FL Cloudで作るMelodic Dubstep
このページでは
FL Cloudを使って Melodic Dubstep を作る方法を解説します。
なお、FL Cloudは必須というわけでなく、Spliceなどで似た素材を探したり、サンプルパックを個別に購入しても同じように作れます。
メロディック要素の作り方
FL Cloudからボーカル素材を利用する
メロディック要素をどのように解釈するかにもよりますが、基本的にボーカルが入るとメロディックになります。もちろんインストのMelodic Dubstep曲も多いのでボーカルはなくても良いですが、ここではボーカル素材を入れてみます。
ということでボーカル素材を用意しますが、ボーカル素材はサンプルパックを買ったり、Spliceなどから用意します。
ここでは
FL Cloudから用意します。FL Cloudは年間1万2000円ほどかかりますが、クレジット制限なしで素材が落とし放題なので、Spliceなどを利用していない場合はFL Cloudをおすすめします。
FL Cloudであれば、ボーカル素材のサンプルパックを探す場合、"Packs > Label" から "Producer Loops" を選びます。
ボーカル素材のパックは例えば以下の画像の中であれば "LONELY"、"Take Me Home"、"Alive" というのがオススメです。
その他のオススメのパックは以下のページにまとめています。
パックをクリックすると、パックに含められたサンプルが表示されます。
ボーカル素材を見つけるには「Instrument > Vocals」を選びます。
ボーカル素材をNewtoneで読み込む
そして良い感じのボーカル素材を見つけられたら、Newtoneに読み込ませます。
素材を右クリックして "Open/Edit in > Edit in pitch corrector" で読み込ませることも可能です。
Newtoneに読み込ませるのは「耳コピ」の手間を減らすためです。Newtoneはオーディオファイルのピッチを解析してMIDIファイルに変換する機能を利用します(もし自分で耳コピできる場合は、この作業は不要です)。
そうしたら、再生と連動するアイコンをONにして、階段状のノートアイコンをクリックするとチャンネルにMIDIデータが作られます。
ただ再生するとわかりますが、ピッチがあまり合っていなかったり、そもそもテンポが正しくありません。
どうもMIDIファイルまではテンポを同期してくれないみたいなので、ボーカル素材のテンポにプロジェクトを合わせます。
さらにピッチの揺れ安定させるにはスケールスナップ機能を使うと便利です。
たいていのオーディオファイル名にはキーがついています。
例えば今回のボーカル素材であれば "Am" とあるので、キーは A minor となります。
ポップアップメニューから「Scale > Minor > A」を選ぶと Newtoneのスケール表示が A minorになります。
再びハサミアイコンから "Snap to scale" を選ぶと、Newtone上の波形のピッチが強制的にスケールにスナップします。
この状態でMIDIを生成すると、最初よりはピッチの合ったMIDIノートになります。
なお、Newtoneで読み込んだボーカル素材はもう使わないので、Newtoneは消してしまって良いです。
メロディのMIDIを調整する
次にMIDIの調整ですが、Velocityに揺れがあるので "SHIFT+左ドラック" で音量を一定にします。
あとはボーカル素材を
プレイリストに配置して、実際にボーカルを聴きながらリズムをクオンタイズなどで調整したり、正確なメロディに直してきます。
ブレスやしゃくりなどもMIDIで拾ってしまうので、そのあたりを消したりタイミングを調整する必要があります。
このとき
ピアノロールから "ALT+T" でマーカーを追加します。
作成したマーカーを右クリックして、"Key/scale" からメロディーのキーとスケールを指定します。
すると指定したキーとスケールでピアノロールがハイライトされるので、耳コピが少し楽できます(ここでは "A minor" なので違いはないですけれども)。
FL Studioで楽をできるのはここまでで、これ以上は耳を頼りにメロディを耳コピしていきます。
結構根気のいる作業ですがボーカルのメロディのノートを抽出することで、ベースやコード進行を作るときの目安になります。
メロディにベースやコード進行を加える
TODO:
ワブルベースパートの作り方
Dubstepの一般的なイメージであるワブルベースパートですが、あの音を作るのは少し難しいのでサンプル素材を使います。
FL Cloudだと "Melodic Dubstep" というそのままの名前のサンプルパックがあるので、これを使います。
サンプルパックをクリックして選ぶと、タグに "Melodic Dubstep" と表示されサンプルパックを選んだ状態になります。この状態のまま、検索欄に "bass" と入力すると "Set 1 (Bass) [ 140BPM C]" というワブルベースのループ素材が見つかるので、これを使用します(他の素材を探したい場合には"wobble" や "Growl"などで検索しても良いと思います)。
ワブルベースパートの練習のためにサンプル素材を以下のように並べてみます。
ファイル名 |
説明 |
140BPM Dubstep Drums Loop_317272 |
Drumループ |
CHORDS - Huge synth chords ( 140BPM_ G# Minor )_317180 |
Chordのループ |
Set 1 (Bass) [ 140BPM_C ]_317195 |
Wobble Bassのループ |
必ずしもこれらの素材を使う必要はありませんが、最低限「Drum」「コード or メロディ」「Wobble Bass」の3つがあると良いです。
個人的に考えるワブルベースは、コール&レスポンスのようなものでメロディやコードのスキマを狙って入れていくと良いです (メロディやコードに対するレスポンス)。もしくはFill-in的に入れていきます。
白玉のコード弾きに対するレスポンスとしてWobble Bassを入れる場合は、このようにWobble Bassを適切にカットすると簡単に作れます。
ただ、コード弾きが白玉ではなく一定のリズムがある場合には、少し工夫が必要です。
例えば以下のようなコードバッキングのリズムを使いたいとします。
このリズムに合った素材を見つけるのは大変です。そこで活躍するのが
Slicexです。
SlicexにWobble Bassの素材を読み込ませると、自動でスライスしてくれます。
後はスライスされたものからリズムを刻むのに適した音を見つけてリズムを組んでいきます。
Wobble Bass特有の「ブォーン」という音を入れたい場合は、そのまま長めのノートにしても良いです。
それとSlicexの裏技みたいな機能で、Slideノートを使うとピッチダウンやピッチアップができます。
なおメロディをしっかり聞かせたい場合には、Wobble Bassを4小節の最後だけFill-inとして使うことにとどめておくなど、楽曲で表現したいものに合わせて割合を変化させることもできます。
ドラムパートの作り方
DubstepのKickやSnareは独特な音なので、サンプル素材を使うのが良いです。
FL Cloudでドラム素材を探すには「Type > One-Shots」を選びます。
そして「Instrument > Drums」を選ぶとサブカテゴリから楽器が選べます。
ドラムパターンですが、FPCに素材を登録してピアノロールから入力するか、プレイリストに直接波形を配置するのがおすすめです。
ただ、ここではわかりやすいようにステップシーケンサーでパターンを組んでみます。
DubstepのBPMは通常130〜150で、1拍にKick・3拍にSnareが入るハーフ・タイムとなります。
このリズムが基本となり、Kickを2・4拍にして変化をつけます。
なおSnareには、通常Clapをレイヤーしてインパクト感を強くします。
また、SnareとClapにはReverbを深めにかけておきます。Fruity Reeverb 2などで "Decay" を眺めにしておくと良いです。
0.5拍に入れることで「ドドン」というリズムにすることもあります。
Fill-inについてはKickを332、Snareを332パターンにする方法があります。
他には「ドンタタ」というリズムにしても良いです。
コードバッキング
コードバッキングには
Harmlessの "X Olbaid > Lead" などに含まれる SuperSawを使います。
"Lead Detune" や "Lead SuperSaw" あたりが良い感じのSuperSawです。
それと、Melodic Dubstepでよく聞くような緊張感のある厚みのあるSuperSawにするには、SuperSawをオクターブをずらしてレイヤーし、エフェクターに
Distructorの "X Saif Sameer > Haas phase" などを使ってフェイザーをかけると、より存在感のある音になります。
最終更新:2024年03月20日 23:55