グキッ【もっとも恐ろしい音】
日頃「ステージは運動ですよ」と言っているように、ふたりにとってのステージはお歌をうたうだけのものではなく、飛んだり跳ねたりのスポーツをする場ともなっている。
「過激な運動をする前は、必ず準備運動をすること」。小学校で習ったこの教えを守り、ストレッチなどで体を柔らかくしているシーンを毎回楽屋で目にする。ところがどんなに準備運動をしていても、本人の意志とは裏腹に、体のどこかによけいな圧力がかかってしまいケガをしてしまうときもある。とくに圧力は足首にいちばんかかりやすく、その瞬間、本人の耳に確かに聞こえてくるのが「グキッ」。
『GUYS』のビデオではCHAGEが捻挫をして、楽屋で足首を冷やしているシーンが登場したが、ASKAも方々で「グキッ」の捻挫を経験していて、松葉杖をついて東京に戻ってきたこともある。前回のツアー『史上最大の作戦』ではグキッをやることはなかったふたり。次のツアーもグキッの音が足首から聞こえてこないようにしてほしいものである。
口は災いのもと【作り話はほどほどに】
仕事場ではジョークの絶えないC&A。瞬発のワンポイントギャグなら笑ってすむのだが、ギャグが悪のりするとどんどん話の創作に入ってしまう。いつも彼らのそばにいるスタッフは「またいつもの作りがはじまった」と思えるのだが、たまたまその場に初めての人がいたりすると、その目を見張る創作力にすっかり翻弄され、すべてが事実だと信じてしまう。話の内容は作り事だからたいそうおもしろく、耳にした第三者はついつい外に言ってしまう。後でそれが嘘だったと知った第三者は、激怒して苦情を申し渡すが「あんなのジョークに決まってんじゃん」のC&Aのケロッとしたひとことで怒れなくなってしまう。
口は災いのもとである。こういうことを何度も繰り返していると、きっとよくないことが起こるに違いないと、全スタッフは心配している。でも、テンポのいい彼らのおもしろい作り話が聞けなくなるのも淋しい。だから、しばらくは放っておこうと思う。
靴【無縁の夏】
今年の夏、CHAGEはほとんど靴を履かなかった。くる日もくる日もホーキンスのサンダルで過ごし、友達の結婚パーティーにまでサンダルで行ってしまった。また、ヤマハが主催した仰々しい15周年の記念パーティーのときも、サンダルで壇上に上ったCHAGE。サンダル履きで口にした感謝の言葉には、全然重みがなかった。
テレビ朝日『ミュージックステーション』のリハーサル中、素足にサンダル姿のCHAGEを見た光ゲンジの諸星君に「さすがCHAGEさん。余裕かましてますね」と感心され、わけもなく気をよくしてみたり。
「アメリカでホーキンスの重い靴を履いていた反動でしょうかね。同じメーカーのサンダルを手に入れて、この夏は思いっきり楽させてもらいましたよ」(CHAGE)
プライベートはどんな恰好をしても構わないが、せめてサンダルに貼られているサイズ表記のシールだけは剥がしてほしかったなあ。
口グセ【笑わないでね】
この夏に発売になったTUG of C&Aの別冊本・MOOK II。このページの中に、ふたりの赤裸々な口グセが掲載されている。口グセを通して、ふたりの素顔が垣間見れたというたくさんの声もいただいた。よかったなあ、と思う反面、実は不安もある。ふたりがステージ中に口ぐせを言ってしまった場合、笑いが湧き上がってしまうのじゃないかということだ。こうなってくると、ふたりとも意識してなんにも言えなくなってしまうし、ガチガチに固まったおしゃべりになってしまうのもつらい。だから、ここでみなさまにお願いです。どうか口ぐせが飛び出しても、笑わないでやってください。あのページを企画した編集者の切実な思いです。
唇【顔の中のセクシー】
キャニオンに移籍した当時、第一弾シングルを決める会議があった。候補曲はASKAの『モーニングムーン』、CHAGEの『唇』。キャニオンの制作サイドが押すCHAGEの『唇』、宣伝サイドが押す『モーニングムーン』と、意見はまっぷたつに分かれたが、営業との話し合いで『モーニングムーン』に決定となった。
しかしシングルにならなかった『唇』はとてもいい楽曲だった。と、ここで賢明なるファンのみなさんは「そんな曲知らない」と疑問を感じることだろう。そう、C&Aの楽曲に中には『唇』という曲は存在しない。『唇』は少しの間保存され、その期間に詞を書き換えられ、『HIDARIMEが感じてる』に生まれ変わってアルバム『TURNING POINT』に収録されたのだった。
くにちゃん【馬】
CHAGE&ASKAにはなくてはならないスタイリスト。N森A菜のスタイリストとして業界でも超がつくほどの有名人で、彼女に衣装を頼むとアーティストはみんなかっこよくなると方々で囁かれていた。N森A菜とともに新聞、雑誌を賑わせ、一時はワイドショーに追っかけられ、本人の意志とは裏腹に、タレント並みの扱いを受けていたこともある。しかし、C&Aに関わるようになってからあっけなくイメージが変換。もともと世間が抱いていた「何様のつもり」的な要素は彼女にはまったくなく、ただのぼんやりした馬だったことも手伝って、今や楽屋の転がし要員のひとりとなっている。CHAGE命名の「馬」「スペースバンパイア」「焼死体」などのあだ名で呼ばれ、誰もが彼女の本名を忘れている。
C&Aのスタイリストをやっていることで、他のスタイリストのやっかみを受けることもあるが、本人はボーッとしていて全然気づいていない。こういうキャラクターも彼女の「馬」なところであり、C&AやC&Aスタッフに愛される理由のひとつなのである。
車【大切なアイテム】
あんまり贅沢をしないCHAGEとASKAだが、唯一車にはお金をかけていると言っていいだろう。それも車そのものではなく、車に入れるオーディオセットにお金をかけているのである。
レコーディングしたばかりの曲を聞くことからはじまって、好きなミュージシャンの曲を聞くなど、流れる景色を見ながら曲を聞くことは、イマジネーションを高めることにもつながる。だから、オーディオの音にはとことんこだわり、最高の音の中に身を置けるようにしているのだ。
ところで、CHAGEは今まで乗っていた車を手放すことにした。今まで乗っていた愛車に別れを告げるとともに、現在CHAGEは新車に積み込むオーディオセットをワクワクと物色中である。
車 寅次郎【トラちゃん】
いつの頃からか、CHAGEを「トラちゃん」と呼び出したASKA。言われてみれば、CHAGEの行動、考え方、顔つきなど、あの『フーテンの寅ちゃん』にそっくりである。しかし、それを絶対に認めようとしなかったCHAGE。こうなりゃ認めさせてやろうと、スタッフは月刊カドカワの撮影にかこつけて、わざわざ葛飾柴又にCHAGEを連れて行った。寅ちゃんの看板の前で写真を撮ったり、寅ちゃんゆかりの帝釈天を訪れたり、おまけに矢切りの渡しまで行って、すっかりその気になったCHAGEは、「おやじ! 草ダンゴくれい!」なんて江戸弁まで使っちゃって、寅ちゃんはしっかりとCHAGEの中に根づいたのであった。
ちなみにこのときの様子は、月刊カドカワ11月号(10月5日発売)に掲載されるが、きっと誰よりも喜ぶのは、名付け親のASKAに違いないとスタッフは思っている。
苦労人【本当の苦労】
仕事柄、よく人から「大変ですね」と言われるCHAGEとASKA。何もないところからものを作っていくのも大変なら、創作以外のスケジュールをこなすことも大変なことを、世間の人々はよくわかっているらしく「CHAGE&ASKAは苦労人」のイメージがかなり強まっているようだ。しかし、何もないところからものができ上がっていく瞬間を楽しんでいるからこそやっていけることも事実で、ふたりは苦労しているとは思っていない。
むしろ苦労人という言葉を使うなら、泥酔でわけのわからなくなったCHAGEを運んでいくASKAの姿こそが、苦労人と呼ぶにふさわしい瞬間かもしれない。
最終更新:2025年06月23日 22:15