オートメーション
DTMにおけるオートメーションとは、シンセやエフェクターのパラメータを時間軸で変化させるための仕組みです。
これを使うことで、曲の起伏や展開を作ることができるため、現代のEDMの作曲をする上でほぼ必須のツールとなっています。
オートメーションの基本
オートメーションの作り方 (標準プラグイン)
オートメーションしたいシンセやエフェクターの項目(ここではミキサーの音量)を右クリックして "
Create automation clip" を選びます。
すると
プレイリストにオートメーションが作られるのでこれを編集していきます。
基本操作は以下のとおりです
- 右クリック: ポイントを配置
- 左ドラッグ: ポイント移動
- ポイントの上で右クリック:カーブの種類を変更
もし詳細な編集を行う場合には、この部分をダブルクリックします。
サイドチェイン(ダッキング)風のカーブを作ることができました。
"STEP"モード と "SLIDE"モードについて
プレイリストの左上には小さい文字でひっそりと "STEP"モードと"SLIDE"モードの設定があります。
個人的には「
どちらもOFFにするのを推奨」ですが、何かのきっかけでONになってしまったときのために説明をします。
"STEP" モードを有効にすると、左ドラッグで連続してポイントが配置されます。
マウスでラフにオートメーションを作りたいときに役立つかもしれませんが、ポイントが大量に作られてしまうので、後々の調整が少し手間となるデメリットがあります。
"SLIDE" モードを有効にするとオートメーションのポイントを前後に動かしたときに、終端も一緒にスライドします。
この機能も基本的に不要で、理由としてはオートメーションが効き始めるタイミングを前後したいことはよくありますが、それに合わせて演奏データの終端を前後に移動したいことはあまりないためです。
サードパーティのプラグインのオートメーションを簡単に作る方法
“Create automation clip” が表示されるのは標準プラグインのみです。サードパーティのプラグインは右クリックメニューに表示されないので工夫が必要です。
FL Studioでパラメータをオートメーションする場合は、まず変更したい項目を選びます。例えば Sylenth1 の “CUTOFF” の値を変化させたい場合はこのツマミをクリックします。
そしてメニューから「ADD」を選び「Automation for last tweaked parameter」を選ぶとオートメーションが作られます。
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ADDボタンを追加する方法 |
ただこのメニュー項目を探すのが大変なので、ツールバーに “ADD” の項目を追加すると、若干楽になります。
方法はツールバーを右クリックして “Edit” を選びます。
するとツールバーのカスタマイズ画面が表示されるので「Add」という項目をツールバーにドラッグ&ドロップします。
右下の「X」ボタンを押してカスタマイズ画面を閉じます。
この項目はメニューにある "Add" と同じ機能が、たくさん並んでいるメニューから選ぶよりも、単体で配置されているぶん若干楽に選ぶことができます。
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追記:Multi Linkアイコン右クリックで簡単に作れます
わざわざ "Add" を追加しなくても、"Multi Link" アイコンを右クリックして "Create automation clip" で簡単にオートメーションクリップを作成する方法がありました。
作成済みのオートメーションに割り当てる方法
オートメーションの動きをすでに作成済みのオートメーションと同じにしたい場合についてです。
FL標準プラグインの場合
FL標準プラグインであれば、パラメータの上で右クリックして「Link to controller」を選びます。
パラメータを
リンクする対象が表示されるので、”Internal controler” から対象となるオートメーションを選択します。
そして、“Remove conflicts” のチェックを外して「Accept」ボタンをクリックします。
対象のオートメーションの詳細を確認すると “Target links” に追加されていることが確認できます。
サードパーティのプラグインの場合
サードパーティのプラグインは右クリックメニューに表示されません。
「対象のツマミをクリック」した後「TOOLS」メニューから 「Last tweaked > Link to controller」を選びます。
Link設定 (Internal controller に割り当てて、 Remove conflict のチェックを外す) をするとオートメーションに適用されます。
オートメーションの書き方
- 制御点の配置:左クリック
- 制御点の削除:「右クリック > Delete」または [右ALT+左クリック]
Tips / 逆引き
オートメーションを保存する方法
ブラウザから "Channel presets" を探して、右クリックで「Open」を選びます。
"Channel presets" のユーザーフォルダが開かれるので、"Automation clips" という名前でフォルダを作成します。
保存したいオートメーションの左上あたりをダブルクリックして、Automation editorを開き、▼ボタンから「Save as channel state」を選びます。
保存ダイアログが表示されるので、先ほど作成した「Automation clips" フォルダに名前をつけて保存。
すると、"Channel presets > Automation clips" フォルダのオートメーションが保存されます。
あとはこれをプレイリストにドラッグ&ドロップすると、オートメーションが作られるようになります。
オートメーションを使用しているプラグインを調べたい
他の人が作ったプロジェクトを解析したりする場合に、オートメーションがどのプラグインで使われているのかを調べたいことがあります。
その場合は、オートメーションをダブルクリックで開いて、
ターゲットリンクを右クリックすると対象のシンセを開くことができます。
オートメーションのパラメータをコピーしたい
コピーしたいオートメーションをダブルクリックして、詳細な編集画面を表示し、▶ボタンから「Articulator > Copy state」を選ぶとパラメータをコピーできます。
そして、コピー先のオートメーションの「Paste state」を選ぶと貼り付けることができます。
2024.2.4追記:オートメーションのメニューから直接コピー&ペーストが可能
オートメーションの左上を左クリックして表示されるメニューから「Articulator tools > Copy state」を選んでもコピーできるようです。
ピッチのオートメーションを書きたい
標準プラグインであれば、"Channel Pitch" でオートメーションを書けます。
まずはプラグインの歯車アイコンをクリックしてメニューを表示します。
次にプラグインの右上にある "PITCH" のつまみを右クリックします。
ポップアップメニューから "Create automation clip" を選択します。
するとオートメーションクリップが作成されます。
なお
プレイリスト左側の項目を
プレイリストにドラッグ&ドロップしても作成することができます。
オートメーションで Channel Pitchを変更してもピッチが変化しない場合
Channel Pitchを使えるのは「標準プラグインのみ」となります。
外部のプラグインを使う場合には "Pitch Bend" を動かします。
多くのシンセでは、キーボードの左隣に "Pitch Bend" とそれによる変化する "Bend Range" がセットであるので、そこからピッチを動かしたり、ピッチの変化する幅を設定できます。
オートメーションの範囲を指定する
オートメーションをダブルクリックしてオートメーションエディタを開くと、右上に "MIN" と "MAX" のつまみがあり、ここからオートメーションで制御するパラメータの「最小」と「最大」を設定できます。
LFOでオートメーションを書きたい場合
ジグザグなオートメーションを作りたい場合は、Automation Editor の "LFO" をクリックします。
そうすると、"SPD" で LFO の速度を指定したり、揺れの高さを "AMNT" で指定できます。
さらに "SPD" をオートメーションでコントロールすると、揺れ幅の変化するオートメーションが作れます。
オートメーションでテンポチェンジしたい
手順は以下の通り。
- Tempoパネルを右クリック > "Create automation clip" を選択します
- "Temp clip" が作成されます
- 作成した"Tempo clip"をプレイリストの適切な場所に配置します
テンポはデフォルトで "60~180" まで変化できますが、チャンネルラックのPanとVolumeがテンポの下限・上限のつまみに変化するので、ここで使用する範囲内に設定するとオートメーションが楽に書けるようになります。
マウスやMIDIコントローラーで記録したオートメーションをオートメーションクリップに書き出す方法
Automation Clipを使わなくても、マウス操作でオートメーションを書くことができます。
方法は録音ボタンを右クリックして「Automation」にチェックを入れます。
後は録音ボタンが点灯した状態で再生ボタンを押して、マウス操作(もしくはMIDIコントローラー) でパラメータを動かします。
録音したオートメーションは、パターンを
プレイリストに貼り付けるとわかります。
このデータをオートメーションにするには、
ピアノロールの下段にある「Control」をクリック。
"Pattern controls" のところにある項目をクリック。
オートメーションが表示されます。
この状態で、▼ボタンから「Edit > Insert current controller value」を選びます。
すると、オートメーションの書き出し画面が表示されます。
"Sensitivity" を最小にして制御点は減らしておいたほうが後から編集しやすくて良いと思います。
Acceptで書き出すとオートメーションが作成されます。
ちなみに " Insert current controller value" でオートメーションを書き出すと、もとのパターンに録音されていたオートメーションは自動で削除されます。
最終更新:2025年03月22日 11:15