758 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:55:29.87 ID:ROtquQSO
はじめまして。
希望(のぞみ)です。
はじめまして。
希望(のぞみ)です。
少しだけ、私の話に付き合って下さい。
あ、私の自己紹介だけしておきますね?
私の名前は希望。
「きぼう」とかいて「のぞみ」。
生まれてから五年目の幼女です。
「きぼう」とかいて「のぞみ」。
生まれてから五年目の幼女です。
幼女についてはご存知ですよね?
え?知らない?
え?知らない?
ここには色んな世界があるみたいですけど、私達がいる世界では「人工的に作られた、一定以上見た目が成長しない、人権がない人間」の事です。
私は……自分で言うのもアレなんですが、幸せなんです。
間違いなく、世界で一番幸せな幼女ですよ。
間違いなく、世界で一番幸せな幼女ですよ。
では、お話をはじめますね?。
つまらなかったらごめんなさい。
759 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:56:22.70 ID:ROtquQSO
私が、あの方達に出会ったのは二年前の春でした。
つまらなかったらごめんなさい。
759 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:56:22.70 ID:ROtquQSO
私が、あの方達に出会ったのは二年前の春でした。
生まれた時に引き取って下さった方がいたんですが……。
私は愛してもらえなかったんです。
私は愛してもらえなかったんです。
違うかな。
普通じゃない愛され方、だったのかな。
普通じゃない愛され方、だったのかな。
毎日毎日えっちな事をして、私の爪を剥がして、私を叩いて……。
そしてある日、叩かれて気を失っている間に公園に捨てられてしまったんです。
春とはいえ、夜は寒くて、寂しくて……。
春とはいえ、夜は寒くて、寂しくて……。
そんな時、私は出会ったんです。
私のおねえちゃんと、私のおにいちゃんに。
私のおねえちゃんと、私のおにいちゃんに。
「ねぇねぇ、祐樹くん。幼女が泣いてるよ?」
そんな声に私は顔をあげました。
そんな声に私は顔をあげました。
「……俺、コーヒーか何か買ってくるわ」
そう言うと、男の人が走っていきました。
そう言うと、男の人が走っていきました。
私はもう虐められるのは嫌だったから、逃げようとしました。
でも足がうまく動かなくて……その場にへたりこんでしまったんです。
でも足がうまく動かなくて……その場にへたりこんでしまったんです。
そんな私に女の人は優しく、優しく声をかけてくれました。
「大丈夫だよ。いじめないよ?ほら、おいで」
女の人が私を抱き上げて、抱きしめてくれました。
「大丈夫だよ。いじめないよ?ほら、おいで」
女の人が私を抱き上げて、抱きしめてくれました。
暖かくて、優しくて。
私は泣き出してしまいました。
760 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:57:00.37 ID:ROtquQSO
そこに男の人が帰ってきました。
手に、あったかいカフェオレを持って。
私は泣き出してしまいました。
760 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:57:00.37 ID:ROtquQSO
そこに男の人が帰ってきました。
手に、あったかいカフェオレを持って。
「ほら、飲めよ。あったかいよ」
私はそれを受け取って一口、口を付けました。
私はそれを受け取って一口、口を付けました。
甘い。
すこし熱すぎるけど、甘くて、優しい味。
すこし熱すぎるけど、甘くて、優しい味。
驚いた顔をしていた私に、女の人は言いました。
「あ、この子私に似てない?」
「確かに。髪ちゃんとすれば瓜二つじゃないか」
「ねぇ、幼女ちゃん。あなた、私の妹にならない?」
「あ、この子私に似てない?」
「確かに。髪ちゃんとすれば瓜二つじゃないか」
「ねぇ、幼女ちゃん。あなた、私の妹にならない?」
妹。
どういうものかは知っていました。
でも……私は人間じゃない。
何より、怖い。
どういうものかは知っていました。
でも……私は人間じゃない。
何より、怖い。
「大丈夫だよ。何かあっても祐樹くんが助けてくれるから!」
「俺かよ!」
「頼りにしてるよ、祐樹くん♪」
「俺かよ!」
「頼りにしてるよ、祐樹くん♪」
戸惑う私に、自己紹介をはじめました。
「私は愛。お姉ちゃん、て呼んでね。で、こっちのイケメンが……」
「イケメン言うな。祐樹だ。よろしくな」
「幼女ちゃん。貴女の名前は?」
「私は愛。お姉ちゃん、て呼んでね。で、こっちのイケメンが……」
「イケメン言うな。祐樹だ。よろしくな」
「幼女ちゃん。貴女の名前は?」
私に名前はありません。
名前なんか、必要なかったから。
名前なんか、必要なかったから。
761 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:57:37.51 ID:ROtquQSO
「わ、私に名前は、無いです」
「わ、私に名前は、無いです」
怖かったけど、少しだけ勇気を出して、言ってみました。
「そっか。なら、貴女は希望。きぼうって書いてのぞみ。よろしくね、希望」
希望。私の名前は希望。
何故かはわかりませんが、しっくりきて、すごく気に入りました。
何故かはわかりませんが、しっくりきて、すごく気に入りました。
「何で希望なんだ?」
「私が「あい」。祐樹くんは「ゆうき」。愛と勇気ときたら後は希望だよ!これからよろしくね、希望」
「私が「あい」。祐樹くんは「ゆうき」。愛と勇気ときたら後は希望だよ!これからよろしくね、希望」
そして私は家についていきました。
ゆーきくんとお姉ちゃんは恋人同士。
同棲してるけどお姉ちゃんは体が弱くて、いつもは家で養生してるんだよって言っていました。
ゆーきくんとお姉ちゃんは恋人同士。
同棲してるけどお姉ちゃんは体が弱くて、いつもは家で養生してるんだよって言っていました。
ゆーきくんはカッコイイ顔をした社会人。
お給料はすごくいいけど、大変なお仕事なんだって。
お姉ちゃんと結婚する為にお仕事を頑張ってるんだ。
お給料はすごくいいけど、大変なお仕事なんだって。
お姉ちゃんと結婚する為にお仕事を頑張ってるんだ。
お姉ちゃんは家にいるけど、お掃除したりお洗濯したり、御飯作ったり。
大人しくしてなきゃダメだろっていつもゆーきくんに怒られてる。
762 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:58:24.65 ID:ROtquQSO
だから私はお姉ちゃんのお手伝いをして、楽しく、幸せに過ごしました。
大人しくしてなきゃダメだろっていつもゆーきくんに怒られてる。
762 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:58:24.65 ID:ROtquQSO
だから私はお姉ちゃんのお手伝いをして、楽しく、幸せに過ごしました。
夏になると、みんなで海に行きました。
すごく綺麗で、びっくり!
すごく綺麗で、びっくり!
普通だったら恋人同士、二人だけで行きたいかなって思ったけど……二人とも、希望がいかないならいかないって。
嬉しくて、また泣いちゃいました。
嬉しくて、また泣いちゃいました。
秋になると、みんなで公園に行きました。
私がオニで、かくれんぼ。
お姉ちゃんもゆーきくんも見つからなくて、泣いちゃいました。
またやろうねって、約束して帰りました。
私がオニで、かくれんぼ。
お姉ちゃんもゆーきくんも見つからなくて、泣いちゃいました。
またやろうねって、約束して帰りました。
冬になると、クリスマスデートです。
恋人+私。
お仕事が遅くなってゆーきくんは遅刻です。
ゆーきくんが来る前に作戦を練りました。
恋人+私。
お仕事が遅くなってゆーきくんは遅刻です。
ゆーきくんが来る前に作戦を練りました。
「やぁ、わりい。遅れた!」
作戦開始です。
「あーあ。祐樹くんは私達と過ごすクリスマスなんかどうでもいいんだー」
「あーあ。私も泣いちゃいます。えーん」
ゆーきくん、わたわたしてて面白いです。
作戦開始です。
「あーあ。祐樹くんは私達と過ごすクリスマスなんかどうでもいいんだー」
「あーあ。私も泣いちゃいます。えーん」
ゆーきくん、わたわたしてて面白いです。
763 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/04/02(水) 19:59:02.50 ID:ROtquQSO
「え、あ、ご、ごめん!どうでも良くないから!二人とも愛してるから!」
私とお姉ちゃんは顔を見合わせると
「「うそだよー!お仕事お疲れ様!」」
って言って買っておいたチョーカーを渡しました。
三つ買って、みんなお揃いのチョーカー。
お姉ちゃんと三時間も悩んで買った、クリスマスプレゼント。
「え、あ、ご、ごめん!どうでも良くないから!二人とも愛してるから!」
私とお姉ちゃんは顔を見合わせると
「「うそだよー!お仕事お疲れ様!」」
って言って買っておいたチョーカーを渡しました。
三つ買って、みんなお揃いのチョーカー。
お姉ちゃんと三時間も悩んで買った、クリスマスプレゼント。
「愛、希望……ぁ、ありがとうぅ……」
ゆーきくんが泣き出しちゃいました。
すごく嬉しそうなゆーきくんを見てると、私もお姉ちゃんも嬉しくて……私達、みんなで抱き合いました。
寒い冬だって、みんなで居ればあったかい。
ゆーきくんが泣き出しちゃいました。
すごく嬉しそうなゆーきくんを見てると、私もお姉ちゃんも嬉しくて……私達、みんなで抱き合いました。
寒い冬だって、みんなで居ればあったかい。
前のご主人様のとこであった事なんて、夢だったかのように幸せで……私はまた、泣いていました。
私、一年中泣いてばかりですね。
でも、嬉しくて涙が出るなんて……二人に会うまで知らなかったから、私はその涙が誇らしくもありました。
784 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 18:58:44.59 ID:jup.uwSO
そして皆で迎えたお正月。
そして皆で迎えたお正月。
お姉ちゃんと一緒にお節を作った。
ゆーきくんもおいしいよって笑ってくれて、すごく嬉しかった。
それから、神社にお参り!
そこでお姉ちゃんがお守りを買ってくれました。
ピンク色で、刺繍が施してあるかわいいかわいいお守り。
ピンク色で、刺繍が施してあるかわいいかわいいお守り。
「お釣りは全部五円玉で下さい!」
って。
四枚の五円玉。
私は二枚もらいました。
って。
四枚の五円玉。
私は二枚もらいました。
「「「今年も、三人一緒にいられますように!」」」
みんなで同じねがいごとをして、笑い合いました。
今年も、良い年でありますように。
春が過ぎようとする頃、お姉ちゃんの体調が崩れました。
詳しい事は聞いてもわかりませんでした……。
私が二人に出会ってから二度目の夏が来ても、お姉ちゃんは寝たままでした。
そして、少しお姉ちゃんの体調が安定した時、ゆーきくんが言いました。
そして、少しお姉ちゃんの体調が安定した時、ゆーきくんが言いました。
「愛、結婚しよう。愛は俺の妻として、希望は俺達の娘として……幸せに暮らそう」
お姉ちゃんは、もちろんこう答えましたよ。
「はい」
って、最高の笑顔で。
785 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 18:59:10.32 ID:jup.uwSO
夏が終わる頃……結婚式が行われました。
「はい」
って、最高の笑顔で。
785 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 18:59:10.32 ID:jup.uwSO
夏が終わる頃……結婚式が行われました。
ゆーきくんはタキシード。
お姉ちゃんはウェディングドレス。
お姉ちゃんはウェディングドレス。
私も、私のサイズのドレスを着せてもらいました。
綺麗な、綺麗な、純白のドレス。
綺麗な、綺麗な、純白のドレス。
お姉ちゃんとゆーきくんは着付けで別々の部屋でしたが、二人ともずっとにやけていて、幸せそうです。
いえ、幸せだったんです。
その瞬間は間違いなく。
いえ、幸せだったんです。
その瞬間は間違いなく。
ゆーきくんが着付けた時、着付けのおばちゃんがゆーきくんの控室に駆け込んできていいました。
「花嫁様が、倒れました!!」
私もゆーきくんも、走りました。
僅か10メートルも無いはずの部屋への距離が長くて、息が切れながらも何とかたどり着きました。
僅か10メートルも無いはずの部屋への距離が長くて、息が切れながらも何とかたどり着きました。
救急車が来て、私とゆーきくんは付き添います。
お姉ちゃんは、目を覚ましません。
お姉ちゃんは、目を覚ましません。
まだ……まだ、かくれんぼしてない。
まだお姉ちゃん達の娘になってない。
まだお姉ちゃん達の娘になってない。
神様。
お姉ちゃんを、助けて下さい。
ずっといい子にしますから。
もう、泣きませんから。
786 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 18:59:42.72 ID:jup.uwSO
二時間程立ったでしょうか。
お姉ちゃんが目を覚ましました。
お姉ちゃんを、助けて下さい。
ずっといい子にしますから。
もう、泣きませんから。
786 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 18:59:42.72 ID:jup.uwSO
二時間程立ったでしょうか。
お姉ちゃんが目を覚ましました。
「祐樹くん、希望。ごめんね?結婚式、中止になっちゃった……」
そんなの、いいよ。
お姉ちゃんが無事なら、それでいいよ。
お姉ちゃんが無事なら、それでいいよ。
「馬鹿。そんなんまたやればいい。愛が目を覚まして良かった……」
そんな私達にお姉ちゃんはいいました。
「ありがとう、祐樹くん、希望。愛してる。私ね、本当に幸せだよ。きっと、ずっと。だから……」
そう言って、お姉ちゃんはまた、眠りました。
でもその眠りは覚めない眠りで……。
でもその眠りは覚めない眠りで……。
こんなのって、ないよ。
それからゆーきくんは仕事を辞めて、ずっと家にいるようになりました。
毎日、毎日、泣いてる。
毎日、毎日、泣いてる。
私も、ずっとずっと泣いて。
こんな私だから……神様はおねがいを聞いてくれなかったんだなぁ。
こんな私だから……神様はおねがいを聞いてくれなかったんだなぁ。
そんな日が何日も続いて、私の話はもう終盤です。
ここからは、ついさっきの事になります。
ここからは、ついさっきの事になります。
あぁ。もううまく考えられない。
まだ。
まだ話し終わってないのに。
787 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 19:00:10.31 ID:jup.uwSO
ゆーきくんが、私に言いました。
まだ。
まだ話し終わってないのに。
787 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 19:00:10.31 ID:jup.uwSO
ゆーきくんが、私に言いました。
「なぁ、希望。お姉ちゃんに会いたいか?」
私は迷いなく、会いたいって。
そしたら、ゆーきくんのおっきくてあったかい手が、私の首にかかりました。
そしたら、ゆーきくんのおっきくてあったかい手が、私の首にかかりました。
「ごめん。ごめんなぁ……俺もすぐ行くから……また、皆で……」
あぁ。
白い。
何も考えられないよ……。
白い。
何も考えられないよ……。
ゆーきくん。
ありがとう。だいすき。
ありがとう。だいすき。
お姉ちゃん。
ありがとう。だいすき。
ありがとう。だいすき。
……お姉ちゃんが、見えます。
少し困った顔で、私を見ています。
言わなきゃ。
今度はちゃんと。
少し困った顔で、私を見ています。
言わなきゃ。
今度はちゃんと。
「お…ねえ、ちゃ、ん……みぃ、つけ……た……」
788 名前: SS@感想屋 投稿日: 2008/04/03(木) 19:00:38.63 ID:jup.uwSO
お姉ちゃん、みーつけた!
――希望。祐樹くんを許してあげてね。
お姉ちゃん、みーつけた!
――希望。祐樹くんを許してあげてね。
私、何も怒ってないよ?
――そっか。希望。これからはずっと一緒だよ。
――そっか。希望。これからはずっと一緒だよ。
ゆーきくんも!!
――そうだね。じゃあ、駅前で待とうか!
――そうだね。じゃあ、駅前で待とうか!
うん!
――また、怒った振りして困らせちゃおうね♪
――また、怒った振りして困らせちゃおうね♪
えへへ。それから、結婚式したいな。
――うん。ずっと三人一緒だよ。また公園に行こうね。
――うん。ずっと三人一緒だよ。また公園に行こうね。
お姉ちゃん、私、幸せだよ。
――お姉ちゃんも。きっと、祐樹くんも。
――お姉ちゃんも。きっと、祐樹くんも。
へへ。あっ!
――あっ。
――あっ。
――――ごめん。おまたせ。
のぞみ~新幹線的な意味で~END