コード進行とEDMでの感情表現対比まとめ

このページでは感情表現をコード進行とEDMで行う場合に手法の違いについてまとめます。


喜び・楽しい

明るさと開放感
分類 手法 説明
コード進行 メジャーコードの活用 メジャーコードを中心に構成することで、全体的に明るい印象を与えることができます。
例えば、「I - V - IV - I」のようなスリーコードの進行は、ポピュラー音楽らしい明るい響きを生み出します
7thコードの使用 「F7 → B♭7 → C7 → B♭7」のような進行は、ブルージーでありながら明るく陽気な雰囲気を演出します
sus4/sus2の活用 「G → Gsus4 → G → Gsus4」のような進行は、安定感のある明るい雰囲気を作り出します。
また3度を使わず調性が曖昧になることで独特の浮遊感や開放感が得られます
分数コード(オンコード)の使用 「C → FonC → GonC → C」のような進行は、1度のコードの安定感を保ちながら、どっしりとした明るさを生み出します
サブドミナントから始める 例えばAメロはトニック (I) から開始し、Bメロはサブドミナントメジャー(IV)開始にすることで、
印象の変化により明るさを表現できることがあります
オープンボイシングの使用 コードの3度を1オクターブ上昇させることで、明るく開放的な印象を作ります
add9の使用 IやIVなどのメジャーコードに9度の音を加えることで甘美な響きを得られます
明るいアルペジオパターン メジャースケールを用いた上昇するアルペジオパターンを使用し、明るく躍動感のある印象を与えます
付点8分のリズムを使う 付点8分のリズム、シンコペーションは陽気な印象を与えます
全音上昇 例えば「♭Ⅵ → ♭Ⅶ → Ⅰ」といったルートが全音で上昇するコード進行は、
高揚感やエネルギーの高まりを感じさせます
EDM ブライトなシンセサウンド 高域が豊かで明るい音色のシンセサイザーを選択し、開放感のある音を作り出します
アップリフター ビルドアップ時に上昇する音を使用し、開放感と高揚感を演出します
ステレオイメージを広げる Fruity Stereo Enhancer, Fruity Stereo Shaper, Spreader といった
ステレオイメージを広げるエフェクターを使って音に広がりを持たせます
広がりのあるリバーブ 適度なリバーブを加えることで、空間的な広がりと開放感を生み出します
サイドチェインコンプレッション キックに合わせて他の音をダッキングさせることで、リズミカルな明るさを演出します

穏やかさ・暖かみ
分類 手法 説明
コード進行 サブドミナント終止 「C→G→F→C」のようなサブドミナント終止( IV→I )は進行感が弱くなり、
ソフト・静か・まったりとした雰囲気となります
sus4の使用 サスフォーコード(例:Csus4)を使うことで、柔らかく開放的な雰囲気を作り出せます。
「C → Csus4 → C」のような進行は、穏やかな揺らぎを表現できます
ダイアトニックの循環コード 「Ⅰ → ⅵ → Ⅳ → Ⅴ」「Ⅰ → ⅵ → ⅱ → Ⅴ」といった典型的なダイアトニックの循環コードは、
落ち着いた印象になりやすいです
カノン進行風の流れ 「I→V→vi→iii」いわゆる「カノン進行」は、予定調和的なコードの流れで
「穏やか」「落ち着く」という印象を与えます
クリシェ 「I - Iaug - I6 - Iaug」といった装飾的に(トップノートを)半音ずつ動かすクリシェは、
コードの変化がなだらかであるため落ち着いた印象を受けます。
クリシェにはトップノートクリシェ、ベースラインクリシェがあります
コードチェンジを減らす 例えばコードチェンジを2小節に1度だけにするなど、
コードチェンジの頻度を減らすことでゆったりとした印象を与えます
EDM ソフトなシンセサウンド 柔らかい音色のシンセサイザーを選択し、温かみのある音を作り出します。
パッドサウンドやオルガン系の音色が適しています
レトロなシンセを使う Synthwave的な80年代アナログシンセは暖かみや懐かしさを感じさせます
パッドを白玉で弾く 柔らかめのパッドで白玉を弾くと穏やかさを表現しやすいです
なだらかなエンベロープ アタックを緩やかにし、リリースを長めに設定することで、柔らかい音の立ち上がりと余韻を作れます
適度なリバーブ 温かみのあるリバーブを加えることで、柔らかな空間感を演出できます
ローパスフィルター 高音域を適度にカットすることで、耳障りのない温かみのある音色を作り出せます
ソフトなサイドチェイン キックに合わせて他の音を緩やかにダッキングさせることで、穏やかな揺らぎを演出します

可愛さやあどけなさ
分類 手法 説明
コード進行 メジャーコードの活用 明るく可愛らしい印象を与えるメジャーコードを中心に構成します。
例えば、「C → F → G → C」のような単純な進行は、素直で可愛らしい印象を与えます
サスフォーコードの使用 サスフォーコード(例:Csus4)を挿入することで、少し不安定ながらも可愛らしい揺らぎを表現できます。
「C → Csus4 → C」のような進行は、あどけない印象を与えます
セブンスコードの活用 メジャーセブンスコード(例:Cmaj7)を使用することで、少し大人っぽさを含んだ可愛らしさを表現できます。
「Cmaj7 → Am7 → Fmaj7 → G7」のような進行は、柔らかく可愛らしい印象を与えます
短い循環コード 2〜4小節の短い循環コードを使用することで、単純で可愛らしい印象を与えられます。
「C → Am → F → G」の4コード進行を繰り返すなど
EDM 高音域のシンセサウンド 高音域の明るく軽やかなシンセサイザーサウンドを使用します。
ベルやマリンバのような音色も効果的です
ソフトなサイドチェイン キックに合わせて他の音を緩やかにダッキングさせることで、弾むような可愛らしさを演出します
短いリバーブ 短めのリバーブを加えることで、小さな空間にいるような親密さを演出できます
カットオフフィルター シンセサウンドにカットオフフィルターを適用し、徐々に開いていくことで、あどけなさや成長を表現できます
ポップなアルペジオ 明るく軽快なアルペジオパターンを使用し、可愛らしい印象を与えます
かわいらしい効果音 ポップな効果音(ベル、チャイム、キラキラ音など)を適度に使用し、可愛らしさを強調します

怒り・哀しみ

力強さとエネルギー
分類 手法 説明
コード進行 パワーコードの活用 5度のみの和音(例:C5、G5)を使用することで、シンプルで力強い響きを生み出します。
ロックやメタルなどのジャンルでよく使われる手法です
スリーコード進行 「I→IV→V」のような基本的な進行を力強く演奏することで、エネルギッシュな印象を与えられます
5度進行 5度の関係にあるコードを連続して使用することで、パワフルで強い推進力を持つ進行を作れます
分数コードの活用 「C→FonC→GonC→C」のような進行で、ベース音を保持しながら力強さを表現できます
全音上昇 例えば「bVI → bVII →I」へと全音ずつ上昇していく動きは、
音楽的に上昇感や高揚感を生み出します
EDM 重低音の強調 808ベースやサブベースを使用し、低音域を強調することでエネルギッシュな印象を与えます
サイドチェインコンプレッション キックドラムに合わせて他の音をダッキングさせ、リズミカルな力強さを演出します
ドロップ ビルドアップからの急激な音の変化(ドロップ)で、エネルギーの爆発的な解放を表現します
リズミカルなシンセパターン アルペジオやリズミカルなシンセパターンを使用し、躍動感のある音の流れを作ります
ディストーション シンセやベースにディストーションをかけることで、荒々しさや力強さを強調できます
パンチのあるドラムサウンド キックやスネアに適度なコンプレッションをかけ、パンチの効いた力強いドラムサウンドを作ります
緊張感と浮遊感
分類 手法 説明
コード進行 マイナーコードを多用する マイナーコードは、メジャーコードに比べて緊張感を生み出しやすい傾向があります
サスペンデッドコードの使用 sus4コードを使用することで、調性が曖昧になり浮遊感が生まれます。
例: Csus4からCへの進行で、緊張から解決への流れを作ります
ドミナントコードの活用 V度のコード(ドミナント)を使用することで、緊張感を高めることができます
ドミナントマイナーの使用 I度からVm度への進行(例:C → Gm)は、ブルージーな憂鬱感と同時にマイナー感(暗さ、不安)を表現できます
転調や借用和音 予期せぬコードの挿入や転調によって、緊張感や浮遊感を演出できます
EDM サイドチェインコンプレッション キックドラムに合わせて他の音をダッキングさせることで、浮遊感や緊張感を生み出します
フィルター操作 ローパスフィルターを徐々に開くことで、緊張感を高めていきます
リバーブとディレイの活用 長めのリバーブやディレイを使用することで、空間的な浮遊感を演出できます
モジュレーション LFOなどを使って音を動かし、浮遊感のある音の変化を作り出します
ライザー(アップリフター) ピッチが上昇していく効果音を使用し、緊張感を高めます
複雑さと深み
分類 手法 説明
コード進行 テンションノートの追加 9th、11th、13thなどのテンションノートを加えることで、和音に複雑さと深みを与えます。
例えば、Cmaj7に9thを加えてCmaj9にすることで、より豊かな響きを作り出せます
借用和音の使用 他の調からコードを借用することで、予期せぬ響きと複雑さを生み出します。
例えば、C調の中にA♭やFmを入れることで、色彩豊かな進行を作れます
不定調性進行 明確な調性を避け、複数の調を行き来することで、複雑な印象を与えます。
例えばビートルズの「Strawberry Fields Forever」で使用されているドミナントマイナー進行(I→Vm)は、
ブルージーな憂鬱感とマイナー感(暗さ、不安)を同時に表現できます
転調 曲の途中で転調することで、新鮮さと複雑さを加えられます
EDM レイヤリング 複数の音源を重ねることで、音に深みと複雑さを加えます。
異なる音色や周波数帯のサウンドを組み合わせることで、豊かな音響空間を作り出せます
モジュレーション LFOなどを使って音を動かし、複雑な音の変化を作り出します。
フィルターやピッチ、ボリュームなどのパラメーターを時間とともに変化させることで、動的な音響効果を生み出せます
複雑なリズムパターン ポリリズムやシンコペーションを取り入れることで、リズミックな複雑さを追加できます
サウンドデザイン 複雑な波形や多層的なサンプリングを使用して、深みのあるユニークなサウンドを作成します
エフェクトの重ね掛け リバーブ、ディレイ、コーラスなど複数のエフェクトを組み合わせることで、空間的な深みと複雑さを生み出します

暗さと絶望
分類 手法 説明
コード進行 マイナーキーの活用 マイナーコードを中心に構成することで、全体的に暗い印象を与えることができます。
例えば、「v - bvi - v - bvi」のような進行は、怪しげでソリッドなサウンドを生み出します
マイナーコードの多用 マイナーコードを中心に構成することで、全体的に暗く重い印象を与えることができます。
例えば、「vi - ii - iii - vi」のような進行は、陰鬱な雰囲気を醸し出します
ダウンワード進行 ルート音を順番に下げていく構成は、暗い印象を象徴的に表現します
ディミニッシュコードの使用 ディミニッシュコードを挿入することで、不安定さと緊張感を高めます。
「vi - vio - iii」「IM7 - biio7 - ii7」のような進行は、不穏な空気を作り出します
借用和音の使用 近親調の和音を一時的に用いることで、調性を曖昧にし、複雑な雰囲気を醸し出せます
下降進行 コードのルート音を順次下げていく進行は、落胆や絶望感を象徴的に表現します。
「Am → G → F → E」のような下降進行は、希望が失われていく印象を与えます
半音進行 半音下がる進行を使用することで、不安定さと緊張感を高めます。
「Am → A♭m → Gm」のような半音進行は、状況が悪化していく感覚を表現できます
ノンダイアトニックコードの使用 意図的にスケール外の音を重ねることで、不安定さと緊張感を高めます
EDM ダークなサウンドデザイン 低音域を強調したベースサウンドを使用し、重厚で暗い雰囲気を作り出します。
ノイズやディストーションを加えることで、荒々しさや不穏な印象を与えられます
リバーブとディレイの活用 長めのリバーブやディレイを使用することで、空虚で不気味な空間感を演出できます
ローパスフィルター 高音域をカットすることで、こもった暗い音色を作り出せます。
フィルターを徐々に閉じていくことで、希望が失われていく感覚を表現できます
ダウンリフト 通常のアップリフトとは逆に、音程を下げていくエフェクトを使用し、沈んでいく印象を与えます
ダークなアルペジオ マイナースケールを用いたアルペジオパターンを使用し、不安定で暗い雰囲気を醸成します
長めのリバーブとディレイ 長いリバーブやディレイを使用することで、空虚で不気味な空間感を演出できます

コード進行の基礎知識 (メモ)

  • キーとスケール: まずはトニックのみでコード進行を作る
    • ディグリーネーム
    • sus4 / sus2 と マイナーコードについて
  • スリーコード: トニック、サブドミナント、ドミナント。1-4-5
    • ドミナントモーション
    • サブドミナント終止
    • マイナーキーのスリーコードについて
    • ドミナントマイナー
  • 代理コード: トニックの代理コード。viとiii。1-6-4-5
    • 3と6はトニックと共通音が2つある。
    • それと同時に、6はサブドミナントとの共通音が2つ。3はドミナントとの共通音が2つある
      • 6はトニックの代理でありつつもサブドミナント的な雰囲気を持つ
      • 3はトニックの代理でありつつもドミナントの雰囲気を持つ
      • 6と3は1のトニックとしての終止感を弱くしたものとの解釈が可能
    • https://soundquest.jp/quest/chord/chord-mv1/chord-substitution/
    • I-V-vi-IV: Hopeful プリセット
      • vi がトニックの代理で V からのドミナントモーションを処理している。サブドミナント的に IV への潤滑油としても機能する
    • I-iii7-vi-IV: Bold プリセット
      • iii7 はドミナント的な役割で 少し緊張感あり。viへのドミナントモーションをしているとも言える
    • 2はサブドミナントである4の代理
      • I-vi-ii-V: Smooth プリセット
        • ドミナントへの橋渡し
        • 2-5はツーファイブと呼ばれ力強い進行となる
最終更新:2024年09月04日 07:59