近年では、
霊媒現象についても厳格な実験が試みられたと言え、被験者(シッター)、実験者などが互いに情報をもたず、事前情報が完全に遮断された多重盲検実験も行われている。
現在、霊媒について、最も精力的に研究をしているのが、アリゾナ大学心理学科教授の
ゲイリー・シュワルツである。死後の世界をテーマにしたHBOのドキュメンタリー番組のために、全米トップクラスと言われる霊媒、ジョージ・アンダーソン、ジョン・エドワード、アン・ゲーマン、スーザン・ノースロップ、ローリー・キャンベルがシュワルツの実験に参加した。シュワルツの実験では、霊媒に被験者に関する予備知識は全くなく、実験の前後で霊媒どうしが接触することがないように細心の注意が払われた。
そして、霊媒と被験者の間には大きなスクリーンが置かれ、霊媒には被験者が全く見えない状態でリーディングが行われ、最初の挨拶を除いて被験者は霊媒に対して「はい」か「いいえ」のいずれかで返事をすることだけが認められる。つまり、霊媒が被験者について、通常の手段で入手することのできる情報は、「はい」「いいえ」の音声だけということになる。
そして、シュワルツは、実験後、被験者にリーディングが故人の特徴にどれだけ当てはまっているか採点してもらった。リーディングをイニシャル、名前、歴史的事実、個人に関する記述、気質、意見の6つのグループに分類し、全くの的外れである-3から大当たりの+3までの7段階の範囲で採点した。パトリシア・プライスという女性について、5人の霊媒が別々に行ったリーディングを集計したところ、大当たりの割合が、最低77パーセント、最高95パーセント、平均83パーセントという高い割合であった。なお、68名のアリゾナ大学の学生が当てずっぽうで行ったリーディングの場合は、36パーセントであったらしく、霊媒の方が遥かに高い数値であることが窺える。また、イニシャル、名前、歴史的事実、個人に関する記述、気質、意見の6つのカテゴリーについて、5人の霊媒のリーディングを合わせると名前は65パーセント以上の的中率であった。リーディングの内容としても、複数の霊媒が共通して犬や息子の死に関する情報を得ているなど興味深い事実が含まれていた。
懐疑論者の中には、被験者の声を聞くだけでも、それが被験者の年齢や感情状態に関するヒントになって被験者しか知らない情報を知っているかのように見せかけるコールドリーディングができるのではないかと主張する。声だけでそれを行うのは無理があるように思われるが、霊媒が被験者の声を一切聞かないという条件に実験方法が改良され、実験に立ち会っている人が被験者のうなずきや首振りを観察し、それをスクリーン越しに霊媒に「はい」「いいえ」と声で伝えるという方法での実験も行われた。また、霊媒には誰が被験者になるかを一切知らせず被験者の声を一切聞かず、被験者側も霊媒の声を聞かないという二重盲検の形での実験も行われ、シュワルツはこれをevidence-based mediumship(証拠に基づいた霊媒研究)と呼んでいる。霊媒の発言が文字起こしされ、各被験者にはその人自身に関するリーディングと他の被験者に関するリーディング(プラセボのテキストデータ)が送られた。被験者もどのテキストデータが自分のものか知らされていなかったが、ローリー・キャンベルがある被験者について、いかなる形でも接触せず誰であるかを知らない状態で得た情報についての的中率は60パーセント程であったのに対し、その被験者が自分ではない別の被験者についてのローリーのリーディングを採点しても一つも的中していなかったという。このことからは、誰のものか分からない状態でも自分のリーディングを判別できるということが窺え、被験者は自分のリーディングだと知っているから、評価が甘くなるという懐疑論者の主張を否定する根拠にもなる。
シュワルツは、一重盲検、二重盲検、三重盲検の条件で、多くの研究を行った結果、少なくとも一部の霊媒は実在すると結論付け、意識の肉体の死を越えた持続や魂の生存という考えを裏付ける可能性を考えている。
最終更新:2026年05月31日 22:56