耳コピを身につける方法

作曲能力を大きく向上させる方法「耳コピ」を身につける方法について書きます。



耳コピとは

耳コピとは既存の曲のメロディーや伴奏、ドラムやベースなどの演奏や音色を再現する方法のことです。

耳コピのメリット

耳コピのメリットは大きくわけて以下の3つとなります。
  • 1. 好きな曲・ヒット曲の「楽曲分析」ができるようになる
  • 2. フレーズやリズムパターン、コード進行のストックを増やせる
  • 3. 音感が良くなる。音程を聞き分ける力(相対音感)を身につけることができる

1. 好きな曲・ヒット曲の「楽曲分析」ができる
耳コピで既存の曲を再現することで、単に曲を聴くだけよりも以下のことがより細かく分析できるようになります。
  • メロディ分析: メロディがどういったフレーズや展開で作られているかを知ることができる
  • 構成分析: 楽曲の構成や展開を把握できるようになる
  • コード進行分析: よく使われるコード進行を理解できる
  • 楽器・音色分析: 使われている楽器やシンセの音色の使われ方や特性を理解できる
2. フレーズやリズムパターンやコード進行のストックを増やせる
耳コピを行い楽曲分析をすることで、良いメロディやリズム、コード進行のパターンを知ることができて、自身の楽曲制作にそれらを応用して使えるようになります。

3. 音感やリズム感が良くなる。相対音感を身につけることができる
耳コピをすると音程を聞き分ける力が身につきます。それによって得られるものとして、例えば鼻歌作曲が速くなるということがあります。メロディを作る場合には様々な方法がありますが、鼻歌の場合はそのメロディを耳コピする必要があるので、音感が良くなることで鼻歌のメロディーを耳コピする速度が上がります。
また音感が良くなることで不協和音の聞き取りをしやすくなるというメリットもあります。楽曲を作成していて何か違和感があるなあ…という場合でも音感が良くなると不協和音を見つけやすくなります。

また「調性を直感的に理解」できるメリットもあります。例えばハ長調(C Major)とイ長調(A Major)はスケール的には音程の並びは同じですが、キーが異なることで受ける印象が変化します。そういった調性の違いを感覚的に理解して、作曲をするときに適切な調性を扱えるのも耳コピをするメリットと言えます。
さらにメロディを耳コピした後は、楽器で演奏できるようになって「この調性といえばこの曲」みたいなイメージを刷り込めるようにしておくとさらに良いです。

耳コピするときに気をつけること

耳コピをするときには以下の点に注意すると良いです。
  • 1. 完コピは避ける
  • 2. 難しそうな曲は避ける
1. 完コピは避ける
1つの楽曲を最初から最後まで完璧にコピーするとかなり難易度が上がります。もし完コピできるならしたほうが得られるものは多いですが、どうしても長い時間がかかりますし、それによりモチベーションの低下につながる危険性があります。

そのため例えば、
  • 「サビのパート」だけコピーする
  • 「メロディー」だけコピーする
  • 印象的な「イントロのフレーズ」だけコピーしてみる
といった部分的な耳コピだけでも十分勉強になりますし、それで問題ありません。
2. 難しそうな曲は避ける
これは耳コピを実際にやってみないとわからないですが、例えば以下のような曲は難しいです。
  • メロディやリズムが細かく変化、刻まれるもの
  • ジャズなどテンションコードを多用しているもの
  • Dubstepのワブルベースなど音程感が薄いもの
簡単な曲を見分けるため方針としては、そのフレーズを口ずさめるかどうかで判定すると良いかもしれません。
一度聴いてその曲をフンフーンと鼻歌できるようなら、耳コピの難易度は低いと思います。

FL Studioでの耳コピ方法

テンポを合わせる

読み込んだオーディオファイルはプロジェクトのテンポに合わせることで、入力したノートの音程と一致するかどうかの比較がやりやすくなります。

オーディオデータをプロジェクトのテンポを合わせる方法については以下のページに書いています。

区間ループ

耳コピは繰り返し同じ部分を聴くことになるので、区間ループの設定をすると楽に繰り返すことができます。
区間ループの設定はタイムバーを「CTRL+左ドラッグ」で指定し、「左ダブルクリック」で区間を解除できます。

若干クセのある操作なので、詳しい操作方法は以下のページの「タイムバー」のところを参考にしてください。
(※ピアノロールの説明ページですが、プレイリストも操作は共通です)

パートごとの耳コピ

ボーカルとベース、ドラムは「Stem分離」という機能でパートごとにトラックを分離できます。

EQを使って特定のパートを目立たせる方法もありますが、Stem分離の方がより聞き取りやすい形にしてくれるので、これを使うのが便利です。
Stem分離の方法は以下のページに書いています。

MIDIへの変換

単音(ベースやボーカルなど)のオーディオファイルのみですが、Effector/Newtoneを使用するとMIDIデータを出力することができます。
ただこれを使ってしまうと耳コピする意味がなくなってしまうので、どうしても音が取れない場合や耳コピが完了して答え合わせをしたい場合のみ使うようにした方がよいです。

耳コピがうまくできないときのヒント


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耳コピの方法がわからない

  1. まずは「リズム」のコピーから行います。「ド」の音で構わないので、同じタイミングになるようにします。このときにMIDIキーボードがあると楽ですが、タイピングピアノモードでも細かいフレーズでなければなんとかタイミングは取れると思います
  2. 次に「音程」を合わせていきます。打ち込んだノートと実際の音が「高い」または「低い」のどちらかで判定を行い、より近い音を探します
  3. 正しいと思った音が見つかったら次のノートの音程を探します。前の音よりも「高い」または「低い」または「同じ」かどうかで正しい音程を探します。正しい音程を探すときもMIDIキーボードがあるとやはり楽です
上記手順を繰り返すことでメロディやベースといった単音の楽器であれば、よほど複雑なフレーズでなければ耳コピできると思います。

メロディの耳コピができない

メロディの音は通常、スケールの構成音から選ばれます。スケールとは、例えばCメジャー・スケールにおける「ドレミファソラシド」がどの音になっているか、というものです。
いくつかの音を拾って構成音からスケールを見つけることができれば、メロディの耳コピを時短できます。

音の確認に時間がかかりすぎてしまう

音程の確認にはMIDIキーボードがあると便利です。もしMIDIキーボードがない場合は、FLにはタイピングピアノモードがあり、それで音を確認できます。
マウスでノートを置きながら音を確認するよりも、まずはタイピングピアノモードで音を確認してみると時短になると思います。
可能であれば、MIDIキーボードを購入するのがオススメです。例えば KORG microKEY 25鍵盤 は比較的安く手に入り、小さくで場所も取らないので、もし持っていない場合、まずはこれで良いかと思います。

音感を良くする

音がうまく聞き取れない場合は、やや遠回りとなりますが楽器演奏を練習すると音感が良くなります。個人的なオススメとしてはピアノマーベルが音ゲー感覚で練習できておすすめです。
なおピアノ練習する場合は 49〜61鍵盤ないとすぐに足りなくなってしまうので、49鍵盤以上のMIDIキーボードを買うのがオススメです。

Roland A-49 は私も愛用しているMIDI鍵盤です。キーのタッチがとてもよくてオススメです。
また、こういったフルサイズの鍵盤だと、指が置きやすいのでセブンスコード(4和音)の確認もしやすくなります。

コードの知識を身につける

特にコードの聞き取りについてはコードの知識があると便利です。またよく使われるコード進行から次のコードを推測する、といった方法で耳コピできるようになります。
以下の本は作曲の知識のみならず、よく使われるコード進行のパターンも数多く収録されておりおすすめの本です。

参考

最終更新:2024年01月05日 08:34