DirectWave Full

DirectWaveには標準プリセットの読み込みのみを行える無料版と、パッチの編集が可能でサードパーティのフォーマット(AKAI APKやサウンドフォントなど)の読み込みを行える "DirectWall Full" が存在します。
DirectWave Fullは "Signature Bundle" 以降に含まれます。



概要

DirectWaveは複数のサンプル音源を読み込んで自由にアサインできるサンプラーです(マルチティンバー対応サンプラー)。

リンク

基本機能

プリセットの読み込み

DirectWaveを立ち上げた状態だと何も音が出ないので「LIBRARY」のところをクリックしてプリセット一覧を表示します。

読み込みたいプリセットをダブルクリックで適用できます。
もしくは右側の "FOLDERS" タブから *.dwp というファイルをダブルクリックしても開けます。


なおこれらはお試し用のプリセットで、正式版はDirectWave - Instrument Packから購入できます。
「ONLINE CONTENT」をクリックしても購入サイトを開くことができます。

高品質なピアノ音源
お試し版のプリセットだけでなく、DirectWaveには高品質なピアノ音源が付属しています。
音源はブラウザから「Packs > Instruments > Keyboard」の場所を開きます。
プリセット名 説明
Close Grand 蓋を閉じた状態のピアノ音源。暗い響きとなる
Electric エレピ
Grand Piano アコースティックピアノ
Rhodes ローズ・ピアノ
Stage Piano 電子ピアノ

使いたいプリセットを選んで「Enterキー」を押すと現在選択中のチャンネルにプリセットが読み込まれます。(もしくは割り当てたいチャンネルにドラッグ&ドロップ)

オーケストラ音源
オーケストラ音源も少ないですが付属しています。
音源はブラウザから「Packs > Instruments > Orchestral」の場所には以下のプリセットがあります。
プリセット名 説明
Brass Section ブラス・セクション
Choir Ahh クワイア (アー)
Choir Ooh クワイア (オー)
Strings Section ストリングス・セクション
Strings Solo ストリングス・ソロ
Woodwind Section 木管楽器・セクション

ADSRの設定

ADSRは "ZONE > AMP"から設定できます。

プリセット読み込み場所の指定

DirectWaveのプリセットの場所は右側の "OPTION" タブから、フォルダアイコンをクリックすると指定できます。

DirectWaveのプリセットを自作する場合はここで指定したフォルダに入れておくと、簡単にプリセットを変更できるようになります。

DirectWaveのプリセットを自作する方法

DirectWaveは「どんなVSTでも取り込こめる」という神機能が用意されています。

プリセットを自作するメリット
これは例えば以下の場合に便利です。
  • Spireなど処理負荷の高いVSTを書き出して動作を軽くしたい
  • NexusやAvengerなど、起動に時間のかかるシンセのよく使うプリセットを素早く使いたい
  • プロジェクトを配布したいが、指定のVSTを持っていない人でも音が確認できるようにしたい

1. ユーザーフォルダを作成する
DirectWaveの有料プリセットを購入している場合は、有料プリセットがあるフォルダに "User" フォルダを作って配置するのが良いと思います。
そうでない場合は、左上の▶ボタンから "Save preset as" を選ぶと、ユーザーフォルダが作成されるのでこれを利用します(フォルダを作るために選んだだけなので保存する必要はありません)。

このように "Plugin presets > Generators > DirectWave" のフォルダが作成されました。

ここに作成したプリセットを保存していきます。

2. プリセットの作成
今回は FLEX の有料プリセット "Saif Sameer Fulcrum" から "Oceanlad" という SuperSaw系の音を書き出してみます。
まず出力する前の準備として "Delay" や "Reverb" といったエフェクトは OFF にしておきます。
(※OFFにすると文字が読めないので画像ではONの状態にしています)

そうしたら出力したいVSTのチャンネルを右クリックして、"Create DirectWave Instrument" を選びます。

プリセットの保存先を先程作成したフォルダに設定します。なおプロジェクトに含めたい場合はプロジェクトがあるフォルダにします。

Saveボタンを押すと、プリセットの保存設定が表示されます。
するとプリセットの保存設定が表示されます。

重要な項目は以下のとおりです。
項目 説明 補足
Low Note〜High Note 保存する音階 音階を広くするほどファイルサイズが増えます
Key per zone 保存する音階の差 小さくするとファイルサイズが増えます
シンセ系は使用可能な音域さえ間違えなければ、Key per zoneは大きめでも良いと思います。それに対して生楽器系はピッチによって音が変化しやすいので、細かく書き出したほうが良いかもしれません。
その他、Velocityの値によって音のニュアンスが変わる場合は「Velocity Layer」の値を増やします。

「Start」ボタンを押すとプリセットに書き出されます。
書き出されると同時に、プリセット名で新しくチャンネルが書き出されるので音を確認します。

3. 自作プリセットの読み込み
するとブラウザにプリセットが追加されるので、このファイルを DirectWaveにドラッグ&ドロップすると、自作したプリセットを読み込むことができます。


有料プリセット

価格は 2025.3.29 時点のもの。
プリセット名 値段 説明
Instrument Pack ¥2,190 452のマルチサンプリングされたインストゥルメント。
少しチープな音源ですが、例えばオーケストラのプリセットが"64"、
エスニック系楽器が "37" と幅広くあるので、
生楽器系を増やしたいという方は買っても良いと思います
Koto Nation ¥2,190 世界クラスの琴演奏家の石榑雅代をフィーチャーした、
ディープな琴、ベース琴、三味線のライブラリー
Sitar Nation ¥2,190 これまでリリースされた中で最もディープなサンプリングされた
シタール (インドの弦楽器)、タブラ・バヤ (片面太鼓) のライブラリ
Impact Steel ¥2,190 メタルヒットや "found" パーカッションサウンドを含む、
表現力豊かなパーカッションライブラリ
Groove Bias ¥2,190 ファンクが王様だったクラシックなドラムサウンドの時代を追体験しましょう!
アナログ機材で録音された3つのオールドスクール ドラムキット
Shreddage ¥2,190 フロアを崩壊させるようなコアシェイキングやマンモスライディングに適した、
ピュアでパワフルなベースギターです
Shreddage Bass ¥2,190 ロックやメタル向けの最もリアルで柔軟なエレキギターサウンドを
実現するようにデザインされたベースサウンド

Instrument Pack


Instrument Packは一般的な楽器やよく見かけるシンセやドラムといった総合音源のプリセット集です。
FL Studioは生楽器系が弱いと言われがちですが、2000円程度の低価格ながら、これを買うとある程度の生楽器が揃うので、あまりお金をかけたくない場合に良いと思います。

それとImage-Lineのアカウント管理から外れますが、音源の開発元である DSK Musicから拡張版(プリセット数1640)が$25で販売されているので、もっとたくさんのプリセットが必要であればこちらを買うのもありだと思います。

ただ品質はそこそこなので、よりクオリティの高い総合音源が欲しい場合は IK Multimediaの SampleTank や Native Instruments の Komplete がおすすめです。

Instrument Packオススメプリセット
カテゴリ 評価 プリセット名 説明
Acoustic Guitars Acoustic Guitar Lo-fi Hiphopなどによく合うアコースティックギター
Guitar Emsenble 厚みのあるギター演奏
Nylon Guitar Acousticよりも優しい感じのギター
Solo Nylon Guitar 厚みのあるギター演奏
Steel Guitar Nylonよりもさらに優しい感じのギター
Analog Ambient & Drone The Love
Analog Synth Square Bel Synthwave感のあるストリングシンセ
Vengells ePiano
Orchestral Bassoon Staccato 落ち着いたコミカルなフレーズになります。
劇伴で使えそう
Cello Pizz
English Horns Stacc
Flutes Staccato
French Horn Stacc
Tension Stack
Trombonne Staccato
Auco Cello, Arco Violin オクターブで重ねれば
アンサンブルに使えそう
☆☆ Arco Strings 低音域のロングトーンで使うと重厚な響きになります
Cello
☆☆☆ Combo 01 低音の白玉フレーズがとても良く合う
Combo 02
☆☆ Combo 03 音域ごとに楽器が変化するアンサンブル
Combo 04, 05
ContrBass 低音域の悲しげなフレーズを作りたいときに
English Horns
Orch Strings Ensamble 1, 2
☆☆☆ Rhapsody Ensambe 1 アルペジオ的な
細かいフレーズにも対応できる
アンサンブル
String Section
Viola
Violin
Harp ハープ
Piccolo ピッコロ
Rapid Horns ブラスヒットに使えそう
Timpani ティンパニ
Organs Key & Organ
Pads Carolina キラキラ系Pad
Cosmos, Saw 感動系Pad
Ethereal 01, 02, 06, 13, 15, 16 哀愁系Pad
Faces, Sadness, Vangel
Ehtereal 07 キラキラ哀愁系Pad
Retro FM Synths Breth Bell 可愛い系ベル
Breth Vox, Brush Pads 感動系Pad


Instrument Packの民族楽器リスト
Instrument Packの "World Instruments" プリセットに含まれる民族楽器のリストです。
カテゴリ No 評価 プリセット名 説明 向いているジャンル
Keys 1 Accordian アコーディオンは独特の寂しげな音色を持つ鍵盤楽器 ワルツ、タンゴ、アイリッシュなど
Bell 2 Air Gamelan ガムランは鍵盤打楽器の総称。
祭りや結婚式などの儀式で演奏される
Bell代わりにブレイクなど静かなパートで使うのが良さそう
32 Temple Gong 寺院にありそうな鐘の音
Wind 3 ☆☆ Ban Di バンディー(梆笛)は、主に中国の演劇での伴奏に使われる楽器 劇伴。ドラマティックなイントロなど
17 Mizmars ミズマールはエジプトの木管楽器 Psytrance, Trap
18 ☆☆ Ney Flute ネイはアラブの管楽器。
風音と倍音が混じりとても情緒のある音色が出るのが特徴
Psytrance, Trap
19 Pan Flute パンフルートはルーマニアの木管楽器
23 Shakuhachi 尺八は日本の木管楽器 和風Trap
25 Shenai シャーナイはインドの楽器
26 Shofars ショファルはユダヤ教の宗教行事で使われる角笛
Perc 4 Bata Drums バタドラムはキューバーの両面太鼓 サンバ, ボサノバ, House
6 Chinese Percussion 中国の打楽器詰め合わせ
28 Tabla タブラは北インドの太鼓 サンバ, ボサノバ, House
36 World Percussion 1 民族楽器詰め合わせ1
37 World Percussion 2 民族楽器詰め合わせ2
Pluck 5 ☆☆ Celtic Harp 22〜34弦の小型のハープ。アイルランドなど北欧の伝統的な楽器 バラード全般
7 ☆☆ Cumbus ジュンブシュはトルコの弦楽器 Psytrance, Trap
8 Dobro ドブロギターはリゾネーターギター ブルーグラス, ブルース
9 ☆☆ Dulcimer ダルシマーは中近東やインドのオリエンタルな雰囲気の打弦楽器 Psytrance, Trap
11 Erhu 二胡は中国の伝統的な擦弦楽器 劇伴
12 Guzheng グーチェンは中国の伝統的な撥弦楽器。日本の琴に似た楽器 和風Trap
13 Kanu カーヌーンはアラブ音楽で使われる撥弦楽器
14 Kanun keyoff Kanuのノートを離したときに発音するバージョン
15 Koto 和風Trap
16 Luan チョンルアンは中国で使用される弦楽器。
ギターのボディが丸いやつ
20 Pipa ピパは中国の撥弦楽器
21 Pipa tremolo Pipaのトレモロありバージョン
22 Sarod サロードはインドの古典音楽で使われる弦楽器
中音域のシタールっぽい音が良い感じ
24 Shamisen 三味線は日本の弦楽器 和風Trap, J-Pop
27 ☆☆ Sitar シタールは北インド発祥の弦楽器 Trance
29 Tamburas タンブーラはインドの古典音楽の伴奏に用いられる撥弦楽器 Psytrance
30 Tampura
31 Tar イランなどの中東アジアで使われる弦楽器
33 Turkish Oud ウードはトルコでよく使われている弦楽器
34 ☆☆ Veena ヴィーナは、古代インド音楽の弦楽器の総称
その他 10 East Indian 東インドの楽器詰め合わせ
(タンブーラ, シタールなど)
35 Waterphone ウォーターフォンは不快な音を出すための楽器 ホラー。劇伴

Tips

徐々に繰り返し速度が上がっていくワンショットの再生を実装する

ビルドアップを作るときなど、ワンショットを繰り返し再生する速度を上げていく場合は、DirectWaveに読み込ませてループさせる方法があります。
手順としてまずは DirectWaveにワンショットを読み込ませて "SAMPLE" タブをクリック。

次に "LOOP TYPE" のここをクリックして "Sustained" に変更します。

そして "LOOP END" を最大にします。

この設定により、"C5" のノートの演奏が自動ループ再生になります。

あとは "LOOP END" のつまみをオートメーションで徐々に減らすようにすることで、少しずつ速度が上がっていく繰り返しとなります。

ただこの方法の問題点として、繰り返し速度を他の音と同期を取る場合に、一度オーディオに書き出して、再生位置に合うように他の音を配置する…という手間が発生します。


その他

KONTAKTライブラリの読み込みについて

DirectWaveではKONTAKTライブラリの読み込みもできるのですが、残念ながら「古いフォーマット」しか対応していません。もしKONTAKTライブラリを使用したいのであれば、公式から購入するのが良いです(なお、無料のKONTAKT PLAYERでは公式のライブラリしか読み込めない仕様となっています)。
最終更新:2025年03月29日 11:42