分数コードの使い方

このページでは分数コードの使い方について説明します。


分数コードとは

分数コードとは、コードを "F/G" というように分数でコードを表現したものです。
例えば "F/G" であれば、ベース音が "G" となり、コードそのものは "F" で表現します。
言い換えると、コードの構成音以外の音程であってもベースにすることができる表記方法とも言えます。
(正確にはコード構成音のルートでない音をベースにする場合、例えば "Am/C" はスラッシュコードと呼ばれ、構成音以外は分数コードはポリコードと呼ばれます)
なお分数コードは "F on G" という表記もされるため「オンコード」という呼び方もされます。

分数コードはベースを入れ替えることで、コードの「響き」を変え「役割を変化」させる機能を持ちます。

分数コードの「3つ」の使い方

分数コードは主に3つの使われ方があります。
  1. ベースの動きを順次進行にする
  2. サブドミナントやサブドミナントの代理コードにドミナントの機能を持たえる
  3. ペダルポイント

基本的に分数コードは「コードを美しくつなぐ」ことに利用されることが多いです。

1. ベースの動きを順次進行にする

例えばカノン進行には以下のような分数コードがよく使用されます。
C - G/B - Am - Em/G - F - C/E - Dm - G
ベースの動きを見ると、順次進行となっておりベースの動きを美しいものにしています。

2. サブドミナントやサブドミナントの代理コードにドミナントの機能を持たせる

例えばキーが Cメジャー の場合、サブドミナントはF、サブドミナントの代理コードはDmとなります。
これを F/G、Dm/G にするとドミナントモーションとして機能させることが可能となります。特に "Dm→C" は通常使われない進行なのですが分数コード "Dm/G→C" にすることで違和感なく C に接続することができます。

これにより得られる効果としては、"G→C" のドミナントモーションよりも主張を弱くしていることから「解決感はあるもののゆったりした変化」という印象を与えることができます。

具体例として、玉置浩二氏の作曲による楽曲「悲しみよこんにちは (斉藤由貴・作詞:森雪之丞)」ではサビの部分で、"F7 - F7/G - Am - Dm - Dm/G - C" というコード進行となっています (原曲のキーはBbメジャーですがわかりやすいようにCに転調しています)。変ロ長調が持つ「美しく楽しげ」という特性を利用しつつも、亡き夫に対する悲しみから「少しずつ」立ち直る未亡人の女性の気持ちを軽やかに美しく歌い上げた歌詞の曲です。そういった繊細な心の変化を表現するために、サブドミナントの分数コードはとても適切と言えるかもしれません。

3. ペダルポイント

どっしりした雰囲気を表現をするために向いたコード進行です。
例えば、"C - G/C - Am/C - CM7 - F/C - C - F/C - G/C" などが考えられます。
トニックペダル
特にベース音にトニックが使われる場合には「トニックペダル」という呼び方がされ、落ち着いた雰囲気や明るさ、前向きな印象を与えます。

ドミナントペダル
ベース音にドミナントが使われる場合は「ドミナントペダル」と呼ばれます。
例えば、"G - F/G - Em/G - F/G - G7" などが考えられます。
ドミナント状態がずっと続くので、どっしりとしながらも解決までの「じらし」を表現することができます。


参考

最終更新:2023年11月15日 22:35