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  • うたう幼女1

新ジャンル「幼女980円(税)」SSまとめ@wiki

うたう幼女1

最終更新:2008年09月12日 01:55

yo980

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837 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/07(木) 14:34:33.57 ID:g85.u2AO
西暦20XX年。
名も無き日本のとある中小企業から何の前触れもなく発売された「幼女」たるものは、
瞬く間に世界中で大流行、
今では一家に一匹幼女、ペットショップに入りまず目につくのは仔犬…ではなく、
あられもない風体をした幼女、というのがグローバルな常識らしい。

世も末だ、と俺は思う。
人身売買は犯罪だ。小学生でも知ってる。
ということは何だ、世界中皆是犯罪者か。
全く、買う奴の気が知れない…

38 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/07(木) 14:36:16.55 ID:g85.u2AO
とはいえ、俺は幼女についての一切を知らない。
俺の日常にペットショップを訪れる要素はないし、それ以前に
俺が一日に立ち寄る場所など大学とバイト先と自宅、あとせいぜい最寄りのコンビニかスーパー。これだけだ。

健全な社会人を志す俺にとって世間の流れに疎いのは、どちらかといえば好ましくないのかもしれない。
かくして俺は近所の(大型と言えよう)ペットショップに赴いた。
…と言っても、ただの買い物のついでの暇潰しだけれども。

44 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/07(木) 15:02:26.05 ID:g85.u2AO
そして俺は幼女について多少の実態を知る。

少なくとも「幼女」は人間ではなかった。

人間と呼ぶには余りに小さすぎるし、等身がめちゃくちゃだ。
あと目。でかすぎる。顔の三分の一が、目。
人間を可愛くデフォルメした人形、ただし生きてます。
…それが幼女だった。

なるほど風貌も可愛らしいし、高性能なものになると家事などもこなせるらしい。
確かにこれは人気が出るのも頷ける…と、だが俺は今日これを買うつもりで来たんじゃないぜ。
危うく流されそうになった俺は値札を見て我を取りもどす。
ふと辺りを見るとさっきより客が少なくなっているようだった。

若い店員が声をかけるべきかとこちらをチラチラ見てるのを悟り、俺はそそくさと店を出た。
我ながら冷やかし以外のなにものでもあるまいな。

ごめんよ店員さん。多分もう当分来ない。



49 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/07(木) 15:28:34.21 ID:g85.u2AO
その帰り、俺は駅前の繁華街をブラブラ歩いていた。
例によって時間潰しだ。
幼女見物は店員さんの好意のおかげで、思った以上に時間潰しになっていなかった。
彼女の名誉のため言っておくが、店員さんに非はない。


とはいえ果たして、こちらもあまり時間は潰せる気がしない。
何せ何もない。それは俺が一番良く知っている…はずなのだが。


少し先に、何やら人だかりができていた。
夜店らしいが、人が多すぎる。売り物が見えん。
近付こうにも、何故か見物客の多くは子供連れのようで、
大の大人が子どもたちを押し退けて前列へ出るのも忍び無い(それをする労力も惜しいしな)。

一団の最後尾からその様子を見ていると、辛うじて見える垂れ幕に、こう書かれているのが読める。

「幼女すくい 一回980円」


また幼女。


350 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/08(金) 22:57:30.85 ID:EALLSVI0
また幼女。
まるで幼女のバーゲンセールだぜ。
もしかしたら今日は世間で幼女デーとして制定された日なのかもしれない。
そうでなければ何故か特別に縁がある日なんだろう。
などと馬鹿なことを考えていた俺は、不意に何者かに話しかけられる。


「お兄さん、買わないの?」


ちょっと慌てた。


355 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/08(金) 23:18:52.98 ID:EALLSVI0
俺がぼーっとしてる内にも見物客は入れ替わり、列は動く。
気づくと最前列にまで押しやられていたようだ。
といっても中央の、いわゆるベストポジションは依然子供たちに陣取られていて
俺のいる場所からは木箱の角しか見えない。
声の主はそこにいた。

木箱の角に二本の細い腕をたてかけ、上に頭を置いてこちらを見ている。
仲間にしてやろうか。

「ねぇ、私を買わない?」

場面によっては誤解してしまいそうなせりふだ。実によろしい。
問いかけには答えるのが礼儀というものだ。

「悪いけどここに来たのは偶然だから、こっちには何の知識も用意も無いんだ。
 買ってやれないよ。」

「あ、やっぱり。うーん…こっちもその方が都合がいいんだけどな。」

そんなことを言う。そして少し考えるような仕草。
なんだ。『都合が良い』て。



「じゃ良いわ。でもちょっとだけ私の話し相手になってよ。ただし、バレないようにね。」


359 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/08(金) 23:33:39.84 ID:EALLSVI0
彼女(果たして『彼女』という代名詞が人間以外に使用するにおいて適切なのかは知らん)
と話して、俺はあらためて人類の技術の進化に驚かされる。

彼女はこちらの話す内容にはちゃんと辻褄の合う返事をよこすし、
少なくとも会話に関しては人間を相手にしているのと変わらなかった。

だがなぜ『バレないように』なのか、俺はついに知りえなかったが
特に気にしないでいた。


やがて店主が店じまいの旨を伝えると、客はちりぢりに帰っていった。
大半の客は冷やかしだったようだ。
この商売、あまり先は明るくねーな。

「お兄さん、買うのかい?」

さっきとは打って変わって野太い声で話しかけられた。
辺りを見ると俺以外の客は既に去ったようだ。
(ちょうど今の俺のような事態にならないようにかもしれない)

夜道に残る俺と屋台の親父。

気まずさ、到来。


362 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/08(金) 23:54:47.52 ID:EALLSVI0
おやじは俺に半ば愚痴のような身の上話を投げかけつつ、手際よく店をたたんでいる。
どちらかに集中してくれればいいのに。


「儲かると思ったんだけど、だめだねぇ」
「はぁ…」
「同じようなのが、ほれ、百貨店なんかではウン百万とかで売っているだろう?」
「はい…」
「保健所にいけば仕入れ値はタダだから、俺の懐は痛まないときたもんだ」
「…」
「だがこいつらをまた引き取って貰うとなると、ただでさえ少ない売り上げも、減るどころか逆に赤字だよ。」


哀れなおやじだった。
原因は十中八九彼の浅はかさだとはいえ、少し同情。


ちらりとさっきの幼女を見ると
相変わらず箱から身を乗り出し、仲間になりたそうにこっちを見ている。
おやじは愚痴るのをやめようとしない。
となると俺に残された選択肢は一つしかあるまい。


「あの、幼女、買います。」


363 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 00:10:40.83 ID:LWE2VwI0
「おお、兄さん、やってくかい? 一回980円だよ。」
「いや、あの…一匹だけ買えますか?」


『幼女すくい』たる未知の形式に少し興味はあったが思いがけず俺がその達人で
大量に幼女をすくってしまう、などというケースも俺は考慮している。


「別にかまわないけど、お客さん変わってるねえ。どの子かは決まっているかい?」


ここで別の子を選んだら、などということも考えるが残念ながら俺は鬼畜ではないし、
これまでの人生常に安全牌を選んできたこともあって
例によって大人しく一角の一際顔を輝かせた幼女を指し示す俺だ。


「はい、980円でいいよ。」


かくして、めでたく少女が仲間にくわわった。
それにしても「少女」という言葉は人間以外を指すのに使っていいのかね。


365 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 00:20:26.51 ID:LWE2VwI0

そもそも『幼女』というのが市場において子犬などとは比べ物にならないほどの値を
制定されているということはこの俺も自らの目でもって見て心得ていたし、
ではなぜあのおやじの商売が難航しているのかというとそれは
品質が疑わしいからという理由に他ならない。

にも関わらず、この幼女は帰り道にも実に饒舌に言葉を発した。

「うれしいなあ うれしいなあ」

うれしそうだった。


「うれしいか?」
「うれしいよ。誰かに買ってもらえて本当に良かった」
「そこは嘘でも『俺でよかった』と言うべきだぞ」
「うん、でも、私これが最後のチャンスだったから…」


いきなりシビアになる。

381 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 12:44:48.84 ID:XGIM/wAO

彼女たちが保健所から連れてこられたこと
保健所には様々な理由で不要とされた幼女が集められること
そもそも今回の様に大量に引き取られ、売られるというケースは稀で、(あの親父がいかに変人かということだな)
売られている幼女にとっては生き延びる最後の機会ということ
…売れ残った幼女は、まず間違いなく処分されるであろうこと。


そんなことを彼女は終始笑顔で話した。
俺はどんな顔で聞けば良いんだよ。
わからなかったので頭を撫でてみた。お気に召したらしい。
目を細めたりしてみせる。でもこっちは少し後悔したぞ。
ざらざらしてる。砂か?

帰ったら早急に風呂に入ってもらいたい。

382 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 13:02:22.23 ID:XGIM/wAO
いやいや、そもそもあの夜店のことを考えると、少女が多少不潔なのも当然のことだ。

彼女が不良品に有らざることをもはや俺は疑ってはいなかったが、それはそれ。
どう見ても衛生的に問題ない環境とは思えない。
まぁそのお陰で俺は部屋に上げるのを躊躇わずに済んだのだけど。
(少なくともあの木箱より清潔な自信はあるぞ)

当の幼女もやはり散らかった男物の衣類などは気にもかけない様子で、低い天井を見上げては
「わー…」などと声をもらしている。
俺は食事の用意を始めつつ傍目でその様子を面白おかしく見ていたのだが
やがて少女はふらふらとベッドの前まで歩み寄り、ねじでも切れたように顔から突っ伏した。


「ぽす」というなんとも軽そうな音。

383 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 13:17:57.31 ID:XGIM/wAO
布団をかけなおしてやりに近寄ると、既に寝息をたてていた。
寝顔のかわいくない動物など地球にいないと、俺は思うんだ。

つかれてたんだろう。ゆっくりおやすみ。
でもお兄さん、先に風呂に入って欲しかったな。
この布団明日干そう。

だが朝になっても、幼女は目をさまさなかった。



こいつはそれっきり丸々二十四時間、ぶっ通しで寝続けたのだった。


394 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 13:47:02.45 ID:XGIM/wAO
それからきっかり二十四時間後、
つまりすっかり日も落ちそろそろ夕食の支度でも、と
ソファから腰を上げた頃、彼女は目覚めた。

「……」
「おはよう。良く寝ていたな」

こいつが寝ている間に俺はたまった洗濯物をやっつけ、幾年ぶりにフローリングを雑巾でふいた。
ついでに室内の如何わしい品の撤去などにも抜かりはない。

「…私、どれくらい寝てました?」
「きっかり丸一日だな」
「…嫌いになったよね」

突発的なことを言う幼女だった。

「ならないよ。これくらいで」
「怒ってないの?」
「怒ってない」
「嘘だ」
「嘘じゃない」


ちょっぴり嘘だった。
俺が起床したにも関わらずなお
起きる気配の無い彼女に、おいおい余りに自分勝手すぎるぜと苛立ちもした。

しかし時折うなされたような、怯えるような声を上げる様子に、
俺は彼女の哀れな境遇を思った。

こいつはどんな理由で保健所へ連れられ、どんな人生を歩んできたのだろう。
俺の推測する彼女の人生には、幸せを見出せなかった。

そうでなくともこんなしょんぼりされたら、
大抵の人間なら怒る気など失せるだろうよ。

俺はうつむく頭にそっと手を置く。

…ざらざらしてる。


435 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 23:31:09.80 ID:XGIM/wAO

幼女は何故か落ち込んでいるようだ。

俺は特に何も言わず昨日彼女が眠った後に仕込んだカレーを温め、
二人分よそった(一つの皿は小さめだ)。

テーブルについて向かい合って食べた。
幼女は絶えず口をもごもごさせながらも、時折上目遣いで
ちらちらこっちを気にしている。


無言だったが、不思議と気まずくはならなかった。

奇妙にのんびりとした気楽な一時が流れた。


436 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 23:36:41.34 ID:XGIM/wAO
「幼女について何の知識も無いって、本当だったんだね」

彼女が不意に口をきいた。

「こんなに優しくてされてしまって…
いつかお兄さんが幼女の扱いを知って態度を変えた時、私どうすればいいのかな」

またしょんぼり。全くもって話が読めない。
だがまぁとにかく、あまり長い間こんなヤな空気はごめんだぜ。


「なあ、お前、風呂入ってこいよ」
「…お風呂?」
「そう。全く、汚れたままベッドで寝やがって」
「あ…その、ごめんなs」
「謝らなくていーの。ほら、いったいった」
「わ、ちょっと!待…」


何か言おうとした彼女を強引に脱衣所に押しやり、ぴしゃりと戸を閉めた。


438 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 23:42:13.46 ID:XGIM/wAO
全くどうしたことだ。
出会った時とのはしゃぎようとは別人じゃねーか。

「あのー…。」

風呂場からおずおずとした声。

「どうした」
「どう使うのか、わからない…」
「…。」

腰を上げたこちらの気配を察したのだろうか
「あ、開けなくて良い!開けなくて!口で言って!」

なんだ。
俺にいやらしい考えでもあるみたいじゃないか、失礼な。
つーかもう服は脱いだんかい!


442 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 23:48:55.38 ID:XGIM/wAO
入浴の手順を口頭で説明するのは困難を極めた。

扉越しの幼女(全裸)は俺の献身的な説明を全て「?」で返したが
やがて「わかった、もう大丈夫」と言うと静かに…ならなかった。

風呂場は終始
「あっつい!あっつい!」だとか
「わ、わ、わ!!」とか
「あー…すごぉい…」
などといった声で賑やかだった。

外から聞いてる分には結構楽しい。
くれぐれも言っておくが、断じて劣情を催してなどいない。


443 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/09(土) 23:54:33.20 ID:XGIM/wAO
やがて、カラカラと扉が開く。が、幼女は中々出てこない。

と、ひょこと顔を半分だけ覗かせ、困った顔で見てる。
髪は濡れてぺたりとはりつき、少しだけのぞく火照った肩がエロい。


「どうした、早く着替えて出てこいよ」
「うん、あのね。私もそうしたいんだけど…」
「どうした?」
「その、服が無いの」


俺の落ち度であった。
つーか気付けよ。言えよ。脱ぐ前に。


444 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/10(日) 00:06:50.23 ID:TP9Y4UAO
さて、参った。途方もなく困った。
俺、幼女のサイズどころか女物の服の類一切持ってないわ。


仕方ないので適当にゆったりした長袖とジーンズを見繕っておずおずと差し出す。
全ての非は私めに御座います。

濡れた手がそれを受け取り、
「あの…できればタオルも」


俺はいよいよドジっ子のようだ。
光の速さで取りに行き、手渡す。


ごそごそと幼女が着替えるその間、俺はとりあえず正座で待つ。
やがて戸が開き…

「…」
「…」
「そんな見ないで…」

…うん分かってたんだけどね。

彼女が身につけているのはTシャツのみだった。
そりゃそうだ。彼女の全長は俺のへそ辺りまでかない。
つまり俺はこいつに「全裸にTシャツ一枚」以外の選択肢を与えなかったのもかわらない。

「幼女を全裸を強いる状況に陥れ、余分な衣類を渡さない男。」


変態。


紛うことなき変態が、そこにはいた。


520 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/10(日) 13:13:00.17 ID:TP9Y4UAO

数秒の間、そしてがくりと膝を折り両手を地につく俺。

お父さん、お母さん、ごめんなさい。
俺、どうやら変態になっていまいました。

と、うつむく俺の斜め上から徐々に広がるくすくす笑い。
なんだよ。人が絶望するのに忙しいのに、うるせーな。


見上げると幼女が笑っていた。
それはあの夜とはまた違った、始めて見る笑顔だった。

一切の遠慮も隔たりもなく、ただ楽しそうに彼女は笑っていた。



その時…いや、何故かはわからないし説明しろと言われても困る。
感じてしまったものはしょうがない。とにかく俺は無意識に悟った。


ああこいつは今、はじめて俺に気を許したのだ、と。


521 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/10(日) 13:17:27.75 ID:TP9Y4UAO
「これからよろしくね、お兄さん」

彼女もまた俺と似たようなことを感知したのか、
普通は初対面の人間に用いるようなせりふを言うのだった。


と、ここで俺はちょっとしたことに気づく。
(おそらくかなり久方ぶりに)風呂に入って一通りの埃を落とし、
今目の前に立っているこの少女。


いくらそういう趣味の無い俺でも、気付かないわけにはいかなかったさ。
ああ、そうだよ。

こいつ、むちゃくちゃ可愛い。
新着レス 2008/02/10(日) 23:43
522 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/10(日) 13:35:00.33 ID:TP9Y4UAO
背中にかかった柔らかな黒髪(長髪と言うには少し短いかな)は、
見る者の角度によって大人びた茶(瞳と同じ色だ)に色を変え
さらに今はシャンプーの匂い(なんで女の子ってあんな長い間残るんだろうね)
を纏っている。

線の細い身体にぶかぶかのシャツ、それゆえ手のひらを出すのは諦めているらしく
余った袖はひらひら持て余されている。
太股まで覆い隠すゆったりとした布地、
その下からすらりと伸びる脚はほどよく健康的に白い。
それにしてもこいつ、幼女と呼ぶには少し大人びているような…
いやに低い身長は別として、これまでの
ほどほどに節操のある対応や物腰からそんな印象を受けたな。
人間でいうと十一、二歳といったところか。


心境の変化の影響とかわからんが
女というのはかくも変わるものかね。

なんか、うん、守ってやりたい。
誰もがそう思わせられる美少女が目の前にいた。


523 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/10(日) 13:43:29.39 ID:TP9Y4UAO
俺の束の間の沈黙を、この美少女は不審に思ったようだ。
俺、そんな危なげな顔してたかい。

「いや、すまん、あまりに可愛くなったから見とれてたわ」

正直に言う。
と、みるみる顔が赤くなる。
もにょもにょと言い訳のようなことを口走る。
うむ、実に微笑ましい。



さて、と一つ息をつき、俺は幼女に向き合う。

今日が終わる前に言っておかなければならないことが、一つ、あった。
「言わないわけにはいかんだろう」と、
何か知らんがその時の俺は妙な義務感にかられていたんだ。
笑うか?


524 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/10(日) 13:54:53.98 ID:TP9Y4UAO
「ちょっとした話をするぞ」

俺の雰囲気に押されたのか、彼女は黙ったままだ。

「いいか、誰が何と言おうと俺はお前をペットとは思わない。
お前は人間で、俺はお前の同居相手というわけだ」

こういう話は早く捲し立ててしまうにかぎることを、俺は知っている。
なぜって、そりゃ、自分が恥ずかしくなるからに決まってる。

「だから俺に遠慮するな。本心を隠すな。不満はちゃんと言え。
…その、なんだ、この先毎日が今日のお前のような態度の慎ましさだと
逆にこっちも疲れてしまうんだよ…
もっと気楽な関係でいようぜ。それだけ。」


…OK、言い切ったぞ、俺は。
思い返すと自分でも怯気のするような台詞だ。


また笑われるかなーなどと考えそっと目をやると、
驚いたことに幼女の目は赤みを帯びていた。
おい、おい、待て。
こんな可愛い子が泣くのは反則だろ。
動揺する俺に彼女は言う。

「じゃあ、一つ良いかな」
「お、おう。な、何でも言ってみろ!」

「さっきのカレー…もう少し食べて良い?」

予想外の言葉に呆気にとられている俺に気づき、
少し恥ずかしそうに下を向く。


「その、長い間まともに食べてなかったから、あれだけじゃ足りなくて…。」


586 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/11(月) 02:53:17.32 ID:GcbtdSE0

「…」

まだ半分寝ぼけた俺の眼は、ベッドであまりに無防備に眠る
可憐な少女をとらえていた。

「おーい……ミク」

依然すよすよと気持ちのよさそうな寝息。
とうとう強引に布団をひっぺがしてやった。
飛び上がる少女(装備:ぶかぶかTシャツ)。

「わひゃあぁっ!? 何? 何!?」
「いや…朝飯…今日お前の番…」

まだ焦点の合わない目で俺を見つめること数分、
やがてはっとしたように

「あ…!ど、どうしよう、ごめんなさい。私あの、寝坊してしまって…」

だんだん歪んでいく表情。目に溜まる涙。
つくづく感情の起伏の激しいやつめ。
それなりに見ていて面白いが、泣き顔は苦手だ。

「えっと、えっと、今すぐ何かつくるから…」
「いや、もういいよ、めんどくさいし。
 どっか食いにいこう。ミクも早く支度しろよ。」


ぴょこんとベッドを降り、顔を洗いにいく少女だった。


587 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/11(月) 03:02:03.28 ID:GcbtdSE0
休日のぽかぽか陽気の心地よい朝、俺たちは外へ出た。

駅前には行き馴染みであった喫茶店があるが
ちょっとした知り合いがバイトしているので、もう行かない。
なんとなく幼女と一緒なのを見られるのは気恥ずかしいというものだ。

とはいえ他に近隣に朝食としてふさわしいものを食わせる店に思い当たりは無く、
そのうちまだ少し眠気の残った俺の脳はこともあろうに

「電車で少し遠くへ赴き、新たな店を開拓するのも悪くない」

などと考え始めた。


588 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/11(月) 03:10:55.04 ID:GcbtdSE0
駅まで徒歩の道のり、
ミクはやたら「怒ってない?」とさきほどの失敗を気にした。

が

電車に乗ると、その興味は絶えず動く景色やら
光を反射してチラチラ動く側の魚などに移ろいだ様子で、
終始窓に張り付いているのだった。


…ところで、無計画な遠出というのは十中八九うまくいかない。

土地勘を持たざる俺はやはりというかなんというか、迷った。
適当な店を見繕って入るころには当初の予定、「朝食」は
少し早めの昼食になっていたのだった。


592 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/11(月) 03:25:36.59 ID:GcbtdSE0
幼女なるものを我が家へ迎えて、一ヶ月が経過していた。

俺たちの生活は特に大きな問題もなく、拍子抜けするほど順調だった。

当初こそ密かに食いぶちが単純に二倍になったことを案じたものの
彼女が初日のカレーほどの量を平らげることはあれ以降無く、
俺はこいつを自らのバイト代で養っていける確信を得た。


その、俺がバイトや大学で家を空ける時間、彼女は
自ら率先してつつなく家事をこなし、
それによって俺の負担はむしろ以前より減ったと言って良い。

初めて振舞われて以来心配だった彼女の料理の腕もちかごろは目を見張る急成長を遂げ、
住み込みの家政婦としてはひととおり、
合格点といえる水準には達していたのだった。


593 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/11(月) 03:41:52.26 ID:GcbtdSE0
俺が家を留守にする間、
彼女は家事ばかりしているというわけではないようで
俺が以前にバイト代で買い溜めたCDに興味を持ったようだった。

その様子を見た俺は大昔に買ってしまい込んでいたCDウォークマンのことを思い出し、
わざわざ押入れの奥から見つけ出し、彼女に与えた。
毎日家事をこなしてくれる彼女へのせめてもの感謝の気持ちであり、
彼女は思いの外、喜んでくれたようだった。


そういえば、いつだったか、俺が遅くに帰った時など、
幼女は台所に立ち手を動かしつつ、鼻歌を口ずさんでいた。
といっても、こちらが動くとその布ずれの音で聞き取れないくらい小さな声だったが、
彼女は楽しそうに歌っていた。

俺に気づくとやめてしまう気がして、
その時の俺はしばらくその場に立ち尽くし、彼女の歌声に耳を傾けた。

俺の所有するCDに違いないのだから確かにその曲は知っている気がするのだが、
いかんせん、曲名までは思い出せん。だが、なんとなく懐かしい。

そんなメロディを、彼女は優しい声でなぞった。


594 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/11(月) 03:51:06.65 ID:GcbtdSE0
うたう美少女。

頭の悪い発想で、俺はいつだったか
からかいまじりに彼女のことを「ミク」と呼んだ。

意味はわかってないにせよ彼女は意外にもその名の響きが気に入ってしまったようで、
(「それ、なんか良いね! なんかキレイな名前。好きだな。」)

呼び名に困っていたこともあり、
俺はそれ以降、彼女のことをしばしばミクと呼んだ。


…これは余談だが一度わけのわからない彼女を無視し、
例によってツインテールにしてやろうと試みたのだが
黒髪で十分な長さのないこいつのツインテールは、なんか間抜けだった。
本家には似ても似つかない。

すこし残念そうな俺に、
彼女は最後まで「???」な顔をしていたがな。


595 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/11(月) 04:01:33.36 ID:GcbtdSE0
呼び名といえば、ミクの方はあの夜はじめて会った時そのまま、
俺のことを「お兄さん」と呼ぶのだった。


…なんだね、「お兄ちゃん」なら
可愛い妹にでも呼ばれているような気分になるが、
「お兄さん」だと、俺はキャッチ勧誘のお姉さんとでも同居しているみたいじゃないか。



「お兄さん、帰り、また電車乗るんだよね!?」

…まあ好きにするが良いさ。


知らない街からとんぼ返りで帰宅したころには
時計の針は正真正銘で昼飯にふさわしいか、という時刻を指し示しており、
俺は「慣れないことはするもんじゃない」の言葉を改めて心に刻んだのだった。


休日の貴重な時間は、嘘みたいに流れるのが早いのだった。


643 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/12(火) 00:39:03.78 ID:rbq5Rbs0

さて、帰ってからのしばらくの間、ミクの言動は虚ろだった。
ついさっきまで自らの身に起きていた夢のような体験の余韻に、まだ浸っているようだ。
平和なやつだ。

かくいう俺もまた、数十分前のことを頭の中で反芻していた。
といってもこの無垢な少女のように、ただ純粋な感動を噛みしめていたわけではない。
いや、どちらかといえば他人から見れば、苦虫を噛み潰したような顔をしていたと思う。

本当なら何も起こたなかったはずの駅からの帰り道、
しかし今回に限って「何も無かった」とは言い難い出来事があった。


しかもそのことを俺は、少なくともミクにの目には「何も無かった」ように見えるよう
振舞わなければならなかったのである。


644 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/12(火) 01:00:11.52 ID:rbq5Rbs0
駅から家までの徒歩の道中、
俺とミクは来た時とは別の道を歩いていた。

その道というのは何本かの桜の木が植わっており
この辺りではちょっとした花見スポットとして有名だった。

普段俺が頻繁に家を空けるため、中々外に出る機会の持てないミクに
名残りの桜を見せてやれるかもしれないと考えたのだった。


運よく、桜は残っていた。
さすがに満開とはいかなかったが
四月の下旬にここまで残っているのは、まあ上出来と言えよう。
とはいえ花見シーズンは確実に終わりを迎えようとしているようで、目の前で
これくらいの風にしては少しオーバーだ、と言わんばかりの量の花弁がはらはらと散った。


645 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/12(火) 01:11:08.03 ID:rbq5Rbs0
ミクは初めて見る光景に目を丸くした。

「すごい…」
「本当、まるで雪みたいだ」
「雪?」
「ええと、冬になると降ってくる氷の粒、かな。それはそれで綺麗なんだぞ。」
「へえ、それもいつか見たいな……ね、もっと近くで見てきて良い?」

頷いて許可を示すと、顔を輝かせてかけてくのだった。

桜吹雪の中の美少女というのは、もう
これ以上ないっちゅーくらい絵になった。

しかしその時の俺には、その光景を心静かに見守る余裕など無かった。

ある少し前から気に掛かっている件について、無い頭を必死に働かせていた。
646 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/12(火) 01:29:48.50 ID:rbq5Rbs0
少し前に俺はミクとの生活で
「特に大きな問題は無い」と言ったよな。

別にその言葉に偽りがあったわけではないが、ただ
違和感というか何というかその、若干引っかかっていることなら少し、あった。
といっても、そんな深刻になることでもないさ。
ちょっと四六時中頭から離れない程度の症状だ。


その一つに、ミクが毎晩就寝中にうなされていることが数えられる。
彼女は小汚い夜店から家に来たあの晩だけではなく、
少なくとも俺が見ている範囲では「全ての夜」、うなされていた。
ただポロポロと涙を落とすだけ、声も上げずに泣いていたかと思うと寝返りを打ち、
「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返すのだった。


無意識であるにも関わらず、目に見えない何かに対して懸命に許しを請うその様子に
なぜか理由無く、胸を締め付けられた。


648 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/12(火) 01:54:51.07 ID:rbq5Rbs0
しかし朝起こす頃には、少女はそんなこと嘘のように
なんとも安らかに健やかな顔で寝息をたてているのだった。

起きてからも一切そんなこと気にかけた素振りは見せず、
さらに無理している様子も無いことを考えると、どうやら自分では気づいてないらしい。

まあ、「そういう性質(タチ)なのだ」と言われてしまえば
多少無理してでも納得できないことはないのだが、
常識的な感性を持つ者なら誰が見てもあの様子は異常だと思うだろう。


まるでこんな小さな身体にこの世界の全ての罪を抱え込んでいるかのように
その叫びはあまりに哀しく、いじらしく、痛ましくかった。


649 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/12(火) 02:20:43.09 ID:rbq5Rbs0
もう一つは、なにやら俺と世間一般では「幼女」という生物に対しての
認識のズレがあるように思われてならない、ということだ。


ミクが家に来てまだ間もない頃、さすがにいつまでも
着るものが俺のTシャツしか無いというのもあんまりだということで、
(本人は割と気にしてない様子で、「えー、ずっとこれで良いのに」とか抜かしていた。)
幼女限定の衣類専門店を訪れた。
うん、これは今でもやめておけばよかったとひどく後悔している。

一瞬俺は「入る店を間違えた」とさえ思った。

確かに普通の服もあるが、それは店内の三割程度で、
店内の大半を占めているのは確かにサイズは幼女のものに見える、
しかしなんとも如何わしい、際どいコスチュームだった。

人形じゃあるまいし、こんな人間に近い存在を己の性欲の捌け口程度としか考えていない
人間が存在することを間接的に目の当たりにした気がして、俺は愕然とした。


俺は半分羞恥、半分怒りというもう自分でも何やらわけがわからないような状態で
一応普通そうに見える下着や普段着一式ひっつかみ、レジを通し、
怒れる足取りで店を出た。
(ミクは俺の態度や店の雰囲気に圧倒され、かわいそうにただオロオロするばかりだった。)


そのまま一切口を開かぬまま帰宅し、
あんな店がさも当たり前というように公共の場に君臨し続けている辺り、
もう日本は終わりだと酷く絶望したのだった。


748 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/13(水) 17:01:40.88 ID:LjAMw1Y0

いよいよ俺は混乱していた。
何の知識もないままミクを迎え入れてしまった自分の浅はかさを
今さらながら、悔やんだ。

同時に、ここらで誰でもいいからある程度幼女にくわしい人間に
話を聞いてもらいたかった。
だが、ここ一ヶ月で自宅における俺の半径五メートル内には
常にミクの姿があったため、ついに今の今までそんな機会は得られていない。

…今、その彼女は目の前の桜に夢中だ。
そして目の届く範囲にいる。まさに絶好のチャンスだ。
これを逃したら次はいつになることやら定かでない。

俺は携帯電話を取り出す。
必要な番号なら前もって調べ上げ、登録してある。
小さな画面に映るその文字を選択し、機器を耳に当てがった。
なに、ミクが飽きて戻ってくるのが見えたら、適当に切り上げるだけのことだ


750 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/13(水) 17:24:47.07 ID:LjAMw1Y0

「はい、○○ペットショップです。ご用件、どうぞ。」


以前興味本位で幼女を見物し、そのくせ何も買わずに帰るという
まさに、図らずも最低な客の模範行為を演じた店だった。
確実な返答をくれる所など、ここくらいしか思い浮かばなかったからしょうがない。

だが驚くべきことに、この無愛想な声の主(おそらく店主だろう)は
確実な返答どころか一切の情報をもたらさなかった。
彼の言うところを要約すると、こうである。



幼女についての相談?
あ、何、うちで買ったものじゃないの?
じゃ悪いけど受けかねるわwwいや、正直面倒とかじゃなくてねwwww
代わりにほら、企業の番号教えてやるから、ここへでもかけてみたら?
分かったら帰ってクソして幼女愛でて寝てろ、ハゲ。



…。
いや、もっと事務的な口調ではあったが。
とにかくこの旨を伝えるや否や、この男こちらに何か言い返す間も与えず
電話を切りやがったのだ。
もうね、二分くらい、硬直してたね。
苛立ちとかとうに超越し、何かもう、惨めだった。


751 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/13(水) 17:32:13.98 ID:LjAMw1Y0

「はい、こちら、××質問対応センター。」

…ダルそうな男の声だった。
もはや良い予感など、全くもってしない。


「あの、幼女について、質問なんですが」

「はい、どーぞ。」

「夜、うなされてるんです」

「はい」

「毎晩悪夢を見るようで」

「はい」

「でも、起きるとケロっとしてます」

「はい」

「自覚は無いようで…」

「あのね、お客さん。」

遮られる。


752 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/13(水) 17:46:14.46 ID:LjAMw1Y0

「冗談のつもりなら、切りますよ?
少なくとも今ウチで取り扱ってる幼女に、夢を見る機能なんて無いです。
といっても幼女を販売している企業なんて日本で、いや世界でウチだけですから、
…なんせ我が企業オリジナルの大ヒット製品の製造法を他企業に真似されないように、
情報の漏れ出し防止に関してはガチガチに固めてありますからね…
だから、世界のどこを探しても、そんな幼女いるはずないんですよ。

わかります?つまり、その…幼女が眠るってのは、正式には違うんすよ。
パソコンとかで言う電源は切らないままでの、待機状態。うん、そうだな。
分かりやすくいうと、あんな感じです。
だから、ありえないです。何かの勘違いです…お客さんのジョークとかで無いならね。

全く、そんな人間じみた無駄な機能を備えた幼女、いるのであれば
逆にこっちがお目にかかりたい……」

「ふざけるな」


限界だった。
さっき静まった憤りが、勢いを増して再燃していた。


753 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/13(水) 18:01:49.12 ID:LjAMw1Y0

「さっきから幼女を家電か何かみたいに言いやがって。
ミクは物じゃない。人間と何一つ変わらない。生きてるんだ。
笑うし眠るし夢を見るし、歌だってうたえる。
料理だって…そりゃ、最初はへたくそだったけど、最近はちゃんと食えるものをつくる。

そうだ、あいつはなんでも頑張ろうとするんだよ。
別に俺はかまわないのに自分が居候なのを気にかけて、
いつだって俺のために少しでも役立とうと、一生懸命なんだ。

最初はうまくできないことだって、いつのまにか人並みにこなせるようになってる。
逆に人間に、その健気さを学べと言ってやりたいくらいだ。
主にあんたのような、最低限の口のきき方も知らないような輩にな。」


ここまで一気に言った。
怒りで頭が真っ白だった。

録音されて裁判に持ち込まれたら勝ち目が無いような暴言も、
勢いにまかせていくつか言った気がする。
だが知ったことか。ここまで言われて黙ってられる奴がいたら、そいつがおかしい。


786 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/14(木) 04:20:33.49 ID:On3ACIAO

しばしの沈黙。
実際はそうでもないのだろうが、やたら永く感じられる。

俺の頭もいい加減冷めつつあった。
幾ら向こうに非があるとはいえ、少し大人気ないことをした。
ここは形だけでも謝罪しておくのが賢明だろう。

「…あの」
「その話、もしかして本気ですか?」

背筋に寒気が走った。さっきとは別人のような落ち着いた声。

「…ちょっと詳しいお話お聞かせ願えます?」


反射的に電源を切った。
一方的に通話が中断される。


やばい。何かわからないが、嫌な予感がする。
俺は何をやらかした?

携帯電話は通話の終了を告げる無機質な音を発していた。


787 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/02/14(木) 04:26:11.90 ID:On3ACIAO

「お兄さん、何かあったの?顔真っ青。それに、凄い汗…」

いつの間にかミクが傍に立っていた。
心配そうな目で首をかしげ、俺を見上げる。


…それからどうやって帰ったのかを、俺はよく覚えていない。
よく働かない頭で部屋のドアを開け、大学の課題をこなし、
ミクのつくった晩飯を食べ、風呂に入った。


ソファで横になって毛布をかぶり、
いっそ起きたら今日のことを忘れていることさえ願った。



「…ごめんなさい…」
ミクの消え入るような声が聞こえ、はあと溜め息をつく。
これはあまり実行したくなかったが、
もう他に手段は無いよな…

俺は近いうちに、問題の張本人から
事情を聞き出す決意をしたのだった。


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