吸血殲鬼ヴェドゴニア
【きゅうけつせんき う"ぇどごにあ】
ジャンル
|
アクションアドベンチャーノベル
|

|

|
対応機種
|
Windows98~XP
|
発売・開発元
|
ニトロプラス
|
発売日
|
2001年1月26日
|
定価
|
8,800円(税別)
|
ディスクレス起動
|
可能
|
レーティング
|
アダルトゲーム
|
廉価版
|
メディ倫対応版:2008年8月29日/4,800円(税別)
|
配信
|
OOParts:2020年4月24日
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
虚淵版仮面ライダー 特撮ドラマを意識した構成 だるい戦闘システム
|
ニトロプラス作品リンク
|
シナリオ
※公式サイト及びパッケージ裏より引用。
吸血鬼… 生者の血を糧に永遠の時を生き長らえ、古より歴史の影で暗躍してきた闇の眷属。
その不死の肉体を求めて策謀をめぐらせる邪悪な信徒たちの前に、闇の仕置人、吸血鬼ハンターたちが立ちふさがる。
現代に蘇る聖戦に運命の悪戯に巻き込まれていく主人公と、彼を取り巻く少女たち。彼らに生きて再び夜明けを迎えることは出来るのか?
概要
-
ニトロプラスが処女作『Phantom』の次に送り出した第二作品。シナリオは『Phantom』に引き続き、虚淵玄(うろぶち げん)氏が務める他、企画・監督も担当している。
-
虚淵氏の仮面ライダーシリーズ嗜好が強く反映されており、オマージュが散見される。
-
なお、OPとEDは紅白出場経験のある歌手・小野正利が担当した事で話題を読んだ。
主人公とメインヒロイン
-
伊藤 惣太(いとう そうた) / ヴェドゴニア
-
主人公。梅倫学園に通う学生で平凡な毎日を過ごしていたが、ある日リァノーンに噛まれ一命を取り留めたことで、ヴェドゴニアと化した。
大量出血や性的興奮により半吸血鬼として変貌するようになってしまう。
-
半吸血鬼化すると全身の筋肉が膨れ上がるなど異形の姿となる。
ボンデージのようなレザースーツと手を模した猿轡は吸血鬼の本能を抑えるための拘束着。
変身を繰り返すほど吸血鬼化が進み、やがて理性が本能を抑えきれなくなるようになってしまう。
-
なお、タイトルの「吸血殲鬼」には「ヴァンピルズィージャ」という別名があり、吸血鬼と同等のパワーを持った吸血鬼ハンターの事である。
「ヴェドゴニア」とはそれらのうち死後に吸血鬼化する運命を背負った者を指す。
-
来栖 香織(くるす かおり)
-
幼馴染。昔、空手を習っていたが現在は諸事情にて辞めている。
-
ルートによっては出番が無く、空気。
-
白柳 弥沙子(はこやなぎ みさこ)
-
軽音部員。眼鏡っ娘で巨乳、内気なお嬢様だが、好きな音楽はジャーマンメタルでDTMの打ち込みも手馴れている。
-
ルートによって運命が激変するキャラでもある。
-
モーラ
-
ヴァンパイアハンターの少女。見た目は10歳程度だが、物腰はそれ以上の雰囲気を持つ。戦闘では巨大なスレッジハンマーを武器として戦う。
-
ちなみに小説版や漫画版では他のキャラにヒロインの座を譲っているものの、見せ場は多い。
-
オールスター格闘ゲーム『ニトロ+ロワイアル』では本作代表キャラとして出演している。
-
リァノーン
-
ロードヴァンパイアと呼ばれる最古のヴァンパイアであり、見た目は若いが年齢は2000歳以上。
惣太をヴェドゴニアへと変えた元凶でもある。
特徴
-
特撮ドラマを意識した構成
-
本作はヒロイン別4ルート内全13話構成となっており、各話が始まる際はアバン→OPムービー→本編→EDムービーという構成で展開される。
-
1話ごとの尺も大体30~50分程度と程よい時間。プレイごとに区切りもつきやすい。
-
ちなみにムービーには本作のスタッフなどがクレジットされている。歌詞なども併せてかなりTV放送作品っぽい作りである。
-
分岐
-
分岐は少なめであり、若干のセリフが変わる程度でルートに影響しない物もある。
-
おおまかに言うとストーリー前半で選んだ分岐により、各ヒロインのルートに行けるようになる。
-
ちなみに弥沙子とリァノーンのルートは大半が共通している。条件を満たすとリァノーンのルートから弥沙子EDを見ることも可能。
-
また、弥沙子EDは香織EDを見てからでないと解放されない。
-
戦闘システム
-
時間制限付きのコマンド選択システムであり、一部の話を除き、ほぼ毎回敵との戦闘がある。
-
円盤状の行動選択があり、時間経過によって選択肢の位置が変化及び減少するため、素早い判断を迫られる。選択に迷うと攻撃の選択肢がまずなくなり、さらには防御・回避も消え直撃を受けることになる。
-
近距離と遠距離の使い分け、素手・ナイフ・ピストル・薙刀・ブーメラン・斧付き散弾銃などの武器選択も重要。
-
基本装備のナイフの他に二種類の武器を出撃時に選んで持っていくことになる。事前に敵の情報は得られないため、近接武器重視を選んだら敵は銃撃メインだった、などということもありうる。
-
投擲武器の攻撃を回避される、敵の攻撃を武器で防いだ衝撃で吹き飛ばされるなど、使用できる武器が減少することもある。
評価点
-
虚淵玄だけあってシナリオはダークな変身ヒーロー作品らしい王道展開ながらかなり骨太。燃える展開も多く、主人公・ヒロイン・敵といった各キャラクターの活躍や心情描写も緻密に描かれている。
-
銃器類の描写やヴェドゴニアと敵怪人のアクションなどといった戦闘シーンも濃密に描かれており、人によっては「ヒロイン以上に銃器の描写に力が入っている」と評されることも。
-
「Desmodus」で敵を追撃し倒す場面の描写では、化け物じみた性能のマシンが出す疾走感と「ヴェドゴニア」状態により交戦的かつスリルを楽しむ性格に変化している様が十二分に描かれており評価が高い。
-
上記の通り、ルートによって各キャラクターたちの出番や活躍が激変し、あるルートで空気気味だったキャラが別のルートではメイン級の活躍をするなど、別ルートの攻略も強く楽しめる。
-
OPとEDムービーの歌と演出、シーンを彩るBGMなど音楽方面も非常に出来が良い。
-
武器のデザイン及び名称。
-
メイン武器として常に装備しているナイフ『サド侯爵の愉悦』をはじめ、三枚の刃が円形に並ぶブーメラン『旋風の暴君(カリギュラ)』、SPAS12ショットガンのストックに斧をつけることで遠近両用に使える『SPAS12改「挽肉屋(ミンチメーカー)」』、近接用長刀『聖者の絶叫(エリ=エリ=レマ=サバタクニ)』など、いわゆる中二心をくすぐる設定。
-
主人公が乗ることになるスズキ・GSX-1300R隼を改造したバイク『GSX-"Desmodus"』も吸血コウモリからとられている。
-
キャラクターの名称。
-
主人公『伊藤 惣太』は鍋島猫騒動で化け猫を退治した人物から、その他キャラクターも世界の吸血鬼やそれに関連する物から命名されており、詳しい人はニヤリとすることうけあい。
-
ヒロインの一人『来栖 香織』は一見関係ない名称と思いきや、『クルス(十字架)、(ニンニクの)香り』と、吸血鬼の弱点となる物からつけられている。
問題点
-
全13話とTV放映仕立ての構成の割りに分岐する選択肢が少ない
-
今のノベルゲームの場合は一部に選択肢不要を唱える動きもあるが、当時はまだまだゲーム性も重視されており選択肢の少なさに不満を覚えるものも多数存在した。
-
戦闘システムが単調
-
時間が短くなるに連れてコマンドアイコンの色が青→緑→黄→赤の順に変わるのだが、要は色が青か緑=早いうちに選択しておけば大抵攻撃が面白いように当たるという話である。
-
スペックの低いPCでプレイすることにより、アイコンの色が変わるスピードを遅くすることができる。そこまでしないとクリアできないならスキップすればいいだけではあるが。
-
CG獲得のために敵の攻撃をあえて受けざるを得ない事もある。
-
武器の強さがハッキリしすぎている
-
基本的に固定武器であるナイフだけで牽制しつつ攻撃するか、距離をとってピストルやブーメランを使えばあっさりと戦闘が終わることもしばしば。
-
薙刀や斧は使い勝手がイマイチだが、CG獲得のために使わざるをえないことも。
-
パッチを使えば戦闘はスキップ可能(より正確に言うと、
戦闘場面のみ全カットという仕様
)となるが、パッチを当てる前のセーブは使用不可となる。
-
ヒロインと結ばれた後も話が続くゲームが無かった頃の作品であるためHシーンが少ない。
-
メインヒロイン4名のうち2名はHシーンが1つだけしかない。
-
一応、そういう方向性のゲームではないのであまり問題ではないとも言えるが。
-
ちなみに機械で無理やり興奮させられるシーンや、サブヒロインが敵怪人に襲われるシーンのリプレイもある。
総評
ニトロプラスの前作『Phantom』のダークでハード路線に心躍らされたファンの期待を裏切らず、虚淵玄氏の嗜好である特撮作品のエッセンスを混ぜ込み見事にまとめ上げた作品。
本作の重厚なストーリーや渋い演出、中二病的設定や格好いいキャラクター達に魅せられたファンは多く、主題歌楽曲も現在においても人気が高い。
一方でゲーム性は低めであり、戦闘もリアルタイムとはいえ慣れてしまえば単調気味ではあるので気になるようなら最初からスキップし、純粋なビジュアルノベルとして読むのが良いだろう。
現在はクラウドフォームである『OOParts』にて配信されているので、興味のある人はプレイしてみてはいかがだろうか。
余談
-
ニトロ作品の中では唯一ロットアップとなった事があり、海外版が発売されていない、声が付いたキャラも未だにモーラのみであるなど、メーカーからはやや不遇な扱いを受けている。
-
小説版と漫画版も存在する。
-
小説版は全ルートを統合・折衷し纏め上げた「良いとこ取り」と言った内容であり評価も高い。現在は電子書籍化されている。著者は旧スクウェアに在籍していた種子島貴。
-
一方、漫画版はオリジナル要素が非常に多く、あまり高い評価は受けていない。キャラデザの中央東口氏がコミックスに寄稿した4コマは評価が高いが。
-
OPでのクレジットに「連載:月刊コミックドラゴン」とあるが、これは漫画版の連載が『コミックドラゴン』(現:月刊ドラゴンエイジ)のため。
-
後にニトロプラスとアニメ制作会社であるGONZO(ゴンゾ)が共同で制作し、虚淵氏がシリーズ構成を務めたアニメ「BLASSREITER(ブラスレイター)」にて本作のOPテーマが携帯の着メロとして登場した。
-
ちなみにその携帯を持っていたのは未成年の少年であり、ついでに言うと
未成年なのにニトロプラスのゲームの愛好家
でもある。良い子はアダルトゲームは18歳を過ぎてからやるようにしましょう。
最終更新:2024年12月15日 16:30