■概要
アパム戦術とは、自機の損害を省みず突貫する戦術である。
一般には「敵護衛を無視して、敵タンクに突貫する
アンチ戦術」を指すと考えてよい。
名前の由来は同PNのプレイヤーがこの戦術を提唱した事に由来すると言われている。
本頁においても一般的に言われる「敵護衛を無視して、敵タンクに突貫するアンチ戦術」について概説する。
このアパム戦術を実行するに際しては、次項にあるデメリットがあるため、「拠点を守る 先行する」と味方に宣言してから実行する事。
■アパム戦術のメリット・デメリット
通常の一般的なアンチ戦術とアパム戦術を比較した際のメリット・デメリットを概説する。
敵タンクを強く妨害するため、敵軍の拠点攻略を遅れさせやすい。
敵の護衛を落としにくいため、敵軍にリスタアンチされにくく、自軍の拠点攻略が比較的安定する。
敵護衛に一方的に攻撃されるため、MSコストでの自軍ゲージロスが大きくなる。
また、残された他の味方アンチが枚数不利になってしまう。
つまり、「相手タンクの拠点攻略回数を減らす」「相手タンクの拠点攻略におけるタンクコストをより要求する」事がアパム戦術の目的という事であり、アンチ側の戦場支配手段の一つと言える。
ただし、相手にしてみれば護衛側の戦場支配手段「護衛を完遂しつつ護衛機体が相手アンチを強力に迎撃しコストを稼ぐ」事に非常に寄り添っていると言える。
これらの明暗を分けるのはひとえにアンチが成るか成らないか、コスト計上比が勝るか劣るかの差である。
以下のアパムを行うか判断するポイントを熟読し、成功させるようにしたい。
■アパムを行うか判断するポイント
アパムは常に肯定されるものではなく、様々な要素から実行の可否を判断するべき戦術である。
判断するための要素としては以下のような項目が挙げられる。
相手タンクに攻撃出来なくてはそもそも成り立たない。当日の
MAPを確認し、まずアパムを行うに適してるかどうかを何よりも先に吟味しておきたい。
アパムという戦術の特性上、相手タンクに接近しにくい地形では結果に繋がりにくい。
真っ先に注意すべき点はここである。護衛機が高コスト格闘機など火力に富んだ機体の場合、敵タンクに有効打を与える前に撃破されてしまう。逆に近距離など攻撃力の低い敵護衛に対しては、アパム向きの機体選択でなくても非常に有効である。アパムを前提にした機体選択をした場合でも、護衛機を勘案した上で実行に移したい。
残り時間が少ない時に敵タンクを落とせば、敵軍の拠点攻略回数を減らすことができる。逆に時間が十分あり、拠点攻略回数を減らせそうにないなら無理に行うべきではない。相手タンクからダウンを奪う事も、大抵のケースにおいてタンクの時間を奪う事に繋がる。
敵タンクの残耐久力が少ないほどアパムが有効である。逆に多いほど有効ではなくなる。
単発威力の低いタンク(主にキャノン系)にはアパムが有効である。逆に単発威力の高いタンクには有効性が落ちる。
敵タンクのコストが高いほど、アパムでのMSコストロスが緩和されるため、アパムが有効になる。また、アパムに用いるMSのコストも余裕が出る事となる。MAPを見て相手編成を予想する事が必要。
味方拠点の残耐久力が多いほどアパムが有効である。逆に耐久力が少ないと敵軍の拠点攻略回数を減らしにくい。
自機の瞬間火力が高いほどアパムが有効である。逆に瞬間火力の低い機体でアパムを行うべき場面は少ない。
カットされる可能性のある状況であれば威力がより高い3連撃よりも
タックルで瞬間的に相手タンクのAPを奪う事が推奨される。
自機の残耐久力が多いほど、アパムが有効である。
自機のコストが低いほどアパムが有効である。これはアパムする機体の落ち数はどうしても多くなるからである。
一般に周辺の人数が多い方がアパムが有効である。援護を受けやすく、人数が多く乱戦になればなるほどタンクが狙いやすくなる。逆にタイマンでアパムを狙う状況はあまり多くないだろう。
その他、自機が落ちる事で他の味方にかかる負担が大きいほど、アパムをするべきではなくなる。
これらの要素を複合的に判断して、今アパムするべきかどうか判断する事になる。
特に敵味方の体力、攻撃力は簡便で重要な基準として運用しやすい。
特に高火力格闘機が護衛している中でアパムを仕掛けるのは、大抵の場合良い戦果を上げずに終わるだろう。
■アパム戦術に適した機体選択~自機~
アパムする機体に求められるのは、瞬間火力、装甲、低コストである。
一般に低コストの装甲セッティングで単発射撃+タックル50ダメージを狙う事が多い。
出来る事なら相手護衛や敵タンクの足を止めるため、ダウンを奪い易いサブ武器などがあるとなお良い。(クラッカーや
格闘型機体か
射撃型機体のバルカンなど)
以下の内容はRev3.11現在の内容である。
ジオン軍
ジオン軍の方がアパムに向いた機体が多く、ジオン軍の方が比較的アパム戦術が行われる頻度が高い。
高い誘導性を持ったバズーカが特徴。バズタックルで90点前後のダメージが出せる。ジオン軍のアパムの機体としては広く支持を集めている。
120コストという安価なコストと60ダメージのタックルが特徴。バズタックルで85点程度のダメージが出せる。ダメージがタックルに大きく依存するのでタックルを迎撃されないように。
バズタックルで82ダメージ(密着時)。
ザクII(FS)と比べてクラッカーやミサイル・ランチャー等一発ダウンのサブ武器を所持していることが利点。瞬間的な枚数有利を作りいかにタンクに接近するかがキモ。
元祖アパム機体。120コストかつマシタックルで98ダメージを与える。この機体に限らず、6連マシはフルヒットで高い威力を出せるが、攻撃時間が長く途中で護衛の妨害が入りやすいのが難点である。
連邦拠点組の経路が限られる細長マップや交錯マップでの運用であれば、低い機動力を補える。
180コストと高めで装甲も薄いが、60ダメージのタックルから派生するコンボの破壊力と機動力が特徴。アパム以外の仕事もできるので運用が狭まりにくい。バズタックル、タックルバズで約100ダメージ、バズタックルバズで約130ダメージ。
190コストと高く、機動性に難があるが、極めて高い火力と装甲を持つ。射撃で70ダメージを叩きだし、3連QDで150点以上のダメージが出せる。格闘始動にすると時間がかかるのが難点だが、超高
バランサーの為にある程度までの射撃なら受けても止まらない。
コストが240とアパムする機体としては極めて高いため、1.5倍戦などMSコストが相対的に安い環境で運用されているのを散見する。火力、装甲、射程、機動性が高い次元でまとまっているのが特徴である。
上と運用はほぼ同じ。コストが20安いが、性能も相応に低下している。アパムのみならず、通常の戦術での運用も考えうる。相対する側としては、下のBRBとの区別がつけづらいのが厄介である。
高威力のダウンBR。タックルで締める機体とは違い相手タンクに密着接近する必要がなく、比較的自由に足が使える。護衛の妨害に比較的強いが、高コストであるので護衛の火力が高い際には無理をするべきではない。セッティングは機動重視でも可能なのでアパムのみではなく運用に応用を利かせたい。
連邦軍
一方、連邦軍には武装の性質上、アパムに向いた機体が少なく、アパム運用は比較的少ない。また、
宇宙ステージでは少ない選択肢が更に狭まる。
ジオン
遠距離砲撃型機体はもっぱら
ギガンが定番であり、あまりアパムに高いコストを割り当て難い事も事情の一つとして考慮したい。
120という安価なコストと優秀な射撃が特徴である。BSGAは1発18ダメージで連射性能も高いため、2発+タックルで86ダメージを出せる。120近距離で運用に潰しが効くため、アパム戦術以外にも運用されることの多い機体である。唯一、近距離型機体であるためサブのバルカンが相手護衛機体のダウンを奪い難い事だけがアパムの上での難点だが、運用に応用が利くため機転を利かせた運用を心がけたい。
バズタックルで85前後のダメージが出る。コストの割に射程と火力のバランスが取れている。
120という安価なコストと高い誘導性のキャノンが特徴。キャノンタックルで72点、3連QDで88点のダメージと火力にやや不安が残る。アパムとしての瞬間火力は低い方だが、及第点といえよう。だが、純粋なタンク処理能力に関しては低い部類に入るので、過信は禁物。
連邦軍では数少ない宇宙空間に出撃可能な低コスト+バズ装備機体。バズタックルで82ダメージ(密着時)。ジオン軍の同コスト帯と比較し機動性がやや優れているのは利点。だがメインの弾数が4発しかなく、それをサブの追加弾倉で補うとコスト+20となり
ザクI後期型どころか
ギガン、
ザクキャノンのコストをも超えてしまうというジレンマを抱えている。
■アパムする戦術に適した機体~相方~
アパムする機体はかなりの速度で撃破され、枚数不利になる事が予想される。高コスト格闘機などはリスクが高くなるので、相方としては適さない。そもそも、高コスト格闘機+低コストのアンチなら、低コストが護衛を食い止め、高コスト格闘機がタンクを処分する方が早い。
片方が死んでもアパムを継続できる。状況いかんでは同時にアパムを仕掛けても良い。タンクへの妨害は強いが、コスト損失も大きくなるので敵タンクの拠点砲撃回数を減らせないと厳しい展開になりがち。
アパムした機体に群がった敵アンチと敵タンクをまとめて攻撃する。タックルなどを使用し、敵タンクに接近するタイプのアパム機体と相性がいい。アパムする機体が落ちたり、格闘機が止めに来たら大人しく下がる。そのため、十分な機動性を持つことが望ましい。
同様にアパムする低コストを囮に敵を撃破する。アパムする機体はスナイパーが撃ちやすい地点まで敵タンクを追いだすように動くと良い。
枚数不利に強く、アパムする機体の援護も可能な機体が望ましい。アパムする機体は乱戦になるが、このタイプの相方は乱戦に付き合わず、外から護衛の足止めに専念するのが無難。
■対策
上にアパムの可否を判断するポイントを書いたが、そのポイントでアパムが不利になるような編成をするのが根本的な対策である。
端的に言えば、拠点弾の単発威力の高いタンクで装甲を上げ、護衛に高火力格闘機を配置すればいい。
また、アパムの相方がスナイパーや高火力射撃機である場合、放置せずに機動力のある機体が抑えに行く必要がある。
逆にアパムに不利な編成(=アパム側が狙っている編成)は機動型のタンクと火力のない護衛である。以前ほど護衛に低コスト近距離が推奨されなくなったのは、アパムがその原因の一つと考えられる。
あとタンクが自ら出来る対策としては、アパムを仕掛けてくる機体は単発射撃+赤タックルで瞬間的な高火力を叩き出してくるものがほとんどなので、あえてタックルする事によりダウンをもらいダメージを50に抑える事ができる。
■その他
アパム戦術、その提唱はRev1まで遡るとされている。
一般に広く認知され、戦術として数多く運用されたのはRev2.5からであるとされている。Rev2.5では射カテの武装の接近戦性能が大きく向上し、接近戦をする射撃型機体が登場し、それらの機体の運用法の一つとして広く用いられたと考えられている。
Rev3になり、対策の周知と環境の変化により高コスト格闘機による護衛が一般的になると、アパム戦術は以前ほどの流行はなくなった。
しかし、現在でもある程度の頻度で運用されており、対策を怠るとアパム戦術に痛い目に見させられる可能性は高い。
よって、環境の変化により護衛の火力が下がったり、タンクの装甲が薄くなる傾向が強くなるならば、再度アパム戦術が流行する可能性は十分にある。
また、刻一刻と変化する状況の中で、自分がアパムするべき状況を体得する事はアンチとしての活動に大きなメリットとなる。
上の経緯もあり、佐官クラス以上の前衛では必要に応じて適切にアパムを行う判断力が求められる。
アパム戦術を使った事がないというプレイヤーは、66以上の闘いで
ザクII(FS)Aバズ装甲1や
ジムBSGA装甲1などで試してみてほしい。
因みに本来の意味でのアパム兵とは、弾丸運搬係で自分では追い込まれない限りは戦わない随伴兵である。
ここでの意味とはむしろ反対の意味なので、ミリタリーに興味のある人への説明には注意が必要である。
「アパム」とはこの戦術を好んで使用していたプレイヤーの、2ちゃんねるでの固定ハンドルに由来すると言われている。
ハンドル名は映画『プライベート・ライアン』に登場する「アパム伍長」から取られたとの定説が有力。
最終更新:2013年06月09日 14:56