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ゲイリー・E・シュワルツ

概説

ゲイリー・E・シュワルツ(Gary E. Schwartz、 1944年6月14日-)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州出身の心理学者、超心理学研究者である。1971年にハーバード大学で心理学の博士号を取得した後、5年間ハーバード大学で助教授を務め、その後1976年から1988年までイエール大学で心理学と精神医学の教授を務め、1988年からアリゾナに移住しアリゾナ大学の教授で「意識と健康の進歩研究所」の所長を務めている。当初は健康心理学に関する多くの論文を発表、近年では意識に基づく健康問題に焦点を当てている。霊媒やエネルギーヒーリングの真実性も研究しており、マリオ・ボーリガード、リサ・ミラー、ラリー・ドッシー、ルパート・シェルドレイクと共に執筆した「ポスト物質主義科学のマニフェスト」は、科学雑誌『Explore』に掲載されている。

超能力への関心

シュワルツは、マンハッテンへ向かうフランクリン・ルーズベルト・ハイウェイを走行中に妻と交通事故に遭ったことが、心理的潜在能力の研究を始めたきっかけだと主張している。シュワルツは、車を停止していたところ、突然「シートベルトを締めろ」という声が聞こえたとされている。そして、妻にもシートベルトを締めるように指示した直後、時速80キロメートルで走ってきた車に衝突されたが、謎の声によって命を救われたという。その後、その声がどこから聞こえたのかを探求し始めた。*1

霊媒の研究

1995年1月に、過去40年に渡って亡くなった母親と交信できる能力があるとされたスージー・スミスに関する新聞記事を見て、スージー・スミスとコンタクトを取った。また、1997年の秋にカリフォルニアのバイオフィードバック協会の講演を依頼された際、精神科医のドナルド・ワトソンに亡くなった人々から情報を受けることができる霊媒能力をもっているというローリー・キャンベルの話をされ、シュワルツはキャンベルに会うと「あなたのお母さんが、ここにいるのを感じられます。」と言われ、シュワルツの母の大きな声、愛情深い性格、がっしりした体格などについて描写された*2。そして、数分もしないうちにローリーは母からの緊急のメッセージを伝えねばならないと感じたと言い、「あなたのお母さんは、あなたにお兄さんに電話するよう伝えてほしいと言っています。」等と言い、兄が東海岸に住んでいることを正確に言い当て、彼の子どもについても言及した。このような体験が多くの興味深い可能性を示唆していたこともあり、シュワルツは研究パートナーのリンダ・ラッセックとともに霊媒についての実験を考えるようになる。

後のシュワルツの実験では、霊媒に被験者に関する予備知識は全くなく、実験の前後で霊媒どうしが接触することがないように細心の注意が払われている。死後の世界をテーマにしたHBOのドキュメンタリー番組のために、全米トップクラスと言われる霊媒、ジョージ・アンダーソン、ジョン・エドワード、アン・ゲーマン、スーザン・ノースロップ、ローリー・キャンベルがシュワルツの実験に参加し、彼らが行った一人の被験者に対するリーディングの的中率は68名のアリゾナ大学の学生が当てずっぽうで行ったリーディングと比べて、遥かに高い数値であったことが知られている*3。後年、霊媒には誰が被験者になるかを一切知らせず被験者の声を一切聞かず、被験者側も霊媒の声を聞かないという二重盲検の形での実験も行われている。

なお、懐疑論者の主張として、霊媒が死者から提供された情報を本当に伝えているのなら、なぜその情報は 100パーセント 正確で、明確に提示されていないのかというものが想定されるが、シュワルツは霊媒が本当に死者と交信しているのだとしたら、メッセージを受け取るにあたって、様々な干渉や微弱な信号、私たちには想像しがたいような困難が存在する可能性があるとしている。そして、バスケットボール選手マイケル・ジョーダンのシュートの成功率が平均すると45パーセントほどで半分以上外しているとしても、他の誰よりも優れているということや、時折、目を瞠るようなシュートを決めることがあるという理由などから最高の選手の一人だと考えられていることを持ち出して、霊媒についても同様のことが言えるのではないかと考えている。*4

霊媒に対する考え方

懐疑論者が、霊媒が信奉者のリーディングだけ上手くいくというのは不可解だという主張に対し心理学において、気を散らす刺激が弱い刺激を妨げ得ることと同様に、周囲の感情や敵意をもった人々の感情が柔らかく微妙な情報を受信するのを妨げることがあると見ている*5。実際、霊媒は、受信する情報は微妙であり、外界や彼ら自身の思考や感情がそれらを感知することを妨げることもあるという。このことは、超能力実験における「羊と山羊の問題」に通じるところがあると言える。
また、シュワルツは霊媒の解釈において、詐欺の可能性や曖昧な情報、まぐれ当たり、選択的記憶等を含め11の要点を挙げている*6。それによれば、詐欺や表情からの読み取りの可能性について、二重盲検実験における霊媒によるリーディングの正確さを挙げその可能性を否定している。また、被験者は信じたいものを信じたいが故に、的中した情報だけを記憶し外した情報を忘れているのではないかという選択的記憶に基づいた考えがあるが、霊媒の発言は被験者の記憶だけでなく実験室におけるテキストデータとしても残っているので、そのようなことはないとしている。霊媒が得ている情報が曖昧かつ一般的であり、誰にでも当てはまるのではないかという主張に対しても、霊媒が得ているイニシャル、名前、歴史的事実、個人に関する記述、気質、意見についてのデータが個々の被験者について非常に具体的なものであり、抑制群の情報の正確さはそれよりも遥かに低いとしている。さらに、霊媒の高い的中率はまぐれ当たりであり再現不可能ではないかという主張に対し、実験では5人ほどの霊媒によって再現されていることを指摘している。
そして、霊媒が超常的なことをしているにしても、死者と交信しているのではなく、被験者の心や宇宙の記憶の痕跡を読んでいるのではないかという主張もある。それらに対し、被験者が後に確認するまで知らなかった情報や、被験者が否定していたが後から正確だと分かったという情報を言い当てたという例がありテレパシーに基づいた解釈では説明し難い面がある。また、宇宙の記憶の痕跡を読み出しているという可能性について論理的な可能性として否定できないにせよ、霊媒自身、情報が生きいきしていて、読み間違いをすると否定されるなど静的ではないと述べていることや、死者自身が被験者とコミュニケーションを取り続けているように見えるということが挙げられている。

シリコン・フォトマルティプライヤーを用いた実験

シュワルツは、シリコン・フォトマルティプライヤーという光子を検出する機械を使って、霊媒を通して、霊に暗室に行くように依頼し、霊が入っていた時間とそれ以外の時間とで検出された光に差がないかを比べると、霊が部屋に入っていたとされる時刻に圧倒的に大きな増加が見られることも実証している*7。このようなことから、シュワルツは肉体がなくなった後の心は少なくとも光子と強く関係した存在であると主張している。

脳と心の関係

シュワルツは脳と心の関係について、「脳が先か、心が先か」という問いに対する答えとして以下のように述べている(訳は管理者)。

 私が気付いたそれに対する答えは、財団が脳科学の代わりに心の科学に捧げられてきた理由に関係していた。西洋科学の伝統の中で育った私は、心は神経の構造や機能、神経化学の産物であり、人間の行動において心が果たす役割は小さく、脳が死ねば心も消失すると教えられてきた。これにて一件落着、というわけである。
 「脳が先、心が後」という仮説である。これは現代科学において支配的なモデルである。それは当然、真実であると考えられ、実際上のあらゆる目的において、現代西洋科学によって信仰のように扱われている。数年前まで、私もそれを信じていた。
しかしながら、これとは別のモデルが存在し、それは今日の未来を見越した科学と同じくらい現代的でありながら、記録された歴史と同じくらい古く、二千年以上前にはプラトンやピタゴラスのような学者たちによって真理とみなされてきた考え方である。そして、その考えは、前世紀にはノーベル賞を受賞した神経生理学者ジョン・エックルス卿や、著名な脳神経外科医のワイルダー・ペンフィールドによって支持された。さらに、ウィリアム・ジェームズ博士、アインシュタインの弟子で著名な量子物理学者デヴィッド・ボーム博士、そしてマインド・サイエンス財団を設立したトム・スリックもこの立場を取っていた。
 このモデルは心が先であると主張する。意識は脳とは独立して存在する。その生存のために脳を必要としない。心が第一であり、脳は第二である。脳は心の創造者ではなく、心のための強力な道具である。脳は精巧なテレビや携帯電話のように、心のためのアンテナ/受信機なのである。*8

また、シュワルツは、意識と脳の相関関係を指摘し、電極を使って脳の一部を刺激すると光が見えたり、脳の一部を切除すると視覚認識が低下したりすることがあるという相関、刺激、切除の3つの要素が、脳が意識を作り出しているという考えを示しているようだという*9。しかし、それだけではテレビがテレビ信号を作り出していると結論付けられないことと同様に、脳が意識の創造者かアンテナ受信者かを結論付けることはできず、そのためには別の種類の実験、別の種類の方法が必要になるとシュワルツは見ている。そして、脳が先か、心が先かを決定できる実験の最たるものとして、霊媒研究を挙げ、脳ではなく、心が先であると結論付けている。

  • 参考文献
  • 参考サイト
最終更新:2026年02月03日 22:58

*1 https://www.rekonekcija.me/naucne-reference-dr-svarc?lang=en

*2 Schwartz 2002 p.31-32

*3 Schwartz 2002 p.119

*4 Schwartz 2002 p.54

*5 Schwartz 2002 p.218

*6 Schwartz 2002 p.258-269

*7 2015 p.225

*8 Schwartz 2002 p.267

*9 https://quietsphere.info/is-consciousness-more-than-the-brain/