【EDM】Hardcoreの作り方【DTM制作】
関連情報のまとめ
- (※1) 300円で購入できて、PIXIV FANBOXで支援するとMK / Shadw氏の他のチュートリアルも動画のFLPもダウンロードできるようになります。動画だけでは理解できない場合、プロジェクトファイルを購入することをおすすめします
- (※2) 主要なエフェクトの多くがFL標準プラグインで処理されています
Kick
補足:Srav3R氏もおすすめの Stonebank
U.K. Hardcoreをメインで作られている Srav3R氏も "Stoneback" をおすすめしています。
UK Hardcore作りたいならStonebankのSpireとSylenth 1とSerumのPreset Bankとサンプルパックは絶対買った方がいいって断言できるくらい必須アイテムな気がする。
エフェクター:Transient Processor
パラメータ名 |
値 |
ATTACK |
50% |
RELEASE |
35% |
DRIVE |
25% |
このエフェクトにより、Kickの音が少しだけキーンと伸びるような感じです。
Lead1
HardcoreのLeadは「シンプルな波形」にエフェクトをガンガン挿して作っている…とのことで、その音を目指して作ります。
まずは "Menu > Preset > Clear Init" でパラメータを初期化します。
波形(オシレーター)
オシレーターは "Oscillator A1" のみを使用。
デフォルトからの変更点は以下の通り。
パラメータ名 |
値 |
PITCH > OCTAVE |
+1 |
DETUNE |
9時方向 |
VOICES |
4 |
VOICESの数を増やしてSAWを重ねることで音に厚みを出し、DETUNEでうねりを加えています。
モジュレーション
モジュレーションは "MOD ENV2" の Decay に少しだけ "Pitch A and B" のピッチアップを適用してチュイーンという立ち上がりを加えることで、アタック感が生まれます。
パラメータ名 |
値 |
D |
0.85 |
R |
0.0 |
Dest1 |
Pitch A and B |
Dest1Am |
1.26 |
モノレガート・ポルタメント
ボーカルにおけるシャクリ的な音をモノレガートとポルタメントで表現します。
パラメータ名 |
値 |
MONO LEGATO |
ON |
PORTAMENTO |
30〜40% (10〜11時方向) |
エフェクト > ディストーション
ディストーションをかけて音の丸みと存在感を出します。"DISTORT" にチェックを入れます。
"Amount" はおおよそ「5.38」となっていましたが、初期値の「5」でもあまり変わらないと思います。
エフェクト > コーラス
コーラスを有効にします。特に設定する値はなく "CHORUS" にチェックを入れるだけです。
コーラスによりフレーズに厚みが生まれました。
Lead1 (Sylenth1) のプリセット
プリセットのパラメータを目コピして作成したリード1 (Sylenth1) のプリセットを添付しておきます。
LD_Saw1.fst
ただ、私の見落としがあるのか、もとの音と比べると若干抜けが悪いような気がするので、オリジナルの音色が欲しい場合はプロジェクトファイルを購入した方が良いと思います。
ちなみに FL標準のプラグインだと、
Harmless の以下のプリセットが近い音のような気がします。
- "Leads > Obligatory jump FG"
- "X Nucleon > Lead > Sharp"
- "X Nucleon > Lead > Superpluck"
- "X Olbaid > Lead > Lead Arcade"
- "X Olbaid > Lead > Lead Detune"
- "X Olbaid > Lead > Lead Gold"
- "X Olbaid > Lead > Lead Supersaw1" または "Supersaw2"
Unisonの"Order"を4に減らしてデチューン "Pitch" の幅を小さくするとそれなりに似た音になるので、Sylenth1がない場合はこれで代用しても良いかもしれません。
エフェクト
リバーブですが、Lead作成中と最終的なパラメータが異なります。
まずOTTを後ろに差し込む前の状態。
パラメータ名 |
値 |
SIZE |
75 (3時方向) |
MOD |
34% (10時方向) |
ER |
50% |
WET |
90% |
"SIZE"と"WET"を大きめにして音の広がりを与え、リバーブを強めにかけています。
パラメータ名 |
値 |
補足 |
H.CUT |
16kHz |
|
SIZE |
54 |
少し小さくなっている |
MOD |
0% |
ゼロになりました |
DEC |
5.3sec (10時方向) |
|
"DEC"を増やしたことでリバーブがかなり強めにかかるようになったので、"H.CUT"を増やしたり"SIZE"が小さくなっています。あと "MOD"が0%になっています。
マルチバンドコンプ (OTT)
Fruity Reeverb 2の後ろにOTTをインサートします。
最終的な並びもこれだったので、"Reverb -> OTT" という順番で音を組み立てていくのが MK / Shadw さんの作り方なのかもしれない。
OTTのパラメータは以下の通り。(2つだけ修正)
パラメータ名 |
値 |
DEPTH |
37% |
OUT GAIN |
6.0dB |
動画の中では超高速なマウスさばきでこの設定していたので、これも MK / Shadw さんのお決まりのパターンなのかも。
当然ながら、OTTを使うと音がかなり前に出ます。
ディストーション (Fruity Fast Dist)
Fruity Reeverb 2とOTTの前に "Fruity Fast Dist" を配置。
なお、動画ではここで Sylenth1 側の "DISTORT" を有効にしていました。
まずは Reverb と OTT で音の方向性を決めた後、ディストーションで味付けをしていく…という作り方のようですね。
あと動画では省略されていましたが、Fruity Fast Dist のパラメータは以下の通り。
パラメータ名 |
値 |
PRE amp |
80% |
Distortion type |
B |
Distortion typeは "B" の方が音に伸びがある感じですね。
ディストーション (Fruity Blood Overdrive)
Distortion成分が足りないようで "Fruity Blood Overdrive" を挿しこんでディストーションの2段重ね(正確には Sylenth1でもかけているので3段重ね) となりました。
パラメータは以下の通り。
パラメータ名 |
値 |
Pre band |
0.28 |
Color |
0.65 |
Pre amp |
0.78 |
動画の時点だと "Pre amp" は 0.5 だったので、この後にもう少し歪ませたい調整が入ったのかもしれません。
Lead1のエフェクトのプリセット
ここまでのエフェクトのプリセットを添付しておきます。
LD1_Effects.fst
ただ完成版はこの後ろに "Fruity Filter" が挿されていたので、それについては別途添付します。
追記:2023.11.9
Fruity Filter は "RESONANCE" と "HIGH PAS" が 0 になったものでした。
Fruity Filterを追加したプリセットを添付しておきます。おそらくこれで "CUTOFF FREQ" を開いたり閉じたりしていそうです。
LD1_Effects2.fst
Lead2
レイヤーする2本目の音は広がりのある SuperSaw系の音になります。
Sylenth1
あらかじめ Sylenth1 のパラメータは初期化しておきます。
波形(オシレータ)A1
パラメータ名 |
値 |
PITCH > OCTAVE |
+1 |
DETUNE |
50% |
VOICES |
8 |
RETRIG |
OFF |
"RETRIG" をOFFにしている理由がわからなかったのですが、「滑らかに演奏すると違いがわかる」「デチューンに影響がある」といった断片的な情報を追いかけつつ、納得の行く説明があるページを見つけました。
- 知っておきたいTips > リトリガーが初期状態でONになっている
- リトリガーとは、デチューンして重ねられた波形の頭を、それぞれ揃える機能だ。ONだと、音が発音される瞬間の波形がどれも同じ形になるので、出音をステレオで広げていても、発音の瞬間には広がりが得られなかったりする(ON/OFF比較するとわかる)。シンセはデチューンして鳴らすことも多いので、基本OFFでいいと思う。
デチューン時にはそれぞれの波形のピッチが変化するため、波形にばらつきが発生するのですが、どうやら Sylenth1 の作者はそれが気に入らなかったのか「デチューン時には波形を頭を揃えて再生するべき」といった考えで "RETRIG" というパラメータを常にONにしたようです。
ただ、それではデチューンの広がりがなくなるし、プツっと切れた音になってしまうのでOFFにするのが良いみたいですね。(OFFにすると柔らかい音になる)
AMP ENV A (エンベロープ)
ADSRエンベロープは "R" が "3.5" くらいになっています。
これによりフレーズの切り替わり部分に柔らかさが生まれました。
波形(オシレータ)A2
パラメータ名 |
値 |
OCTAVE |
0 (移動なし) |
WAVE |
ノコギリ波 |
VOICES |
8 |
DETUNE |
50% |
ノコギリ波にして、こちらもVOICESを "8" にしてデチューンをかけます。こちらは "OCTAVE" 移動なし(0)で、"RETRIG" も ON のままです。
"OCTAVE" を "0" にしているのは、A1が高めの音だったので、
A2 は「中音域を補強」するようにしてバランスを取っている…とのことです
FILTER CONTROL
"RESONANCE" の値が12時方向 (5) あたりに移動。
しかしリード1と同様、音色の変化はなかったので、使われているかどうかは不明…。
MOD ENV2
リード1とほぼ同じ設定でアタック感を強くしています。
パラメータ名 |
値 |
D |
0.85 |
R |
0.0 |
Dest1 |
Pitch A and B |
Dest1Am |
1.26 |
MONO LEGATO
これもリード1と同じ。モノレガートを有効にして、"Porta Time" を 54ms あたりに設定。
MIXER
"MAIN VOL" の値をおおよそ "7.0" にします。微妙に音量が足りなかったので増やしたのかもしれない…。
エフェクト > DISTORT
"DISTORT" にチェックを入れて、"AMOUNT" をおおよそ "3.3" に減らします。
少し丸みが出て、前に出るような音になりました。
エフェクト > REVERB
リード1は "Chorus" でしたが、リード2は "Reverb" です。
パラメータ名 |
値 |
REVERB |
チェックを入れる |
SIZE |
5.7 |
DRY/WET |
30% |
初期値だとやや音が響きすぎるので、ルームサイズとDRY/WETバランスを小さくしています。
Lead2 (Sylenth1) のプリセット
リード2のプリセットです。再現度はそれなりのような気がします。
LD_Saw2.fst
ちなみに動画だと、リバーブはエフェクターの設定をした後で行っているようです。またピッチ(OCTAVE) も最初は +1 だったので、後から調整されている可能性があります。
エフェクター
マルチバンドコンプ (OTT)
パラメータ名 |
値 |
DEPTH |
40% |
Out GAIN |
7.0dB |
リード1よりも若干深め (+3%) にかけて、そのぶんGAINの値が増えて (+1.0dB) います。
動画の中では、OTTのインサート後に Sylenth1 の Reverb の SIZE を小さく調整し、オシレーターのA2 の "OCTAVE" が "+1" だったのを "0" にして「中音域」を補強する調整となりました。
それと Sylenth1 の AMP ENV A の "R" の値もこの段階で少し上げています。
コード (伴奏)
ハードコアでのコードバッキングは「裏打ち」が多いけれども、今回は「メロディーがシンプルなグルーヴ」なので合わせて一体感を出す…とのことです。
Sylenth1
バッキングもシンプルなSaw系の音に若干のDetuneをかけます。(リード2と同じくSuperSaw)
OSCILLATOR A1
パラメータ名 |
値 |
PITCH > OCTAVE |
+1 |
VOICES |
8 |
DETUNE |
4.4 |
RETRIG |
OFF |
OSCILLATOR A2
パラメータ名 |
値 |
PITCH > OCTAVE |
0 (移動なし) |
WAVE |
サイン波 |
VOICES |
8 |
DETUNE |
3.5 |
RETRIG |
ON |
リード2との大きな違いは、
- WAVE(波形)が "サイン波" になっている
- RETRIGが "ON" のまま
です。
これにより丸みのある音となって音が後ろに引っ込み、またリード2との差別化ができています。
AMP ENV A
"R" が "3.4" あたりまで増えています。これによりバッキングの音が滑らかにつながり、柔らかさが増しています。
FILTER A
”FILTER TYPE" を "LOW PASS" に変更します。これによりリードが使用している中音域が大きく削られ、さらに音が後ろに引っ込みます。
なお、Sylenth1のFILTERのパラメータの仕組み調べたところ、いくつかわかったことがあるのでメモ代わりにまとめておきました。
まずは超絶基本ですが、Low Pass と High Pass、Cut Off の役割の説明。
Low Passは低い音域を通して高い音域をカット、High Pass は高い音域を通して低い音域をカットします。
そしてその基準位置が「Cut Off」で指定された値となります(ただ Sylenth1 の Cut Offの値の単位がどうなっているかの情報は見つけられず…)。
そして、「12dB / 24dB」というのは「1オクターブごとに減衰するdBの値」となります。
デフォルトの "24dB" の方が Low Pass の効きが良くてなぜかな…という疑問があったのですが、こういう理屈のようでした。
なお RESONANCE の値は CUTOFF周辺を持ち上げる設定のようです。
FILTER CONTROL
パラメータ名 |
値 |
CUTOFF |
1.5 |
RESONANCE |
5.0 |
MOD ENV 1
パラメータ名 |
値 |
D |
4.5 |
S |
0.0 |
R |
2.0 |
ModEnv1 Dest1 |
Cutoff A and B |
ModEnv1 Dest1 Am |
7.2 |
だいぶリズミカルな音へと変化しました。
MOD ENV 2
パラメータ名 |
値 |
D |
0.8 |
ModEnv2 Dest1 |
Pitch A and B |
ModEnv2 Dest1Am |
1.3 |
リードで設定された値そのまま。アタック感を少しだけ増やしています。
MIXER
MAIN VOLを "7.0" に増やしています。
エフェクター > REVERB
リバーブはデフォルトだと効きすぎているので、少しだけかけています(リード2と同じ)。
パラメータ名 |
値 |
REVERB |
チェックを入れる |
REVERB > SiZE |
5.8 |
REVERB > DRY/WET |
30% |
コード (Sylenth1)のプリセット
エフェクター
マルチバンドコンプ (OTT)
バッキングなので、かかり具合はリードに比べると浅めです。
パラメータ名 |
値 |
DEPTH |
28% |
OUT GAIN |
3.9dB |
EQ (Fruity Parametric EQ 2)
OTTの後ろに EQ をインサートして調整。
ばっさりローカットして、ハイを少しだけ持ち上げるよく見るパターンです。
なお、この「ばっさりローカット」のカーブを作る方法は、右クリックして「Type > High pass」選択 (右クリック)。
ただこれだとカーブが緩やかなので「Order > Steep 8」を選択 ("Steep" は「急な」という意味)。
するとこのような「ばっさりローカット」を作ることができます。
ミキサーボリューム
ミキサーボリュームは「-15.2dB」あたりまで下げられています。
コードのエフェクターのプリセット
Bass > Sub Bass (低音域のベース)
Sub Bassは、グループ "synth"、Track: 11、Pattern5 にあります。
方針としては「Saw と Sine をレイヤーしたシンプルな音」で、フレーズは裏打ちを強調したものとなります。
Sylenth1
OSCILLATOR A1
ベース音なので、OCTAVEを "-2" しています。
それと "VOICES" を "4" にすることで音の厚みを増やしています。ベース音で粒を揃えたいのでデチューンはしません。
OSCILLATOR A2
サイン波を加えて音の丸みや表現力を増やしています。
パラメータ名 |
値 |
PITCH > OCTAVE |
-2 |
WAVE |
SINE波 |
VOICES |
4 |
FILTER
FILTERは "Bypass" なので何もかかっていません。
MIXER
"MAIN VOL" が "7.7" となっています。
Sub Bass (Sylenth1) のプリセット
エフェクター
Fruity Parametric EQ 2
エフェクターは、動画の中では「EQで200Hzから上を削る」との説明でしたが、実際には30HzをHigh pass、
294HzをLow passとなっていました(何らかの調整があったのかもしれません)。
- ①を"30Hz" に移動。Typeを "High pass"、Orderを "Steep 8"
- ⑦を"294Hz" に移動 (③に重なるくらい)。Typeを "High pass"、Orderを "Steep 8"
ここで困ったのが、カットする付近のカーブが山なりになってしまってキレイにカットできていないことです。
色々調べたところ、Fruity Parametric EQ 2の右下にあるここの "BW" からバンド幅の値を変更するのが正解でした (文字色が薄すぎて読めなかったので、コントラストを調整しました)。
この値を小さくすることで、High pass / Low pass の適用範囲を減らしてカーブを小さくできるようです。
①と⑦はデフォルト値が "69%" だったのを "56%" あたりまで減らしたら、以下のようにカーブの膨らみが小さくなりました。
がっつりハイカットされたSub Bassとなりました。
Bass > Mid Bass (中音域のベース)
Mid Bassは、グループ "synth"、Track:14、Pattern5 にあります。
Pulse波にディストーションと Chorusをかけます。
Sylenth1
OSCILLATOR A1
パラメータ名 |
値 |
OCTAVE |
-2 |
WAVE |
Pulse波 |
VOICES |
4 |
Pulse波なので丸みがあります。また4つ重ねることで重みが表現できています。
FILTER
By passなので指定なし。
MIXER
Sub Bassと同じく "MAIN VOL" を "7.7"。
エフェクター > DISTORT
DISTORTにチェックを入れて、"AMOUNT" を "6.3" くらいに。
エフェクター > CHORUS
パラメータ名 |
値 |
CHORUS |
チェックを入れる |
DELAY |
20ms |
FEEDBACK |
22% |
DRY/WET |
75% |
デフォルトよりも若干それぞれの値を増やしています。ベースの音に広がりが生まれています。
エフェクター > REVERB
パラメータ名 |
値 |
REVERB |
チェックを入れる |
SIZE |
0 |
PREDELAY |
0 ms |
ただ、ルームサイズと PreDelayの値が 0 となっているので、ほんのりかかる程度です。
この目的は「広がり」と「厚み」を出すため、とのことです。
Mid Bass (Sylenth1) のプリセット
エフェクター
動画の中では説明がなかったですが、OTT > EQ > Distortion の順でエフェクトがかかっています。
マルチバンドコンプ (OTT)
"DEPTH" が "33%" と深めにかかっています。"GAIN" の調整はなし。
Fruity Parametric EQ 2
EQは100Hzから High passでばっさりローカット。
トークン①を以下のように設定。
パラメータ名 |
値 |
Type |
High pass |
Order |
Steep 8 |
BW |
55% |
ディストーション (Fruity Blood Overdrive)
最後に Fruity Blood Overdrive で Pre amp をがっつり "0.6" まで増やしてアタック感を強調しています。
エフェクトのプリセット
ただ、Sub Bass, Mid Bass は別トラックにルーティングして共通のOTTをかけるなど、細かい調整が入っているので、そのあたりを見てみたい場合は、やはりプロジェクトファイルを購入するのがオススメです。
最終更新:2023年12月25日 23:47