Alex Rome - Music Theory Essentials まとめ
コード進行
How to Make Emotional Chord Patterns (エモーショナルなコード進行を作る10の方法)
1. chord mouvements (コードの移動)
コード進行を下降にすると「深刻」「悲しい」トーンとなる。
逆にコード進行を上昇させると「ポジティブ」なトーンとなる。
2. use passing chords (パッシングコード)
下降するコードが悲しすぎる場合には、パッシングコードを使って別のトーンを与えることができます。
パッシングコードを追加するには、コードを右クリックして "Add passing chord" を選びます。
するとパッシングコードが追加されました。
作られたコードの意味を確認するには「Name」を「rel (相対)」にするとディグリーネームで確認できます。
すると表記が以下のように変わりました。
コードの表記に対応する役割は以下のとおりです。
表記 (ディグリーネーム) |
役割 |
I, III, VI |
明るい、安心 |
II, IV |
少し悲しい |
V, VII |
深刻、悲しい、緊張 |
Vsus4は悲しさが増してしまったので、明るさを足すには「bIII」あたりが良いと思います
3. voicing (オープンボイシング)
コードをそのまま積み上げると、構成音同士で音程が近いため、窮屈な音になります。
もし音域の広がりを出したい場合には、「CTRL+A」で全選択した後、右クリックして、「Voicing > open」を選びます。
すると「オープン・ボイシング」と呼ばれる音域を広げたコードとなります。
4. voice leading (ボイスリーディング)
オープンボイシングにしたときに発生しやすいのですが、トップノートが跳躍すると唐突な印象を与えてしまいます。
ボイスリーディングとは、コードの構成音をそれぞれ独立した声部とみなして、なめらかに接続するように音を入れ替える方法です。
例えば以下のように構成音を入れ替えることで、コードが自然につながるようになります。
5. pedal tones (ペダルポイント)
べダルポイントとは「持続音」のことで、よく使われるのがベースをペダルポイントとして「どっしりとした安定感」を得られます。
通常ペダルポイントは「トニック」「ドミナント」が使われ、例えばキーが F#メジャー であれば「F#」「C#」です。
ディグリーネーム表記にすると、トニックは「I」ドミナントは「V」となるのでわかりやすいと思います。
なおペダルポイントはベース以外でも使えます。
個人的にはオープンボイシングだと使いやすい印象です。
また半音でぶつかるケースもありますが (画像では "
Bb" と "
A" ) 、違和感がない場合はぶつかっていてもOKです。
6. articulation (アーティキュレーション)
7. intervals instead of triads (3和音の代わりにインターバルを使う)
3和音を積み上げることにこだわらず、3度上や5度上だけを1オクターブ上に重ねるのも有効です。
8. freestyling
ペダルポイントやコードの転回形など、自由に組み合わせます。
9. melody rooting
10. sound choice
表現したい感情に合った音を選びます。
10 Chord Patterns for 10 Different Emotions (感情を表現する10種類のコードパターン)
1. Uplifting joyful, and euphoric (気分を高揚させ多幸感の得られるコード) [5-6-7-1]
コード進行生成ツールを起動して、Bassのチェックは消します。
スケールをマイナーにします。もしマイナーでなければスケールを右クリックして「Edit > Minor Natural」を選びます。
次に "Names" を "rel" にしてコードをディグリーネームにします。
Type a progression に " v bVI bVII I " と入力して Enterキーを押します。
するとトニック (I) に向かって上昇するコード進行となりました。
なお、これは Amをトニックとした場合には「Em - F - G - Am」となるコード進行です。
CTRL+Aで全選択して、"右クリック > Voicing > open" でオープンボイシングにします。
Acceptでコード進行を決定して、キーから見て「7度」のノートをペダルポイントとして入力します。
これは3番目のコードのルート音であり、1番目のコードから見た3度の音でもあります。
続けてキーから見て「3度」のノートをペダルポイントとして入力します。
これは4番目のコード (トニック) の3度の音です。
結果的には以下のような特徴を持ったコード進行と言えます。
- マイナーキーのトニックへ上昇するコード進行 (v bVI bVII I)
- 3度を1オクターブ上にしたオープンボイシング
- 最初と最後のトップノートをペダルポイントにする
2. Deep and serious (深くて真剣な) [6-7-1-7]
まずはベース音を無効にして、マイナースケールにします。
次に "Type a progression" に "6-7-1-7" と入力してEnter。
"bVI - bVII - I - bVII" のコード進行となります。(Names は "rel" にしてディグリーネームにしています)
CTRL+Aで全選択して、右クリックから "Vocing > open" でオープンボイシングにします。
そうしたら、Acceptで決定します。
このコード進行はニュートラルなので、メロディーにより印象を変えることができます。
例えばマイナースケールのメロディーにすると、より深くて真剣な感情を引き出すことができます。
メロディーをメジャースケールにした場合は、幸せで高揚感を得られる感情を表現できます。
3. Tense and suspenseful (緊張感とサスペンス)
4. Sad like real sad (本当に悲しい) [1-7-4-5]
まずマイナースケールにします。
それとBassも消しておきます。
Type a progression に "1-7-4-5" と入力します。
[CTRL+A] で全選択して、右クリックから "Voicing > open" でオープンボイシングにします。
そして、キーの音をペダルポイントとして入力します。
ただ4番目のコードは抜いたほうが良いかもしれません。
5. Feel good and euphoric (気分が良くなり、幸福感を感じる) [6-3-7-1]
まずマイナースケールにします。
それとBassも消しておきます。
Type a progression に "6-3-7-1" と入力してEnter。
[CTRL+A] で全選択して、右クリックから "Voicing > open" でオープンボイシングにします。
キーから見て 短3度、短7度をペダルポイントとします。
6. Feel good, but also kinda sad (気持ちはいいけど、ちょっと悲しい) [6-1-7-5]
まずマイナースケールにします。
それとBassも消しておきます。
Type a progression に "6-1-7-5" と入力してEnter。
[CTRL+A] で全選択して、右クリックから "Voicing > open" でオープンボイシングにします。
5度と1オクターブ上の2度をペダルノートとします。
7. Pump Up (ワクワクする) [1-.-6-4]
まずマイナースケールにします。
それとBassも消しておきます。
Type a progression に "1-.-6-4" と入力してEnter。
トニックを2小節に延長します。
[CTRL+A] で全選択して、右クリックから "Voicing > open" でオープンボイシングにします。
新しくシンセを追加して 3度の音を強調します。
8. Pump up, but kinda happy (盛り上がるけど、ちょっと幸せ) [1-.-3-6]
まずマイナースケールにします。
それとBassも消しておきます。
Type a progression から "1-.-3-6" と入力してEnter。
トニックを2小節に延長します。
コードから3度のノートを削除します。
別のシンセを追加して、5度の音を重ねます。
9. chill and relaxed (落ち着いてリラックスした) [6-1-7-1]
まずマイナースケールにします。
それとBassも消しておきます。
Type a progression から "6-1-7-1" と入力してEnter。
7のコードを伸ばして1.5小節にします。
[CTRL+A] で全選択して、右クリックから "Voicing > open" でオープンボイシングにします。
Drone系のシンセを追加して、8分のノート刻みにします。
10. Happy (幸せ) [4-5-1-.]
すべてメジャーコードを使うパターン。
スケールはメジャーにします。
それとBassも消しておきます。
Type a progression から "4-5-1-." と入力してEnter。
最後のトニックは2小節に伸ばします。
3度と5度のノートをすべて削除します。
2オクターブ上にキーをペダルノートとして配置。
ルートを1オクターブ上にコピー。
5度のペダルノートを追加します。
10 Ways To Add ENERGY To BORING Chords (退屈なコードにエネルギーを加える10の方法)
1. Less cheesy chords with voice spreading and tonic notes (声の広がりとトニックノートでチープさを抑える)
以下のコードはベーシックで安っぽく聴こえます。
そこで3度の音を1オクターブ上にすることで、音の広がりが豊かになります。
ただ3つ目のトップノートの動きが少し目立ちすぎています。
そこで目立つトップノートは1オクターブ下に移動させます。
またスケールのキーをペダルノートにしても良いです。
2. Try using the SAME chords but DIFFERENT articulation (同じコードでも違うアーティキュレーションを使う)
以下のコードはオープンボイシングですが、4番目のコードは5度を1オクターブ上にしています。
アーティキュレーションとは音の始まりや終わり、音の強弱、音のつながり方のことです。例えば、コードチェンジは通常4拍ですが「3拍」を区切りにすることもできます。
アーティキュレーションを以下のように修正します。またペダルポイントを設定するのも良いです。
3. Add supporting instruments that work well with the chords (コードに合う補助楽器を追加する)
- G minorスケール
- "Gm Eb F Cm"
- 3拍・5拍・3拍・5拍
このコードに対してファンキーなベースラインを付け加えます。
4. Resolve every other chord pattern to remove repetition (繰り返しを排除するために、他のコードパターンを解決する)
以下のような繰り返しのコードがあるとします。
このコードの繰り返しの印象を避けるには、一部のコードを分割します。例えば後ろから2つめを選んで右クリックから "Add passing chord" を
選びます。
これにより繰り返しの印象を変えることができます。
5. Add dynamic layers to the chords (ダイナミックレイヤーの追加)
白玉 (1分音符, 2分音符) のコードレイヤーを Mellow Chord Layer と呼び、イントロや Breakdownなどで落ち着いたパートで使うのが効果的です。
それに対して以下のようなリズミカルな Rhythmic Chord Layer は曲の後半でコードにエネルギーを加えるのに最適です。
コードレイヤー |
説明 |
Mello Chord Layer |
イントロやブレイクダウンなど、曲のエネルギーが低い部分に最適です |
Rhythmic Chord Layer |
曲の後半でコードにエネルギーを加えるのに最適です |
6. Add layers to your chords (コードにレイヤーを追加する)
コードにレイヤーを追加します。
7. Change the rhythm of the chord pattern (コードパターンのリズムを変える)
例えば以下のように4拍区切りでコードチェンジするパターンがあるとします。
コードチェンジするタイミングを変えることで、リズムを変更することができます。
8. Use automation to add expression (オートメーションで強弱をつける)
Supersawなどはオートメーションのカットオフでコードの強弱をつけることができます。
9. Chord inversions help make your chord patterns less cheesy (コードの転回形を使う)
生成されるコードは、たまに「音程の跳躍が大きく」なることがあります。
この場合、コードの右上にはる数字にマウスを移動させてホイールを回すと転回形により跳躍を小さくすることができます。
ただし転回形の値を目的の音程まで動かせない場合があります。そのときは右クリックして「Transpose > One octave up/down」でオクターブ移動させます。
10. Pick the best sound to represent your chords (コードを表現するのに最適なサウンドを選択する)
コードに合った音を選びます。例えば「悲しみ」を表現するコード進行であれば、ソフトで柔らかい音を使ったほうがより多くの感情を引き出すことができます。
リズムパターン
5 Pattern Grooves Every Producer Should Know (知っておくべき5つのグルーヴパターン)
1. DOTTED 1/8 (付点8分音符)
8分音符の1.5倍の長さのノートを使う(16分x3)。
ただしそのまま使うと最後のリズムにスキマができてしまう問題があります。
これを解決する方法は2つあります。
解決する位置 |
緊張感 |
グルーヴ感 |
補足 |
1小節目 |
少し低い |
浅い |
解決が速いので、安定・安心感が得られやすい。単調。わかりやすいリズム |
2小節目 |
高い |
深い |
解決を伸ばすことで複雑さを感じされる |
まずは1小節目で解決するパターン。
4拍目を 8分 x 2 にして解決します。わかりやすいリズムとなりますが、単調とも受け取られる可能性もあります。
2小節目で解決する場合は、シンコペーションでつなげます。
さらにリズムのノリを良くする工夫に「スウィング」があります。
例えば "ALT+Q" でクオンタイズツールを呼び出して、"Template" に "
16_machine_swing" を指定すると 16分の裏拍をスウィングすることができます。
飛び道具的なノリを出す方法として、
Slicex に声ネタを読み込ませます。
そして8分の裏に入れることで独特のノリが生まれます。
2. DOTTED 1/4 (付点4分音符)
付点4分音符を繰り返すパターン。
ただそのままつなげるだけだとグリッドに収まりきらないので、小節の境目で何らかの工夫が必要です。
例えば1小節単位で解決する場合は以下のパターンとなります。
これはわかりやすさはあるものの、ともすれば単調なリズムと受け取られる可能性があります。
そこで、付点4分音符の流れを2小節の最後まで維持して、最後で解決する方法があります。
ただ、細かいリズムが最後に割り込むため、解決感はやや低いです。
より解決感の高いリズムは最後を "44" にするパターンです。
もし "666" パターンを使う場合は、1〜2小節を "666662" にして、3〜4小節目を "666644" にすると 4小節で循環するようなリズムとなります。
3. CROSSOVER (付点8分と付点4分の組み合わせ)
パターン |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
31 |
32 |
補足 |
664 33334 |
6 |
6 |
4 |
3 |
3 |
3 |
3 |
4 |
|
664 -3334 |
6 |
6 |
4 |
- |
3 |
3 |
3 |
4 |
2小節の頭を抜く (またはVelocityを低くする) ことでグルーブ感が増す |
4. 1/8 STANDARD (スタンダードな8分音符のパターン)
8分音符を並べるパターン。
グルーヴ感やファンキーさはないものの、力強いビートが感じられる。
それゆえ単調さがあるので、
Gross Beatなどを使ってサイドチェインでグルーヴ感を作ることが大切。
5. FREESTYLE (すべてを組み合わせる)
1から4を自由に組み合わせてグルーヴを作る!
3 Piano Patterns Avicii and Kygo Always Used (AviciiとKygoがよく使う3つのピアノパターン)
1. eight note groove (8分音符のグルーヴ)
まずは2小節目の頭を食うようなコードチェンジを作ります。
次に [ALT+U] でチョッパーツールを起動して、Patternを "Default"、Time mul を「右上」にして、8分音符でノートを刻みます。
ただこのままだとメリハリが無いので、
Fruity Love Philterなどでサイドチェインをかけます。
2. dotted groove (332)
まずはコードを作成します。コードは1小節(4拍)または2拍ごとで区切ります。
[ALT+U] でチョッパーツールを起動して、Patternを "6 notes 1"、Time mul を上方向にすると「332」のリズムでノートが刻まれます。
[ALT+Q] でクオンタイズツールを起動して、Templateを "16_machine swing" にしてスウィングをかけます。
ノートが短すぎると感じる場合は [CTRL+L] でレガートにして、ノートの長さを調整しても良いと思います。
3. triplet groove (333322 / 33334)
まずは以下のようなコードを作成します。
前半を「333322」後半を「33334」のリズムで刻んで完成です。
リズムが単調に感じる場合は、サイドチェインをかけても良いと思います。
ベース
5 Bass Patterns That Changed My Life (私の人生を変えた5つのベースパターン)
1. Dotted 8th Note Rhythm (付点8分音符のリズム)
付点8分音符を繰り返すリズミカルなパターン。AviciiやKygoがよく使うパターンとのことです。
グリッドの数が「3, 3, 2」となるので、332パターンと覚えても良いかもしれません。
2. 「44 332」パターン
332パターンの前に 4分音符を2つ入れて、ビートが前に出る力強さが加わったもの。
Jersey Club という音楽ジャンルでよく使われる、強烈な個性を持ったリズムパターンです。
3. 8分音符の繰り返し
8分音符を繰り返すというシンプルなパターン。良いパターンが何も思いつかない場合はこのパターンが頼りになるとのことです。
シンプルであるがゆえ、コードチェンジのタイミングを工夫することで変化を出しやすいパターンでもあります。
4. The Chilled Little Monster (3346)
332を少し伸ばして4分音符、最後を付点4分音符にしたパターンです。
ゆったりしたテンポ (120あたり) の Chilllout なジャンルの曲と相性のよいベースとなります。
最後の付点4分音符を分割するバリエーションもあります。
5. Bubbly Dancer (4336)
44332ほど激しくなく、ほどよくリズムが前に出てくる陽気なパターンです。
なお最後の "6" はフリースタイルゾーンで自由にバリエーションを作ることができます。
例えば "6" を 222 にして "オクターブベース" にしたり、21111 にして "順次進行" させることもできます。
環境音
Legendary Atmo Patterns (伝説的なAtmoパターン)
環境音はメロディやリズムを与えるものではありませんが、「曲の雰囲気」を与えて音楽に「深み」を持たせることができます。
1. Mystic drone (神秘的なドローン)
雰囲気に動きを加えるのに最適なサウンドのパターン。
- 音色は Pad を選択する
- 4分音符でノートを配置する (ルート or ドミナント音)
- Reverbを深めにかける(Size, Wet を大きくする)
- EQで高域を少し削る(ここは音色と他のパートに合わせる)
- サイドチェインをかける。2分音符で登り切るスローなカーブを作る
2. Tension Building arp (テンションを高めるアルペジオ)
ゴージャスなテンションを高めるパターン。
"332" のリズムでリード系のアルペジオを入れる。
このアルペジオはボーカルのフックが終わったタイミングで入れると、さらに注目を集めることができる。
3. The curiosity pattern (好奇心パターン)
ちょっとした好奇心を追加し、曲の感情を固めることができる。
- 深いリバーブの高域担当の音を使う(例えばピアノなど)
- 2小節ごとにトニックまたはドミナントのノートをランダムに配置する
参考
How to Make Emotional Chord Patterns (10 Ways)
10 Chord Patterns for 10 Different Emotions
10 Ways To Add ENERGY To BORING Chords
5 Pattern Grooves Every Producer Should Know
5 Bass Patterns That Changed My Life
Legendary Atmo Patterns
最終更新:2024年08月24日 10:26