887 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:36:16.20 ID:i.uBY.AP
――幼女と幼男。
それは今の時代珍しくもなんともないペット。
しかし、幼女、幼男が飼われるようになって数十年が経った今でも、生体は詳しく解明されていない。
――幼女と幼男。
それは今の時代珍しくもなんともないペット。
しかし、幼女、幼男が飼われるようになって数十年が経った今でも、生体は詳しく解明されていない。
現在わかっているのは、幼女、幼男は4年~5年は人間とほとんど同じように育ち、そこから徐々に身体的成長が鈍り始め、6年~10年で成長が止まり、寿命は10年~20年程度であること。
言語は理解できるものの人間に比べ学習能力が乏しく、高度な行動は学べないということ。
そして人間より性欲が高いこと。
888 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:37:26.12 ID:i.uBY.AP
ここからは噂だが、幼女と人間の間で子供ができたことがあるらしい、その子供については一切不明。幼男と人間との間での噂はない。
また、幼女、幼男はホムンクルスやクローン人間等の実験によって偶然生み出された産物であるらしい、ということ。
888 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:37:26.12 ID:i.uBY.AP
ここからは噂だが、幼女と人間の間で子供ができたことがあるらしい、その子供については一切不明。幼男と人間との間での噂はない。
また、幼女、幼男はホムンクルスやクローン人間等の実験によって偶然生み出された産物であるらしい、ということ。
そして、それらの噂の中にも、信憑性の高いと思われるものもある。
889 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:38:54.01 ID:i.uBY.AP
それは、人間と比べ知能があまり高くないのに、ある事ができる幼女がいるということ。
そのある事は幾つかある。
889 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:38:54.01 ID:i.uBY.AP
それは、人間と比べ知能があまり高くないのに、ある事ができる幼女がいるということ。
そのある事は幾つかある。
まず、歌う事。これは本来人間にしかできない。これをやる幼女が昔話題になったそうだ。
次に、愛する事。これは単に好きになる、というのと区別しにくいかもしれないが、幼女には自己犠牲、無私の愛というものがない。
野生的な本能が自己防衛を行うらしく、他人をかばうことができないそうだ。これも巷ではかなりの噂になっている。
そして最後は――
野生的な本能が自己防衛を行うらしく、他人をかばうことができないそうだ。これも巷ではかなりの噂になっている。
そして最後は――
『夢見る幼女』
890 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:39:37.75 ID:i.uBY.AP
今、バイトが終わり、夜道を歩いている。時刻は日付が変わったばかりか。
申し遅れた。俺は佐藤泰彦。23歳のフリーターで、バイトと親の仕送りで生活している。
今はいつもやっているバイトの帰り道で、ここらは街灯も人通りも少なく、女性は夜は歩かないほうがいいだろう。
891 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:40:16.27 ID:i.uBY.AP
「おい、そこの兄ちゃん」
ふと、脇道から声をかけられた。そちらを見ると汚れた身なりの男性が座っている。
「幼女、欲しくないか? 安くしとくぜ」
どうやら、幼女の露店商のようだ。よく見ると何人か幼女が座っている。
続けて、露店商は
「兄ちゃん、幼女を飼ったことはないのか?」
「ああ」
「じゃあ尚更サービスだ、980円でどうだ?」
892 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:40:42.93 ID:i.uBY.AP
「980円……? 聞き間違いじゃないのか」
幼女というのは本来、安くても数万円はする高級なペットだ。もし中古でも1万近くはする。それをまるで特価品のように……
「間違いないぜ。 しかも全部新品だ」
「不良品じゃないんだろうな」
「ルートはともかく、質は保証するぜ」
「とりあえず見せてくれ」
見てみるだけ見て、帰ろう、そう思った。
893 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:41:09.61 ID:i.uBY.AP
まず、一人目。
見た目は長い黒髪に大きな黒い目、それを更に映えさせるような真っ白の肌。
確かに質はいいようだ、これくらいの幼女なら10万は軽く超えるだろう。
二人目。
薄く茶色がかった髪に、透き通った青い目をしている。こちらを見る目は怯えの色が伺える。
そして最後の一人。
894 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:41:35.11 ID:i.uBY.AP
「――」
最初見た瞬間、声が出なかった。
綺麗な白銀の髪に、白い肌。見た目もとても可愛らしい。
だが、オレが目を奪われたのはそんな容姿だからではない。
何も捉えてないかのような空虚を湛えた目だった。
そんな虚ろな目をした幼女は、俺に気付いているのかいないのか、じっと動かない。
895 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:42:02.10 ID:i.uBY.AP
「……この幼女は?」
俺はその幼女を指差して、露店商に聞いた。
「ん? 『コレ』か? 『コレ』はあまりお勧めできないぜ」
「……いいから教えてくれ」
「そんな怖い顔しなさんなって……『コレ』は、オレの手元にくる前からずっとこんな感じで、何を考えてるかわかりゃしねぇ。 ナニしようと抵抗もしないかもな」
そう言って下品に笑った。
896 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:43:02.72 ID:i.uBY.AP
「この幼女を買おう」
「話聞いてたのかよ兄ちゃん」
そう言ってこちらを見てくる。
「……まあ、せいぜい楽しんでくれや。 幼女一匹980円(税)だぜ」
そう言い、手を出してきた。
「ほらよ」
税も糞もないだろうに、と思いながら、露店商に980円を渡す。
「へへっ、まいど」
897 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:43:53.48 ID:i.uBY.AP
「『コレ』はもう兄ちゃんのモノだ。 返品は受け付けないぜ」
そう言い、俺にこの幼女を渡した。
「じゃあな」
露店商はそう言い放つと、路地の奥へと消えていった。
「……」
幼女はようやく俺の存在に気付いたのか、こちらを見上げている。
898 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:44:28.60 ID:i.uBY.AP
「よし、帰るか」
そう言うと、幼女の目に初めて感情が宿った。
「帰、る……?」
「ああ、そうだ。 これから一緒に暮らすんだからな」
「じゃあ……あなたが次のご主人様……ですか?」
若干恐怖の色を浮かべ、俺に必要以上に丁寧に聞く。
昔飼われていたのか……? そう思いつつ、
「ああ、そうだ。 だけど、ご主人様なんて呼ばなくていいし、敬語も必要ない」
「へ、ぁ……すいません」
「いいって、とりあえず家に帰ろう」
899 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:44:48.65 ID:i.uBY.AP
住んでいるアパートに着いた。ここの大家さんは昔結構苦労したらしく、フリーター、浪人限定で格安の家賃で部屋を提供してくれている。
「お邪魔します……」
「それは変だろ……」
「ふぇ?」
また顔が少し恐怖で歪む。
「ここはお前の家なんだから、もっと相応しい言葉があるだろ?」
「ごめんなさい……」
「そうじゃなくて」
「た、ただいま……?」
「うん、おかえり」
900 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:45:17.47 ID:i.uBY.AP
「うぅ……」
幼女がいきなり顔をぐちゃぐちゃにして泣き出した。
「ど、どうした!?」
いきなりすぎてテンパる俺。
「えぐ……ち、違うんです……ひくっ……」
「な、何が?」
「う、うれ、しくて……」
「へ?」
「おかえりって……ただいまって、言って……くれたことが、」
「……」
「今まで、そんなこと……無かったから……嬉しくて、」
901 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:46:03.59 ID:i.uBY.AP
「……」ギュッ
オレは無言で幼女を抱きしめた。
「ふぇ?」
「もう何も心配いらないから、今は……好きなだけ泣いていいよ」
「あ、ありがとう……ございます……うぅ、」
そうして大きな声をあげて泣き始めた。
902 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:46:19.68 ID:i.uBY.AP
――30分後。
「……落ち着いたか?」
「はい」
「……名前、どうしようか?」
「ご主人様が決めて下さい」
「そうだな……シロ、なんてどうだ」
我ながら安直だとは思うが……正直とっさに思いつかなかった。
「シロ……ですか」
「ああ。 見た目もそうだが、中身も何も染まっていない、何色にも染まれる、ってことでな」
「シロ……いいですね、気に入りました」
「よかった。 それとオレのことは『ご主人様』じゃなくて泰彦と呼んでくれ」
「泰彦……さん?」
「そうだ」
「わかりました、これからお世話になります、泰彦さん」
「ああ、こちらこそよろしくな」
890 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:39:37.75 ID:i.uBY.AP
今、バイトが終わり、夜道を歩いている。時刻は日付が変わったばかりか。
申し遅れた。俺は佐藤泰彦。23歳のフリーターで、バイトと親の仕送りで生活している。
今はいつもやっているバイトの帰り道で、ここらは街灯も人通りも少なく、女性は夜は歩かないほうがいいだろう。
891 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:40:16.27 ID:i.uBY.AP
「おい、そこの兄ちゃん」
ふと、脇道から声をかけられた。そちらを見ると汚れた身なりの男性が座っている。
「幼女、欲しくないか? 安くしとくぜ」
どうやら、幼女の露店商のようだ。よく見ると何人か幼女が座っている。
続けて、露店商は
「兄ちゃん、幼女を飼ったことはないのか?」
「ああ」
「じゃあ尚更サービスだ、980円でどうだ?」
892 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:40:42.93 ID:i.uBY.AP
「980円……? 聞き間違いじゃないのか」
幼女というのは本来、安くても数万円はする高級なペットだ。もし中古でも1万近くはする。それをまるで特価品のように……
「間違いないぜ。 しかも全部新品だ」
「不良品じゃないんだろうな」
「ルートはともかく、質は保証するぜ」
「とりあえず見せてくれ」
見てみるだけ見て、帰ろう、そう思った。
893 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:41:09.61 ID:i.uBY.AP
まず、一人目。
見た目は長い黒髪に大きな黒い目、それを更に映えさせるような真っ白の肌。
確かに質はいいようだ、これくらいの幼女なら10万は軽く超えるだろう。
二人目。
薄く茶色がかった髪に、透き通った青い目をしている。こちらを見る目は怯えの色が伺える。
そして最後の一人。
894 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:41:35.11 ID:i.uBY.AP
「――」
最初見た瞬間、声が出なかった。
綺麗な白銀の髪に、白い肌。見た目もとても可愛らしい。
だが、オレが目を奪われたのはそんな容姿だからではない。
何も捉えてないかのような空虚を湛えた目だった。
そんな虚ろな目をした幼女は、俺に気付いているのかいないのか、じっと動かない。
895 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:42:02.10 ID:i.uBY.AP
「……この幼女は?」
俺はその幼女を指差して、露店商に聞いた。
「ん? 『コレ』か? 『コレ』はあまりお勧めできないぜ」
「……いいから教えてくれ」
「そんな怖い顔しなさんなって……『コレ』は、オレの手元にくる前からずっとこんな感じで、何を考えてるかわかりゃしねぇ。 ナニしようと抵抗もしないかもな」
そう言って下品に笑った。
896 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:43:02.72 ID:i.uBY.AP
「この幼女を買おう」
「話聞いてたのかよ兄ちゃん」
そう言ってこちらを見てくる。
「……まあ、せいぜい楽しんでくれや。 幼女一匹980円(税)だぜ」
そう言い、手を出してきた。
「ほらよ」
税も糞もないだろうに、と思いながら、露店商に980円を渡す。
「へへっ、まいど」
897 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:43:53.48 ID:i.uBY.AP
「『コレ』はもう兄ちゃんのモノだ。 返品は受け付けないぜ」
そう言い、俺にこの幼女を渡した。
「じゃあな」
露店商はそう言い放つと、路地の奥へと消えていった。
「……」
幼女はようやく俺の存在に気付いたのか、こちらを見上げている。
898 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:44:28.60 ID:i.uBY.AP
「よし、帰るか」
そう言うと、幼女の目に初めて感情が宿った。
「帰、る……?」
「ああ、そうだ。 これから一緒に暮らすんだからな」
「じゃあ……あなたが次のご主人様……ですか?」
若干恐怖の色を浮かべ、俺に必要以上に丁寧に聞く。
昔飼われていたのか……? そう思いつつ、
「ああ、そうだ。 だけど、ご主人様なんて呼ばなくていいし、敬語も必要ない」
「へ、ぁ……すいません」
「いいって、とりあえず家に帰ろう」
899 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:44:48.65 ID:i.uBY.AP
住んでいるアパートに着いた。ここの大家さんは昔結構苦労したらしく、フリーター、浪人限定で格安の家賃で部屋を提供してくれている。
「お邪魔します……」
「それは変だろ……」
「ふぇ?」
また顔が少し恐怖で歪む。
「ここはお前の家なんだから、もっと相応しい言葉があるだろ?」
「ごめんなさい……」
「そうじゃなくて」
「た、ただいま……?」
「うん、おかえり」
900 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:45:17.47 ID:i.uBY.AP
「うぅ……」
幼女がいきなり顔をぐちゃぐちゃにして泣き出した。
「ど、どうした!?」
いきなりすぎてテンパる俺。
「えぐ……ち、違うんです……ひくっ……」
「な、何が?」
「う、うれ、しくて……」
「へ?」
「おかえりって……ただいまって、言って……くれたことが、」
「……」
「今まで、そんなこと……無かったから……嬉しくて、」
901 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:46:03.59 ID:i.uBY.AP
「……」ギュッ
オレは無言で幼女を抱きしめた。
「ふぇ?」
「もう何も心配いらないから、今は……好きなだけ泣いていいよ」
「あ、ありがとう……ございます……うぅ、」
そうして大きな声をあげて泣き始めた。
902 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [saga] 投稿日: 2008/10/28(火) 19:46:19.68 ID:i.uBY.AP
――30分後。
「……落ち着いたか?」
「はい」
「……名前、どうしようか?」
「ご主人様が決めて下さい」
「そうだな……シロ、なんてどうだ」
我ながら安直だとは思うが……正直とっさに思いつかなかった。
「シロ……ですか」
「ああ。 見た目もそうだが、中身も何も染まっていない、何色にも染まれる、ってことでな」
「シロ……いいですね、気に入りました」
「よかった。 それとオレのことは『ご主人様』じゃなくて泰彦と呼んでくれ」
「泰彦……さん?」
「そうだ」
「わかりました、これからお世話になります、泰彦さん」
「ああ、こちらこそよろしくな」