喜怒哀楽を読んで、CHAGEやASKAの喜び、苦悩、哀しみをたくさん御理解いただけたと思います。だけど、やっぱりいろいろあったって、CHAGE&ASKAの基本は「楽しさ」なのです。彼らは楽しさをみなさんに教えるために生まれてきたといっても、過言ではないのかもしれません。
【同級生】
九州、北海道と、ASKAにはふたつの故郷がある。東京の仕事が忙しくて普段はなかなか帰郷することができない分、ツアーで訪れたときは必ず昔の友達に会うようにしている。ただ、そう何日も滞在しているわけではなく、特に北海道との友人との再会はいつもあわただしいもので終わっていた。しかし、今回のツアーでは北海道に1週間も滞在することができたので、ASKAはひさしぶりに昔の同級生とゆっくり会うことができたのだった。
千歳での中学校の同級生、札幌での高校の同級生、そしてそれぞれの剣道部の仲間たちと、ASKAは前もって会うスケジュールをきちんと立てていた。しかし、いつの間にかスケジュールはぐちゃぐちゃ。枠をとっぱらった同窓会となり、それはそれは楽しいひとときをすごすことができたのだった。
昔の同級生たちとは「ASKAとしてではなく、昔のままの自分で接することができる」のがASKAにとってはたまらなく、また運動ばかりやっていて、勉強はからきしダメだった友達が、それなりに仕事で成功していることも、ASKAにとってはうれしいことであった。
【温泉】
CHAGEの温泉好きは有名である。お湯の中で手脚を思いっきり伸ばして、「あーっ」なんて親父くさく感嘆の声をもらしちゃう一瞬がたまらないと思っている。
あれはツアーがスタートして間もない頃。金沢から京都へ移動するとき、CHAGEはツアースタッフとともに京都の温泉に行った。観光シーズンだったため、どこのホテルも満杯で、仕方なく温泉旅館に宿泊することになっていたスタッフに誘われ、ちゃっかり便乗したのである。
浴衣着て、温泉に入って、お酒を飲んで、スタッフとワイワイワイとバカを言って、とどめに麻雀までして。典型的な温泉旅行のコースを体験したわけだが、温泉のおかげで肌はツルツルになっちゃうし、もう楽しくて楽しくて、生きて極楽を見てしまったようなCHAGEであった。
【ポール・マッカートニー】
CHAGEが温泉で極楽トンボになりきっている頃、ASKAはポール・マッカートニーと会っていた。フジテレビで放映されたポールの特番に出演するためだったが、ポールとの仕事が終わった後、なんとASKAは前から2列目の席でその日のポールのコンサートを見ることができたのだった。
ポールといえば、もう神様みたいなものである。その神様が、目の前で歌う、ギターを弾く、ピアノを奏でる…。一挙一動をはっきりと見ることができて、まばたきすることさえ忘れてしまっていた。仕事をしたばかりだったから、ポールも客席のASKAにウインクしたり指をさしたりと、ASKAへしょっちゅう合図を送ってくる。コンサートは見慣れているはずのASKAでも、さすがに興奮を抑えることができず、2時間という間、ずっと高揚していた。
「わりとコンサートは冷静に見るほうなんだけど、さすがに冷静ではいられなかった。2時間の間というもの、楽しくてうれしくて、ずっとこの瞬間が続けばいいなと思っていた」(ASKA)
観る楽しみを十二分に知っているものでなければ、演る楽しみも味わうことはできない。ASKAはひさしぶりにお客さんの気持ちになって、ステージを満喫したのであった。
【続・健康診断】
先月号の会報で、CHAGEとASKAが健康診断を受けたことをお知らせした。その診断結果が出たので、これもお知らせしたい。
多忙な毎日を送っているにも関わらず、ふたりとも体には問題なし。ことはこれで終わるはずであった。しかしこれだけでは終わらなかった。なんと岡田が肥満度Eだったのだ。肥満度とは身長と体重の数値から算出されるものであり、自分の理想的な体重を知ることができる。ほとんどの人が理想的な体重をキープしている証拠のAだったのに、岡田だけEである。岡田だけEである。
これを知ったのはツアー先へ向かう東京駅のプラットホームだった。肥満度Eに全員が大笑いで、それはとても楽しい楽しい旅路となったのだった。岡田、ありがとう。
【ビデオ】
2年前の『SAY YES』ツアーから、ホテルの部屋にビデオを設置してもらっていたCHAGE。東京で録画しておいた番組を観たり、貸しビデオを借りてもらって部屋で観たりと、ビデオはステージで疲れた体を癒す大切なアイテムだった。
「そんな楽しいこと、なんでCHAGEばっかりが…」
部屋に帰れば寝るしかなかったASKAもやっと不公平に気がつき、今回のツアーからASKAの部屋にもビデオが導入されることになった。
「映画ばかりを観ている。名作と言われながらも観るチャンスがなかったものから、最近のヒット作まで、ゆっくりと観させてもらってる。東京でも観れないことはないんだけど、なんかいろいろと細かい仕事があって、ビデオを観る気になれないんだよね。ツアー先は気分的にもゆっくりできるし、邪魔する人もいないし、ビデオを観るにはちょうどいいかもしれない。今、ビデオを観るのがオフステージの楽しみのひとつになっている」(ASKA)
ところで、飛行機の中で上映されていた映画が、着陸のために強制的に切られ、ASKAをがっかりさせたということは本誌でも以前紹介したことがある。その映画は『沈黙の戦艦』だったのだが、しっかりこれも無事ツアー先で最後まで観ることができた。その後スティーブン・セガールと戦艦の運命を見届けることができて、やっと胸のつかえが下りたASKAであった。
【ゴルフ】
ツアーの合間をぬってCHAGEはゴルフをやっている。ツアースタッフ12名とともにゴルフ部を結成して、部活(打ちっぱなし)にも積極的に参加をしている。
ちなみに部長は舞台プロデューサーの大久保氏、会長はCHAGE。部員のクラブは11トントラックに積まれ、日本全国をツアーとともにまわっているのである。
気心知れた仲間とラウンドするのはとても楽しく、CHAGEはラウンドの日程が決まると、その日をワクワクと心踊らせて待っていたりする。もちろん楽しみはラウンドすることだけではない。終わった後の打ち上げもまた楽しみのひとつで、「6番ホールのおれのバーディー、見たか?」「9番ホールのおれのロングパット見たか?」なんて、その日のプレーを口々に自慢して、己に酔いしれてみるのもいい。
また、このゴルフ部には厳しい掟がある。それは奴隷制度と言って、その日大負けした人が、酒の席で瓶ビールが1本空くまでの間、みんなの奴隷となって働かなければいけないという、とても残酷なものなのだ。そのときは縦の線ビシーッのスタッフ間の上下関係はなくなり、いつも威張っている人もヘイヘイとビールをついだり、肩をもんだりしなければいけない。それを見るのもCHAGEの大きな楽しみになっている。もちろんツアー一行の親分であるCHAGEもスコアによっては奴隷にならなければいけないときはある。でも、今のところは免れている。でも、いつかきっと奴隷になる日はくる。そのときがきたら、まっさきにみなさんにお知らせしたいと思う。
【楽しみのポイント】
たくさんの楽しみがあるCHAGE&ASKAだが、今の最大の楽しみは、なんといってもやはりコンサートである。「これはビッグホールに限ってのことなんだけど、ステージの中盤である仕掛けがしてあるんだ。そこにくるとお客さんが盛り上がってくれるから、前半はそこにくるのが楽しみで歌っているってところがある。全体的な流れの中の楽しみのポイントって言えると思う」(ASKA)
また、翌日、コンサートを見た人から感想の手紙をいただくのも楽しみのひとつである。「中には批判めいたことを書いてくる人もいるけど、ほとんどが褒めてくれる内容なのね。やっぱりいっぱい褒めてもらうとその気になって頑張れるから、気持ちとしては褒めてもらいたいな。表立っている人って、けっこうこういう単純なところでやっていられるってのがあるからね」(ASKA)
最終更新:2025年06月23日 22:12