Harmorでのボーカルのリシンセシスのやり方
このページでは、
Harmorを使ったボーカルのリシンセシスのやり方について書きます。
ボーカル・リシンセシスの特徴
- ボーカルを楽器のように扱える
- ピッチを均一にしたボーカル素材に対して、リアルタイムでMIDIノートの音程に変化させることができます
- これによりボーカル素材を楽器のように演奏することができます
- テンポとの同期
- テンポに合わせて再生位置を自動で合わせることができます
- デメリット
- 平坦な歌い方になってしまう:ピッチを均一するため抑揚のない歌い方となります
- ピッチを均一することで素材が劣化する:通常はピッチ補正ソフトでピッチを均一化しますが、極端なピッチ補正により特定周波数に不自然な音が残ることがあります
ボーカル素材を加工する
ボーカル素材を用意する
まずはリシンセシスするボーカル素材を用意します。
素材を作るときは以下の点に注意すると良いです。
- 小節の頭から開始するようにする
- 実際にリシンセシスとして使うときに、弱起を意識してノートを配置する制約が生まれるためです
- どうしても弱起を入れたい場合は、ノートの配置を気をつける必要があります
- 1・2・4小節の素材にする
- テンプレートとして用意されているのは「1・2・4」小節のデータです
- これ以外の長さの素材を使う場合は LFO 設定を修正する必要があります
- また2の階乗 (1・2・4・8・16) 以外の小節数にすると扱いが難しくなるのでこれも注意です
- できれば素材のピッチを「C」に揃えて歌う
- ピッチ補正の都合上、大きなピッチ変更は音を歪ませるため、基準となる「C」の音程で素材を用意すると良いです
素材をNewtoneに読み込ませる
ボーカル素材をNewtoneに読み込ませます。
画像は
プレイリストから読み込みを行っていますが、
ミキサートラックに Newtone をインサートしてドラッグ&ドロップでも良いです。
ピッチを揃える
素材を読み込ませたら Newtone上で 「CTRL+A」で全選択して (見た目上、全選択しているかどうかわかりにくいですが…)、基準となるノート、例えば「C5」を ALTを押しながらクリックします。
するとノートのピッチが均一となります。
ただピッチの移動が大きい部分はどうしても歪んだ音が含まれてしまいます。
音をさらに均一にしたい場合は CENTERを「100%」VARIATIONを「0%」TRANSを「0%」にするとピッチの変化を最小限にすることができます。
ただし、ニュアンスが完全に消えてしまうので、好みで設定して良いと思います。
タイミングの調整
必要に応じてクォンタイズでタイミングを調整します。
クォンタイズは「CTRL+Q」または、ハサミアイコンから「Quontise time」で調整できます。
それぞれのノートを左右にずらして、手動でタイミングを調整することもできます。
ピッチ補正した素材の保存
加工した素材を書きますが、素材の長さが重要なのでループする小節を正確に選択します。この範囲が保存される範囲となります。
シークバーの部分を右ドラックで範囲選択できます。
選択範囲を解除したい場合は、左ダブルクリックで解除できます。
直接保存すると選択範囲で出力されないので「プレイリストに送る」ボタンでいったんプレイリストに書き出します。
すると小節のグリッドに合うように書き出されました。
あとはダブルクリックでSampleを開いて、右クリック「Save as」で保存します。
保存場所は Harmorのプリセットを保存する場所が良いと思います。
ただ、別のプロジェクトで使わないのであれば、プロジェクト内など、どこに保存しても問題ありません。
念のため保存した素材をプレイリストに配置して確認します。
このときに終端が小節の途中で終わっているなど正しくない場合は、素材として使えませんので小節のグリッドに収まるように修正します。
Harmorの設定 (素材の読み込み方法)
Resynthesisプリセットを読み込む
Harmorを立ち上げて、プリセットから「Template > Song synced resynthesis (2 bars)」を選びます。(今回は2小節のループのため)
これによりリシンセシスのパラメータが設定され、IMGタブが開かれた状態となります。
ボーカル素材を Harmor にドラッグ&ドロップします。
あとは▼ボタンからプリセットを保存しておくと、別のプロジェクトでも使うことができます。
■注意点
ボーカル素材はプリセットデータに含まれないため、素材のwavファイルを消さないようにする必要があります
リシンセシスに関連するパラメータの説明
開始位置とフォルマント
プリセット「Template > Song synced resynthesis (2 bars)」には、MOD Xに「開始位置」MOD Yに「フォルマント」が設定済みです。
これによりMODの値を動かすだけで、開始位置をずらしたり、フォルマント変化で声質を変えることができます。
Velocity
「vel」をONにすると、ノートのVelocityで音量が変化します。velがOFFの場合は一定の音量となります。
Speed
SPEEDの値によって再生速度を変えられます。
なおボーカルのリシンセシスの場合は LFO によって再生位置が設定されるので、通常はこの値は「0%」となります。
LFOを手動で設定する場合
「1・2・4小節」以外の長さの素材を使う場合には "ENV" タブから、"Image time offset > LFO" で設定します。
設定のポイントは以下のとおりです。
- TEMPOとGLOBALにチェックを入れて、LFOの周期をグローバルテンポに合わせる
- LFO SKEWを100%にして波がノコギリ型になるようにする
- LFO SPD (Speed) を調整して小節の終わりに +50% がピッタリ合うようにする
- 開始と終了のループを設定する
- 開始位置をドラッグして -50% になるようにする
参考
FL STUDIO Guru | Harmor Vocal Resynthesis
FLStudioのHarmorでボーカルリシンセシスのやり方2
最終更新:2025年03月23日 13:02