Synthesizer V
Synthesizer Vとは、人工ニューラルネットワークと波形接続合成のハイブリッド アルゴリズムによって、軽量のサンプルから自然で明瞭な音声を作り出す歌声合成ソフトウェア。
概要
「Synthesizer V」は、強力な音声処理エンジンと直感的で柔軟なユーザーインターフェースを併せ持つ歌声合成ソフトウェアです。英語・中国語・日本語で歌うことができて、声質の歪みのない柔軟な編集を可能にします。
特に声の調整をしなくても、自然な歌声になるのが大きな特徴です。
無料版のインストール
株式会社AHSのページから「無料ソフトはこちら」をクリックして、「Synthesizer V」の
リンクをクリックすると無料版(ライト版)のダウンロードができます。
インストール手順としては以下の通り。
- "Synthesizer V Studio Basic" をダウンロードしてインストールします
- 歌声ライブラリ (例えば "Synthesizer V AI 桜乃そら ライト版" など) をダウンロードして、*.svpk ファイルをダブルクリックすると歌声ライブラリがインストールされます
- あとはMIDIファイルを取り込むなりピアノロールでノートを入力します
- ■Pro版との違い
- ちょっとしたボーカル素材を作るくらいであれば無料版でもほぼ問題ありません。
- Pro (有料版) を買うと、FL Studioから "VST" として呼び出せる、オーディオデータから「MIDI」「歌詞」を抽出できる、英語やラップの歌詞が歌える、など便利な機能が使えます。
UI設定
日本語表示にする
右側にある「歯車アイコン」をクリックすると設定が表示されるので、そこから「Interface Language」を「日本語」にすると表示言語が日本語になります。
文字を大きくする
右側にある「歯車アイコン」をクリックすると設定が表示されるので、そこから「画面の拡大率」のスライダーを動かすと文字が大きくなります。
文字の色を明るくしたい
残念ながら変更できないようです…。
基本操作
歌声ライブラリの選択
トラックの "
(歌声が指定されていません)" をクリックすると歌声ライブラリを選択できます。
日本語ラップを歌わせる
2024.7.7現在、ノート単位での指定となります。(おそらくラップと通常ボーカルを組み合わせるため?)
方法は右側のノートプロパティアイコン(音符アイコン)をクリックして、ピッチモードを「ラップ」にします。
テンポの設定
トラックのマーカー部分をダブルクリックするとテンポが変更(またはテンポマーカーの作成)できます。
再生と停止のショートカットキー
SPACEキーで再生と停止(一時停止)です。
CTRL+SPACEで停止すると再生開始位置に戻ります。
再生と停止を使いやすくする
個人的な好みとして、SPACEキーだけで「再生」と「停止 (再生開始位置に戻る)」をして欲しいので以下のようにショートカットキーをカスタマイズしました。
機能 |
ショートカットキー |
トランスポート・再生 |
SPACE |
トランスポート・一時停止 |
CTRL+SPACE |
トランスポート・停止 |
SPACE |
これでSPACEキーだけで同じ場所を繰り返し再生できるようになりました。
再生開始位置の移動
マーカーの上にマウスを移動させて左ドラッグで移動できます。
再生位置を曲の最初・最後に移動
最後への移動は「CTRL+END」で用意されています。
ただ "最初へ移動" は設定されていないのでショートカットキーのカスタマイズで「CTRL+HOME」あたりにしておくのが良いかもしれません。
ノート・歌詞の編集
ノートの配置
ピアノロールの「鉛筆アイコン」をクリックして「何もないところを左ドラッグ」するとノートが配置できます。
FL Studioと異なり「左クリック」では配置できないことに注意します
なお左クリックしてノートを選択すると、ドラッグ操作でノートを移動できます。
ノートの削除
Deleteキー or Backspaceキー。または CTRL+X でカットします。
ノートのオクターブ移動
CTRL+U で1オクターブ上に移動。CTRL+D で1オクターブ下に移動。
スナップの設定
ピアノロールの「SNAP」をクリックすると、スナップする音符を指定できます。
歌詞の入力 (ノートに入力)
歌詞の入力は「ノートをダブルクリック」して文字を入力します。日本語でもアルファベットでも入力可能です。
複数の歌詞を入力する際は、TABキーで次のノートに移動できます。
また1つのノートに複数の文字を入力することができて、同音連打の場合にノートを切る必要がなくて便利です。
歌詞の入力(ダイアログから入力)
ノートを選択(クリック)した状態で「CTLR+L」で歌詞入力ダイアログを表示できます。
歌詞をスペース(全角スペースも可能)で区切ると、次のノートの歌詞となります。
スペースで区切るのが手間な場合は「1文字ずつ区切る」にチェックを入れることで、スペースなしでもノートを区切ってくれます。
歌詞の移動
「CTRL+SHIFT+左右キー」で選択しているノートの歌詞を左右に移動できます。
ショートカットキー
デフォルトのショートカットキー
「SHIFT+ホイール」と「CTRL+ホイール」は FL Studioと同じ挙動です。
ショートカットキー |
説明 |
ホイール |
垂直方向へのスクロール |
SHIFT+ホイール |
水平方向へのスクロール |
CTRL+ホイール |
水平方向の拡大縮小率の変更 |
ショートカットキーのカスタマイズ
設定画面をかなり下にスクロールすると設定項目が表示されます。
VSTとして利用する方法 (Pro版のみ)
Synthesize Vはスタンドアロンで使えますが、VSTとしてFL Studioから呼び出すこともできます。
VSTとして呼び出すには、メニューから「OPTIONS > Manage plugins」を選びます。
"Find installed plugins" をクリックすると、VSTがスキャンされます。
"Synthesizer V"のVSTが認識できれば以下の表示が行われます。
この表示が出ても、スキャンは継続しているのでさらに待ちます。
オレンジ色で表示されるのが新しく見つかったプラグインなので、★の部分をクリックして星マークをつけます。
ARA Pluginは 2024.6.22 時点での FL Studioでは未対応です
これでプラグインとして呼び出すことが可能となりました。
これで、FL Studioに同期して歌わせることが可能となります。
FL Studio Link について
FLStudio は ARAに対応していない(FL Studioの仕様上、当分は対応できない)のを何とかしようとしたのか、 "FL Studio Link" という機能が突如実装されました
「Synthesizer V」を VST として起動すると、右上に「FL Studio Link」という表示が点灯します。
これが有効になっていると、再生位置やテンポが完全に同期され、曲の途中でもテンポチェンジ可能となります。ただし「SONG」モードのみ使用可能となります。
ファイルの読み込み・書き出し
MIDIファイルのインポート
MIDIファイルをエディタに直接ドラッグ&ドロップすると「新規プロジェクトを作成」「新規トラックを作成」のダイアログが表示されるので、好きな方を選びます(新規トラックだと現在のプロジェクトに追加される形となります)。
書き出しオプション
エディターの右側にある「⤴」をクリックすると書き出しオプションを表示できます。
ここから「出力フォルダ」に例えばデスクトップを指定して、ファイル名に「vocal」と指定し、"ファイルに出力" ボタンをクリックします。
すると入力したボーカルのオーディオデータが書き出されます。
まれにパスの指定が正しいのに書き出しエラーとなる場合があります。
その場合はいったん「ファイル > 名前をつけて保存」でプロジェクトファイル (*.svp) を保存して Synthesizer V を立ち上げ直すと正しく出力されるようです。
AIリテイク (Pro版のみ)
Pro版では歌い方のニュアンスを変更させた AI リテイクが可能です。
設定方法はリテイクボタン(映画のカチンコ)をクリックして、「テイクを生成」ボタンをクリック。
「テイク生成」ボタンは選択したノートのみに適用しますので、
全体をリテイクする場合は「CTRL+A」ですべてのノートを選択します
すると新しいテイクが作れます。
リテイクの利用方法としては、気に入ったニュアンスを得る他にも「ダブリング」というボーカルを重なることで、音の厚みを増やす使い方もできます。
このようにリードボーカルを複数配置します。出力されたオーディオデータをよく見ると波形の形が少しずつ異なっています。
購入ガイド
以下の文章はアフィリエイトを含みます。
商品
リンクをクリックしてお買い物をすると、このサイトを支援することができます。
Pro版で追加される機能について
製品版(Pro)を購入すると以下の機能が追加されます。
機能 |
説明 |
ライセンス表記が不要 |
無料版では一般公開時に「◯◯を使用しました」という表記が必要ですが、Pro版では不要です |
VST/AUプラグイン |
FL Studioから直接プラグインとして利用可能。 プロジェクトに同期してオケと一緒に再生できます (※1) |
多言語対応 |
英語や中国語も使えます |
AIリテイク機能 |
歌い方を少し変えたリテイクができます。 いわゆるダブリング (※2) が簡単にできます |
ボーカルスタイルの変更 |
オープン、ソフト、クリア、チェストなど歌い方を変えられます |
ラップが歌える |
日本語ラップが歌えます |
トラック数が無制限 |
Basicは3トラックまでですが、無制限になります |
オーディオデータのMIDI化 |
ボーカルのオーディオデータを直接MIDIにできます。 精度は完璧ではありませんが、歌詞も抽出できます |
購入はスターターパックがおすすめ
歌声ライブラリは単品で買うとそれぞれ1万円近くします。そして製品版と組み合わせると合計2万円となります。
- Synthesizer V Studio PRO [1万円]
- 歌声ライブラリ [1万円)
ダウンロード版
ダウンロード版は公式サイトやAmazon、楽天などから買えます。
ただし、ダウンロード版にはスターターパック版が存在しないようです。
- 追記 (2024.6.22)
- パッケージ版を購入すると シリアル番号とDVD-ROMが付属してきます。
- ただ、AH-Softwareの公式サイトでシリアル番号を製品登録すると、アップデータからインストーラーをダウンロードできるので、どちらを購入してもあまり違いはありません。
ユーザー登録&シリアルの登録方法
各製品を購入するとシリアル番号が手に入りますが、製品登録するとシリアル番号をいつでも確認できるようになるので、登録をおすすめします。
ユーザー登録をするには
AH-Softwareの公式サイトから右上にある「製品ユーザー登録」をクリックしてユーザー登録します。
後はメールアドレスや個人情報を入力してユーザー登録を行います。
ユーザー登録ができたら、再び
AH-Softwareの公式サイトから右上にある「マイページ/ログイン」をクリックしてマイページに移動します。
「購入した製品を新たに登録する」をクリックして、対象の商品を選び、シリアル番号を入力します。
製品を登録するとマイページに表示されるようになるので、「利用可能なアップデータ一覧」から再ダウンロードすることが可能となります。
PC移行時はディアクティベートが必要
ライセンスは
PC1台のみインストール可能なので、PCを移行するときには「ディアクティベート」が必要となります。
他のデバイスで Synthesizer V Studio 製品を使用する場合は、元のデバイスで歌声データベースと本体をディアクティベートする必要があります。
なおディアクティベートせずにOSをクリーンインストールしてしまうと、サポートへ連絡して直接解除してもらう必要があるため注意です。
サポートに連絡し、もうディアクティベートもできないPCなのでリセットしてほしい旨を伝えると、サポート経由で制限解除してもらうことができた。
とはいえ、「次からはディアクティベートしてください」と言われた
ディアクティベート手順
ディアクティベート方法は右側のクラウドアイコンをクリックして、対象のライブラリを選び「ディアクティベート」をクリックします。
なお、まとめてディアクティベートする方法はなく、それぞれの歌声ライブラリやSynthesize V.Studio Proをディアクティベートする必要があります。
参考
最終更新:2024年07月20日 13:17