Tranceのフレーズの作り方




基本のリズムパターン

付点8分を使うことでグルーブ感を出す

例えば8分音符だけのリズムだと単調な印象を受けてしまいます。

もちろんこのリズムには力強さがあるので有効に使える場面も多いですが、グルーブ感という点では物足りなさがあります。
そこで、付点8分のリズムを取り入れます。

333322パターン

付点8分とは、8分音符に16分音符を組み合わせた長さのリズムです。16分のグリッドで「3つ」の長さとなります。

リズムに付点8分を取り入れることで、グルーヴ感が増します。
ただ、そのまま付点8分を繰り返すだけだと1小節目の終わりから頭に戻るときに唐突な印象を与えてしまいます。

そこでよく使われるのが、個人的に "333322" パターンと呼んでいるリズムパターンにする方法です。

このようにすることで、最後のリズムの唐突さを軽減することができます。

このリズムパターンですが、そのまま使わなければいけない…ということはなく、自由にアレンジできます。

音を足しても良いですし、削っても良いです。またタイミングをずらしてみても面白いリズムになるかもしれません。

332パターン

"333322" パターンをよりタイトに繰り返すパターンが "332" パターンです。

正確には "332" を2回繰り返します。

これも自由に音を足したり削ったり、ずらしたりできます。

それとリズムパターン作りがマンネリ化してきたら「CTRL+SHIFT+左右キー」でリズムパターンをrotateして入れ替えると、新鮮なリズムが得られる可能性があります。

Jersey Clubパターン

Jersey Clubという音楽ジャンルでよく使われるリズムパターンです。

このリズムの特徴としては、1〜3拍の強拍にリズムがあることです。それにより「力強いリズムとグルーヴ感」を得られます。
このリズムのアレンジですが、1〜3拍の間にリズムを足したりずらしたりすると「力強さ」が失われやすいため、後半部分の「332」の部分を変形させるのがおすすめです。

フレーズの作り方

ロングトーン中心のフレーズ

Tranceでよく見られるのがロングトーン中心のフレーズです。

これに "333322" パターンを適用すると、Tranceのリードっぽいフレーズになります。

それと跳躍進行する場合は駆け上がりのフレーズを挟むとそれっぽくなります。

リードのフレーズとは別にピアノでレイヤーするのも良いと思います。

フレーズ作りのメモ:フレーズの開始は「半音下げる」
フレーズ作りのコツですが、最初の2音は「半音下げる」と良い感じになります。

あそらく音楽理論的には「短三度上から開始して順次進行でルート音に着地するのが心地よい」と私は理解しています。そのためコードがマイナーの場合は、このパターンを試す価値はあるのではないかと思います。

跳躍(5度 or オクターブ上)進行を多用したフレーズ

"5度" または "オクターブ上" への移動を繰り返すフレーズもTranceではよく見られます。

一見難しそうなフレーズに見えますが、リズムだけを抽出すると "付点8分" を繰り返して、2小節目の最後で帳尻を合わせるシンプルなリズムです。

それと2〜4小節目や6・8小節目に動きがありますが、これは先程紹介した「ロングトーンのリズムを細かくする」の派生と考えて良いと思います。

このリードの役割はコードトーンに近いので、メロディパートが他にあればそれに合わせて適切な音程を選ぶ必要があります。

なお、このフレーズでは "Am → F → Am" のコード進行としましたが、"A minor" キーでは、"Am", "F", "G", "Dm" あたりはかなり扱いやすいコードなので、良いコード進行が思いつかない場合におすすめです。

ロングトーン+跳躍進行

ロングトーンと跳躍進行を組み合わせるのも良いと思います。

正確には休符の長いフレーズでロングトーンではありませんが、5度の跳躍を混ぜることで躍動感が得られます。(最後は音域の問題で3度としました)。

オクターブ+3度 (11度) の跳躍進行

オクターブ+3度 (11度) で跳躍するのもかなり躍動感が得られておすすめです。

3度から1オクターブ上の5度へ跳躍すると、11度上となります。

また、このフレーズのリズムは難しそうに見えるかもしれませんが、もとになったのは "332" パターンです。

それに対して音を足すことで、このフレーズとなっています。

オクターブ移動+Phrygianスケール

オクターブ移動とPhrygianスケールを組み合わせると Psytranceっぽいフレーズになります。

スケールをハイライト表示したい場合は、ピアノロールの「♪」アイコンを右クリック。

キーを右クリックして、"Other Phrygian" を選択すると、Phrygianスケールがハイライトされます。

ハイライトをもとに戻すときは "Black notes" を選択すると通常の表示に戻ります。

音楽理論的な話としては、Phrygianスケールは「スパニッシュ・スケール」に近い構成音を持つため、エスニックなフレーズとなります。
個人的な印象としては、「4度上」「3度下」までの音階を使用するとそれっぽい感じになるようです。5度上・4度下を超える音階を使うとダークな印象が薄まります。

Phrygian以外のスケールとしては「Minor Harmonic」「Other Arbic」「Other Eastern」「Other Japanese Insen」あたりがおすすめです。

コードでリズムを刻むパターン

コードでリズムを刻む場合は、「332」「333322」あたりが使いやすいです。


もし動きが単調に感じる場合は、トップノートを動かしてみても良いと思います。

もしくは帳尻合わせを2, 4小節にする方法もあります。
この場合は 付点8分が帳尻合わせまで続くパターンとなり、それまでは小節のグリッドをまたぐノートが登場します。

これによりリズムの解決が先延ばしになるため、もどかしさやフワフワした印象を与えることができます。

よりゆったりとしたリズムにしたい場合は「333322」の長さを2倍にした「666644」パターンを使います。

なお和音は 1度と3度の組み合わせとしています。

ベースとのコンビネーションでコード弾き

おそらくHouseミュージックでよく使われた、ベースとのコンビネーションでコードを弾く方法です。

機械的なTechnoサウンドから離れて、リズミカルなフレーズとなります。複雑に見えますが実は付点8分のリズムがベースとコードでズレているだけのパターンです。

ベースとコードを交互に弾くパターンもあります。

こちらは少し激しい動きにしたいときにおすすめです。

プロジェクトファイル

今回作成したプロジェクトファイルを添付しておきます。
TrancePattern_v104.flp

Patternのところに今回作成したパターンが入っています。

パターン名 説明
LongTone ロングトーン中心のフレーズ
5+OCt Interval 跳躍(5度 or オクターブ上)進行を多用したフレーズ
LongTone+5 Interval ロングトーン+跳躍進行
Oct+3 オクターブ+3度 (11度) の跳躍進行
Oct+Phrygian オクターブ移動+Phrygianスケール
Chord_3333333_2222 コード (333322拡張)
Chord_332 コード (332)
Chord_333322 コード (333322)
Chord_333322 #2 コード (333322・トップノートを動かす)
Chord_666644 コード (666644)
Chord_bass+[3,5] ベースとのコンビネーションでコード弾き
Chord_bass+[3,5] #2 ベース+コードを交互に弾く

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動画

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最終更新:2024年01月13日 21:31