倍音の基礎知識

このページでは、音作りに役立つ倍音の基礎知識について書きます。


Harmonicsについて

Harmonics (ハーモニクス) は直訳すると「高調波」ですが、音作りにおいては「倍音」を意味します。
さらに Harmoniser (ハーモナイザー) は音作りでは「倍音(整数次倍音)を加えることで音をクリアにする」という意味で使われます(本来の意味は「調和する」)
用語 音作りでの意味 (本来の意味)
Harmonics (ハーモニクス) 倍音 (高調波)
Harmoniser (ハーモナイザー) 倍音成分を加える (調和する)
さらに Harmony (ハーモニー) という似た言葉がありは、こちらは「調和」という意味で、主に音楽においては「和声」となり「和音の進行や音の配置の組み合わせを指します。

音作りに役立つ倍音の知識

項目 説明
Sine波以外には
すべて倍音が含まれている
例えばSaw波には多くの倍音が含まれているので、
Filterで倍音を削るケースが多いです
整数次倍音を加えることで
音がクリアになる
整数次倍音を加えるとクリアな(金属的なギラギラした)音になります。
整数次倍音が多い声を持つ人は声がよく通り、
荘厳な響きがあるので「カリスマ性」があると言われます。

逆に非整数次倍音は濁った(カサカサした)音になりやすいですが、
「親しみやすさ」が得られる効果があります
累乗倍音を加えると
クリーンな音になりやすい
2の累乗倍音はオクターブ上の音になり、
3の累乗は5度上 (正確には1オクターブ上なので12度上) の音になります
Square波は奇数倍音 1,3,5,7,9といった奇数を加えるとSquare波になります

整数次倍音

「整数次倍音」とは整数値で表現される倍音のことです。例えば「2倍音」「3倍音」「5倍音」などは整数次倍音で、「1.5倍音」「6.025倍音」は非整数次倍音となります。
以下は、1倍音を「C3」とした音程の対応表です。
倍音 説明 音程
度数 オクターブ
1倍音 C3 そのままの音 1度 0
2倍音 C4 2倍音は1オクターブ上 1度 +1
3倍音 G4 3倍音は1オクターブ上の5度 5度 +1
4倍音 C5 4倍音は2倍音x2 1度 +2
5倍音 E5 (※1) "E5" は 5.0625倍音なので近似値 (※2) 3度 +2
6倍音 G5 3倍音x2 5度 +2
7倍音 A#5 (※1) A#5は近似値 増6度 +2
8倍音 C6 2倍音x (2^2) 1度 +3
9倍音 D6 3^2倍音 2度 +3
10倍音 E6 (※1) 5倍音x2 3度 +3
11倍音 F#6 (※1) F#6は近似値 増4度 +3
12倍音 G6 3倍音x (2^2) 5度 +3
27倍音 A7 3^3倍音 6度 +4
81倍音 E9 3^4倍音 3度 +6
  • (※1) 5倍音/7倍音/10倍音/11倍音の音は近似値です
  • (※2) 平均律における "E5" を倍音の比率で計算すると 81/(2^4) = 5.0625倍音 となり、わずかにズレが生じています。このあたりが3度が不安定な音であると言われる理由なのかもしれません
    • E9: 81倍音
    • E8: 40.5倍音
    • E7: 20.25倍音
    • E6: 10.125倍音
    • E5: 5.0625倍音

参考


音律と音階の科学 新装版 ドレミ…はどのように生まれたか (ブルーバックス)

以下の本は、調性や音程を科学的な側面から理解して、知識を定着させるのに役立ちます。作曲技術に直接役立つことはありませんが、音を好きになるのに良い本です。(音作りに役立つ)
数式が若干多めですが、よくわからない部分は読み飛ばして気になる部分だけ読んでも効果はあると思います。
最終更新:2024年06月11日 13:28