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ジャンの料理(鉄鍋のジャン!)

登録日:2026/09/07 Mon 21:58:06
更新日:2026/09/08 Tue 00:34:46NEW!
所要時間:約70分で読めます



本項目では漫画『鉄鍋のジャン!』(以下「無印」)および続編『鉄鍋のジャン!R頂上作戦』(以下「R」)の主人公・秋山醤(以下「ジャン」)が作中で手掛けた料理について解説する。


◆概要

主人公・ジャンの専門は中華料理であり、劇中で披露されるものも多くはそれに準じている。
しかし作中で「秋山の魔法」と称される通り、祖父・階一郎に仕込まれた技術と知識、発想力によって既存の枠組みに当てはまらないような独自のセンスの料理を次々と生み出していった。
もちろん中には漫画的な誇張が幾分入ったものも多いのだが、無印~Rまでの料理監修として入った料理研究家の故・おやまけいこ氏の存在もあり、伝統的な調理法から当時の最新鋭まで取り入れた料理の数々は非常にリアリティがあって完成度が高いものとなっており、本シリーズの人気に一役買っていることは間違いない。

本人の「料理は勝負」という信条もあり、中には「大会という場を活かして確実に相手を打ち負かすことだけ考えた料理」「審査員が一見して嫌悪感を示す食材や調理法で極上の料理」というようなキワモノ・ゲテモノも多数。
とはいえ本人の料理に対する姿勢は至って真剣そのものであり、単純に奇をてらうだけの料理はほとんどなく、劇中でも審査員(主に大谷)が最初こそ嫌悪感や不快感を示すもののいざ食べるとその魅力にとりつかれる……という様子を幾度も見せていた。
中には奇想天外すぎて食べるまで味の想像すらつかず、審査員も観客も全員がその調理工程に釘付けになっていて他の対戦相手をろくに見てなかったというものまで。

また、既存の枠組みを超える料理を作る一環で中華以外の技法を活用することも多い*1のだが、多くの調理法の基本は中華料理に忠実。
そのこともあってか現実に再現しやすい料理も多く、各種コラボで再現メニューの提供やイメージしたレシピの公開などが行われている(後述)。

◆無印


●五番町飯店編

作中でジャンが最初に披露した料理で、米と干し貝柱の出汁を染み込ませた豆腐を使い、錦糸卵と紅生姜をのせた炒飯。
二つのフライパンでジャッグルして*2豆腐の多すぎる水分を飛ばすことで「豆腐と炒飯」という有り得ない組み合わせを実現し、パリッとした揚げ豆腐の食感と干し貝柱の旨味が楽しめる海鮮風炒飯に仕上がっている。
ダシに使った干し貝柱はスープとなり、揚げた豆腐をクルトンとして浮かせて無駄も無い。
確かな腕前があって初めて作れる炒飯であり、ジャン曰く「ここまでやるのが「料理」」
作中でも望月が作ったあまりにもいい加減すぎてクソミソにけなされた炒飯よりずっと美味いと評された。


  • 芹菜爆肝(チンツァイバオカン)(豚レバーとセロリの強火炒め)*3
五番町飯店で働き出した時の夜のまかないで作った料理。
豚レバーを牛乳に漬け込んで臭み抜きをし、*4ウォッカを使って大火力でセロリと一緒に炒めた料理。
臭み抜きに牛乳を使ったことで、成熟した豚の内臓の濃厚な風味はそのままに、まろやかな深みを出した一品。

昼のまかないを作った霧子の間違い*5と、牛乳に漬けるというフレンチの臭み抜き法をやってみせて作った料理だったのだが、霧子は「あたしのを食べた後だから美味いと感じるようにギリギリまで濃厚な味付けをしてる料理」猛反発
この時点では(言い方こそは上から目線だったが)親切心(かなぁ?)から指摘してやったつもりだったジャンは霧子の文句に「料理は勝負だ!勝てばいいんだ!」と口ゲンカに発展。
ジャンと霧子の痴話喧嘩因縁が幕を開ける事になった。

なお、後にサメ肉料理の課題で霧子は牛乳でサメ肉の臭み抜きをしており、この件から何も学ばなかったという訳では無い事がうかがえる。望月とはココが違う。たとえ敵視してる相手でも有益な情報は鹵獲すべきといういい見本である。


大谷日堂との初遭遇で作った料理。
卵とガラスープ、エバミルクに加え、軽く茹でて裏ごしした羊の脳みそを混ぜて蒸した脳料理
仕上げに清湯スープを1cm張り、香草のタイムと香菜(シャンツァイ)*6を上に乗せて完成。
茶碗蒸しの出来は言わずもかな完璧。加えて茶碗蒸し内に仕込んだ羊の脳みそが豊かなコクを与えている。

脳みそを茶碗蒸しの隠し味として扱う常識外れの発想から、大谷も料理のタネを見抜けず、あまりの旨さに我を忘れてあっという間に完食してアヘ顔になるという赤っ恥を晒し、さらに名前を聞いたことで誰の身内か察し、以後大谷とジャンの因縁が幕を開ける。


弥一から鍋を任されたジャンが作った宴会用の料理。そして大失敗作
50人前という大量の料理を作るにあたって「5人前が10倍になっただけ」と考え、鶏ガラスープを10倍入れてしまったのが失敗の原因。
味見をした結果、自分の思い通りになっていなかったことに気が付き何とか調整しようとするが最早どうにもならず、しびれを切らした弥一が味見してヘマが露見し、ジャンを叱責した。
ここまで高慢ちきだったジャンはその鼻っ柱をへし折られることとなり、一人密かに涙。他従業員もここぞとばかりに「ちったァいい薬になったんじゃねえの?」「ジジイと一対一(マンツーマン)でやっていたから大量に作る宴会料理は学んでなかったんだろうよ」と溜飲を下げていた。
しかしその後、慰めに来た小此木の言葉で「大量の野菜を炒める時には大量の水が出るから鶏ガラスープは少なくすべきだった*7」ということに気が付き、失敗を克服したのだった。
高慢ちきなのは変わらないけどね。というか同僚連中もこんなたった一回の失敗でここぞとばかりに叩く精神性だから、あっさりまた返り咲かれて恥をかく羽目になるのである。
この一件から小此木と親しくなり、それまで「秋山クン」と呼んでいた小此木も「ジャン」に呼び方を変えることになった*8

なお失敗の克服の際に小此木に改めて作った青椒牛肉絲を振る舞っているが、原作では大量に作っていることはわかるが実際に食べられたのは小此木の一人前しか描写されなかったところ、アニメではその際の会話からきっちり50人前を改めて作り、それを「食べられるよ、秋山の料理ならな」と小此木と分けて食べたことが示された。そんな説明で食べきれるのか? あと店の在庫的にもいいのか?

これとは別に、「まかない」の作り方の基本が全然わからない小此木に料理指導を行う際にも同じ料理を選んでいる。
ジャンにとっては「小此木との友情を象徴する料理」なのかもしれない。
蟇目がこれを小此木に吐きかけ暴力を振るった際にも「それを教えたのはオレだから文句はオレに言え(要約)」と庇いに出た。


  • 母子焗鵪鶉(ムズジュイアンチュン)(ウズラと老鶏の富貴鶏*9*10
小此木との連休のキャンプで作ったアウトドア料理。
食材探しの際に捕まえたウズラ数羽と山菜、小此木が持参したレトルト食品のお赤飯やハムを小此木が捕まえた巨大な老鶏*11の腹の中に詰めて、富貴鶏の要領で土の中で蒸し焼いた料理。

ウズラとお赤飯いっぱいに老鶏のダシがたっぷり染み込み、山菜が爽やかに後味を引き立ててる。まさに狙ってはできないアウトドアだからこその料理。
霧子ともこういう経験してれば、多少は関係が良くなってたんじゃないかなぁ……。

なお、作中でも但し書きが入っているが、ジャンはウズラを狩猟期間外に捕獲しておりれっきとした違法行為である
また連載当時のウズラは数に制限こそあったものの狩猟可能な鳥だったのだが、その後2013年に狩猟鳥獣から除外され、現在では野生のウズラの捕獲は完全に違法となっている
そのためアニメ版では内容を原作そのままに放送しつつも、テロップで現在ではウズラを捕獲することはできない旨が記された。


  • 竹葉牛柳(ツーイエニューリュー)(牛ヒレ肉の竹の葉包み焼き)(アニメ版では竹葉包牛里脊(ジュウイエバオニウリージー)
尾藤リュウジとの「XO醤対決」で作った料理。
端的に言えば中華風シャリアピンステーキ。
肉の旨味を増幅させる油葱紅酥(ユーチョンホンスー)*12をブレンドした肉用オリジナルXO醬をソースとして用いている。*13

竹の葉で包んでオーブン焼きしており、竹の葉と玉ねぎの香りで食欲を高め、下処理の段階で牛ヒレ肉を玉ねぎのすりおろしに漬けることで極上の柔らかさを実現した料理。意外と作り方自体はシンプル。

極上のXO醤を使った「だけ」の尾藤に対し、素材に合ったXO醤を使いこなした差でジャンの圧勝となった。*14

ちなみにシャリアピンステーキとは、玉ねぎのみじん切りに漬け込んだ牛ヒレ肉のステーキの事。
1936年に来日したシャリアピンというオペラ歌手が、滞在先の帝国ホテルで「入れ歯の具合が悪いので柔らかいステーキを食べさせてほしい」とリクエストして誕生したと言われている。
意外かもしれないが日本オリジナル料理である。

また「玉ねぎを使うと肉が柔らかくなる」という点は、連載当時は「玉ねぎの酵素が肉を柔らかくする作用を持つ」という説が一般的に知られており、本作でも弥一はそのように解説していた。
しかし研究により「玉ねぎにそうした酵素があるのは事実だが、通常の調理工程では活性化条件を満たすことはまずない」ことが判明している。
そのためアニメでは弥一の台詞が放映当時に主流な説である「玉ねぎの糖分がそうした作用を持つ」というものに変更され、ナレーションによりその点の差異について補足するという形で説明された。


●第1回全日本若手中華料理人選手権編

予選の「スープ料理」の課題で製作した料理。ジャンの公式戦での初料理と言える。
モエギタケの一種とフウセンタケの一種を独自のバランスで煮込んだスープ。
味そのものは「まあまあ」と10点満点で5~7点の普通程度のスープ*15だったのだが……

実はこの2つのキノコを独自の配合で組み合わせることでマジックマッシュルームのように幻覚興奮成分が発生する
そのため、一度飲むと中毒症状で病みつきになり、スープを飲みたくて堪らなくなる上にトリップした結果まともな思考すらできなくなる。
これにより審査員を狂わせて圧勝とも言える成績を叩き出したが、結果として会場の観客や審査員、参加者から壮絶なヘイトを買い、「毒料理人」のレッテルを貼られてしまった*16
残当。まだ16の少年にそこまでボロクソに言う観客のモラルも最低だが……。
なおキノコはジャンが持ち込んだのではなく、用意された食材に偶然見つけて使ったもの。下手にいちゃもんをつけると運営の不備にもされかねないのが不問の一因かもしれない。
中毒で倒れた審査員は救急搬送されたが、生命に支障が出る量でなかったようで日を跨いだ決勝戦時点では復帰している。

ジャンがこんな手段に打って出た理由は明言されてない。
周辺の料理人はあまりにも腕がショボいのばかりだったのでマトモに相手するほどでもないと思ったのかもしれないが、それ以上に藤田から「爺さんの七光り」扱いされたのに内心カチンときて、その得意分野である「薬膳」に当て付けたものという説が有力*17
他の料理人と比べて藤田の実力は認めている節があるので「この当時のジャンではこんな方法でもしないと勝てないほど藤田が強敵だった」という説もあるとか*18

ちなみに、連載当時はマジックマッシュルームは合法であったが、今ではもちろんアウトである。ぶっちゃけ脱法ドラッグというものである。そりゃ「コンプラドアウト」って言われるわな。
本作には料理監修がついているが、このマジックマッシュルームは作者である西条自身が考えたのだとか。
当たり前だが、作中に登場するキノコおよび配合は架空のものであり、違法性を抜きにしても現実には再現不可能なレシピの一つである。


なおアニメ化に際し後述「米とサーカス」のコラボ企画でメニューの再現自体は行われたが、当然ながらマジックマッシュルームは使われておらず、珍しい種類だが普通の食用キノコを使用したスープとして作られている。
代わりに幻覚作用があると言われるスパイス・ナツメグとアヘンの原料・ケシの実を入れていると解説されているが(もちろん、ナツメグは少量だしケシの実も麻薬成分は失せているので安全)。


  • 太極鍋巴(タイヂイクオパー)おこげの二色あんかけ太極盛り)*19
本選1回戦・対沢田における「牛肉」の課題で作った料理。
ゼラチンたっぷりの固い牛スネ肉を醤油・酒・豆板醤で煮込んだ醤油色の餡と、油通ししたアスパラと細めの千切りにしたニンジン・セロリ・シイタケが入った塩味の白色の餡。
2種類の餡かけを太極マークの形になるようにおこげにかけた地味ながらシンプルな一品。

おこげのパリッとした食感と牛すね肉のこってりとしたゼラチンが良く合っており、さらにそれを塩味の野菜餡かけが爽やかに引き立てる。
肉と野菜の餡かけの旨みがおこげを揚げた香ばしい油の旨味と組み合わさって絶妙な風味を生み出した料理。
ただし見かけは大衆料理でしかなく、隠し味である油の旨味も分かりやすい味わいではないので、最初に最も理解できたのは大谷ただ一人だけ。
「安い材料を手をかけて調理して食材の旨味を何倍にも高める」という中華の真髄を体現した料理であり、当初はイマイチな反応だったが最終的な審査員からの評価は高かった。

終わってみればフィレ・サーロイン等の極上部位を使用し、さらに上記のキノコスープの件を事前のマイクパフォーマンスで非難して会場全体を味方につけた沢田の圧倒的有利を覆し、168対32というとんでもない差*20を付けて圧勝。
予選とは打って変わった正攻法で沢田をねじ伏せたのは、キノコスープの件で霧子にブン殴られたのが響いたのかもしれない*21「勝てないもの(食材)を使って勝つ」というのはいかにもジャンのスタイルらしいけど。
この逆張り意識溢れる反骨心剥き出しのスタンスは以後も度々続き、ジャンの料理の代名詞になっていった。


  • 鳳胎粉絲(フォンタイフェンスー)(若鶏の春雨あん詰め煮)(アニメ版では鳳呑粉絲(フォントゥンフェンスー)
「鶏料理」というお題で作った料理。
袋抜き*22して下味を付けた若鶏丸ごと1匹に、ササミ・干し椎茸・春雨を具にした醤油風味のあんを詰めて蒸し、醤油を塗って乾かした後にキツネ色になるまで高温の油で揚げ、揚げた鶏肉をお湯で余分な油を洗い落として更に1時間煮込んで仕上げた、手間暇かかった料理。
蒸して、揚げて、煮て……とジャンの地味ながらも丁寧かつ迅速で的確な調理技術の積み重ねが光る一品。
なお春雨を具材に選んだのは、対戦相手の河原が高級食材のフカヒレを選んだことに対する単なる対抗意識と当てつけ。

対戦相手の河原の料理と出来はほぼ互角だったが、河原がジャンの口車に乗せられたせいで味を台無しにする大きなヘマを犯した*23結果勝利を収めた。
ただし、このヘマをしてなくとも河原の料理は高級食材が自己主張し合ってる微妙な状態になっていた(それがヘマのせいでバランスが完全に崩れてしまった)との事であり、総合的な出来でどの道ジャンの勝利であったと思われる。
というかメタ的にも相手が機材による半自動調理に頼った料理なので負けようがなかった
ただ、観客席で見ていた弥一は相手がヘマをする前の時点で「互角」と予想していたので、実際のところは不明。
少なくとも劇中では相手の料理は一口だけ食べて残されたというほど崩壊していたことが示されただけで、ジャンの料理の方にはどんな評価がついたのか、試食の様子すら描かれなかった。


  • 密棗园肉燉蓮藕(マッチュウインゴッタンリンガウ)蓮根、ナツメ、龍眼の蒸しスープ)(アニメ版では蜜棗圓肉燉蓮藕(マッジョウユンヨッダンリンガウ)
「蓮根料理」という課題で作った料理。
上記の3食材をザラメと蜂蜜を敷いた品鍋(ヒンコウ)*24に入れて蒸し器で2時間近くじっくり蒸した甘いスープ。広東料理の「糖水(タンスイ)*25にあたる料理。
清々しいさっぱりとした甘さに、爽やかな喉ごしの良さ、蓮根のホクホクとした歯ざわり、ナツメと龍眼のほのかな甘みが楽しめる一品。

実のところ、単純な料理の質という点では対戦相手の料理には及んでいないというのが作中での大勢の評価。
観客席から見ていた対戦相手・大前の父親と、ジャンの料理をこの時はまだきちんと試食した大谷は共に対戦相手の料理の方を上と評している。

とは言っても料理の質が低いわけではない。
ここまでの連続した審査によって満腹が近い審査員にはスープ型の料理は口にしやすく、甘い味も「面白い奇襲」といい意味で意表を突かれたものとして好評だった。
予選のような幻覚作用はないのに、味を見極める為の追加とかでなく純粋におかわりを求めた審査員まで出てきたほど。料理大会の審査でそういうことすんなよ。
これを見て、小此木は今回の魔法は「甘いスープで審査員を驚かす」というものだと解釈したが……



  • 川貝蒸梨(ツヮンベツォンリ)(蒸しのデザート)*29
上記の蓮根勝負後での揉め事でキリコにも風邪を引かせたことへの詫びで作った料理。
解熱効果のある梨の中心をくり抜いて、咳止めの効能がある川貝母(センバイモ)*30と気管を癒す効能がある氷砂糖を入れて蒸したシンプルなデザート。暖かいドクダミ茶もセット。
「おまえが決勝戦で負けてもカゼを口実にしてほしくないだけ」とは本人の談。


  • 刀削麺(ダオシャオミェン)
決勝戦前半戦の「麺料理」の課題で作った料理。ジャンのオリジナルではなく実在する料理。
うどんきしめんの中間に近い、中国を代表する麺料理のひとつで、小麦粉と水だけで作った生地をステンレスの棒に巻きつけ専用の刃で削り出していくことで完成する。
麺の断面は厚いところと薄いところがある独特な形になり、厚い部分はコシが強く薄い部分ではタレやスープが程よく絡まり、塩もかんすい*31も使わないため小麦粉の甘さと旨味を最大限に楽しめる。
シンプル故に難易度はかなり高く、階一郎もこれを作るコツをジャンに教えた際は折檻抜きだった上、「体で覚えるしかないんだ」「ワシが殴っても教えることはできん技」とぶっちゃけたほど。
麺の削り出しにおいても、「周囲を囲むように鍋を配置してグルグル回転しながら高速で麺を削って綺麗に鍋目掛けて正確に麺を削り飛ばす」という曲芸じみたインパクト抜群の調理法『回転高速刀削麺』を用いた。

曲芸同然の麺の削り出しだが生地の練り具合、削られた麺の太さと長さの均一性、コシの強さは当然の如く完璧。
タレは
  1. 鶏とカニエビの塩味の海鮮あん「三鮮滷(サンシエンルウ)
  2. 醤油味の豚のあん「肉片滷(ローピエンルウ)
  3. 甜麺醤入りの味噌あん「炸醤(ジャージャン)
の三種類を用意したが、特にジャンのオススメの食べ方は山西省の黒酢だけをかけた刀削麺で、黒酢はジャン曰く「秋山秘伝の百年(ビンテージ)もの」
黒酢によって純粋に小麦粉の旨味と甘味だけを存分に楽しむことができ、その深いコクとまろやかな酸味と芳醇な香りは、一人の在日中国人の特別審査員が故郷の光景を思い出して感動の涙を流したほど。


連載当時は日本では出す店はほとんどなかったが、現在ではだいぶ店も多くなり、令和の時代では冷凍食品まで登場している。アキバでも食べられるぞ!
アニメでは当時の刀削麺の事情に触れつつ、該当ページを引用しながら「当時の日本ではあまり知られなかったこの料理を、いち早く連載に取り入れた原作の先見性にも注目されたい」とナレーションで原作漫画を改めて賞賛した。「原作愛」ってそういう意味だっけ?


  • 鴿子型酥皮包戯蛋(ゴオズリエンスウピイパウヘイタン)(鳩型パイケース入りビックリ卵)
教えてやるぜ!
素材を見ても作り方を見ても味が予測出来ない料理こそ最高だって事をな!!!

決勝戦後半戦の「デザート」の課題で作った料理。
前述の刀削麺で「技術のみで独創性が無い」の評価にブチ切れてシャワールームも自分の身体も血まみれボロボロになるまで暴れた末の閃きで作った、鳩の生き血を使った超前衛的デザート。

大量の乳鴿(ルウゴウ)(若鳩)から搾った新鮮な生き血に生クリーム、砂糖、コーンスターチ、玫瑰露酒(メイクイルーチュウ)*34を加えて鳩の卵の殻に入れて蒸し上げて固め、コーンスターチを衣にして揚げる。
最後に揚がったモノにココナッツパウダー抹茶真珠粉*35血燕(シェイェン)*36をまぶして完成。
完成した物は鳩の形をした蓋付きのパイケースに入れられ、視覚的な期待値と楽しみを倍増させる。
柔らかめのグミキャンディーのようなクニュクニュムッチリとした食感、ルビーのように半透明で紅く美しい断面が特徴。

材料の血が新鮮だったことに加えて生クリームと玫瑰露酒を混ぜた結果生臭さはゼロ。そして薔薇と血の複雑な香り、舌をとろかすまろやかな甘さと既存の血の料理を超えた鮮烈な血の味を味わうことができる。
卵に塗された4種の粉もそれぞれほんのりとした甘味を持ち、どれも血の卵の味を絶妙に引き立てる働きを担う。
「素材を見ても作り方を見ても味が予測できない料理こそが最高」というジャンのコンセプト通り、審査員達をして「言葉では言い表せない未知の旨さ」「麺料理の失敗を補っても余りある」と言わしめた逸品。
血のデザートという弥一でも初耳の料理は、いくら過程が進んで完成した段階になっても味の予想がつかず、会場の注目と意識は全てジャンに向けられ、他二人はいたたまれない雰囲気の中で料理をすることとなった。
しかも、ただでさえモラルの悪いクソ観客が一時期暴徒化しかけた上、大会終了後はどんな味なのか知りたくて仕方がない観客たちが野良の鳩を捕まえようと*37躍起になる事態に。

ちなみに、血の味はきちんとするとの事だが、実際の所基本的な甘味の正体は生クリーム・砂糖・玫瑰露酒だけに過ぎない。
他にも特段珍しいものは真珠の粉と血燕ぐらいである。
それがハトの血と組み合わさるだけで大谷にモノローグで「深紅のバラの何とも言えない血の香り……舌をとろかす高貴な甘さ…これをなんと言えばええんや!?」「これこそ一生涯出会うことのなかった味」と言葉を失わせ(同時にそれを作ったのがよりにもよってジャンだったことから「ヤツは悪魔や!」と驚愕させ)、公の場で審査員としてまともに評論できなくさせたのだから、ジャンの調味料配合が神業であったとしか言えないだろう。

最終的な審査の上では大谷の策略*38によって霧子と10点差の敗北をしているものの、上記の通り審査員・観客たちに与えたインパクトは非常に大きく、欠点も指摘された霧子と比べれば完膚なきまでの圧勝と呼んで差し支えない料理だった。
つまり「試合に負けて勝負に勝った」と言える結末で、決勝前に「負けた方が出ていく」と約束した互いはこの結果故に互いに勝ちを譲らず、結局二人とも五番町飯店に留まっている。


●VS蟇目編、五番町飯店品評会編

  • 柚子橙香肉(チャウチィチャンヒョンヨッ)(ユズとオレンジ風味のシメジ入り酢豚
蟇目との初対決で「酢豚」の課題で右手の指を折られながらも作った料理。
糖醋(タンツウ)*39に果汁100%のオレンジジュースとユズのジャムを使い、ピーマンとシメジを具にして仕上げた酢豚。
ちなみにユズのジャムは、がユズのシャーベットを作ろうとしたものを失敬して貰って砂糖を加えたもの。
楊「ひどい〜(´;ω;`)ブワッ」ジャン「また作れよ」
シメジと隠し味にユズを使った事で、日本人の口によく合う酢豚となった。

対戦相手の蟇目との勝負は引き分けだったが、ジャンが余計に挑発した為に、左腕まで折られてしまった。色んな意味で相手が悪い。

そして実はこの酢豚は、蟇目が中国に修行に出る前に新メニュー候補で作ったものと偶然まるっきり同じものだった。*40
ただしその頃の蟇目は「ユズには牛肉の方がよく合う」として豚肉でなく牛肉を使っていたらしく、当時は中華料理にユズは早すぎるそもそも豚肉使うから酢豚なのに牛肉使ったら酢牛になるとの事で不採用となったらしい。


  • 秋山式蔘鶏湯(サンゲタン)
蟇目との対決で、自分の腕を二度も折った蟇目に報復する為披露した一品。
見た目は普通の参鶏湯だが、実は朝鮮人参とナツメグを独自の配合で組み合わせてスープに大量に仕込んだ料理で、飲むと意識はハイのまま血糖値が急激に低下しぶっ倒れるという毒膳料理。
蟇目をして「どんな割合で混ぜればそうなるのかわからん」とまで言わしめたキワモノ。

なお蟇目側も、阿片(麻薬)の原料であるケシの実の中でも特に強力なモノ*41を隠し味に使った四川麻婆豆腐という劇中でも(後の五行の五行膳並に)トップクラスに倫理的にアウトオブアウトな毒膳料理を振舞った*42ことで両者共に昏倒し、勝負はドローとなった。
ただ、蟇目の料理を食べたジャンはなんとか立ち上がって蟇目を突き飛ばした後に一晩かけてボロボロになりながらも有明から銀座への帰還を果たしたのに対し、蟇目の方は翌朝になっても意識はあるが体が動かず起き上がれない状態だったので、料理の効き目の面ではジャンに軍配が上がったと言えるだろう。いや「料理勝負」ってそういうことじゃないだろ!?

ちなみに、ぶっ倒れた蟇目に対して「一晩そこで寝てろ!カゼ引くなよ」と捨て台詞を残している。優しいんだか優しくないんだか……実際マジで動けなくてぶっ倒れてたわけだが。
余談だがこっそりと大量のナツメグを盛り相手をハイにする展開は平行世界(『鉄牌のジャン』)でも見られる。
というかあちらのジャンがそれを繰り出した相手も立ち位置や経歴的に蟇目ポジションのため、セルフオマージュであろう。


事実上の「春巻対決」となった五番町飯店の新メニューの候補選びで発表。
ベトナム料理から発想を得た料理で、ゼラチン質たっぷりのアヒルの水かきと鶏のトサカをレモングラス、ネギ生姜と一緒に滷水(ルウスイ)*43で煮込んで冷やし固めたものを条切りにし、ミントを中心とした多くの香草と一緒に巻いて揚げた春巻。
熱せられて溶けたゼラチンが漏れないように普通の皮の内側に京都産の生湯葉*44で二重に巻いてある。
独創的で複雑な中身に反して、外見は一般的な春巻と大差ない。

最大の特徴は二重の皮で春巻の中に密封された熱々のゼラチンスープ。
平凡な見た目に騙されて不用意に春巻を噛みしめた者は口の中や唇が比喩抜きに火傷するレベルで煮え滾ったゼラチンスープで焼かれ、火傷でのたうち回るハメになる。
正解の食べ方は春巻を噛んだと同時に一気に飲み込んで、ゼラチンスープは喉と胃で味わうこと。イメージ的には小龍包の春巻バージョンと考えれば分かりやすい。
喉と食道を通って胃袋に降りていくゼラチンの熱を直に楽しみ、口の中に残った滷水の味が染み込んだ水かきとトサカの食感と味わいの2種を楽しめる新感覚の料理。加えて一緒に巻かれた香草の風味が鳥臭さを消し、フレッシュで爽やかな後味を与えてくれる。
食べ方を覚えてしまえば「まさに五臓六腑にしみわたる熱さ」「苦しいほどに心地いい感触」と飯店の皆から好評を得た。
独創性の極みと言えるこの春巻には睦十も驚愕し、意地になって3個いっぺんに放り込んだこともあり、あまりの灼熱感に服を脱いで鍛え上げた肉体まで披露してしまった。

ただし、皮を二重に巻くことから包む手間は二倍、おまけに少しでも皮を巻くのに失敗すると中のスープを閉じ込められず即台無しとなる、かなり難しい春巻。
睦十曰く「奇をてらいすぎたキワモノ」「(霧子同様)春巻を超えた春巻」
店のメニューとして試採用された際には続々来る注文にこたえるために(ササミを叩いて皮にする手間が大変な)霧子共々必死になって作り続けることになってしまった。
だが、キワモノに近いとは言え、客からのウケはなかなか良かったようである。
なお、霧子からは「〝悪意〟に満ちている!」と食べもしないで酷評された。楊と小此木はちゃんと食べたのに……。従業員たちが火傷して大惨事になったのは事実だけど。


●VS五行道士編

  • 生首爆弾
五番町飯店に踊る豚の頭*45で喧嘩を売ってきた五行と大谷に報復する為にプレゼントした二人そっくりな生首。
中にはパーティー用のクラッカーが仕掛けられており、紐を引っ張ると爆発して脳ミソが飛び出すという凄惨なもの。
そのスプラッタな光景でパーティー会場を阿鼻叫喚の地獄絵図にした……

……のだが、その実態は生首を象ったお饅頭。
今で言うところのスライムまんなどのキャラまんじゅうのようなもの。まんじゅうこわい。
澄麺皮(ドンミンビィ)*46という半透明な皮で生首を作り、中には蓮の実のあんこである蓮茸(リィヨン)を脳ミソっぽく仕上げた一品。
その中にパーティー用のクラッカーを仕込んで脳ミソあんこを飛び出すようにした。
コンセプト的には和菓子に近く、和と中華のコラボ饅頭とも言えなくもない。

味も絶品で五行は(おそらく見てくれも含めて)「うまいもんだ」と高評価していたが、ブチギレた大谷は一口も食べずに踏み潰していた。
※気持ちは分からなくもないが食べ物を粗末にしてはいけません。(そもそも喧嘩を売ったのは大谷が先)

ジャンはあくまで個人で喧嘩を買ったのだが、パーティーを台無しにされた大谷とテレビ局側が腹いせ同然に勝手に五番町飯店と結びつけ、五番町飯店と蜃気楼の対立を決定的にした。


  • 苡砂猪肚(イスアヅウドウ)(豚の胃袋の薏苡仁(ヨクイニン)煮)/大蒜肚条(ターサンドウチャオ)(豚の胃袋のニンニク炒め)
「胃に効く料理」という課題で作った料理。
1品目は豚の胃袋にもち米や薬効のある薏苡仁(ヨクイニン)*47砂仁(シャジン)*48を詰めてスープで煮込んだもの。2品目は豚の胃袋をニンニクで炒めたシンプルな料理。
「同種同食」*49の考えの元、2種類の料理を作り効能を変え胃に効く幅を広めるのが狙いだったが、五行の「過剰に香りを演出した仏跳牆」の前に敗れた。


  • 発汗鼓粥(ファハンチーヅォ)
「涼を呼ぶ料理」という課題で作った料理。
発汗作用や発汗促進作用のある淡豆鼓(タントウチー)*50麻黄(マオウ)*51荊芥(ケイガイ)*52・葱・生姜、解熱剤の梔子(シシ)*53葛根(カッコン)*54生石膏(ショウセッコウ)*55といった発汗作用や解熱作用のある食材・生薬を過剰にぶち込んで作ったあったかい薬膳粥。
透明感のある薄茶色が特徴。

食べることで汗が流れるように溢れ出し、やがて脱水症状で体温が奪われ急激に凍え、最後は過剰な強制発汗と凍えるような強制解熱により体力を消耗し過ぎて昏倒する毒膳紛いの料理。
また「どうだよく冷えるだろめいっぱい効き目を強くしてやったんだぞ」「これ以上涼しくなる料理なんて存在しないぜ!!」と全く悪びれもせず寧ろ故意に行ったと、ぶっ倒れた審査員を蹴り飛ばして呵呵大笑に公言したことで世間からの悪役のイメージを更に強める結果となる。

課題には合っているとはいえ審査員を苦しめるような料理が評価される筈もなく、試合はもちろんジャンの負けとなったが、実際は五行の行動に不審を抱いたジャンが、五行の料理を見抜いた上でワザと出した皿。
これによってジャンも五行の「本性」に気付き始める事になった。


  • 秋山式補髄湯(ブースウイタン)スッポンと豚の脊髄のスープ)
第3戦「スタミナ料理」の課題で作った、実在する薬膳料理*56の一種。
スッポン1匹丸ごとをぶつ切りにして、スッポンの肉・中骨、適度にカットした豚の脊椎、スライスしたネギ・生姜を弱火でじっくり煮込んだシンプルなスープ。
チェーンソーで豚の背骨をぶった斬って脊椎を引き摺り出すド派手な調理工程や、調理工程のドサクサに紛れて背骨の破片を五行の顔目掛けて飛ばすセコい嫌がらせも見所。

柔らかくプリプリとした食感を持つスッポン肉の高い滋養強壮効果、トロリとした滑らかな舌触りを持つ豚の脊椎の極上のコラーゲンが、食べた者に活力を与えてくれる。
そして2種の濃厚な食材を用いながらも、上等なコンソメを彷彿とさせる上品な味わいとなっている。
「夏バテ対策にスッポンスープを食べる」というシンプルな発想も試食した審査員からは「やはり食べてみるといいもんだな!」と高評価を得た。

……が、此処までは普通の『補髄湯』。
秋山が作った場合、五行の裏をかくため調理時間終了後にこっそりを入れているのが最大の特色。そのため丁度良い塩加減がプラスされた。
本来、中華料理の補髄湯は腎機能強化の薬効目的で塩を入れずに作るため五行は動揺。
さらに五行の料理が非常に甘い料理*57だったため密かに入れた塩の作用で「五行の料理が逆に甘すぎて食べられなくなる」という結果を生み勝利を収めた。

ただし、五行が「腎機能強化のためのスープに塩を入れるはずがない」という薬膳のセオリーに縛られ過ぎた事が勝因の一つであり、塩を入れたところで薬効が無くなるだけで健康には何も問題はない。
実際、和食のスッポン鍋では普通に塩を入れる。皆さんはスッポン料理の店で塩の有無で下手なケチは入れないように。


  • 長寿回春(チョンソホイシュン)(大ヤモリとサソリと龍の涙の珍品づくし)
第4戦「不老長寿」というお題で作った料理。
中国では精力剤として用いられる「大ヤモリ(蛤蚧(ハーハイ))」と、古くから生薬として用いられる「サソリ」をメインに、粉末にした黒サイの角、岩茸*58、赤と白のエシャロット、金針花(キンシンホワ)*59、ヤモリの酒、の骨の酒、恐竜の化石の酒*60……といった貴重な奇品珍品食材をふんだんに使った料理。
大ヤモリの肉は複数の薬酒で下味を付けて油通しした後豆豉(トウチー)炒めにされ、サソリは塩茹でして乾燥させたものを油でカラッと揚げている。
選んだ食材はどれも豊富な栄養や滋養強壮効果がある*61が、最大の目玉は1g1万円以上にもなる超希少品「龍の涙」*62を全て使い切る勢いで削り大量投入した点。

「食べる者の欲望を昂らせ生きる気力を与える」ことがコンセプト。
まずは珍品奇品の数々で注目を引き、次に食材が持つ薬効をフル活用することで食べた者の身体機能を大幅に活性化させることを目的にしている。
その薬効は、食べれば鼻血がボタボタと吹き出し、肌や血管が脈打ち、横綱が四股を踏めば会場全体を揺らせる程の暴力的活性効果を発揮する程。
味の面でも、地鶏のような弾力ある食感で噛めば噛むほど旨味の出る大ヤモリの肉、岩茸のプリッとした食感やシャキシャキした紅白のエシャロット、塩味の軽いスナック菓子のような食感のサソリの素揚げ*63が美味さを引き立たせる。

ただし「不老長寿の秘宝」を謳った目玉食材「龍の涙」の正体は鯨の胆石、すなわちカルシウムの塊に過ぎない。
超貴重品なのは確かだが、胆石ということもありイメージは悪い*64
五行に正体をバラされ(審査員たちも途端に手の平返しで気持ち悪がり)危うく試食拒否寸前となったものの、きちんと理由あってのものと一喝したこともあり恐る恐る審査員も試食。
珍品ながらキワモノ揃いと思われた材料全てに意味があることを理解され、最終的に「味・品格共に五行と互角」と評価されている。
さらには五行の方はあまりにも人間の尊厳を冒涜した料理を作ったので審査員全員から反感を買い、総合的判断で「生きる欲望(希望)を湧き起こす」料理であるジャンの勝利となった。

ちなみに、「龍の涙」は架空の食材ではなく、龍涎香(りゅうぜんこう)*65という名称で実在する薬理作用を持つ食材である。
盗まれた睦十がキレるのもごもっともだが、厳重に保管してあったであろうブツをどうやって盗んだのだろう……。あと効能に関しては半分くらいプラシーボ効果だと思う。


  • 南海漁村(ナンホイルウソン)(大シャコ貝とドリアンのオーブン焼き)
「天国に一番近い料理」という課題で作った最終戦の料理。
大シャコ貝の身を、パパイヤ・金糸瓜・塩を含む各種香辛料・ヤシの実の酒等を混ぜ合わせた特製ドリアンペーストで包んで、一緒にシャコ貝の殻に入れてオーブンで焼き上げた料理。
審査員によるとオーブン焼きの概念は広東省に昔から存在しているとのこと。

火を通すことによってシャコ貝の旨味と歯応えは倍加し、絶妙な火加減で焼いたことでほんのり甘くふくよかな味わいと、快感すらある食感に。
ドリアンペーストに混ぜた青いパパイヤと金糸瓜はシャリシャリとした程よく固い食感を有し、ペーストに塩をよく効かせたことで逆にシャコ貝の甘さが引き立っている。
ドリアンの悪臭もペーストを作る過程で丁寧に下処理することで、カスタードクリームのように甘くフルーティーな南国の香りに変化させ、甘味も倍増している。
盛り付けでも上の貝殻を蓋代わりすることで演出面を強化しつつ、よく香りを楽しめるように仕上げたことで審査員から南の島(パラダイス)の生命力がこれでもかと言わんばかりに爆発した料理」と絶賛された。
ベクトルとしては霧子の作る料理に近いものがあり、霧子からも「(料理とは食べる人のために作る心が大事だって事解ったの!?)」と素直な高評価を得たが、「人を驚かすためだったらオレはなんでもやるんだ!秋山の魔法は無限のビックリ箱だザマーミロ!!!」と公言したためせっかく上がった好感度は地の底に沈んだ。
つーか霧子もジャンがそんな玉ではないことぐらいわかりそうなもんなのに。

一応、酒との相性が致命的に悪いドリアンを使用していながら味付けのためにヤシの実の酒も使っているので、アルコールが確実に飛ぶのに必要な加熱時間と料理として一番美味しくなる加熱時間のバランス取りが難しいのと、アルコールが飛んでもドリアンの成分は臭い以外そのままなので酒を飲みながら食べるのもNG、という弱点がある*66
五行の料理と出来自体は全くの互角だったが、「ホテル・ミラージュ」の社長の横槍やドリアンとアルコールの相性で審査員の一人を病院送りにされた事で危うく敗退しかけたが、五行の鍋の秘密*67を白日の下に晒した事で社長はマジギレ+五行は暴走+案の定のクソ観客が暴徒化した為番組は大混乱。
とりあえず小此木がドサクサに紛れて社長以外の審査員の点数をジャンに入れた為、4:1で形式上はジャンの勝利となった。


●VSスグル編

  • 春節淡雪(ツンチェタンシェ)(ニューバージョン広東風カニ玉秋山オリジナル)
スグルとの料理勝負で作った料理。
広東省版芙蓉蟹の中でも卵白だけで作るタイプのものに、裏ごししたグリーンピースを混ぜた一品。
白と緑が大理石の模様のように混じり、カニ肉の赤が見え隠れする美しいビジュアル。具は薄切りにした生マッシュルームと中華ハムの千切り。
卵白の軽い仕上がりの味にグリーンピースの青々とした風味が調和した、非常に食べやすく、そして食べた者に雪解けからの春を感じさせる美しい料理である。
韻を踏んだ料理名といい四季を想起させる味わいといい、ジャンにしては珍しく詩的な美意識に溢れた一品。

ちなみに、料理中にスグルが白絞油と魚油をスリ替えるというかなり外道な妨害行為をしている*68が、ジャンはそれに気付いた上で、敢えて気付かないフリしてこの料理を完成させた。


  • 烤乳猪(カオルウチュウ)(子豚の炭火丸焼き
スグルとの料理勝負2戦目「子豚(の丸焼き)料理」の課題で作った料理。飛び入りで参加した中国人観光客が審査員となった。
実在する伝統的な広東料理の1つで、捌いた後刺股に刺した子豚を細心の注意を払いつつじっくり焼き上げて作る、シンプルながら難度の高い料理。
じっくり丁寧に完璧に焼き上げられたことで、クッキーのように皮が口の中でパリパリサクサクと砕けた後脆く儚かなく溶けてゆく極上の食感……中国人が好む三大食感の一つ(ツォエイ)*69を楽しめる。
付け合わせにグラニュー糖、マンゴーを練り合わせた甜麺醤、リンゴ味のソース、オリジナルのの醬を用意することで色々な味変を付けて食べることが可能。

スグルの「五穀全猪(子豚の五穀詰め丸揚げ)」に比べるとオリジナリティーこそは低いものの、「秋山の烤乳猪は中国でも滅多に食べれない最高のもの」と称賛された。
一見すると皮の「脆」に加えて同じく中国の三大食感(ヌオ)(モチモチ食感)」を詰め物によって表したスグルの料理には不利なように思えるが、スグルの料理には、
  1. スグルの子豚の皮は「脆」になっておらず、(スウ)*70の状態だった。「酥」も旨い食感なのだが、ジャンの皮と比べると数段食感が劣る。「脆」は炉でじっくり焼き上げない限り出せない食感であり、揚げただけでは出せない
  2. そもそも子豚の丸焼きは皮を味わう料理であり、いくら「糯」の食感を出せていようが詰め物は評価の対象にならない
といった具合の重大な欠点があり、実際は最初から勝負にすらなっていなかった。*71
ジャンはスグルが上記の欠点に気づいていない≒技量はあっても根本的には素人でしかないことを突き付けた上で完勝。
日頃ジャンと対立する霧子もスグルの自滅を予期しており、「素人なんだからこれにこりて勝負なんかにこだわらず楽しく料理を作ってればいいのよ!」と追い討ちを浴びせている。ひっでぇ。
なお五番町の料理人は三大食感を聞いたことさえない素人未満ばかりである模様。楊「(勉強してやあんたら…)」

あとちなみに、中国三大食感の最後のひとつは(ホウ)
あんかけや麻婆豆腐などのトロトロなめらか食感の事である。


  • 竜肝鳳珍(ロンコンホウチン)
スグルとの料理勝負3戦目「肝料理」の課題で作った料理。
スグルの最高級フォアグラに対し、あえてそれ以下の材料で対抗するために作った。*72
牛乳で余分な臭みを消した白レバー*73を、裏ごししたカワハギの肝に柱候醤(チュウホウジャン)竹葉酒(チクヨウシュ)、各種調味料を加えたオリジナルのマリネ液に一晩漬けこんでカワハギの肝の濃厚さとコクをプラス。
さらにサンドイッチの如く白レバーを豚の背脂で挟みオーブンで焼くことで脂肪分を補い、仕上げに名古屋コーチンの老鶏丸ごと1匹をぶつ切りにして煮込んだ濃厚スープで赤酢を割って作った特製ソースを掛けている。

フォアグラより脂肪分が少ない分フォアグラ以上にレバーの力強い味わいと濃厚なコク、風味が強調されており嫌味な匂いもゼロ。
フォアグラ以上のコッテリ感と複雑玄妙な味わい、レバー特有のムッチリモッタリとした食べ応えのある食感が特徴で、その味わいは白レバーでありながら白レバーを遥かに凌ぐ。
ちなみに、白レバーに漬け込むペーストのレシピは非常に繊細で、少しでも間違うと一気に不味くなるかなりのキワモノ料理。
フォアグラ以下の食材をフォアグラ以上の味に昇華させた点だけでなく、「レシピを聞いたとしてもジャン以外には作れない」というオリジナリティ*74を評価されて勝利を果たした。

料理名は「海の最高の肝臓を使って陸の珍しい最高の肝臓を引き立てた」という意味合い。
なお審査員のフランス人からは「フォアドボライユ ポワレ エーグル ドゥ アラジャン(鶏レバーのポワレ、赤ワイン酢ソース、シェフ・ジャン風)」という料理名で賞賛された。
ジャン「……長い」


  • 如意胡羊鍋(ニョイコヤンウォー)(子羊の煮込み)
スグルの付き人である刈衣花梨との初戦「子羊」の課題で作った料理。ざっくりまとめれば中華風ビーフシチュー。子羊だからラムシチューと言うべきか。
子羊の肩肉の臭みを取った後はネギ・ショウガ・玉ネギを炒めて腐乳を入れてコクを追加し、肉と戻した乾燥イチジクを赤ワインと鶏スープでじっくり丁寧に煮込んで完成。
濃厚な味ながらしつこさはなく、癖のある食材同士を掛け合わせていながらも、味を重ねてマイルドに仕上げることで日本人好みの味に変えられている。

料理名は「中国の西方から来た羊とイチジクの料理」という意味合い。
ただしジャンクフードの理論を応用して脳内麻薬エンドルフィンを大量分泌させ、後を引くやめられない旨さを生み出した刈衣花梨の料理の前に敗北を喫した。
でも事実上の2対1*75ってのは流石に手段選ばなさ過ぎなんじゃないかなぁ、スグル……?


  • 清蒸鯛魚(チンツエンティアオユイ)(クロダイの蒸し物)
スグルの付き人である刈衣花梨へのリベンジで「魚の蒸し料理」の課題で作った料理。
セイロで雌のクロダイを蒸しただけのシンプルな料理だが、骨に近いところはミディアムレア、外側の火の通ったところはふんわりジューシーという2種類の食感になるよう蒸された香港における最高のレベルの蒸し方となっている。

骨の周りだけが僅かに生が残る絶妙の蒸し方によって旬のクロダイの旨味エキスは身の外に流れることはなく、普通の蒸し魚よりもしっとりふっくらした瑞々しい肉の味わいと甘み、魚の丸ごとの旨さを最大限に楽しめる。
そしてクロダイのオスの成熟した白子に老酒と生抽で味を整えたタレを使うことで、雄雌両方のクロダイの旨みを味わえる。
ただし一見すると生焼けの失敗作に見えてしまうレベルで日本ではこの蒸し方は馴染みが全くなく、内容は舌の肥えた香港の食通向けの料理。
実際五番町飯店の一般料理人たちはこの蒸し方を全く知らず、弥一が率先して試食するまではジャンの料理を失敗だと思い込んでいた。

刈衣が調理機材で誰でも簡単ハイレベル調理という料理漫画における負けフラグをガッチガチに立てていたこともあり、賛否両論な反応が出ていた割にはジャンの圧勝となった。


●第2回全日本若手中華料理人選手権編

  • 紫雲全鴨(スウンチェンヤアー)
実質第2回大会の前哨戦となった大谷の番組で、「鴨料理」の課題で作った料理。
鴨丸ごと一羽の旨味が詰まった血のスープとコシの強いシンプルな手打ち麺を組み合わせた鴨南蛮そっくりの見た目の料理。
具は塩コショウして和えた鴨肉のローストとニラ。

味の要のスープは、サンプレッセ*76を使って鴨の骨から絞り出した大量の血に少量の熱いスープを注ぎ血を加熱。そこにナンプラー、熱々のネギ油を掛けた茹でて裏ごしした鴨の脳味噌のペーストを混ぜて完成。
隠し味である鴨の脳はすりゴマのようなコクと濃厚さ、奥深い旨味をスープにプラスし、個性の強すぎる各食材を一体化させ纏め上げる効果がある。
そして素っ気ないほどにシンプルな太麺が濃厚すぎる程のスープを最後まで美味しく食べさせてくれる一品。大谷曰く「(脳ミソで足し算麺で引き算をした訳か……このクソガキが)」
この時隠し味の脳ミソの存在に全く気付けず、ジャンによって再び猿回しの猿扱いされた屈辱感から「(大谷日堂人生最大の屈辱や!)」と再度大谷のジャンに対する怒りとヘイトが更に燃え上がる結果となる。

ちなみに鴨の脳は中国ではポピュラーな食材。
四川省や湖南省で煮込み料理や揚げ物として鴨の頭を丸ごと調理したものが親しまれている。
問題の脳の味に関しては、食レポ記事を見る限り「濃厚なレバーペースト」という意見が多い。


厳密にはジャンが一から作ったものではないが記載。
第2回大会予選序盤の3択クイズの題材として出されたもので、豚肉とタマネギがほぼ同量、肉の1割から2割の割合でエビが混ぜてある。
1個の重量は25グラムで、これを50センチの蒸籠で蒸したらどの時間が一番おいしくなるかという問題だった。
想定された正解は10分だったが、ジャンはなんとどの選択肢も選ばず、あわや失格退場させられる危機に
そこで問題を考えた大谷に「それじゃ未完成」「オレならもっと旨くする」と啖呵を切って同じものを調理することに。

ジャンが取った調理法は10分蒸したシューマイを急速冷凍し、それを再度7分蒸すもので、そのため選択肢にない「合計17分」が正解と主張。
冷凍食品というイメージから会場の他のザコ料理人から総スカンの罵声を浴びるが、冷凍によりタマネギの細胞壁が破壊され内部のエキスが溢れだし、肉と程よく混ざってジューシーになることでさらに旨味を増した。
実際に食べた周囲からの評価は一変し、正解より旨いものを作ったから当然と予選通過の判定が下されるのであった。

なお、大谷はこの問題について「アイツは知識でなく勘で料理を覚えとるヤツや 25グラムだのと数字をいろいろ言われてもピンとこんやろう」と間違えることをダメ元で期待していたが、実際は普通にお玉で調味料を正確に量り取れるヤツなので普通にやっても正解できてた可能性が高い。


  • 上湯炒飯(ショントンツァオファン)(スープがけチャーハン)
第2回大会予選「指定された米*77で日本人の口に合う炒飯」という課題で製作。
水分量の少ない古々米をセイロで蒸して水分を補った上で炒飯にし、金華ハムを加えた極上の上湯スープをかけたお茶漬け風炒飯。
なお調理の段階で周りの調理台のガス管を潰してガスを自身の元にのみ集中させることで得た過剰すぎる超大火力で思いっきり炒めているのが最大の特徴。
下手すれば米が黒焦げになるどころかジャンすら火傷しかねないほどの爆炎で余分な水分と油を吹き飛ばして米1粒1粒をパリッと仕上げたため、スープにつけてもスープに油が浮かず、米もふやけないままずっとパラパラしているのも特徴で、サラサラと胃もたれせずあっさり食べられる。

ただし調理の過程で発生した大火力によりスプリンクラーが作動し会場に水が降り注ぐよう計算しただけでなく、上湯炒飯自体が非常にさっぱりとしているため下手な腕の選手が普通に作った油まみれの炒飯では胃もたれして不味く感じてしまい食べられなくなってしまう。
スプリンクラーによる水で他選手の炒飯を台無しにし、仮にスプリンクラーを乗り越えても今度は上湯炒飯以降の炒飯が不味く感じてしまうという2重の罠が仕込まれた悪意ある炒飯。
キリコも「たしかにいいチャーハンだけど……サイテーの人間だわ!!」とこれらの罠を意図的に仕掛けて周囲に被害を及ぼしたことを批判している。

ただし、ジャンのブロックの一部の料理人が、「チャーハンなんて誰が作っても同じ」「たかがチャーハン」とかつての望月みたいな不真面目かつ料理を舐め腐ったような発言をしていた為、それに対する報復的な意味合いもあったと思われる。もちろん、巻き添えになった真っ当な料理人にとってはたまったものじゃないが。
しかし逆に、この炒飯の罠をクリア出来た料理人こそが予選通過資格があると言え、多すぎる参加者への「ふるい落とし」としても作用した意味では、結果としてはかえって都合が良かったと言えたかもしれない。*78


  • 白汁石鯛鍋(パッチャセッテゥホゥ)(イシダイの豆乳スープ石焼き鍋)
一回戦「豆腐料理」の課題で作った料理。
豆乳を上湯スープで割った鍋汁に焼いた石を土鍋に入れた石焼き鍋で、花火のような爆音がなるインパクト抜群の鍋。
具はぶつ切りにしたイシダイの身、カットした豆腐、塌菜*79。風味付けに生姜も用いている。
脂の乗ったイシダイ丸ごと一匹の旨みが溶け出した濃厚ながらもさっぱりとしたスープの味の鍋で、石鯛の身もしまって美味しさがあり、豆腐もイシダイの旨味が染み込んでいる。
焼けた石はスープを加熱する以外にも、スープに香ばしさをプラスする役目もある。

ここまでだと、審査員に「イシダイを旨く食べさせる魚料理」と判断され超低得点になってしまったが、この料理の真髄は鍋が熱せられた石により煮詰まることでイシダイと豆乳の旨味と香りが濃縮され濃厚になった豆乳スープと、鍋の〆として投入された豆腐で作った豆腐ソーメン。
豆腐ソーメンには梅干しが練り込まれることで梅干しの清々しさも加わり、煮詰まった鍋の極上の香りが食欲をそそらせる一品。
〆のソーメンを豆腐ソーメンだと気付かず、ひと口食べるどころかを付けさえしなかった大谷に半ば扇動される形で試食拒否され、一時期は低得点を付けられた*80が、その誤解が解けた後は大谷以外は即前言撤回。
「2段構えで大豆の旨みを存分に味わう豆腐料理」として認められたこともあって、打って変わって高得点となった*81
「はじめから豆腐ソーメンだと言っておけばややこしいことにならなかったんじゃね?」と思うが、食わせた上で驚かせるのがジャンクオリティ

ちなみに、現在では豆腐ソーメンは商品化し、コンビニでも販売されている。


  • 北京平安水餃子(ベイヂンピンアンスイジャオズ)(大根入り水ギョーザのジャン風かざり)
第二回戦「制限時間60分以内+審査員合計55人分の餃子」の課題で作った料理。
通常サイズの水餃子の上に小指大の揚げ餃子を盛り付け、香菜とタレを掛けた2つの餃子からなる一品。調理スピードも求められる課題なのにわざわざ2種類も作るのがジャンクオリティ
陸一族の「にぎり」を進化・発展させた「秋山醬式ギョーザ包み改」の圧倒的なインパクトに加え、盛り付けもテンポよく豪快でパフォーマンス性も高い。

具は2つとも肉に大根おろしカレイの干物の粉末を混ぜた物を使用。
水餃子のツルツルとした食感と揚げ餃子の香ばしい食感の2種類を味わうことができ、掛けられたタレが食感に新たなアクセントを加えている。
味の面でもカレイの干物の粉末が香りと旨味を高め、大根おろしのジアスターゼが胃もたれを防ぎながらさっぱりした味わいをプラスしつつ肉の甘味を強化し柔らかなものに変えた。
大根おろしのせいで下手をすればサッパリしすぎている水餃子も、揚げ餃子の油の重厚感が加わることで皿の満足度を強化している。


  • 飲めるラー油/ラー油炒飯
三回戦「21世紀の新しいオリジナル調味料」の課題で作った調味料。
辛さを補う一味唐辛子の辣粉(ラーフェン)と韓国産の最高級キムチ用唐辛子の辣粉をブレンドして使った唐辛子本来の旨味と香りがたっぷりと詰まった特製ラー油。
普通のラー油にはない桁違いの旨味と深い香りがある。勿論底に溜まった唐辛子の粉も旨い。
油も白絞油に陳皮・八角・花椒・桂皮で香りを付けたものを使用し、唐辛子の粉は水ではなく桂花陳酒(グエイホワチエンジオウ)*82で練るなど手が込んでいる。
飲むと素晴らしい香りが鼻を抜けて口一杯に脂の旨味が広がり、そして最後に喉の奥に程よい辛味が残る。
下記の炒飯以外でも炒め物はもちろん和え物、つけダレなども格別に美味しくなると断言された万能調味料として絶賛された。

『ラー油炒飯』は上記のラー油を米が真っ赤になるまでドバドバ大量に中華鍋にぶち込んで炒めたシロモノ。
具は溶き卵、レタス、大根の醬油漬けと極めてシンプル。
見た目は米のひと粒ひと粒がラー油でコーティングされてルビーのように美しく、一口食べれば辛さを越える旨味と素晴らしい香りが口の中いっぱいに真っ先に広がる辛口炒飯であり、具である大根の醤油漬けが味を引き締めているので油のくどさも一切ない。
特別審査員のミケロッティ本郷をして「世界中の人間に受け入れられる」と言わしめたシンプル・イズ・ベストな逸品。

ただし、調理中は飲めるラー油だと言わなかったため、真っ赤っかに仕上がっていくおそらく激辛であろう炒飯に審査員は恐々とし、また大谷扇動で試食拒否された。またかお前は*83
だがネタばらし(=大谷の口にお玉一杯分のラー油注ぎ込んで飲ませる事で「飲めるレベルの辛さでしかない」事を証明する)して食べた途端、即落ち二コマの如くその美味しさに夢中になり、何度もおかわりをねだって絶賛した。*84
対戦相手の陸顔王があまりにも高級食材であるネズミハタに頼り過ぎたという弱点を突き、大谷を敵に回してるというハンデがありながらも圧勝してみせた。
なお、黄蘭青の極辛透明ラー油との対決では、「調味料の意外性と味」では黄の勝ちだが、「調味料としての万能さ」はジャンの勝ちとも言え*85、実質的には引き分けの可能性が高い。

この飲めるラー油に限りなく近いものが、現在我々のよく知る「食べるラー油」である。
食品メーカーの桃屋から「食べるラー油」が発売されたとき、この炒飯を再現しようとした人も多いと思われる(基本的には同じなので、量があれば再現可能)。
「食べるラー油」が大ヒットし、今では定番化して広く愛される調味料になった事を考えると、おやまけいこ氏は先見の明があったと言えるだろう。
ちなみに、この飲めるラー油の元ネタはおやまけいこ氏が六本木にあった四川料理の店でオーナーシェフから教えてもらったもので、文庫版にレシピが掲載されている。
腕に自信のある方はお試しあれ。レシピの分量は業務分量なので注意。


  • 油爆海鮫(ユウバオハイジャオ)サメの丸ごと一匹揚げびっくりもやしのあんかけ)
準決勝「サメ肉料理」の課題で作った料理。
生きた鮫を丸ごと一匹揚げて、たけのこ・シイタケ・ニンジン・大量のもやしなどの野菜を混ぜた黒酢風味のあんをかけた特大料理。簡単に言うと鯉の丸揚げ甘酢餡かけの鮫バージョン。
生きたまま揚げたため鮫特有のアンモニア臭は全く無く、水分も程よく蒸発して食感も良くなっている。
そしてあんかけに使われているもやしには一本一本味を含ませたフカヒレ、そして注射器で鮫肉のすり身が入れられており味と食感がそれぞれ二重で増幅されている。
調理法こそ豪快かつ尋常で無いほど過酷だが、実際の所特段珍しい食材は一切使っていない。

パリッと香ばしく揚がった鮫肉、野菜たっぷりでのど越し良く料理全体の味を引き締める醤油と黒酢のあん、野菜と一緒に混ぜられたプルプルとしたゼラチン質豊富な魚唇(ユイチエン)*86、何よりフカヒレ入りもやし、すり身入りもやしの2種類による「ダブル二重食感」が合わさった驚愕の一品。サメ一匹乗るほどの巨大皿もすごい。
このダブル二重構造もやしは、油通しされたもやしのシャキシャキ感を軸とし、フカヒレ入りの方で奥深い味わいとツルリン感で食感を増幅し、すり身入りの方でフワフワ感のやさしい味わいと食感を倍増させる効果がある。

その出来は、あの黄をして「この料理をおかわりしない人間はこの世にいない」とまで言わしめ、*87
  • 豪快かつダイナミックでスケールの大きい料理(ケペル)
  • 「美」と「醜」は表裏一体。グロテスクな美しさがある(ミケロッティ)
  • 本来ならば100点満点を付けてもいいぐらいの完璧な料理(崔会長)
……と、特別審査員からも絶賛されたが、その為に会場の色んなものを壊しまくってしまった*88為、特別審査員からは1点ずつ、計5点だけ減点された。*89
とは言え、あの大谷でさえも試食拒否せず「(未だかつて料理は見たことない!!)」と憎々し気だが認めた上、(ケペルから「神の舌は裏切るなよ」と耳打ちされたこともあり)自分の舌を裏切れずに正当に点数を入れたという事で、この料理の凄まじさが分かるだろう。

ちなみに、ジャンはこの料理を作るにあたり
  1. 水槽の中で元気に泳いでいた鮫を、自ら水槽にダイブして中から水槽外へと蹴り飛ばすってどんな筋力をしているんだ
  2. 会場の中を縦横無尽に駆け回り、料理の為の道具をDIYで作り出す
  3. 気の遠くなるほどに細かいもやしの仕込み作業をマイナス50℃の業務用冷凍庫内で防寒着もなしで行う(その為ジャンは危うく凍死しかけた*90
  4. 自分に油がかかるのもお構い無しで鮫を油のプールで生きたまま揚げる
  5. 丸々一匹の鮫の丸揚げにあんをかけてもっと重くなっている料理にもかかわらず料理を審査員の机まで一人で運ぶ(見ていた審査員が「ちょっと大丈夫!?」「誰かに手伝って貰った方が……」と本気で心配していた)
……などなどのリアクション芸人の如く体を張ったムチャクチャな調理をした結果、審査後に体力が尽きてブッ倒れた。残当。黄も「本物の料理バカ」とジャンの熱意に呆れながらも認めていた。
だが、そのムチャクチャながらも真剣に料理に取り組む姿勢は、今までジャンを一方的に敵視し続けたクソ観客も彼の事を見直し始め、あの大谷もこの料理以降、『審査員の立場で正々堂々戦うあと決勝の秋山の料理もちょっと食べてみたいという姿勢になり、心境の変化が訪れ始めた。

余談だが、「もやしにすり身を仕込む」という技法は宮廷料理に実在する技法である。*91スゴいね中華料理。


  • ダチョウのステーキ
旨いダチョウ肉の調達方法を探るため、脱サラ店主が経営していた寂れたダチョウステーキ店で作成。
美味しいステーキの焼き方を指導するための料理であり、味付けはシンプルでオーソドックスな塩胡椒。
上手に焼き上がったステーキは肉が上等だったこともあってジューシーで柔らかく、塩の味もよく馴染んで肉の旨みを高めている。
これで塩胡椒の振り方を真似した人も多いのでは?


決勝戦で食用ミミズを持ち込んで波乱とブーイングを呼んだジャンが特別審査員達を黙らせるために作った試食用の皿。
丸々太った食用ミミズを包丁で二つに裂いて泥取りをしてから小さく丸めて軽く素揚げしたもの。
アミノ酸の塊で漢方薬に使えるほど栄養豊富という特徴もあって見た目が最悪なこと以外は食材として上質。
特別審査員全員がヤケや半ギレになりながら試食したが、丁寧に泥取りしたため旨みと香ばしさは十分。シャリシャリした食感も相まって「鶏肉の煎餅」と例えられる味になった。
このミミズの素揚げは後述の『義大莉鴯鶓肉』のトッピングの1つに使用されている。


  • 義大莉鴯鶓肉(イーダァリーアルミョウロウ)(21世紀の生き残りをかけたダチョウ肉のカルパッチョ仕立て)
21世紀は食糧難の時代(サバイバル)!!
しかしオレ様の魔法はどんな過酷な世界でも旨い料理を作り出せる!!
よかったな おまえら!秋山の魔法は21世紀も不滅だぜ!!
カカカカカーーーーッ

無印におけるジャン最後の料理で、決勝戦「21世紀の中華料理」+「ダチョウ肉料理」の課題で作った料理。
「21世紀は強靭な精神を持つ強者だけが生き残れる食糧難(サバイバル)の時代になる」というコンセプトで作った21世紀のためのダチョウ料理。
簡単に言えば昆虫食+ダチョウ肉の中華風カルパッチョ。
「食糧危機の時代に手に入る食材」として食用ミミズ・ゲンゴロウ・トンボが、野菜では「野菜の王様」として有名なモロヘイヤ・アルファルファ*92・クロレラ*93がトッピングとして使われている。
そしてダチョウ肉は「魔法の箱」と呼ぶ大きな箱に吊るし放置することで自動的にサシが追加され、本来ダチョウ肉ではあり得ない霜降り肉のような見た目になった。

しかし単なる嫌がらせのゲテモノ料理などでは決してなく、ミミズや昆虫達は泥取りや羽根取りなど丁寧な下処理をしっかりして油で揚げることで視覚的なマイナスイメージを極力消して、シャリシャリと小気味いいクリスピーな食感に。
メインのダチョウ肉はつきたての餅のようにムッチリと舌にまとわりつき、尚且つ弾力あるマットな肉質を生かすために生で調理。
サシの入った霜降りのダチョウ肉は肉本来の繊細な味わいを損なうことなく「ミルクのような味」「口全体にまとわりつくような食感ととろけるような甘さ」「まるでマグロの大トロ」「チーズ以上にクリーミーで鮮烈」等と絶賛されるほど上品かつミルキーな甘さを持ち、噛めば噛むほど味が出る濃厚な深い味わいの霜降り肉に変貌し、ダチョウ肉そのものの旨味をアップさせている。
生で調理したので火を通すよりも肉がずっとしっとりと柔らかいという利点も有しており、大谷も「いままで味わってきたダチョウ肉とは段違いに味わいのある肉」「まったく違う次元の肉に生まれ変わった」と絶叫する程の味に。
そして新鮮な野菜の小気味よいパリパリ食感は、嫌らしくなりかねないほど濃厚すぎる霜降りダチョウ肉の生臭さを上手く消してサッパリ感を出すのに一役買い、中華料理を意識した豆板醤と黒酢のドレッシングの辛味と酸味で料理全体がよく引き締められている。
栄養面においても、高タンパク低カロリーのダチョウ肉、栄養満点な野菜であるモロヘイヤ・アルファルファ・クロレラ、アミノ酸と栄養の塊の食用ミミズ、食物繊維やビタミン等の栄養素豊富なトンボ・ゲンゴロウという、「食糧難」の時代にはとても有難い料理であると言える。
ジャン自ら「そもそもゲテモノなんて世の中にはねえんだ」「たとえ21世紀が暗黒の時代でも オレはウマイものを探し出して料理してやるぜッッッ」とまで豪語したほど。

霧子も黄も、料理の出来こそは素晴らしいものの、どちらもテーマ食材である「ダチョウ肉」を活かしきれたか微妙なラインだったのに対し、「唯一、肉に味わいを加えるのではなく肉の旨味そのものをアップさせた」という点も含めて審査員からも大絶賛された逸品。
その衝撃的な反響は崔会長が「こんなもんを出されたらどんな食通でも我を忘れてかぶりつくに決まっとるわい!!」と賞賛した通り、特別審査員に食われるより前に少しでも多く食おうと半ば暴徒化した一般審査員がなだれ込んで肉を奪い合い貪り食うほどであった。



◆R頂上作戦


●ビッグ大谷杯→ビッグ秋山杯編

  • 軟膀蟹包子(ロワヌバンシェパオズ)(丸ごとソフトシェルクラブ入り中華まんじゅう)
Rの序章で、中国の特級調理師相手に無理矢理口にねじ込んで振舞った料理。
中に上海ガニのソフトシェルクラブ*97唐揚げが丸ごと1匹入ってる豪華な中華まん
中華まん生地のフワフワ感とソフトシェルクラブの唐揚げのカリカリ感のダブル食感に加え、五香粉でカニの生臭さも綺麗に消しており、隠し味として混ぜたカレー粉が食欲を刺激する逸品。


  • 超力招来担々麺(チャオリーザァオライダヌダヌミュヌ)
Rの予選「担々麺料理」で披露したチン珍料理。出された時の見た目は、白黒2色の麺にでかいトウガラシが1本乗った汁なし担々麺。
『R』の頃には劇物料理人の評判が広まっていたため、実食フェイズの前に検査フェイズが発生した。残当。
唐辛子はカード・チリ*98という珍味で、これを手で粉々にしてまぶして食する。
坦々麺本体は普通の小麦粉の麺と、ゼラチンとお酢、醤油と黒ゴマを混ぜて麺状にしたものの2種類で構成されており、口の中で坦々麺が完成する。
最大の特徴は黒ゴマ油を中心に数種類の油をブレンドし、滋養強壮効果のある複数の食材が漬け込まれたジャンのオリジナルゴマ油「興奮起爆セサミオイル*99」。
味は程よいピリ辛でもちろん絶品。口に含むことで麺が溶け、初めてゴマの豊かな香りが顔を出す仕組みでもある。
だが何より、興奮起爆セサミオイルの滋養強壮効果が抜群で、「白髪も見事な黒髪に」「死んだ人間だって走り出す」と豪語する薬効は体がハッスルしすぎてたちまち全身の血管がピクピク躍動し、心臓の鼓動が加速し、涙・鼻血・唾液が噴出する尋常ならざるもの。
そのせいで、「また毒物か」とか言われてしまったが、まあ仕方ない
さらにはプラスチックの丈夫なボードを握力で粉砕し、一部の審査員の股間は直径が2ケタ近いと言うレベルに超進化を遂げた。
あんなギャグマンガでもお目にかかれないほど壮絶な勃起は、多分早々忘れられない。


  • 荷葉糟蛋鶏塊(ホイエザオダンチーコワイ)(龍崗鶏とハトの卵のハスの葉包み・幻の糟蛋風味)
鶏卵から魚卵、爬虫類にいたるまで古今東西のありとあらゆる種類が準備された卵を使って料理を作る一回戦「卵料理」で作った料理。
広東省の地鶏・龍崗鶏(ロンコンカイ)の肉とハトの卵をハスの葉で包んで蒸し、仕上げに葉を開いて熱した油をかけた一品。
それだけならオーソドックスな中華料理であり、調理中は観客からも「ついに秋山も普通の料理人になってしまったか」という論調で地に落ちたと評される有様だったが、味付けに糟蛋(ザオダン)という卵食品を多く使ったことで濃厚な香りと味を付けた極上の料理となった。
その美味は、海千山千の審査員達(あの大谷でさえ)も、一時期審査を忘れて陶酔してしまった程。

この糟蛋は簡単に言えばアヒルの卵の粕漬けみたいなもので、四川省に伝わる実在する伝統技法。
アヒルの卵を加工して作るものだが、あまりに作り方が難しすぎて(後述)大量生産が出来ず、後継者がほとんどいなくなってしまい、幻の一品となってしまっている。
そのためジャンですら準備されている卵の中にあるのを見つけたときは驚愕し、審査員の中でただ一人知っていた大谷日堂も食べたのが50年ぶりで中々思い出せなかった。*100


(怪我で失神しそうなので)割り込んだのを違反扱いされて試食前から大谷に失格にされそうになったが、佐藤田の横槍で審査を受けられる事になり、終わってみれば残った選手間どころか一回戦中最高得点で残った料理人を蹴散らして勝ち残れた。*101


  • 頂瓜原味球節鰕(ディンゴワユアヌウェイチュウヂェシャ)(究極のエビチリ 秋山流背徳のエビミソ300倍風味)
実質的にエビチリ対決となった二回戦「エビ料理」で作ったクルマエビのエビチリ。
作る過程で300尾のクルマエビを必要とするため、当初は冷やかしの類と勘ぐられた。
一見すると殻付きなのに味付けに肝心の頭がなく食べづらいだけの中途半端な料理に見えるが、実はエビのすり身をつくって殻に詰めなおして揚げた一品。
エビのプリプリした食感は失われているものの、クワイのみじん切りと豚の背油をすり身に混ぜて食感と旨味を補強したことで食べやすくなっており、大量のクルマエビから抽出したエビ油を使ったチリソース、揚げた殻の香ばしさによってエビの旨味を存分に楽しめる。
さらに300尾のクルマエビから丁寧に取り出したエビミソ*102をチリソースの隠し味に使うことで、普通ならあり得ない程に濃厚で奥行きのある味になった超贅沢な一品。

有頭殻付きのエビチリは使用したエビの本数に比例して旨みがアップするため、審査員からは「うまさ300倍のエビチリ」と形容。
R時代のジャンに「骨が折れる仕事だったぜ!」と言わしめるほどの手間と常識離れにも程がある贅沢さから、審査員全員が互いの皿を奪い合って少しでも多く食おうとする好評を獲得して圧勝。
観戦していた弥一には「おどかしでもなんでもない秀逸なエビチリ」と褒められながらも、同時に「いったいいくらかかるんだ、店では出せんぞあんなの」とも評されている。
瓶詰のエビミソもあるにはあるが、その場で300尾のクルマエビから取り出すとなったら確かに店では出せないだろう。


  • 原澳地香灼金草牛(ユァヌオディシャンヂュオヂンフアオニュウ)(超熟グラスフェッドの熱々スープがけ ワイルドオーストラリアの香り仕立て)
決勝戦「オージービーフを使った牛肉料理」で披露した料理。
グラスフェッド*103の半身肉に、タンパク質分解酵素を有する複数の果物のペーストを塗った上で、4つ縦に積み重ねて火柱と爆炎が立つほど火力を増幅させた炉の余熱で温め、6ヶ月相当の超熟成状態にしたものを使用。
超熟成肉の3分の2を炉内でミディアムレアに調理してそのうち中心の一番良い部分のみを薄切りにして切り分け、削り落とした外側の肉で出汁を取った熱々のビーフコンソメ風のスープを、シャブシャブやお茶漬けのように肉にかけて食べる。
肉の下にはオーストラリア開拓時代のパン風に焼いた香草を練り込んだ(ピン)*104が仕込まれ、肉を食べ進めるとスープを吸ってすいとんのようになった餅が浮き上がる仕組み。
皿の外周部には輪を描くように岩塩が盛られている。

日本人好みではないグラスフェッドを日本人好みの汁物料理にしつつ非常に食べやすくなっていて、一口食べるごとに極限まで高められたグラスフェッドが持つ牛肉本来のナチュラルな旨味に魅入られていく野生味全開の一皿。
肉を焼く時炉に入れておいた牧草のほのかな香りや皿の底に仕込まれスープをたっぷり吸った餅も、肉の野生味を引き出すアクセントとなる。
実は隠し味としてグレートビクトリア砂漠産の岩塩や餅に練り込んだ香草、ペーストに使った果物類も全てオーストラリア産。料理全体でオーストラリアを感じさせる一品に完成。オージービーフの旨みをガッツリドストレートに味わえる。
他にも揚げる、炒める、油通しといった既存の中華の調理工程を一切行わないことで中華料理なのに極端に油の使用量が少ない点も、さっぱりとした味わいに繋がり評価点に挙げられていた。

最終的には牛肉料理としては他の決勝戦メンバーと同じ満点レベルであったが、「オージービーフ」という課題においては抜きんでているという責任者裁定が下って優勝となった。


  • 玉龍雪山咕咾肉(ユイロンシュエシャンコウラオロウ)(秋山流岩石酢豚ガツの詰めもの丸ごと揚げ)
自身が提示した「男料理『酢豚』」の課題で作った料理。
名前の通り、豚の胃袋(ガツ)の中に、肩ロース・バラ・モモ等豚肉の色んな部位の肉とタロイモ・蓮根を詰めて揚げた豪快な酢豚。
酢豚の味の要である糖醋は、ジャンの祖父・階一郎秘伝の「鳥梅(ウーメイ)を漬け込んだ黒酢に黒砂糖を加えた甘酢」に、新たにチョコレートを加えたジャンオリジナル。
見た目は岩石の塊のようであり、それを切り分けて糖醋のあんをかけて食べる。

ガツは丁寧に下処理したうえで揚げる前に滷水で煮込んでおり、臭みもなくガツの弾力ある食感と揚げ衣のサクサク感を味わえる。
具の野菜類は事前に素揚げしたことで煮崩れを防ぎながら香ばしさがプラス。滷水で煮込まれたことで料理全体が重過ぎず、見た目に寄らず品の良い繊細な味わいに。
そして隠し味に青山椒の実と泡菜のみじん切りを中に混ぜ込んでおり、青山椒の爽やかな風味と泡菜のまろやかな発酵風味で後味をさっぱりさせて食欲を増進させる。
糖醋に関しても、鳥梅の奥深い酸味と黒砂糖の苦味、チョコレートのビターな甘みが合わさり、ガツの味わいを高める役目を担った。

「ガツの詰め物酢豚」というアイデアは元はジャンの父親が残した走り書き程度のものであり、それをジャンが実際に形にしたうえで祖父直伝の糖醋にジャン独自の工夫も加えた、秋山家三代の歴史の集大成的逸品。
「秋山家三代の壮大な時の流れを感じさせる一品」「歴史的な料理の完成に出会えるとは奇跡!!」と大絶賛されたが佐藤田の近未来風酢豚とは引き分けになった。

なお料理名の玉龍雪山とは、中国雲南省麗江市に存在する「聖なる山」として崇められる大雪山のこと。


  • 水盥雷神龍(シュイグワンレイシェンロン)ウツボと龍瓜の辛味煮タライ盛り)
水料理」の課題で作った料理の一品目。
牛肉をトウガラシや山椒で激辛に味付けした水やスープで煮込んだ伝統的な四川料理『水煮水牛』のウツボ版アレンジ。
ウツボは豪快に筒切りにして超軟水で煮込み、木製のタライに豪快に盛り付けたものを小分けにしてお出しする男らしい皿。
凄まじい量の香辛料と油で真っ赤に染まった見るからに辛さが際立つ香りの良い煮汁が非常に目を引く。
付け合わせは龍瓜、蕨根粉*105、豆もやしの3種。
龍瓜は辛さを和らげて口の中の水分を補う役目があり、豆もやしは力強いシャクシャク食感と甘みがマッチしてくれる。

「水も料理の一部(=水を有効活用しつつも極端に際立たせない)」という水へのアプローチの元作成した品で、本場の四川料理らしく、食べた瞬間目や喉が痛いほど痺れる辛さで汗が噴き出て止まらないが爽快感がある激辛味。
超軟水で煮込んだことでウツボのアクを一気に出し、本来脂っこく弾力やクセがあるウツボが非常に柔らかくなり、骨離れもしやすくなって食べやすくなっている。
そして味の最大の決め手は辣粉と山椒と油まみれの煮汁。
ウツボに火を通すために使用したのはスープではなくあえて水のみ。それも抽出力の高い超軟水で煮込んだことからウツボの旨みが煮汁にたっぷり出ており、見かけによらずクドさやしつこさ、重たさを全く感じないスッキリとキレのいい旨辛味に仕上がっている。
「超キレのいい辛さ」「煮汁だけでゴハン30杯はいけそう」「通常人はスープやダシを使う方が高級感が出て美味しくなると思いがちだが必ずしもそうでない時もある(要約)」とは審査員の評。
シンプルな皿だが一歩間違えるととんでも無くクドく重たい料理に仕上がるとも佐藤田には見られており、相変わらずギリギリのラインを攻めていたジャンらしい料理。


  • 彩彩拌迷你水母(サイサイバンミイニイシュイム)(いろいろ野菜と姿クラゲの和えもの)
「水料理」の課題で作った料理の二品目。
細切りにした野菜とメキシコ産の姿クラゲをタレで和えたシンプルなもの。使用した野菜はウド・ミョウガ・紅芯大根・葱・生姜。
クラゲのカサを器と見立てて小さな角切りにした野菜を盛り込んだ物も用意されており、一口でさまざまな食感が楽しめる。
激辛の一品目の後もあってサラダ感覚で非常に食べやすい料理で、クラゲよりも野菜の量の方が多いため食べ易さをより高めている。


●五番町飯店復帰編

  • 本場の皮付きモモ肉の回鍋肉(仮)
五番町飯店に復帰したジャンが最初に作った料理。
店で出している日本人向けのオーソドックスな回鍋肉とは異なる、本場四川で愛されている回鍋肉。
茹でた皮付きの豚モモ肉を反り返るほど炒めてから甜麺醤を入れ、さらに肉から出た脂で葉ニンニクを炒め合わせただけのシンプルな一皿。
しっかりと炒められた豚肉はうま味が凝縮しており噛めば噛むほど豚肉の味が引き出される状態で、葉ニンニクには豚肉から出た甘い脂が絡まって格別な味となっている。

試食した李は「日本人にはまだ早すぎる」と前置きしつつ「本場の回鍋肉を知った上でうちのを作るという意識が大切」と述べ、五番町弥一もまた「料理は変化するものだが、ルーツを知らずに変化させ続けてしまうと全く別な料理になってしまう」と、元となった料理を知る重要性を述べている。


  • 九龍飄香回鍋肉(ヂィウロンビャオシャンホイグオトウフォン)(無限大の風味をまとった駱駝の瘤の回鍋肉)
ジャン曰く「地球的拡大解釈」
回鍋肉というのが「茹でた肉をもう一度鍋に戻して調理したもの」という意味であることから、「茹で肉でさえあれば肉の種類は何でもいい」という解釈から生まれた。
珍品中の珍品「駱駝の瘤」を茹で肉にし、3年物の資中冬尖(ズウヂョンドンジェン)*108という癖の強い食材同士を合わせている。
更に味付けとして5年以上熟成させた郫県(ビーシェン)豆板醤*109・四川産の豆豉・干松菌(ガンソンジュン)*110・中華ハム・干し貝柱・エビ子・数種類の香辛料の粉末・保寧醋(ホニンス)*111蒜苗(スワンミョウ)*112を用いて駱駝の瘤専用のオリジナル調味料『香辣XO豆板醤』を即興で作成。
隠し味にマジックスパイスウォーター*113を香辣XO豆板醤に少量加えて駱駝の瘤・資中冬尖と一緒に炒めた、伝統的な歴史ある数多の食材や調味料を合わせた一皿。

茹でてよく炒めてしっかり脂を抜いた駱駝の瘤は鯨のベーコンに似た食感の香ばしい味わいで、脂身の塊であるが故の味の乗りにくさも上記の自家製XO豆板醤のおかげで味わいやすい味に。
クセの強い資中冬尖も駱駝の瘤と合わせたことでお互いに旨みを引き立たせているが、最大の味の決め手は隠し味のマジックスパイスウォーター。
大量の香辛料を緻密にブレンドして抽出したマジックスパイスウォーターのほのかな苦味がダレ気味の味を引き締める役割を果たしており、同時にフレッシュで優しい香辛料の香りを出力する香り付けの役目まで担う。
複雑怪奇な奥深さと、料理を飲み込むたびに優しい香りを感じられる絶妙な旨さを持つ絶品料理。
だが、本来家庭料理のカテゴリーである回鍋肉の定義からかけ離れ過ぎた超高級料理になってしまった点は唯一のネックであり、最終的にそこが唯一にして若干のマイナスポイントと指摘された。


  • 沙沙稜稜蟹皇烤魚翅(サーサーリンリンシェウォンカオユイチイ)(サクサクの春巻の皮の器に仕込んだフカヒレのカニの餡かけ仕立て~中華の覇王風~)
「1皿1000円のフカヒレ料理」というお題で作った料理で、鉄鍋のジャンシリーズにおけるジャンの最後の皿。
他の面々と同じく「1皿1000円」への回答として1皿1レンゲ盛りに仕上げた。
2枚の春巻の皮の間に細切りの金華ハムと椎茸、ほぐしたフカヒレを挟んで盛りカゴを作りレンゲで整形。カゴの中には金華ハムベースの極上スープをくどくならないギリギリのラインまで煮詰めに煮詰めた餡、カニ肉、カニの卵を盛り、レンゲの底にはシャキシャキとしたもやしが仕込んである。

一口頬張れば春巻の皮の「餡のかかった箇所」と「餡のかかっていないパリパリした箇所」の2つの触感を交互に味わえ、次に春巻の皮の中の金華ハムの塩味・椎茸の旨味・フカヒレの食感が顔を出し、次に盛りカゴに盛られた餡とカニの卵とカニ肉の味が顔を出し、最後にカニ肉の底に敷いたもやしのシャキシャキ感で締めくくる。
即ちフルコース料理の起承転結を1レンゲに凝縮させた驚きの料理。
当然フカヒレ料理なので盛りカゴに仕込まれたフカヒレの存在感は審査員から「圧巻」と評されるほど。
盛り付けた餡の量と濃度もクドくなり過ぎず物足りなさも一切ないという超ギリギリのラインを攻めたものだが、反面超精密かつ絶妙な温度調整が必須となるため、制作には素手でレンゲを持ってオーブンに何度も何度も素手を突っ込み、両手が低温火傷でボロボロになるまで全ての盛りカゴを加熱調理していた。

他の面々が普通の料理を1レンゲ分に調整したもので結局1000円分では満足に至らない*114ものだったのに対して、こちらは1レンゲ1000円で普通の一人前のフカヒレ料理と同等かそれ以上の最高の味と満足感を楽しめる品となっており、その解釈の決定的な違いを踏まえて料理勝負はジャンの勝利となった。

◆余談

2023年11月よりジビエ料理店「米とサーカス」では幾度か本作とのコラボが行われており、その中で上記の通りジャンの料理の再現メニューも幾度か提供されている。
コスト面からいくつかの変更はされているものの、その再現度の高さに加えて味の評価も高く、ファンからは好評。
ジャンたちの料理がどんな味なのか、気になる方はお試しあれ。

2026年9月1日~12月18日まで函館国際ホテルでもコラボ企画が行われ、キャラクター数名をオマージュしたメニューが提供されている。
ジャンの料理再現は「揚げ豆腐と干し貝柱の炒飯」。

アニメの放送記念特番では料理研究家・リュウジ氏によって「豆腐と干し貝柱の炒飯」「中華風シャリアピンステーキ」の再現調理が行われ、出演者の戸谷菊之介氏(ジャン役の声優)やタイムマシーン3号山本浩司氏が実食している。
リュウジ氏は自身のチャンネルでも炒飯のレシピを公開しており、「『鉄鍋のジャン!』は何作ってもうまい」「料理監修がしっかりしている」と本作のレシピの完成度とおやま氏の実績について非常に高い評価を下している。

また、アニメのスポンサーについている味の素株式会社は中華材料である『Cook Do』シリーズのアレンジレシピとして本作とのコラボレシピを掲載している。
公開されているレシピは「ジャンの青椒牛肉絲」「睦十の回鍋肉」「ジャンの刀削麵(きしめんで代用)」の3点。気になる人は再現を試してみてはいかがだろうか。
それ全部ジャンが曇る料理だろとか言わないように。




聞きたかったんだけど ジャンはどうしてWiki篭りになろうと思ったの?

なろうと思ったわけじゃないよ
気がついたらもう「Wiki篭り」になっていたんだ!!

ふ~~~ん じゃあ将来はどんなWiki篭りになりたいか考えてるの?

………ああ 俺はこの道を極めたい
追記・修正を極め頂点に立つ それがジジイとオレの執念なんだ!

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最終更新:2026年09月08日 00:34

*1 例を挙げると、牛肉を玉ねぎのみじん切りに漬け込んで柔らかくするシャリアピンステーキの手法や、内臓の臭みを取るのに牛乳を活用するなど。

*2 原作の描写では少々わかりづらいが、火にかけた二つのフライパンの中身を交互に移し合うようにして炒めている。アニメだと動きが付いたのでわかりやすい。

*3 アニメ版での読みは「チンツァイバオガン」

*4 原作では牛乳のカゼインが臭みを「分解する」としているが、正確には臭みを「吸着する」というのが正しいため、アニメ版では変更されている。

*5 霧子は臭みがないという理由で子牛の胃を使ったが、成熟してない牛や豚の内臓は臭みがない分、味もない。かつ、霧子はかなり面倒な方法で臭み抜きをしていた。

*6 コリアンダー。今はタイ語でパクチーの名称の方が有名か。

*7 アニメでは「大量に炒めると鍋の温度が下がってしまうため少量で炒めた時よりも水の蒸発が抑えられ、結果水分量も増えてしまう」とより詳細な解説がされている。

*8 アニメ版ではこのシーンの会話が追加されており、小此木が「突然だけど、ジャンって呼んでいい?」と聞く台詞が入っている。これは小此木役の天﨑滉平氏がアドリブで入れたものだとか。

*9 別名こじき鶏。ニワトリを泥で覆い固めて土の中で蒸し焼いた料理。調理道具をろくに買えない物乞い(こじき)が作っていたが、時の皇帝に気に入られて莫大な財を授けられた事からこの名が付いたと言われている。

*10 アニメ版での読みは「ムズジュウアンチュン」

*11 養鶏場から逃げて野生化してデカくなった。年を取った鶏はいいダシは出るが肉が固くなって食べにくいためジャンは逃がそうとしていたのだが、この料理を思いついたので使うことになった。なおこの鶏、冷や汗を流したり食えないと言われた時に小此木をあざ笑うように鳴いたりと妙に感情豊かである。

*12 台湾産の赤小玉ねぎ(エシャロット)をみじん切りにして油で炒めたもの。アニメでは「油葱酥(ヨウツォンスー)」と変更されているが同じものである。

*13 ちなみにジャンは肉用の他にも、魚介用と野菜用のXO醤も作っているが、作中では使用せず。ちょっと気になる所である。

*14 一口味見して中身を察した霧子は「料理に関する知識量が半端じゃない」と驚嘆し、ジャンの方も味を見抜いたことに「流石だぜ」と感心していた。

*15 対戦相手の一人の藤田は8~9点とこの時の点数では勝っていた。

*16 霧子も「こんなの「料理」じゃない! 「毒」だ!!」と激怒して殴った程。そのまま失格扱いになっててもおかしくない展開だったが沢田のパフォーマンスで幸か不幸か本選進出となった。

*17 原作だと藤田と会話する前にキノコを選んでいるので前者のようにも見えるが、アニメでは藤田が突っかかってきてから材料を選んでキノコを発見するという流れになっているので後者のニュアンスが強くなっている。

*18 上記の通り味そのものは藤田が高得点を取っており、『R』でもルール都合で敗退はしたがジャンに肉薄する点数を獲得しジャンにも評価されているなど、藤田は割と一貫して強い描写がされている。

*19 アニメ版での読みは「タイジーグオバー」

*20 ジャンが大谷をうまいこと解説役として利用したのもあり、沢田の料理は「高級食材を使った、旨くて当然のごちそう」でしかないと判断された。

*21 アニメではシャワー後の霧子との会話で「1回戦は正攻法で勝ったろ。お前好みのやり方でな」と霧子への当てつけだったことを明確に示している。

*22 鶏肉を裏返して皮を破かないよう骨を取る技法。「壺抜き」とも呼ぶ。

*23 仕上げのあんに味見もせずに余計なひと手間を加えてしまった

*24 ふた付きのスープを盛る器。アニメ版での読みは「バンウォ」

*25 医食同源の考えから体の調子を整えるために飲まれる甘いスープ状のデザート。アニメ版での読みは「トンスイ」

*26 原作・アニメともにこのシーンを見るとジャンは鍋と空の器だけ持っていっている

*27 一応、言葉こそアレだが「周囲に甘やかされてないで独立して修行しろ」と言ってるようにもギリギリ見えなくもない……? が、実際のところは「ヘドが出るぜ、甘ちゃんにはよォ」というセリフからして只管ムカついて仕方ないだけのようである。オマケに後年のアニメ放送時に作者からも「小此木しか友達がいないジャンの僻み」とバッサリ断言されてしまった。

*28 「上海ガニ料理」の課題で、先攻して審査員に超高濃度のカニスープを飲ませて、後攻のカニ料理の味を分からなくさせた。しかも直前に色仕掛けで審査員を惑わして自身を先攻にさせたので、たまたま先攻を取れたに近いジャン以上に悪質である。

*29 アニメ版での読みは「チュワンベイジェンリ」

*30 ユリ科の鱗茎を乾燥させたもの。

*31 ラーメンの麺によく入れられるアルカリ塩の事。

*32 沢田も大前も既存のレシピをアレンジした程度であり、沢田に至っては第二回でその点を「前回と同じ失敗」と酷評された。河原は当時最新鋭の真空調理を使ったが肝心の出来が悪かった。

*33 「否麺(麺であって、麺にあらぬ)料理を作れ」という課題で、主人公含めた他の挑戦者が小麦粉以外の食材を使って麺料理を作ったのに、その人物だけ従来通り小麦粉を使い、形を変えただけの麺料理を作ってしまった。

*34 ハナマスの花を漬けこみ、砂糖を加えた中国の薬酒。ほのかな甘みと花の香りがする。

*35 アコヤガイの真珠質を粉にしたもの。れっきとした漢方薬である。

*36 燕の巣の中でも最高級の赤い燕の巣。燕の巣を作るアナツバメの唾液に血が混じったもの…と言われていたが現在はその説は否定されており、たまたまミネラルや鉄分が他のものより豊富な燕の巣が、時間と共に赤く変色したもの、という説が現在有力。恐らくは上記の通り、階一郎が遺してくれていた品なのだろう。

*37 当然だが、野生の鳩を捕獲することは鳥獣保護法違反な上、鳩自身も危険な病原菌だらけなので真似しないように。そもそも日本に生息するドバトで乳鴿の血の美味しさを再現できるわけがないが

*38 ジャンに暴力を振るうなどの行いで退場させられていたが、自分の持ち点を抜いた審査の結果で霧子とジャンが同点だったため、ジャンを勝たせまいと持ち点全てを霧子に入れた。

*39 甘酢のソースのこと

*40 年長者の柏原が思い出したことにより発覚。当の蟇目はまるで記憶になかったらしく、特に気にしていなかった。

*41 一般に食材として出回っているケシの実は成熟すれば麻薬成分は含まれないが、コレは蟇目曰く成熟しても麻薬成分が消えない、中国奥地で違法栽培されていたという激ヤバな代物

*42 蟇目はこの料理でジャンを麻薬漬けにして従えるつもりだった。まさに外道。

*43 水に砂糖、醬油、八角などの各種香辛料を入れて作った調味液。

*44 と作中では説明されているが、生湯葉は簡単に破けてしまうのでとてもじゃないが巻けたものではない。実際は乾燥湯葉を水で戻したものを使っているのかもしれない。ジャンもシート状の湯葉を摘まんでいるし。

*45 豚の頭のローストに振動ボールと笑い袋を仕込んだもの。ちなみに豚の頭のロースト自体は美味しくいただきました。

*46 片栗粉とラードと浮き粉を熱湯で混ぜたもの。それに色粉を混ぜて色を付けた。

*47 ハトムギが原料の漢方薬。

*48 ショウガ科ヨウシュクシャの種子団塊。漢方で健胃薬などに用いる。

*49 「同物同治」とも言う。「体調が悪い時は、その体の不調な部分と同じ部位の食材(胃が悪い時は胃を、肝臓が悪い時は肝臓)を食べると良い」という医食同源の考え。実際に効果もある。

*50 黒大豆を発酵させた漢方生薬。

*51 マオウ科植物の地上茎を乾燥させた生薬。

*52 シソ科の一年草。

*53 クチナシ。その果実を乾燥させた漢方生薬。

*54 マメ科のクズの肥大した根を乾燥させた漢方生薬。いわゆる葛根湯の主成分。

*55 天然の含水硫酸カルシウム。

*56 現実では『滋陰補髄湯』とも呼ばれる。

*57 通常の『補髄湯』の弱点を突き、甘さで審査員の舌を満足させジャンのコッテリ料理を受けつけなくさせるために作った、かつてジャンが作った「密棗园肉燉蓮藕」に近いコンセプトの料理

*58 断崖絶壁にしか育たない高級茸。ミネラルに富み抗癌作用がある。なお茸とあるが実は地衣類というコケの一種である。

*59 ワスレグサ、カンゾウ、金針菜とも言う。ほうれん草の20倍もの鉄分を含み、生薬として使われる。

*60 左から『蛤蚧酒』『虎骨酒』『竜骨酒』という名称で中国に実在する高価かつレアな薬酒。

*61 サイの角に関しては当該項目参照。

*62 ちなみにこの「龍の涙」は自前のモノではなく、睦十オーナーの会長室から無断でこっそり持ち出したオーナー秘蔵の品。従業員「ドロボーだよそれ!」

*63 サソリの神経毒は血中に入ると危険だが、食べて胃液を通して吸収されると薬になるとのこと。実際に抗癌・抗菌・抗炎症・鎮痛作用を持つ生薬として蠍の毒は知られ、実際の食用サソリも毒針を抜くなどの加工・熱処理はしてある。

*64 とはいえ、中華料理や漢方では動物の睾丸やらといったものを扱っているので胆石程度では今更な気もするが

*65 英名・アンバーグリス。主に香料として使用されるが、ビタミンDを含み神経や心臓に効き、血圧を下げる効果もある漢方薬としても知られる。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』196巻でもネタにされている。なお、中でもマッコウクジラの龍涎香が最高級品。

*66 実際、ドリアンとアルコールの相性の悪さを土壇場で思い出したジャンは被害を最小限に抑えたものの、後者を対戦相手に突かれてピンチになった

*67 ハクビシンの肉に加え、「ホテル・ミラージュ」の社長の愛犬を殺して肉にして入れていた

*68 その後ジャンも意趣返しでスグルの卵に砂糖をぶちまけたが、それはアッサリバレた。

*69 イメージは上記のようにクッキーや、メロンパンの表面の生地の食感と考えて頂ければわかりやすい。

*70 揚げ物の衣や春巻の皮などのバリバリザクザク食感。イメージ的にはせんべいやポテトチップスのそれである。

*71 2回目の試食を迎えた時の審査員のテンションにも明らかな差がある

*72 ジャンに絶対に勝ちたいスグルがその反骨的な性格を見抜いた上でフォアグラの使用を先んじて伝えたのが理由

*73 鶏の天然脂肪肝。レア物だが本来はフォアグラより味も品格も劣る。

*74 敗北を認められないスグルが実際にその場で作ったところ、食べられたものじゃない代物が出来上がってしまった

*75 花梨の料理は調理中にスグルが振舞ったトマトスープの成分とセットになることでさらに効能を高めている

*76 「ダック・プレス」「プレス・ア・キャナール」とも呼ばれるフレンチの調理器具

*77 新米、古々米、インディカ米の3種から各選手ごとにランダムで決定

*78 事実、スグル、ザザビー、黄蘭青の強豪三人はジャンの罠を掻い潜って本戦進出している。

*79 中国でよく用いられるアブラナ科の野菜。白菜の一種

*80 そして調子に乗った大谷に頭を踏みにじられた。まさに外道。ぶっちゃけ提出した料理を食わない時点で審査員失格である……。

*81 しかも個人的な恨みで食べるのを拒否した大谷だけが0点の状態で90点、つまり実質満点だった

*82 けいかちんしゅ。キンモクセイの香りの酒

*83 ただし飲めるラー油と知らなかった為「あんだけ激辛とか舌が破壊されて審査にならなくなる」と言う割と真っ当な理由ではあったが

*84 大谷も意地を張って点は入れなかったが夢中になって食べていた。しかも微妙に隠れながら。

*85 極辛透明ラー油の方は取り扱いの難しさや一般ウケ等は置いておくとしても、あまりにも「透明度」と「辛さ」に特化し過ぎているため、その特性を十全に活かせる料理は実質「赤くない激辛料理」に限られる。

*86 サメの唇

*87 本人が「食感」も重視した料理を作る事もあって完成度の高さを把握しやすかったのだと思われる

*88 陳列棚を壊したり、ドームの金網を切ったり、油が飛ぶ可能性を承知でサメを生きたまま揚げたり。

*89 ちなみに一般審査員50人からは全員支持され50点満点。逆に一部の一般審査員から支持されず5点減点された黄の料理とは対照的である。

*90 あと睦十はどういう料理か想像出来ない腹いせに「覚せい剤でもやっておったんじゃないかあの山ザルめ」と危ない発言をした。

*91 豚肉のすり身を使った「豆芽塞肉」という料理。西太后の大好物のひとつだったとの事。

*92 ムラサキウマゴヤシのスプラウト(発芽野菜)。糸もやしとも言われている。

*93 淡水の植物プランクトンを粉状にしたもの。

*94 ただし、リバースしてたのはケペル1人だけ。一般審査員もドン引きこそはしてたがリバースまでしてる者はいなかった。

*95 皮肉にも、かつて大前に自分が行った「先行で時間をかけることで時間が経つとマズくなる料理に勝つ」という手が、図らずも自身に返ってきたことになる。

*96 しかも今度の理由は「ゲテモノだから」というワガママにも程がある理由である。本人も無理があるのは百も承知で「長引かせたら秋山に不利になる何かがある」と察していたためだが、お前正々堂々勝負したかったんじゃないのか。これには観客からもブーイングが飛び、流石の崔会長も「いい加減にせんか!」とキレた。

*97 脱皮したてで殻が柔らかいカニ

*98 南インドに伝わる、ヨーグルトに漬けて乳酸発酵・乾燥させた唐辛子の漬物。

*99 インドのマッサージであるアーユル・ヴェーダのセサミオイルを食用に改造して料理に取り入れたらしい。

*100 佐藤田も「誰にも知らせず『気付けばラッキー大当たり』程度のお遊びのつもりで入れた」との事。もちろん糟蛋を知ってて見つけられても使いこなせるかは全くの別だが。一回戦の面子ではジャン以外では強いて言うならブルーぐらいしか使えなかったかもしれない。

*101 ただし、大谷以外の審査員は全員ジャンの料理に興味津々だった為、仮に佐藤田の横槍がなくとも、彼らの猛反対で大谷の目論見は失敗していた可能性が高い。

*102 ジャンによると、クルマエビのエビミソは非常に量が少ないため小さじ一杯のエビミソを取るために50〜60尾のクルマエビが必要とのこと

*103 穀物肥育をせず牧草のみを食べて健康的に育ったオージービーフのこと。

*104 小麦粉やジャガイモなどの穀物で作るパンに似た中国の食品。もち米を材料にする日本の餅とは全く異なるもの。

*105 ワラビの根から採取した澱粉から作られた四川省特産の麺状食品

*106 それだけではなく雑味を徹底的に排除した佐藤田の料理より水道水の雑味をそのままぶち込んで「その雑味込みで味をさらに美味しく昇華させた」と言う点でも水を効果的に使うと言う点では佐藤田に勝っていると評価された

*107 流石に後年の感覚では浄水フィルター程度は必要だが。

*108 四川名産のからし菜の漬物

*109 空豆と唐辛子を発酵させた四川の高級豆板醤

*110 中国産の乾燥松茸

*111 中国における黒酢の代表格の1つ。「中国四大黒酢」と呼称されていた。

*112 ニンニクの芽や葉ニンニクのこと

*113 数種類の香辛料を空炒りして水と極少量の油で煮出す煮出し汁

*114 蟇目も五行も「おかわり」を前提とした料理であったため、一レンゲ1000円で済んでも、結局は「おかわり×1000円」となり、下手すると数万円掛かってようやく満足する料理となってしまった。リュウジのは前菜として作ったものであるが、結局、前菜を食べただけでは満足できず、主菜を頼む必要があるため、こちらも役者不足の料理となってしまった。