パーカッションの打ち込みテクニック




パーカッションの選び方

パーカッションを打ち込むときには、以下のことを考える必要があります。
No 考えること 説明
1 用途を決める パーカッションで何をしたいのか
2 楽器・音色を決める どのパーカッションを選ぶべきか
3 演奏方法を決める パーカッションでどんなリズムを打ち込むのか

まずはパーカッションで「何をしたいのか」を決めます。おおよその場合、パーカッションの目的は「ワンショット・フィル・ブレイク」を作る目的と「ループを作る」という2つの目的に分かれます。
目的を決めたら、どの音域を補強したいのかを決めます。

パーカッションごとの音域とドラムとの兼ね合いは以下のとおりです。
ドラム 音域 対応するパーカッション
キック 低音域 コンガ、ボンゴ
スネア 中音域 コンガ、ボンゴ、タンバリン、トライアングル
ハイハット 高音域 シェイカー、タンバリン、トライアングル
打ち込みについては、タンバリンでの方法を例に説明をします。

タンバリンでの打ち込み例

タンバリンは「高音の帯域」のリズムを補強するのに役立つパーカッションです。
J-Popの楽しげな曲や、EDMだとハウスやテクノで使うのが効果的です。

FLでタンバリンを使う方法
FL Studioでタンバリンを使うには、ブラウザの検索欄に "tamb" と入力するといくつかサンプルが見つかるのでそれらを使用します。

これらのサンプルを Sampler に読み込ませればタンバリンが使えます。
1. ワンショットとして使う
まずはドロップに入る前にワンショットとして使う方法です。
例として、以下は1, 3拍の裏にアクセントを追加しました。

ワンショットで使う場合は、他のリズムとかぶらないグルーヴで新しい変化を作ることが大切です。

なお、どの用途で使うにしてもEQの調整は大切です。タンバリンの役割は高音域なので、3k Hzあたりからばっさりローカットするのがおすすめです。

そしてリバーブで音の広がりを出します。"H.CUT", "SIZE", "DEC", "WET" あたりのパラメータを少しだけ調整して音の広がりを作ります。

最後に Fruity Stereo Enhancerでステレオ感を補強します。ここでは LRのノブをL寄りに変更しました。

2. ループとして使う
タンバリンは、ループするパターンを作ることもできます。
ループする場合は、ワンショットよりも手数を多くします。

ただ、ベタに置くだけだと悪目立ち過ぎてしまうので、"Vel"の値を調整してグルーヴ感を作ります。タンバリンはハイハットに近い役割を持っているので、裏拍を強調するようにしてみました。

そしてベロシティだけではなく "Pan"を左右に振ることでもグルーヴ感を強調できます。

最後にピアノロールを開いて4小節ぶん複製して完成です。

なおパターンを複製する場合、マーカーの部分を右ドラッグで1小節選択してCTRL+Bで複製できるので、これを覚えておくと便利です。

ちなみにループではノート側でPanを操作しているので、Fruity Stereo Enhancerは削除しておいたほうが良いです。

さらにGross Beatのプリセットの "Momentary > "Sidechain" からタンバリンにサイドチェイン効果を入れると面白いサウンドが得られておすすめです。

パーカッションの演奏データの作り方

パーカッションの演奏データの作り方は FPCに大量のMIDIが付属しているので、これを使うのが便利です。
もしくはループ素材を参考にします。

FPCを参考にする方法

まずはFPCを参考にする方法です。
あらかじめ FPC の "Free Kit" をダウンロードしておきます。

プリセット音源の選択
次にプリセットを右クリックして "Expansion" からパーカッション系のプリセット音源を選びます。

おすすめは以下のものです。
プリセット名 説明
FPC Bongo ボンゴのみの音源
FPC Conga コンガのみの音源
World Arbic A アラビックなパーカッション詰め合わせ
World Arbic B アラビックなパーカッション詰め合わせ
World Busket
World China 中国の打楽器詰め合わせ
World Dunu
World Japan 日本の打楽器詰め合わせ
World Surdo 1 ブラジルの打楽器スルド
World Surdo 2 ブラジルの打楽器スルド

なおプリセット音源を選ぶときは、すべてのプラグインに共通していることですが、左上の▶ボタンから「Browse presets」を選ぶとブラウザから音源を選べて便利です。

演奏データの選択
演奏データはプリセット矢印の下あたりの矢印から選べます。ここから "Percussion Loops"に コンガの演奏データ "fpc_conga" があります (※名前はコンガですが、エスニックな演奏全般に使えます)

なお毎回ここから選ぶのは大変なので、ブラウザの検索欄に "drumloop" と入力します。

するとブラウザに "FPC drumloops"フォルダが表示されるので、ここから演奏データを選ぶのが楽でおすすめです。

なお "fps_conga" にもエスニックな演奏データがあるので、おすすめのMIDIファイルがあるフォルダの紹介です。
フォルダ名 サブフォルダ・ファイル名 説明
Percussion Loops fpc_conga_* コンガの演奏データ
fpc_gm_* GM音源の演奏データ
Blames Hand Percussion loops パーカッションの様々な演奏データ
World Loops fpc_world_* World系の音源プリセットに対応した演奏データ

タグ付けしてブラウザから素早くアクセスできるようにする。
それとこれらの演奏データを頻繁に使用する場合は ブラウザ/高度なプリセット・素材管理 で "FPC" タグをつけるなどして、素早くアクセスできるようにして置くと良いと思います(FPCのプリセット選択は使いにくいため)。

ループ素材を参考にする方法

ループ素材を探すには FL Cloud がおすすめです。
FL Cloudでパーカッション素材を探すには "Sounds > instrument > Percussion" から対象の楽器を選びます。ここでは "Bongo" を選びました。

ループ素材が決まったら、素材をピアノロールにドラッグ&ドロップします。

するとピアノロールに、その素材の波形が表示されます。

あとはこの波形をガイドラインにパーカッションのパターンを打ち込んでいきます。

打ち込みのコツとしてはゴーストノートもしっかり設定することです。これによりノリがしっかり再現できます。

なおこの波形を消すには「ALT + N」を押します。
ピアノロール左上の▶ボタンから "View > Background waveform" を選んでも消すことができます。

GM音源のパーカッションのキーマップ

GM音源のドラムセットにはパーカッションが含まれています。
音階 C C# D D# E F F# G G# A A# B
7 ウィンド
チャイム
6 ホイッスル
Low
ギロ
Short
ギロ クラベス ウッドブロック
Hi
ウッドブロック
Low
クイーカ
Hi
クイーカ
Low
トライアングル
Mute
トライアングル
Opened
シェイカー スレイベル
5 ボンゴ
Hi
ボンゴ
Low
コンガ
Mute
コンガ
High
コンガLow ティンバレス
Hi
ティンバレス
Low
アゴゴ
Hi
アゴゴ
Low
カバサ マラカス ホイッスル
Hi
4 - - - - - - Tambourine - Cowbell - VibraSlap -
  • スレイベル[A#6]: クリスマスのときによく聞くベルの音

FLEX の "General MIDI Library > Drum Kit" にはGM音源のパーカッションが含まれているので、GM音源のMIDIファイルを使いたい場合はひとまずこれを音源に設定すると良いです。
最終更新:2023年11月26日 11:06