FLEXで作るTrance


FLEXのプリセット中心でTranceを作る方法をまとめました。エフェクトもすべて標準プラグインを使っています。


構成

よくあるEDMの構成としては、「Intro」「Buildup」「Drop」です。

Dropから作る

個人的には "Drop" から作る方が最終的な盛り上がりを決めることができるので作りやすいように思います。

各パート

Drum

"File > New from template" から "Minimal > Basic with limiter" を選びます。
Kick, Hat, Clap を入力。オープンハイハットがないので、ブラウザから "OH 909" で検索して追加します。

Hatのみ "Velocity" を入力して抑揚をつけます。

Bass

ベースは FLEX の "Saif Sameer Synthwave > DX11 Synthbass"。"Saif Sameer Synthwave" のパックには良い感じのシンセベースが多めで他にも良いものがあります。

フレーズはオフビートのベタ打ちとしました。

なお、キーは "A minor" となります。

補足:ベースをもっと動かしたい場合
今回の曲ではベースは "A" のみ、コードは "Am" のみを使用していますが、"A minor" がキーとなる場合、"Am" から開始して、"Dm", "F", "G" を任意に組み合わせると良い感じのコード進行になっておすすめです。

以下、"A minor" でのコード進行の例です。

Lead

リードは FLEX の "Olbaid Compendium > Simple Saw" を選びました。"Olbaid Compendium" のパックには良さげな SuperSawが多数あっておすすめです。

フレーズはローリングベース的なものとしました。

エフェクトとして、"Fruity Love Filter" を使用したサイドチェインと、カットオフで展開を作るための Low passのEQをインサートしています。

2024.1.6 追記:FLEXにはカットオフが搭載されている
作った後に気がついたのですが、FLEXのリードプリセットの多くには "Cutoff" のマクロが用意されているので、これをオートメーションで動かしたほうが良さそうです。

もしマクロがなくても "MASTER FILTER" の "Cutoff" からカットオフすることができます。

Pluck

Pluckは FLEX の "Sense Gemini Magnificence > Flat Screen" を使っています。
フレーズは、"333322" のリズムに Am のコード構成音+順次進行でコード外の音を入れる方法です。
補足:アルペジオをオクターブで動かす
アルペジオの動かし方の補足として、オクターブ上に動かすのも躍動感があっておすすめです。

コード進行に合わせてオクターブで動かすフレーズを試しに作ってみました。

プロジェクトファイル (FLP) も添付しておきます。
TrancePluckTest_001.flp

Pad

パッドは FLEX の "Arksun Cityscape > Haunting Hour" を使いました。

フレーズとしては単純なコード弾きではなく、トップノートを動かすようにしました。

なおこのフレーズはイントロのピアノでも再利用しています。

イントロを作る

ピアノ

ピアノは FLEX の "Sense Gemini Magnificence > Dream Piano" を使用しています。このピアノはTranceにかなりおすすめです。

フレーズはパッドのフレーズを再利用していますが、トップノートを少しだけ動かしたり、アルペジオを入れています。

ピアノフレーズは「ロングトーン」を多用する、低音のアルペジオを入れる、などするとエモくなりやすいのでこのようにしています。

ビルドアップ

ピアノ

ビルドアップではイントロのフレーズの頭を繰り返すようにしました。

ビルドアップではこういった徐々に繰り返し速度を上げていく、といった手法がよく使われます。

スネア (+クラップ) ロール

スネアロール(クラップ)もピアノと同様に繰り返しを早くすることで高揚感を得られるようにします。

またピッチを最後で上げるようにするとさらに良いです。

アップ・リフティング

ここだけ 3x Osc を使いました。サイコロマークをクリックしてノイズにします。

歯車をクリックして "MOD Y" の値を上げると風切り音のようになります。

あとは "MOD X" をオートメションで徐々に上げていくと、アップ・リフティングのFXが作れます。

エフェクトには "Fruity Reeverb 2" をインサートします。リバーブは "DEC" と "WET" の値を増やすと、ノイズのテールが伸びて良い感じになります。

インパクト音

ビルドアップからドロップの間に1小節のスペースを入れて、そこにインパクト音を入れています。

この「ドシーン」という音は、KickとClapに深いリバーブをかけることで実現しています。

リバーブは先程のアップ・リフティングと同じで、"Fruity Reeverb" の "DEC" と "WET" の値を大きくします。

ビルドアップの最後は High pass を入れる

ビルドアップの最後の1小節に High pass を入れるのも定番なので入れてみました。

今回はズルしてMasterトラックにEQをインサートしていますが、本来はSendトラックを作って処理したほうが良いと思います。

プロジェクトファイル

今回のサンプル曲のプロジェクトファイルを添付しておきます。
TranceTest2.zip

Tranceに使えそうなFLEXのプリセット

個人的なメモですが、Tranceに使えそうなFLEXのプリセットを以下のページにまとめています。

合わせて読むと良いかもしれないページ


動画

このページの内容を動画にしたものです。
最終更新:2024年01月09日 06:47