ビターエンド

登録日:2021/07/03 Sat 19:09:28
更新日:2025/04/13 Sun 01:12:54
所要時間:約 40 分で読めます




「ビターエンド」とは、直訳で「苦い終わり方」。
転じて、そういった類の感情を読み手に抱かせるエンディングを指す。

読み手の感情に依拠する性質上、ハッピーエンドバッドエンドと比べて分類としてはだいぶ曖昧。
基準が感覚的なため、ハッピー/バッドと違い「実はあのラストはビターエンドだったのでは?」と再解釈されることは少ない一方、続編等で展開が広がった結果「単体で見るとビターだけど続編込ではビターエンドでもない」パターンもある。

端的には「ハッピーエンドとバッドエンド両方の要素を持つ終わり方」や「物語の大筋から見ればハッピーエンドだが、それ相応の犠牲も出てしまった」とされ、自己犠牲的な要素を含む作品がしばしば挙げられる。
よりわかりやすく定義するなら

When(いつ):終盤~ラストにかけて
Where(どこで):作品により
Who(誰が):主人公に近しい人、あるいは主人公自身が
What(何を):生命・存在・記憶など不可逆的なものを
Why(なぜ):目的達成のため
How(どのように):取り戻せない形で

失う作品はビターエンドと見なされやすい。
犠牲の有無に関わらず目的を達成していなければバッドエンドor打ち切りエンドだし、犠牲が序~中盤なら概ね時間が主人公や読み手の悲しみを昇華してくれている。
また失ったものが町や一般市民だったりする場合も事細かに描写されるのは稀で、エピローグに復興描写が挟まって主人公回りは前向きなラストを迎える傾向が強くなる。創作はモブに厳しい。

またビターエンドの基準は終盤の規模にも左右される。
例えば4人パーティーなら1人を失うだけでもビターだが、大作の総力戦での犠牲の一部だと、準レギュラー級が死亡しても個々に尺を多く割けないので勝利の余韻が勝り、ビターエンドのイメージは薄れやすくなる。

なおWhatにて代償を不可逆的と書いたが、例外も存在する。恋愛感情である。
仮にストーリー上は悲恋で終わっても、死別でない限り再燃する可能性は一応ゼロではない。
もっとも、複数のヒロインから一人を選ぶ作品で選ばれなかったヒロインにとってはビターエンド……なんて例を挙げ出すとキリがないので、本項ではそういったパターンは扱わないものとする。

上述の通り、基本的にビターエンドには離別が絡んでくるが、読み手を一貫して第三者目線に据えて「とにかくモヤモヤする」という意味でビターエンドと感じさせる作品もある。
この場合は感情移入する前に終わらせる性質上、星新一のようなショートショート、一話完結の作品が代表的か。

誤解されやすいが「トゥルーエンド」≒「ビターエンド」ではない
これは公式でハッピーエンドとトゥルーエンドが別にある作品だとハッピーエンドとは別=ビター……という捉え方が先行して、他作品にもそれが波及した結果と思われる。
さらなる誤解として「ビターエンド」を「ベターエンド(よりよい終わり方)」と誤読する人もたまに見られる。

以下はジャンル別のビターエンド作品。性質上ネタバレ注意。





追記・修正はビターエンドを飲み干せる人にお願いします。

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最終更新:2025年04月13日 01:12

*1 エンディングの分岐が実質最後の三択で決まるようなものなので、そこに至るまでのストーリーの分岐があまり意味を成さなくなるというのも激怒した一因とされる。

*2 「私」は大陸戦争後半の頃は「酒場の娘」の一家が経営する酒場に居候していた。またハーモニカは「私」の得意楽器であり、酒場にて披露してチップを稼いでいた。つまりどちらも「私」にとって大陸戦争と非常に縁深いアイテムである。

*3 願いを託した時点でシロンはランシーンと融合した状態だったため、ランシーンも救われた……というオチ

*4 特に後者は「ブレイド最終話の否定」から「ジオウでも屈指の良エピソード」までかなり評価が分かれる