詞【過酷】
曲を作るのは楽しい作業であるが、詞はそうはいかないものであるということは、日頃のふたりのぼやきから想像していただけると思う。
まず何を言いたいか、何を表現したいかが明確でないと言葉は生まれてこないし、言葉に命を注ぎ込むことができない。そのために詞にかける時間と労力は大変なものになっている。
レコーディングが始まると、前半のオケ録りのときは元気いっぱいだが、オケ録りが終わりに近づくとともにふたりの表情は変化していく。睡眠不足からくる空虚なまなざし、言葉探しからくる突拍子もない発言など、詞書きに入っているときに起こる症状は如実である。しかし、いやだいやだと言っているわりには毎回詞を書きあげてくるふたり。「できた」と言って詞を渡されるとき、レコーディングスタッフはホッと胸を撫で下ろすとともに感動するのであった。
歯槽膿漏【おやじのしるし】
最近、ふたりがもっとも恐れているのが歯槽膿漏である。もちろんその兆候が表れているわけではないのだが、歯槽膿漏という言葉の響きにゾッとしているのだ。だって歯茎に膿みがたまる病気ですよ。口の中が膿んじゃう病気ですよ。これはもう冗談じゃないって感じなのである。
ふたりは歯ブラシを手にするたびに、心の中で「歯槽膿漏」と唱え、ゾッとしながら歯茎もきちんと磨くように心がけている。
死体【三人衆】
ヘアメークのRは体がパンパンに膨れているから水死体。スタイリストのKは生気を吸い取られたように痩せているから焼死体。CHAGEから授かったニックネームにより、ふたりは世にも珍しい「死体シスターズ」としてはばをきかせていた。そして最近、うれしいことに仲間が加わった。お酒を飲むと顔が赤紫色に変色するリアルキャストのOブーについたニックネーム・腐乱死体である。グループ名も「死体Sons and Daughters」に変更し、いつかデビューさせたいとCHAGEはもくろんでいる。
実験台【やってやろうじゃないの】
この業界は新しもの好きが集まっている。とくに音楽機材などは日夜新しいものが開発され続けているわけだが、新しいものが作られるたびにその実験台になっていたのがCHAGE&ASKAであった。
PAシステムからはじまり、スピーカー、ライティングシステム、ステージセットなど、新たに開発されるたびにCHAGE&ASKAのステージに初物として使われ、実験され続けてきた。なぜ実験台に選ばれたのかと言えば、彼らがタフだったからである。新しい機材は失敗する可能性も高い。しかし失敗すればしたでCHAGE&ASKAは自分たちの力で成功に導くことができる。彼らは実験台にふさわしいアーティストだった。
彼らが実験台になったおかげで、数多くのアーティストは安心して新しい機材を導入することができたし、日本のミュージックシーンに先端技術を組み入れられることになったのだ。
そして実験は今でも続いている。現在の彼らの活動は日本のアーティストが未だかつて体験したことがない新しいものばかりである。新しいことに取り組むたびに「日々これ実験」とばかりに挑戦していける彼らは、やっぱりタフなアーティストといえるだろう。
柴田【Cさん】
高校生のときだった。宮崎は柴田のことを「柴田」と呼んでいた。一緒に遊びに行っても、一緒に音楽をやっていても、柴田はただの柴田だった。ところがある日、柴田は宮崎に何の前ぶれもなく言った。「今日からおれをチャゲと呼んでほしい」。宮崎はわりと素直なやつだったから、テレもせずにその日から柴田を「チャゲ」と呼ぶようになった。宮崎の中で柴田は完全に消滅し、今ではCHAGEの本名は「チャゲ」と答えるまでになった。それがいいことかよくないことかは、CHAGEだけが知っている。
シミ論争【どっちを信じる】
「肌の老化に関係なく、紫外線にあたりすぎると肌の基定層にメラニンが発生して色素沈着を起こします。それがシミです。とくに目の周りなどの皮膚の薄い部分に出やすく、一度発生するとなかなか消えません。さあ、明るいところで肌をよーくチェックしてみてください。肌の色が少しでも濃い部分があったら要注意。さっそくホワイトニング化粧品で対策を。早めのお手入れがきれいな肌の基本です」なんて元美容ライターのミヨコにこの手の話をさせると長くなるのだが、CHAGEもASKAも女性と同じようにシミはなるべく避けたいと思っている。CHAGEはこの夏のアメリカ旅行でさんざん紫外線を浴びてしまったので、「シミができたらどうしよう」とものすごく怯えている。しかしASKAは、過去に馬油で背中のシミを消した実績をもつらしい。「シミなんて馬油で一発で消せるよ」なんて豪語しているが、元美容ライターのミヨコは「シミの性質上、油じゃ絶対消えない」と反論する。ASKAとミヨコの討論を聞きながら、どっちでもいいから効果的な方法を教えろとCHAGEは思う。シミ論争は当分続きそうである。
重大発表【くだらないものが多い】
新聞、雑誌などの見出しでよく「重大発表」という言葉が使われるが、だいたいが重大なものではなく、肩透かしをさせられることが多い。要するに漢字の羅列で人の目を引くためだけのものなのである。もしも今後、CHAGE&ASKAで「重大発表」がマスコミから発信されても、あわてずにニュアンスだけを楽しんでいただきたいと思う。
ちなみにCHAGEから一世一代の重大発表があるらしい。
「みなさんこんにちは。いつも僕に温泉の素をプレゼントしてくれてありがとう。しかし、今後は粉末タイプは受け付けません。粉末がジェットバスの穴の中に入って、壊れてしまったのです。くださるのなら、ぜひ液状タイプにしてください。以上重大発表でした」
重大発表なんて、しょせんこんなもの。
ジュリー【Iラブ】
柴田君と宮崎君の小学校時代、グループサウンズ時代があった。数々のグループが登場したが、なかでもザ・タイガースの活躍は目ざましく、日本中が彼らの歌に酔いしれていた。ボーカリストはジュリーこと沢田研二さん。ザ・タイガース解散後もジュリーはソロシンガーとして歌謡界に君臨し続けていた。宮崎君はジュリーが大好きだった。声も歌もパフォーマンスも、すべてが完璧なアーティストであり、最大級に尊敬の念を抱けるアーティストだと思っている。もしも今ジュリーに会ったら…。そう思っただけで震えてしまうASKAであった。
醤油【バカ言ってんじゃねえ】
「ねえ、醤油って書ける?」って言っているうちはまだいい。「知らないうちにお醤油2本も買ってたの。ねえ、ちょっとだけ抱いて」なんて玄関先で言われた日にゃあ、スリッパで頭バシバシ殴って四の字固めしてウエスタンラリアットかけてそのまま外泊してやる、バカもん! と醤油のコマーシャルを見るたびに激怒しているCHAGEだった。わかるなあ。
新春'95【あけましておめでとうございます】
みなさんはどんな新年を迎えましたか? CHAGE&ASKAにとっても、お正月は年に一度ののんびりできる日々。
CHAGEは相変わらずどんちゃん騒ぎの日々だったようです。温泉に行って、極楽トンボも味わったそうです。
ASKAはソロアルバムのレコーディングで年末年始はひっそりと過ごしました。それでも三が日くらいは休み、のんびりと過ごしたそうです。
素敵な日々を過ごしたおかげで、新春第一弾の仕事も順調にスタートしそうです。みなさんが学校、仕事に出る頃は、ふたりもアルバムのための楽曲制作に入っています。みなさんが首をながーく伸ばして待っているCHAGE&ASKAのアルバム制作が、彼らの新年一発目の仕事なのです。なんて素晴らしい新年のスタートでしょうか。
今年もCHAGE&ASKAは忙しくなりそうです。だけど「走り続ける者にこそ力は存在する」。彼らは今年もたくさんの名曲を発表してくれるはずです。
ご期待ください。そして、今年もどうか熱い応援をよろしくお願いします。
最終更新:2025年06月23日 22:17