持ちいい。ほっとする。
彼女の私を抱く手に力が入る
すこし苦しいけれど、彼女に包まれていると思うと其れすらも心地いい
「サー・エステル わたくしもう戻りませんと……」彼女を押しのけようとする
彼女は無言のまま私を離さない。

胸が高鳴る
あの日、唇を重ねたことを思い出す。
全身に彼女への思いが満ちていく
せっかく抑えていたのに
別れが辛くならない様にと
其れなのに、唇が重なる。
お互いの唇が、愛する人を求めて湿り気を帯びていく。
彼女の指が私の髪を弄ぶ
私の指が彼女の頬をなでる
指が 唇に触れる その指をくわて舌を這わす
熱を帯びた視線が絡み合う
重なる唇 抱きしめる手はお互いを求めて邪魔な物を剝ぎ取っていく
どちらからというのでもなく
2人はベットへ
私はエスティを見上げている
彼女がその服を脱いだ時、私の眼にはないはずのものが映る
引き起こされるフラッシュバック、併発する過呼吸
声にならない声 不自然な呼吸音
「フレイヤ!」私を呼ぶ声が聞こえる
思い出したくない過去がよみがえる

時間にして1分も経ってないと思う

「フレイヤ!だいじょうぶかい!いったいどうして……」

思い出さないようにしていた辛い過去

「エステル・・その、股間のものは?」
「椿に頼んでいた薬が出来たんだよ!それよりだいじょうぶかい?」

そこには立派な男性器がついていた…
何を言ってるかわからないけど、私にもわからない……

「え?と……?」
「椿の薬のおかげで両性具有になったんだよ!これで、フレイヤとも一つになれるよ!」

彼女は私を心配しつつも、私が喜ぶだろうと期待している様子だった。
私は彼女に話していない過去がある。
彼女がここまでしてくれているのだから、わたしはすべてを受け入れたい。
けれど、越えなければいけない壁が私の中にはある。

「エスティ、さっきはごめんなさい」
「ううん、だいじょうぶだよ。フレイヤこそだいじょうぶ?」
「話しておかないといけないことがあります……」

お互いにほぼ全裸だけど
ベットの上で向かい合って正座して
私の過去を話す
それは……戦場へ出たこと、捕虜になったことがある事、敵はジュネーブ条約を守らない連中だったこと。
つまり、私は乙女でもなければ清らかでもない。
救助されるまでの2か月間、昼夜を問わず敵の慰み者だったのだ
当然、妊娠だってするが救助されたときに堕胎した。
そんな女なのだ。
エスティの股間のもので過去を思い出してしまったけれど……
エスティのエスティは受け入れたい
だから、もう大丈夫
私は大丈夫

「エスティ、私の事を嫌いになりましたか?」

涙を流すエスティに私は
「私のために泣いてくれるのですか?」
「フレイヤ……フレイヤ……」
「こんな私でも、愛してくれますか?」
「ああ・・愛してるよフレイヤ!愛してる!僕が守るよ!ずっとずっと!」

それから私たちは再び唇を重ね
抱きしめあいました
唇を這わせ首筋から鎖骨、そして胸へ
2人の豊かな胸は抱きしめあうことで形を変えその先端を触れさせあい求めあう
私はエスティのに両手を添えてやさしく指を這わす
エスティのを刺激しながら彼女の喜ぶ様を見る
かわいいと思う、普段は凛としてカッコいい彼女が
私にだけ見せる姿。
何よりも愛おしく感じる。
あれだけ見たくなかったものを今目の前にして
恐怖はもうない
ただ、愛しい人のだと、愛しい人なのだと思う。
私は唇を這わし、舌を這わし、口の中で弄ぶ。

いろんな方法でお互いを求めた。何度も何度も
指で、舌で
あとは……

そう、夢で見た――赤ちゃんができる夢――あれが正夢だったら
これで私は妊娠するだろう。
そうあってほしいと願う。
重なりながらこんなことを言うのは卑怯かもしれない
けれど、聞いておかなくては。

「もし、赤ちゃんできたら一緒に育ててくれますか?」
「もちろんだよ!僕の子供を産んでほしい!」
「エスティ!エスティ!」

朝まで何度も求めあって
わたしも、エスティもそのまま寝てしまいました。

翌朝というよりはもうお昼過ぎですが
ふと人の気配に目が覚めました。
そこには、お屋敷の使用人が立っていて
「エステル様、フレイヤお嬢様、すでに昼食の時間を過ぎております」と
私とエスティは、裸のまま抱き合って寝ていた
結局、遅い昼食を撮り終えるころにはお屋敷中で知らない者はいない状態でした。

しかし、問題はそこではありませんでした。
薬で生えたエスティのがそのままなのです。
もちろん、触れば大きくなりますし、
出るものも出ますし、
すれば小さくもなるのですが、生えたままなのです。

エスティは椿の薬と言っていましたが、実際には椿の知人の知人...つまり他人が作成したとのことでした。
椿を通して開発者に確認したところ「両性具有になる薬」は一時的なものではなく
恒久的なものだということでした。
しかも、薬以外の力も働いているようで調べたところ
私に「育」という応石が宿っているということでした。
「育」は傷をいやしたり成長を促進する力があるそうで
私の胎に宿っていた「育」とエスティのが接触したことで
エスティのが肉体的に本物として育ったのではないかと
検査結果が出ていました。
当のエスティはといえば、あっけらかんとしたもので
「これで毎回薬を飲む必要はなくなるね!」
元気には見えますが、何も思うところはないなんてことはないと思います。
私がしっかり傍についていて上げなくては……

お母さまも、驚かれていましたが
「娘が判断したことですし、ある意味丸く収まっているのならよしとしましょう」と
とても器の大きいところをみせておられました。
それに、こうなったからといって誰に吹聴する必要もなく
私だけが知ってばいい話です。

ああ、あいつはなんていうでしょうね?
私はもとよりエスティを愛しています。
同性でも異性でも、それがエスティなら。

マザコンで年上趣味で意思決定を他人に任す意志薄弱なあいつは
どう思うのでしょうか。
わたしなら、エスティのすべてを受け止められる
私の身も心もエスティのもの
あの男は自分と同じものが付いたエスティの事を
それでも好きというのでしょうか?
いままで一度も愛をささやいたことのないあの男が。

開発者は元へ戻る方法を探してくれるといいますが
私は望んでいません。
エスティもこのままでいいと言っています。
ただそれは強がりなのかもしれませんが。

イイでしょう それなら心からあったほうがいいと思うまで愛してあげますよ

エスティ私の最愛の人。
貴方の人生が終わるその瞬間まで
私は影になり日向になり貴方を支えましょう。

追記:
エスティはあの後すっかり私になついてくれました。
私の中である程度余裕ができたので、エスティに提案をすることにしました。
「私が正妻で、左門が妾ならいいですよ。あいつが今後もあなたの事を愛していくというなら」
エスティからあいつを奪ってしまう忍びない。
けれど、あいつをそのまま受け入れることはやっぱり難しい、
だから、これは私の妥協点。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2022年10月19日 18:12