初心者向けTranceチュートリアル
このページでは、FL Studio初心者向けにTranceのチュートリアルを書きます。
環境設定
FL Studioのポップアップで表示される文字は、初期状態だとかなり小さくて読みにくいです。
そのためメニューから "OPTIONS > General settings" を選び、
ここの "Pop-ups scaling" を適切な値にすると良いです。(4kモニターを使っているので300%にしていますが、通常のモニターであれば "150%" くらいが良いかなと思います)
プロジェクトの作成
メニューの "FILE" から、"new from template > Minimal > Basic with limiter" を選択します。
チャンネルラックには "Kick", "Clap", "Hat", "Snare" が読み込まれています。
もしチャンネルラックが表示されていない場合は、このアイコンをクリックして表示します。
さらに
ミキサーの "Master" トラックには
Fruity Limiterがインサートされています。
これは音量が0dBを超えないようにするもので、音量が大きくなりすぎて耳を傷めないようにしたり、スピーカーが壊れたりしないようにするためにも、基本的には挿しておいた方が良いです。
もしミキサーが表示されていない場合は、このアイコンをクリックして表示します。
ドラムパターンの作成
Kickの作成
Kickを4つ打ちで配置します。
3つおきで左クリックで配置します。位置を間違えた場合は右クリックで削除できます。
Kickの4つ打ちはよく使うパターンなので、右クリックして"Fill each 4 step" で入力する方法を覚えておくと便利です。
なお、ステップシーケンサーの色が変わる部分がそれぞれ拍に対応していて、Kickはその拍の頭に配置されることとなります。
Clapの作成
ClapはKickの裏拍(2, 4拍) に入れます。
"Fill each 8 step" で入力した後、"Rotate right" (CTRL+SHIFT+右キー) を 4回行うことでも作成できます。
Hatの作成
Hatをすべてのステップに入れます。
Basicのテンプレートに含まれているHatは "クローズハイハット" と呼ばれるタイトなハイハットで、こういった細かいリズムを刻むのに向いています。
オープンハイハットを入れたいので、
ブラウザで "909 OH" で検索します。
ブラウザは FL Studioの右側に表示されるパネルで、サンプルなどの素材データを管理するところです。
もしブラウザが表示されていない場合は、このアイコンをクリックして表示・非表示を切り替えられます。
"ALT+F8" でも表示の切り替えができるので、覚えておくと便利です。
"909 OH" で検索して見つかった "909 OH" をチャンネルラックにドラッグ&ドロップします。
このとき他のチャンネルにドラッグ&ドロップしてしまうとサンプルが上書きされてしまうのでご注意ください。
もし、操作を間違えた場合は、"CTRL+Z" で1つ前の状態に戻せます。
そして "909 OH" を裏拍に入れます。
「裏拍」と言っているのは、それぞれの拍の頭の裏にリズムがあるためです。
裏拍をどのように扱うかでリズムのグルーヴ感が決まりますので、これを意識することはとても大切です。
チャンネルの色を変える
チャンネルの見た目をわかりやすくするために色をつけてみます。
まずチャンネル名の右となりにある縦長の部分をマウスでドラッグして複数選択します。
左上の▶ボタンをクリックして、"Color selected > Gradient" を選びます。
これは複数選択したチャンネルにグラデーションで色を設定するものですが、ドラムは全部同じ色にしたいので、以下の手順で開始色と終了色を同じにして "Accept" ボタンを押します。(※色に意味はないので、青以外の好きな色でもOKです)
するとチャンネルの色が設定されました。
ミキサーの設定をする
チャンネルをミキサーに割り当てます。
まずはこのアイコンをクリックするか "F9" でミキサーを表示します。
ここの再生ボタン(または "SPACEキー") でパターンを再生してみます。
再生するとわかるのですが、ミキサーの1, 2, 3にそれぞれ Kick, Clap, Hat の音が流し込まれています。
これはチャンネルラックのここにミキサートラック番号が指定されているためです。
なお、ここが未設定の「---」になっていると、マスタートラックに直接流し込まれます。
"909 OH" のミキサー番号が未設定なので、ここにマウスを移動させてホイールで設定しても良いです。
ただせっかくチャンネル名と色がついているので、それを含めてミキサーにまとめて設定する方法を紹介します。
まずはチャンネルをマウスドラッグで全部選択します。
次にミキサートラックの1番を右クリックして "Channel routing > Route selected channels staring from this track" を選びます。
するとミキサートラックにチャンネルが割り当てられ、色と名前も設定されました。
連番でミキサーに割り当てる方法と、選択しているチャンネルをミキサーに割り当てるショートカット (CTRL+L) は重要なので覚えておくと便利です。
プレイリストへの配置
ここまでで作成したのは "パターン" と呼ばれるもので、曲の部品となる部分です。このパターンを「
プレイリスト」というところに貼り付けて組み合わせながら曲を作るのが、FL Studioでのワークフローとなります。
プレイリストを表示するには、ここのアイコンをクリックするか "F5" を押します。
ハケのようなアイコンが選択されているのを確認して、Track1 のところに左ドラッグでパターンを配置します。
そして再生ボタンの左となりにある部分をクリックすると緑色の "SONG" になります。
この状態で再生ボタンを押すとプレイリストでの再生をすることができます。
ここまでの段階だと、プレイリストに並べる意図がわからないと思うかもしれませんが、今後パターンが増えるに従ってとても便利な機能となります。
最後にパターン名を変更する方法についてです。
プレイリストの左側にあるこのアイコンをクリックすると、パターンのリストが表示されます。
まだ1つしかないですが、まずはこの "Pattern 1" をホイールクリックします。
するとパターン名を設定するダイアログが表示されるので、「▶ボタン」から "Drums" を選びます。
パターン名が "Drums" に設定されました。
なおパターンの選択はこのプレイリスト以外にも、ツールバーのこのドロップダウンから選ぶこともできます。
ベースの作成
ベースのパターン作成
ドラムとベースではパターンを分けたいので、ここの「+」をクリックして新しくパターンを作成します。
するとパターン名を入力するダイアログが表示されるので「▶ボタン」から "Bass" を選びます。
パターンの名前が「Bass」に設定されました。もしプレイリストを開いていればここにも "Bass" が表示されていることが確認できます。
FLEXの起動
まずチャンネルラックに戻ります(F6キー)。
ベースには "FLEX" を使用します。
このアイコンをクリックするか "F8" を押してプラグイン一覧を表示します。
FLEXは "Generators" カテゴリのここにあります。
個人的にはプラグインを追加する場合はチャンネルラックのこの部分から一覧を表示する方法が好みですが、やりやすい方法で構いません。
FLEXを起動できたら、"Arksun Cityscape" というプリセットパックを選びます。
もしこのプリセットパックがない場合は "FREE" タブから無料でダウンロードできます。
"Bite Me" というプリセットが良い感じのベースなのでこれをクリックして選びます。
ちなみにこのプリセットパックを作られた "Arksun" という方はTrance曲を作る人なので、なんとなくTrance向きのプリセットが多くて個人的におすすめです。
名前の設定とミキサーへの割り当て
チャンネルの名前を設定する場合はプリセットから選ぶと楽です。
チャンネル名をホイールクリック、または "SHIFT+左クリック" すると名前変更のダイアログが表示されます。
ダイアログの左下にある「▶ボタン」をクリックするとプリセット一覧が表示されるので "Bass" を選びます。
するとチャンネル名と色、アイコンが自動で設定されます。
チャンネルは "Bass" を選択した状態でミキサートラックの6番を右クリック、"Channel routing > Route selected channels to this track" を選びます。
すると "Bass" にミキサー6番が割り当てられ、ミキサーも同じ色と名前が設定されました。
なおこの割り当て方法はよく使うので、右クリックのメニューから選択するよりも "CTRL+L" で設定する方法を覚えておくと作業効率がアップします。
ピアノロールにベースを入力する
ピアノロールを開く
FL Studioでピアノロールを開くには、以下の4つの方法があります。
No |
方法 |
詳細 |
1 |
チャンネルラックの右上のボタンを クリックして、 グレーの部分をクリック |
|
2 |
チャンネル名を右クリックして "Piano roll" を選択 |
対象のチャンネルを選択していない場合には 右クリックでチャンネル選択も同時に行われるので この方法も悪くないです |
3 |
ツールバーのアイコンを クリック |
操作に慣れないうちはこれでもOK。 できれば "F7" で素早く開けるようになると良いです |
4 |
ショートカットのF7キーを押す |
これが一番おすすめ |
この中で一番おすすめなのが「F7」キー。これを覚えるだけでFLでの作曲速度がかなりアップします。
ノートの入力
ピアノロールを開いたら、まずは「CTRL+右クリック」を押します。とりあえずこれを押しておくとピアノロールが良い感じに広がります。
画面サイズ調整系でひとまず覚えておきたいショートカットは以下のとおりです。
ショートカット |
説明 |
CTRL+右クリック |
画面一杯にノートが収まるように自動調整 |
CTRL+右ドラッグ |
選択した範囲を拡大 |
CTRL+ホイール |
横幅のサイズを調整 |
ホイールボタン長押し+マウス移動 |
画面のスクロール |
ノートは左クリックで配置、右クリックで削除です。
A2, A3にオクターブベースで入力します。
もしノートの長さが合わない場合は、SHIFT+左ドラッグでノートを配置して、ノートの長さが合うように調整します。
なお、"A" というのは「ドレミファソラシド」で言う「ラ」の音にあたります。
ド |
→ |
C |
レ |
→ |
D |
ミ |
→ |
E |
ファ |
→ |
F |
ソ |
→ |
G |
ラ |
→ |
A |
シ |
→ |
B |
スケールやコード進行、音楽ソフトなどではこのアルファベット表記が使われることが多いので、これも覚えておくと良いです。
ということで再生してみますが、おそらくドラムループが再生されるだけで、ベース音が再生されないと思います。
理由は再生モードが "SONG" になっているためです。"SONG" モードはプレイリストの再生を行うだけで、"PATTERN" モードの再生ではありません。
"PATTERN" モードに戻すには緑色の "SONG" をクリックします。
そうすると表示がオレンジ色の "PAT" になりパターンモードとなりました。
"SONG" モードと "PATTERN" モードのどちらを使っているかは混乱しやすいポイントなので、意識的に切り替えられるように慣れる必要があります。
再生できるのを確認できたら、ベースパターンを4小節目まで増やします。
ここで行っている操作は以下のとおりです。
No |
処理 |
操作方法 |
1 |
ノートの選択 |
タイムバー(黒い部分)を右ドラッグで選択 |
2 |
ノートの複製 |
CTRL+B (選択しているノートを後ろに複製) |
3 |
選択の解除 |
タイムバーを左ダブルクリック |
この手順以外にも「CTRL+左ドラッグで範囲選択して、SHIFT+左ドラッグでコピー」などの方法があります。
その他、直接1つずつノート配置しても良いですが、単純なフレーズはコピーした方が早いです。FLには便利なショートカットが大量に用意されているので、作曲の合間に便利な機能を少しずつ理解することが大切となります。
タイムバーの再生開始位置を元に戻す
たまに曲の再生開始場所が途中からになっていまうことがあります。
再生位置を最初に戻すには、カーソルをドラッグして戻す、停止ボタンを押す、再生位置のスライダーを左端まで移動させる、などの方法があります。
サイドチェインをかける
サイドチェインはグルーヴ感を出すために重要なエフェクトです。今回の単調なベースやコード弾きなどに適用すると効果的なので、サイドチェインをかけてみます。
F9 を押してミキサーを表示し、ミキサートラック6番が選択してから、ミキサースロットの▶ボタンをクリックします。
そして "Select" から "Filter" カテゴリにある "Fruity Love Philter" を選びます。
"Fruity Love Philter" の右上の「▶ボタン」を右クリックして、"Special > Sidechain low freq" を選びます。
これで、サイドチェインが適用されますが、余計な音が混ざっているので純粋なサイドチェインのみにします。
まずBank1を選んで、FILTERセクションを "OFF"にします。
次に Bank2, 3 をOFFにします。
これで純粋なサイドチェインになりましたが、プチプチするノイズが聞こえます。これは下のEnvelopeカーブが急激に0になっているためです。
このプチプチノイズを消すにはカーブをなだらかにする必要があります。その修正を行うため、ここのアイコンを消えた状態にします(磁石と左右の矢印アイコンです)。
そしてカーブの終端を少しだけ左側にドラッグします。
これによりノイズがなくなりました。
プレイリストに配置して確認
F5を押してプレイリストを表示し、Bassのパターンをプレイリストに並べます。
なお再生時には "SONG" モードにすることを忘れずに…。
コードの作成
Harmlessの起動
Harmlessを起動して、"preset" を右クリックして、"X Orbaid > Lead > Supersaw 2" を選択。
ミキサーへの割り当て
これもミキサーに割り当ててサイドチェインをかけます。
メロディの作成
FLEXを起動
"Sense Gemini Magnificence > Dream Piano" が良い感じのピアノなのでこれを使います。
もしこのプリセットパックが表示されない場合は、"FREE" タブからダウンロードします。
ピアノロールでメロディを入力
今回はあまり主張しないピアノにしてみます。
今回のスケールは A minor なので、3度上の C から順次進行にしてみました。
さらに、ちょっとした駆け上がりフレーズを挟んでみました。
こういったフレーズは、次のノートに順次進行でつながるようにするとスムーズになります。
アルペジオ
アルペジオとは分散和音のことです。
Tranceの場合は Pluck という短い音で細かくリズムを刻んでいきます。
FLEXを起動
FLEXに "Mobile Synth Pluck" という使い勝手の良い Pluck があるのでこれを使います。
ここでは "Synpluck Buzzy" を選んでみました。
ピアノロール
コード構成音が中心となっていれば大きく違和感が出ることはないと思います。
アルペジオには「登り」「下り」「複合」のパターンがありますが、ここでは下り中心としました。
あと、リズムをどのようにするかは重要です。1つのパターンを決めたら基本的の同じパターンを繰り返します。
それとパンを左右に振ると音の広がりや楽しさが生まれて良いと思います。
DelayやCutoffの調整
PluckはDelayが強めにかかると心地よいので、DelayのMixを増やしました。
また他のパートを邪魔しないようにCutoffを下げて削っています。
スネアロールを入れる
パターン入力とピッチアップ
Gross Beat
ミキサーにGross Beatを入れて、"Complex 11" を適用します。
ブレイクビーツを入れる
Slicexを起動
Slicexを起動して "Pack > Loops > Stadium" を読み込ませます。
4小節目に思いつくままにノートを置きます。
ノイズFXを入れる
3x Oscを起動
3x Oscを起動して、すべてのオシレーターをノイズに設定します。
オートメーションでモジュレーションを変更する
アシッドベースを入れる
Sytrusを起動
Sytrus を立ち上げて、"Short synth" から "Acid" を選択します。
ピアノロールに入力する
ルート+オクターブ移動のフレーズとしました。
Panも設定しておくと良いです。
Split by channel で分離してプレイリストに配置
後は "Split by channel" で分離してプレイリストに配置していきます。
ここから先は
特に今回作成したものは Drop のみなので、ちゃんとしたTranceを作るには Intro や Buildup の作り方を学ぶ必要があります。
最終更新:2023年12月30日 19:04