喜怒哀楽2 >

いつもニコニコと笑顔が売り物のふたりだけに、【怒】の心を書かねばいけないのは本当につらい。でも【怒】を解決すればふたりの笑顔は本物になる。だからあえて今回の【怒】も厳しくいくぞっ。

【パソコン】

NEC98ノート型パソコンはCHAGEの体の一部も同然だった。
詞書きからゲームまで使用目的は多岐に渡り、スタジオの隅や楽屋の隅で、真剣な顔をしてカチャカチャとキーを叩くCHAGEの姿は、スタッフにとっても当たり前の風景となっていた。
前々から「パソコンはマッキントッシュがいちばん」と言い続けていたASKAの言葉も聞かず、最新型の98を買い換えバージョンアップして、みんなに自慢をしてみたり。
ところが、CHAGEの体の一部のはずだったパソコンがある日忽然と姿をくらました。顔面蒼白。しかしすぐに思い直す。スタジオに置き忘れたに違いない、ああそうだそうだ、スタジオだ。CHAGEはさして考えもせず気楽に思った。でも、スタジオにはなかった。事務所にもなかった。もちろん家にもなかった。どこだ、どこでなくしたんだ。最後に使ったのはどこだ。今度こそ顔面蒼白になりながら、CHAGEは考えた。頭の巻き戻しボタンを押して必死に記憶をリピートしてみる。
そうだ、家のガレージだ。あの日車を停めて、荷物が他にもいっぱいあったから、二回に分けて運ぼうとしたんだ。パソコンを下ろしたまま、他の荷物を先に運んで…。あっ!パソコンはガレージに置いたまま、家に運ぶのを忘れた!
あわててガレージに行ったが、すでに時遅し。パソコンはどこかの誰かが持っていってしまった後だった。
CHAGEは荒れた。大荒れに荒れた。それはまるで真夏の大型台風のようだった。二週間ほどで台風はおさまったが、CHAGEの心は一触即発。台風再来を恐れて、スタッフの誰もがOA機器の話は避けた。でも、岡田はそんな事情も忘れ、すぐにCHAGEの前でパソコンを打つ。また荒れるCHAGE。TAOの思想(五臓六腑に滲み渡る!参照)なんて全然効果なし。
そして一ヵ月後――。
「やっぱさー、パソコンはマックよ、マック。いつまでも98使っている岡田はバカだ。なあASKA」
新たにマッキントッシュのパソコンを手に入れたCHAGEは、98紛失の痛手も忘れて上機嫌の毎日。今では岡田の98を批判するまでになっているのだった。めでたしめでたし。

【車】

デビュー直後、ASKAは、当時の人気車・TOYOTAソアラを購入した。
しかし、買って三日目くらいで誰かに硬貨で傷をつけられた。頭にきた。しかし、悲劇はそれだけでは終わらなかった。当時町内を震撼させていた高級車狙いの放火魔に狙われ、ソアラはあっけなく全焼。家は無事だったし、家族に怪我もなくよかったのだが、やはり宝物だったソアラを焼かれたのはたまらなかった。今でも当時のことを思い出すと、怒りで体が震える。
「たかが車かもしれないけど、大切に乗っている人にとっては、いつまでも綺麗なままで乗っていたいというのがある。車全焼はともかく、傷をつけられるだけでも頭にくる」
傷をつけるのを見つけたらただじゃおかないと思っている。そう、それが動物でもただではおかない。
ASKAの車を傷つける動物。それはスタジオで飼われている猫である。その猫は、なぜかASKAの車が好きで、駐車場に車を停めておくと、必ずASKAの車の上で寝る。おかげで車は猫の爪あとだらけ。
以前『五臓六腑に滲み渡る!』で、CHAGEが話題に出した猫なのだが、ASKAにとってはにっくき存在なのだ。
猫をナデナデしているCHAGEの横で、ASKAは今日もその猫に向かって怒鳴る。でも何も覚えちゃいない猫は、CHAGEにただ甘えるだけ。仕方なく、ASKAは飼い主の胸ぐらをつかんで、うさ晴らしをしているのであった。

【ネタばらし】

コンサートは、お歌をうたうものである。でも、C&Aにとって歌同様に切り離せないものが「おしゃべり」である。特にこのおしゃべりのコーナーに命を賭けているのがCHAGE。アドリブで飛び出す絶妙なギャグは、お笑いのプロさえも敬服させてしまうほど。ただ、アドリブと言っても、基本的にどんなことをしゃべるかなどの土台はきっちりと決まっている。組み立てられた土台にからんでくるアドリブ。これがC&Aのおしゃべりの魅力となってくる。
ところが、前日にステージを見られたお客さんが、一緒に参加しようとするのか、CHAGEのここぞのギャグを先に言ってしまうことがよくある。その瞬間、ガクッとくるCHAGE。
ここで怒っちゃいけない、でも、コンサートに賭けるボルテージが下がってしまった、これをどうしてくれるんだ、ASKA、なんとかしろよ、客の味方につくなよ…。
サングラスの奥の瞳がASKAにそう訴える。そしてCHAGEの動揺と怒りを感じるたびにASKAは思う。「こいつの場所に入っちゃいけない」。
みなさんの中には何回もコンサートを見られる方がいらっしゃると思うが、どうかおしゃべりのネタをばらさないでほしい。
「おしゃべりはCHAGEのとても大切な場所なんです。そう、僕はいいんです。僕はいいんだけど、ネタばらしされた後にCHAGEを盛り上げなくてはいけない僕も大変なんです。お願いだから、ネタばらしはやめてください」(ASKA)
これがASKAからのみなさんへの痛切なお願いでした。

【フラッシュ】

もう、何度も声を大にして言っていることなのに、なぜかコンサート中のカメラのフラッシュがなくならない。みんなで一生懸命練り上げてきた照明も、フラッシュのせいで効果を発揮できなかったり、一瞬の光のせいで他のお客さんがしらけたりと、フラッシュ一発がコンサートを台無しにするのだ。
「コンサートは夢の世界だ。僕らと一緒にみんなで夢を見ようと、常々口にしている相棒のCHAGEがフラッシュで現実に戻ってしまうんです。僕はいいんですが、あいつを怒らせたりつらい思いをさせたくない。お願いだから、CHAGEのためにもカメラの持ち込みやフラッシュをたかないでください」(ASKA)
前項同様に自分だけいい子になろうとしているASKAだが、ASKAだって本心は許せないと思っている。再三言っていることですが、カメラを持ち込んでいる人を見たら、すぐに近くにいる警備スタッフに申し出てください。よいコンサートをお見せしようとしているCHAGE、ASKA、そして集まってくださったお客さんのためにも、カメラ没収運動にご協力をお願いします。

【海賊商品】

「C&Aのビデオを販売します」「生写真を売ります」「C&Aのサインを売ります」…。とにかく海賊商品は後を絶たない。
最近では、会報などの文通希望欄に掲載される会員の住所宛に、ダイレクトメールを送り、勝手な通信販売をしているという悪質な手口が横行している。
「世の中に出る写真や映像に関して、僕らはチェックを重ねて、いちばんいいと思えるものを出しています。なのに、僕らが見たこともないものがどんどん売りに出されている。守っているものが壊されているという怒りでいっぱいです」(CHAGE&ASKA)
中でも最近許せないのは、「写真を撮ってください」というファンの方の申し出に応え、撮ったものが売りに出されているということ。
いつもC&Aの周りは人がいっぱいで、ファンの方との写真は丁重にお断りをしているが、そのときの状況に応じて、気軽にカメラの前に並ぶこともある。そういう写真が世の中に出回っていることは残念でならないのだ。同様にサインが売りに出されていることも耐えられないことである。
CHAGE&ASKAがプロデュースしている正式な商品は、コンサート会場と通信販売のみでしか買えない。露店や、最近はデパートの中でも販売されている商品、またファンクラブ以外の通信販売で売られる商品はすべて海賊商品だ。そして、これを大にして言いたいのは、海賊商品はすべて犯罪であるということ。買うことはすなわち、犯罪の手助けをしていることにつながってしまうのである。犯罪を野放しにしないためには、買うのをやめるしかない。
以前も提案した「海賊商品・買わない運動」に、ぜひ協力をしてください。
最終更新:2025年06月23日 22:11