898 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/14(水) 20:24:27.35 ID:OEsusq.0
「よぉ。兄ちゃん……幼女買わないか?」
仕事が終わり帰路についていた僕は、不意にそう声掛けられた。
人気の無い道で、開かれていた露店。売り物は幼女。
人気の無い道で、開かれていた露店。売り物は幼女。
「コイツが、最後の一匹なんだが……欠損が有って誰も買いやしねぇ」
買うとも言っていないのにその露天商は、面倒臭げに立ち止まった僕に話す。
「他の幼女は、結構な値段……まぁ、幼女ショップで売ってるのよりは安い値段だが売れた」
だけど、コイツはうれねぇ。と、露天商の男は視線だけを幼女が入っているダンボールの箱にやり言う。
「で、だ。兄ちゃん。この幼女買わねぇか? 今日一日中やってて売れ残った幼女だ。
値段も、兄ちゃんの懐を痛めない980円税込みだ。なぁに元ではタダなんだ……っと、コレは聞かなかった事にしてくれ」
値段も、兄ちゃんの懐を痛めない980円税込みだ。なぁに元ではタダなんだ……っと、コレは聞かなかった事にしてくれ」
で、どうする? 兄ちゃん。と、男はやる気のない声でそう尋ねる。
幼女に興味が無いと言えば嘘になる。僕が生まれた時から幼女と言う存在は居た。
まだ小学生の頃、隣の家に幼女が居た。その幼女は、今も隣の家に居るのだろうか?
向かいのおばあさんの家にも居た。おじいさんと二人でその幼女は、孫の様に扱われていた。
あのおばあさんとおじいさんは、もう亡くなっている。孫の様に扱われていた幼女はどうしたのだろうか?
閑話休題。
気がつけば自分は、財布の中から千円札を取り出し露天商の男に手渡していた。
幼女に興味が無いと言えば嘘になる。僕が生まれた時から幼女と言う存在は居た。
まだ小学生の頃、隣の家に幼女が居た。その幼女は、今も隣の家に居るのだろうか?
向かいのおばあさんの家にも居た。おじいさんと二人でその幼女は、孫の様に扱われていた。
あのおばあさんとおじいさんは、もう亡くなっている。孫の様に扱われていた幼女はどうしたのだろうか?
閑話休題。
気がつけば自分は、財布の中から千円札を取り出し露天商の男に手渡していた。
「おい。欠損。お前のご主人様が決まったぞ」
と、露天商の男はダンボールから幼女をやや乱暴に抱き上げてそう声を掛けた。
欠損。それは、左目が暗い空洞なのとそれに合せたかのように顔の左側全部が、焼け爛れた様な痕。
その欠損を持つ幼女は、ジッと僕を見る。
残った右目は、冷たい藍色。それに反して髪の色は燃える様な紅蓮。
欠損。それは、左目が暗い空洞なのとそれに合せたかのように顔の左側全部が、焼け爛れた様な痕。
その欠損を持つ幼女は、ジッと僕を見る。
残った右目は、冷たい藍色。それに反して髪の色は燃える様な紅蓮。
「じゃぁな。兄ちゃん。まぁもう会う事はねぇとおもうが」
強引に僕にその幼女を渡すと露天商の男は、ダンボールの箱を踏み潰しその場を去っていった。
後に残されたのは、僕と幼女。とりあえず、僕はその幼女の手をとって改めて帰路に着いたのだった。
899 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/14(水) 20:24:52.85 ID:OEsusq.0
自宅にたどり着き僕がした事といえば、素っ裸の幼女に服を着せる事だった。
幼女は、全裸がデフォルトとして取り扱われているが……正直目のやり場に困るからだ。
とりあえず、幼女用の衣服なんてある訳も無いので、幼女には大きすぎるが己のワイシャツを着せて安堵。
後に残されたのは、僕と幼女。とりあえず、僕はその幼女の手をとって改めて帰路に着いたのだった。
899 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/14(水) 20:24:52.85 ID:OEsusq.0
自宅にたどり着き僕がした事といえば、素っ裸の幼女に服を着せる事だった。
幼女は、全裸がデフォルトとして取り扱われているが……正直目のやり場に困るからだ。
とりあえず、幼女用の衣服なんてある訳も無いので、幼女には大きすぎるが己のワイシャツを着せて安堵。
「君の名前は、なんなのかな?」
名前。そう名前。名前が無ければどう呼べばいいかわからない。
大抵の人は、幼女の後につく№で呼んでいる事は知っているが………
まぁ、これから一緒に過ごすのだから№とは別の呼称ぐらい有ってもいいんじゃない? と、言う考えだ。
別に、№で幼女を呼んでいる人を否定する訳では無い。
大抵の人は、幼女の後につく№で呼んでいる事は知っているが………
まぁ、これから一緒に過ごすのだから№とは別の呼称ぐらい有ってもいいんじゃない? と、言う考えだ。
別に、№で幼女を呼んでいる人を否定する訳では無い。
「……№ハ無イ……終ワッタ私達ハ、№ガ無クナル。元々ノ№ハ有ッタガ、忘レタ」
つまり、名前の無い名無しという訳か。と、顎に手を添えて唸る。
「じゃぁ、僕が勝手に君の名前を決めてもいいかい?」
「……元々、ソウ言ウ呼称ハ、御主人タル。貴方ガ、決メル事」
「……元々、ソウ言ウ呼称ハ、御主人タル。貴方ガ、決メル事」
まぁ、そうなんだけどさ……何か、希望みたいなの有るんじゃないかと思って聞いたのだけど……
と、口には出さず。その代わり溜め息を一つ着いた。
と、口には出さず。その代わり溜め息を一つ着いた。
「フランベルジュ。ミス・フランベルジュ。それが、君の名前でいいかい?」
燃える様な紅蓮の髪を見た後で、その幼女――ミス・フランベルジュ――の目を見て言う。
脳裏に、何その中二病。と、良くわからない声が聞こえた気がしたが無視した。
脳裏に、何その中二病。と、良くわからない声が聞こえた気がしたが無視した。
「了解………」
「………」
「………」
「………」
「………」
短い言葉の後は、無言と言う名の静寂。空気が何処か重く感じられた。
924 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/16(金) 23:03:56.74 ID:OKwMxtQ0
899 続き
ミス・フランを飼うに当って色々と問題が出てきた。
まず、僕自身、幼女と言う存在の飼い方を知らない。
幼女・幼男用の食べ物自体が無い。
そして、時間的に、何処のペットショップももう閉店していると言う事。
幼男を飼っている幼馴染で腐れ縁の女に連絡を取ろうにも、電話番号とメールアドレスを紛失。
紛失した原因は、携帯電話を一度川に落とし新しいのに変えてから一切連絡を取ってなかったから。
自業自得とは、まさにこう言う事を言うんだろう。と、項垂れる僕。
が、渡りに船と言うのはこう言う事を言うのだろう。
その女が、夜中に僕の家に訪ねてきた。ご丁寧に、顔を見せた瞬間軽くボディに女の拳がめり込む。
まず、僕自身、幼女と言う存在の飼い方を知らない。
幼女・幼男用の食べ物自体が無い。
そして、時間的に、何処のペットショップももう閉店していると言う事。
幼男を飼っている幼馴染で腐れ縁の女に連絡を取ろうにも、電話番号とメールアドレスを紛失。
紛失した原因は、携帯電話を一度川に落とし新しいのに変えてから一切連絡を取ってなかったから。
自業自得とは、まさにこう言う事を言うんだろう。と、項垂れる僕。
が、渡りに船と言うのはこう言う事を言うのだろう。
その女が、夜中に僕の家に訪ねてきた。ご丁寧に、顔を見せた瞬間軽くボディに女の拳がめり込む。
情けない声を出して倒れる僕。そんな僕を見て笑う女。
相変わらず無表情で喋りもしないミス・フラン。女の後ろには、執事服なんて着た幼男のシゼル君。
倒れる僕を尻目に、女はズカズカと遠慮の欠片も無いと言う感じに、家の中にズンズン入ってゆく。
いつの間にか、女の両脇にはシゼル君とミス・フランが抱きかかえられていて……
玄関に残されたのは、僕一人という訳だ。
しばらく、玄関で倒れたままジッとしていると、リビングから女の大声が耳に入る。
相変わらず無表情で喋りもしないミス・フラン。女の後ろには、執事服なんて着た幼男のシゼル君。
倒れる僕を尻目に、女はズカズカと遠慮の欠片も無いと言う感じに、家の中にズンズン入ってゆく。
いつの間にか、女の両脇にはシゼル君とミス・フランが抱きかかえられていて……
玄関に残されたのは、僕一人という訳だ。
しばらく、玄関で倒れたままジッとしていると、リビングから女の大声が耳に入る。
「男ぉ!! さっさと来ないと、ご近所にある事無い事を大声で話すぞ!!」
それは、困る。と、僕は何とか立ち上がりリビングに向かう。
正直、女の拳は、非常にダメージが高い。その細い体の何処からそんな力が出てくるのか……と、
幼少の頃から疑問に思っていた事を思い出す。が、解決には至らないので直ぐに考えるのを止めた。
925 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/16(金) 23:04:33.59 ID:OKwMxtQ0
「さて、四ヶ月も連絡なかった事に関しては、大体察知が着くから置いておくとして……
とうとう、幼女を飼う事にしたのか? 男」
正直、女の拳は、非常にダメージが高い。その細い体の何処からそんな力が出てくるのか……と、
幼少の頃から疑問に思っていた事を思い出す。が、解決には至らないので直ぐに考えるのを止めた。
925 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/16(金) 23:04:33.59 ID:OKwMxtQ0
「さて、四ヶ月も連絡なかった事に関しては、大体察知が着くから置いておくとして……
とうとう、幼女を飼う事にしたのか? 男」
リビングに入るや否や、既に椅子に座り、テーブルには店屋物の惣菜やら丼モノやらが広げられていた。
それを広げたであろう女の膝の上には、シゼル君が座らせられていた。
そんな様子のテーブルの上を見つつ、女と対面する形で椅子に座り――ミス・フランの左隣で――溜め息を一つ着いた後で答える。
それを広げたであろう女の膝の上には、シゼル君が座らせられていた。
そんな様子のテーブルの上を見つつ、女と対面する形で椅子に座り――ミス・フランの左隣で――溜め息を一つ着いた後で答える。
「成り行き……って感じだよ」
「ふーん……まぁ、良いが。それにしても、色のねぇ幼女なんて珍しいな」
「色?」
「感情だよ。感情。人間に近い存在の幼女・幼男ってのは感情ってのがある。まぁ、詳しい理論はしらねぇけどな」
「ふーん……まぁ、良いが。それにしても、色のねぇ幼女なんて珍しいな」
「色?」
「感情だよ。感情。人間に近い存在の幼女・幼男ってのは感情ってのがある。まぁ、詳しい理論はしらねぇけどな」
シゼル。其処のネギトロ取ってくれ。と、シゼル君の頭をなでながらにそう言う女。
「欠損も抱えてて、色もねぇ。幼女・幼男の用途を考えるとありえねぇな」
「用途って……嫌な言い方しないでよ」
「悪かったな。私は、こんな物言いしか出来ねぇの知ってんだろ?」
「まぁ、わかってるけど。ソレより、僕は幼女の育て方とか知らないんだ。教えて欲しい」
「簡単に言うと、人間とそうかわらねぇ。食べるモンも一応専用のフードがあるが……週一で食べさせりゃ良い」
「用途って……嫌な言い方しないでよ」
「悪かったな。私は、こんな物言いしか出来ねぇの知ってんだろ?」
「まぁ、わかってるけど。ソレより、僕は幼女の育て方とか知らないんだ。教えて欲しい」
「簡単に言うと、人間とそうかわらねぇ。食べるモンも一応専用のフードがあるが……週一で食べさせりゃ良い」
週一で専用のフードを食べさせる理由は、フードに入っている幼女・幼男だけが感染する病気やらの予防剤等が入っているからで、
ちょうど、その効力が一週間だからだ。と、女はネギトロを食べながらに話してくれる。
926 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/16(金) 23:05:08.52 ID:OKwMxtQ0
「あと、あまり馬鹿な扱いをしていると……壊れるか、壊されるだ」
ちょうど、その効力が一週間だからだ。と、女はネギトロを食べながらに話してくれる。
926 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/16(金) 23:05:08.52 ID:OKwMxtQ0
「あと、あまり馬鹿な扱いをしていると……壊れるか、壊されるだ」
まぁ、大抵が壊れるんだけどな。と、女は苦笑しながらに言う。一瞬だか、寂しげな表情が女の顔に浮かんだ気がした。
「とりあえずだ。私の話は後でじっくり聞かせてやる。お前の幼女にメシ食わせてやれ」
元々、お前の家で飲み会しようと思って買ってきたモンだから、遠慮はいらねぇ。と、シゼル君の口にタラコスパゲティーを
やや強引に入れ、頭をガシガシとなでながらに言う女。
今の今まで、忘れてたと言えば凄まじく薄情なのだが……実際、忘れていたのだからしょうがない。と、僕はミス・フランを見る。
ミス・フランは、ジッとテーブルを眺めているだけ、テーブルの上の食べ物に手を伸ばそうとしない。
やや強引に入れ、頭をガシガシとなでながらに言う女。
今の今まで、忘れてたと言えば凄まじく薄情なのだが……実際、忘れていたのだからしょうがない。と、僕はミス・フランを見る。
ミス・フランは、ジッとテーブルを眺めているだけ、テーブルの上の食べ物に手を伸ばそうとしない。
「ミス・フラン。どれか食べたい物はあるかい?」
「…………」
「ミス・フラン?」
「…………」
「ミス・フラン?」
相変わらず、無表情で返事も無い。名前を尋ねた時から早数時間過ぎているが、それ以外に声を聞いた記憶が無い。
「男。ソイツは、色がねぇんだ。下手したら情報もねぇ状態だ。どれが食べたい? なんて、聞かれてわかるか?」
一切の記憶と感情を失ったヤツに、物事を選ばせるなんて無理な話だろうが。と、女はそう言っている様だ。
とりあえず、僕はオニギリを手に取り、ミス・フランに直に手渡す。
受け取ったオニギリを、ジッと見た後何処か困った様に僕を見る。
927 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/16(金) 23:05:30.11 ID:OKwMxtQ0
「…………」
「……えっと。食べていいんだよ?」
「……………把握シタ」
とりあえず、僕はオニギリを手に取り、ミス・フランに直に手渡す。
受け取ったオニギリを、ジッと見た後何処か困った様に僕を見る。
927 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/16(金) 23:05:30.11 ID:OKwMxtQ0
「…………」
「……えっと。食べていいんだよ?」
「……………把握シタ」
僕の言葉に、暫くの間が空いた後で、そう答えた。
しかし、一向に動く気配の無くジッと、テーブルの向こう。女とシゼル君を見ている。
それに釣られて、僕の視線も女とシゼル君の方に向かう。
其処には、女が居た。いや、それは当たり前なのだが……既に酔っ払って出来上がった女が居た。
そして思い出す。女は酔っ払いやすい体質だったと……早速酔っ払った女にシゼル君が餌食になっている。
しかし、一向に動く気配の無くジッと、テーブルの向こう。女とシゼル君を見ている。
それに釣られて、僕の視線も女とシゼル君の方に向かう。
其処には、女が居た。いや、それは当たり前なのだが……既に酔っ払って出来上がった女が居た。
そして思い出す。女は酔っ払いやすい体質だったと……早速酔っ払った女にシゼル君が餌食になっている。
「………食ベラレテル」
「違う。意味が違うからね? ミス・フラン」
「違う。意味が違うからね? ミス・フラン」
僕は、ミス・フランの呟きを刹那の速さで否定するのだった。
936 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:15:07.60 ID:iKLLkzg0
927
ミス・フランとの生活は、今までの生活をするのとなんら変わりはなかった。
手のかかる妹を得たみたいな錯覚を覚えたりもする。
何せ、ミス・フランは自分から何かをすると言う事が出来ないでいるのだから。
感情が無いと言う事は、物事に興味を覚える事が無いと言う事。
つまり、アレは何で、どうやって使うのか? たったそれだけの簡単な物事を覚えていない。
フォークを渡しても、フォークをどうやって使うのかを教えなければ使えない。
手のかかる妹と言うよりも、物静かな赤ん坊を育てていると言う方が正確なのかもしれない。
手のかかる妹を得たみたいな錯覚を覚えたりもする。
何せ、ミス・フランは自分から何かをすると言う事が出来ないでいるのだから。
感情が無いと言う事は、物事に興味を覚える事が無いと言う事。
つまり、アレは何で、どうやって使うのか? たったそれだけの簡単な物事を覚えていない。
フォークを渡しても、フォークをどうやって使うのかを教えなければ使えない。
手のかかる妹と言うよりも、物静かな赤ん坊を育てていると言う方が正確なのかもしれない。
そして、ミス・フランと生活する様になってからなのか、女が良く遊びに来る。
正確には、酒盛りしに来る。無論、シゼル君も連れてだ。
シゼル君といえば、幼男なのだが、幼女であるミス・フランに対して生殖行為を行おうとしない。
とある時、そんな事が気になって尋ねてみると……
正確には、酒盛りしに来る。無論、シゼル君も連れてだ。
シゼル君といえば、幼男なのだが、幼女であるミス・フランに対して生殖行為を行おうとしない。
とある時、そんな事が気になって尋ねてみると……
「祥子さんに拾われた時、頭部に怪我を負っていました。多分その為だと思います」
つまり、頭部に怪我を負ったことにより、生殖行為をする意欲というか性欲がなくなってしまったと言う事だ。
閑話休題。
閑話休題。
もう一つ。ミス・フランと生活して数十日経過した頃から、ジッと見られる様な視線を感じる様になった。
気になって周囲を見渡すのだが、その視線の主は何処にも居ない。最初は、気のせいか? と思っていたのだが
どうやら、気のせいではなさそうなのだ……四六時中感じる視線。
ミス・フランと外に出た時なんぞ、敵意と好奇心と……どす黒い視線を感じるのだから。
その事を、遊びに来た女に話すと、女は珍しく酒を飲まずに何かを考える様に腕を組んで眉を顰める。
そして、ミス・フランを見た後で「わからん」と、溜め息を着いた。
ミス・フランは、保健所で処理を待つばかりの幼女の中から偶然出れたはずで、
その無料の幼女を、何処の誰だか知らないおっさんが、九百八十円税込みと言う安値で売っていた訳だ。
そんな視線を感じる要因になるとは、思えん。と言うのが女の見解だ。
937 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:15:32.02 ID:iKLLkzg0
しかし、ソレが『嘘』ならば話は違ってくるがな。と、女はシゼル君を抱きしめながらに言う。
はっきり言って、ミス・フランの過去は不明だ。あの時、ミス・フランを売っていた男性ならば知っている。かもしれない。
結局は、ワカラナイ。それが正解。
案外、過去には問題がなく。今になって何かが動いているのか? なんて思ったりもしたが……
そんな事考えても結局は、判らないので溜め息をつくだけで終わったのだった。
気になって周囲を見渡すのだが、その視線の主は何処にも居ない。最初は、気のせいか? と思っていたのだが
どうやら、気のせいではなさそうなのだ……四六時中感じる視線。
ミス・フランと外に出た時なんぞ、敵意と好奇心と……どす黒い視線を感じるのだから。
その事を、遊びに来た女に話すと、女は珍しく酒を飲まずに何かを考える様に腕を組んで眉を顰める。
そして、ミス・フランを見た後で「わからん」と、溜め息を着いた。
ミス・フランは、保健所で処理を待つばかりの幼女の中から偶然出れたはずで、
その無料の幼女を、何処の誰だか知らないおっさんが、九百八十円税込みと言う安値で売っていた訳だ。
そんな視線を感じる要因になるとは、思えん。と言うのが女の見解だ。
937 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:15:32.02 ID:iKLLkzg0
しかし、ソレが『嘘』ならば話は違ってくるがな。と、女はシゼル君を抱きしめながらに言う。
はっきり言って、ミス・フランの過去は不明だ。あの時、ミス・フランを売っていた男性ならば知っている。かもしれない。
結局は、ワカラナイ。それが正解。
案外、過去には問題がなく。今になって何かが動いているのか? なんて思ったりもしたが……
そんな事考えても結局は、判らないので溜め息をつくだけで終わったのだった。
そして、とある日。夏になりかけの季節に、僕はその男と出会い……
蝉の声が、まだ小さく暑さもそんなに辛くは無い時期。
僕は、休日を利用してミス・フランと共に近くの公園まで散歩に行った。
もっぱら、僕が喋りミス・フランは何時もの様に無表情で無言。
歩いて数十分もせずに公園に着く。公園内と言えば、賑やかに遊ぶ子ども達と幼女・幼男達。
僕は、ベンチに座りミス・フランも同じ様にベンチに座った。
ミス・フランが、自発的に遊ぶと言う事柄を行う事は無い。
時折、誰かに飼われている幼女に「遊ばないの?」と、声を掛けられたりはするが……
僕は、休日を利用してミス・フランと共に近くの公園まで散歩に行った。
もっぱら、僕が喋りミス・フランは何時もの様に無表情で無言。
歩いて数十分もせずに公園に着く。公園内と言えば、賑やかに遊ぶ子ども達と幼女・幼男達。
僕は、ベンチに座りミス・フランも同じ様にベンチに座った。
ミス・フランが、自発的に遊ぶと言う事柄を行う事は無い。
時折、誰かに飼われている幼女に「遊ばないの?」と、声を掛けられたりはするが……
「ミス・フランはね。ちょっと遊べないんだ。ごめんね」
と、何時も僕がその幼女に断りを入れる。話しかけてくる幼女だけならまだいいが……
躾の悪い幼女や幼男になると、ミス・フランの顔を見て「気持悪い」だのと言ってくる。
言ってくるだけなので実害は、ほとんど無い。
でも、今回は違った。何時ものソレを崩す存在が現れた。
躾の悪い幼女や幼男になると、ミス・フランの顔を見て「気持悪い」だのと言ってくる。
言ってくるだけなので実害は、ほとんど無い。
でも、今回は違った。何時ものソレを崩す存在が現れた。
「君。その幼女の飼い主か?」
肌は色白で、メガネをかけていて何処か、怪しげな雰囲気を持つ男が、僕に声をかけてきた。
僕が、返事をする事もなく……その男は、ミス・フランをジロジロ見る。
938 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:16:00.28 ID:iKLLkzg0
「君。その幼女を私に譲ってくれないか?」
僕が、返事をする事もなく……その男は、ミス・フランをジロジロ見る。
938 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:16:00.28 ID:iKLLkzg0
「君。その幼女を私に譲ってくれないか?」
行き成りの言葉に、僕ははい? と、間の抜けた声を漏らしてしまう。
見ず知らずの人物に、行き成りな提案を受けたら誰だってそうなってしまうはずだ。
それに内容が「ミス・フランを譲ってくれ」と来たものだ。
見ず知らずの人物に、行き成りな提案を受けたら誰だってそうなってしまうはずだ。
それに内容が「ミス・フランを譲ってくれ」と来たものだ。
「無論、ただとは言わない。一千万だそう。いや、それ以上だしてもいい」
男は、ニヤリと笑みを浮かべ……僕を見下す様に言う。
そして、気付く。ミス・フランを見る目が……『オモチャを見つけた子どもの目』だと言う事に……
小さい頃にいじめと言う事柄を経験した事がある僕は、久しく思い出したその気持の悪い目に、鳥肌が立った。
そして、気付く。ミス・フランを見る目が……『オモチャを見つけた子どもの目』だと言う事に……
小さい頃にいじめと言う事柄を経験した事がある僕は、久しく思い出したその気持の悪い目に、鳥肌が立った。
「お断りします」
それは、当たり前の答え。
「何故だ? その幼女は欠損品だ。破格の値だと思うんだが?」
男の言葉に、僕は何も答えずに男を睨む事で答える。
僕の目線に、男は小さな嘲笑を浮かべた後で、気持の悪い笑みを浮かべた。
僕の目線に、男は小さな嘲笑を浮かべた後で、気持の悪い笑みを浮かべた。
「君の言い値を払う。どうだ? そんな欠損品よりも遥かに上等な■■が購入できる」
この男は、なんと言った? 今、はっきりと。はっきりとなんといった?
鳥肌じゃない。ゾワリと粟立つ感覚。
鳥肌じゃない。ゾワリと粟立つ感覚。
「……ミス・フランをどうするつもりです?」
冷静に、そして怒りは静かに……そう、自分に言い聞かせながら男に問う。
939 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:16:43.60 ID:iKLLkzg0
「そんな事を聞いてどうする?」
「……もしかしたら、譲渡するかもしれない。って事ですよ。飼い主として気になるじゃないですか」
939 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:16:43.60 ID:iKLLkzg0
「そんな事を聞いてどうする?」
「……もしかしたら、譲渡するかもしれない。って事ですよ。飼い主として気になるじゃないですか」
正確には違う。譲渡する気持は一切無い。この男の視線が、何時も感じるあの視線と一緒だから。
そう、ミス・フランをつれて出かけた時に感じるどす黒い視線と一緒なのだ。
そう、ミス・フランをつれて出かけた時に感じるどす黒い視線と一緒なのだ。
「君とその幼女がこの公園に来る事は、前々から観測していた。つまり、その幼女の髪の毛やらのデータが落ちて居やすい。
ふとした興味から、その幼女のデータを解析したところ……不可思議な事がわかってね……」
「……ここ数日間から感じていた不愉快な視線は、アンタか」
「まぁ、いいじゃないか。その迷惑料とその幼女の代金を君の言い値で支払おうじゃないか?
一千万? 一億? 十億?」
ふとした興味から、その幼女のデータを解析したところ……不可思議な事がわかってね……」
「……ここ数日間から感じていた不愉快な視線は、アンタか」
「まぁ、いいじゃないか。その迷惑料とその幼女の代金を君の言い値で支払おうじゃないか?
一千万? 一億? 十億?」
ブチブチブチと、頭の中で何かが切れる音がする。
僕は、無言で立ち上がり……ミス・フランを抱きかかえ、改めて男を見る。
僕は、無言で立ち上がり……ミス・フランを抱きかかえ、改めて男を見る。
「ミス・フランをクソッタレなアンタに触れさせる事も渡す事も絶対にしない。
僕らを観察していた事に関しては、今回だけ不問にする……もう二度とくんな」
僕らを観察していた事に関しては、今回だけ不問にする……もう二度とくんな」
その男を尻目にさっさと、僕とミス・フランは自宅に戻る事にした。
帰路の最中、僕は非常に苛立ちを隠せなかった。
たった数十日しか共に過ごしていなくとも、ミス・フランはもう既に家族だ。
家族をあんな目で見られて■■とまで言われ、何に使うかははっきりとではないが把握できた。
抱きかかえていたミス・フランを見る。ミス・フランは相変わらず無表情だ。
何故か、その無表情に救われた気がし……ミス・フランが後ろを見て不意に目を見開いた。
鈍い衝撃。傾く体。鈍い音と共に倒れた僕。酷い鈍痛が………
帰路の最中、僕は非常に苛立ちを隠せなかった。
たった数十日しか共に過ごしていなくとも、ミス・フランはもう既に家族だ。
家族をあんな目で見られて■■とまで言われ、何に使うかははっきりとではないが把握できた。
抱きかかえていたミス・フランを見る。ミス・フランは相変わらず無表情だ。
何故か、その無表情に救われた気がし……ミス・フランが後ろを見て不意に目を見開いた。
鈍い衝撃。傾く体。鈍い音と共に倒れた僕。酷い鈍痛が………
「馬鹿だな。さっさと渡せばよかったんだよ」
そんな声が聞こえた後で、僕の意識は暗転した。
暗転直前にミス・フランの声が聞こえた気がし……タ。
940 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:17:23.75 ID:iKLLkzg0
「……害意アル者ト認メル」
暗転直前にミス・フランの声が聞こえた気がし……タ。
940 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:17:23.75 ID:iKLLkzg0
「……害意アル者ト認メル」
倒れた御主人。頭部に怪我を負う御主人。軽い出血を確認。
先ほどの害意アル者は、笑っている。御主人を殴った鈍器を持ち笑っている。
害意アル者は、消去する。消去。消去する。消去せねばならない。
先ほどの害意アル者は、笑っている。御主人を殴った鈍器を持ち笑っている。
害意アル者は、消去する。消去。消去する。消去せねばならない。
「そうだ。こっちに来い。お前の不可思議なデータを調べ」
『害意アル者ハ、消去スル。消去。消去スル。消去消去消去』
「なっ!?」
『害意アル者ハ、消去スル。消去。消去スル。消去消去消去』
「なっ!?」
ミス・フランは、男に近づくと容赦なく鳩尾目掛けてその小さな手で作られた拳を撃つ。
小さな幼女。非力なはずである幼女からは考えられない威力の衝撃は、男の鳩尾を的確に撃った。
強烈な痛みと、収縮する横隔膜の為に肺から強制的に吐き出される酸素。
痛みの患部を庇う様に無意識的に上半身を下ろし前かがみになる男。
小さな幼女。非力なはずである幼女からは考えられない威力の衝撃は、男の鳩尾を的確に撃った。
強烈な痛みと、収縮する横隔膜の為に肺から強制的に吐き出される酸素。
痛みの患部を庇う様に無意識的に上半身を下ろし前かがみになる男。
『消去』
前かがみになった事で、位置の低くなった男の顔にミス・フランの拳がめり込む。
嫌な音と共に男はのけぞった。鼻の骨が折れたのだろう。ミス・フランの拳に少々の血が付着していた。
細い足で男の右脹脛目掛けて蹴る。ゴキリと鈍く湿った音が響く。
声にならない苦痛にまみれた悲鳴が、男の口から盛大にこぼれる。
足の骨が折れた事で、立つという事柄が出来なくなった男の体を容赦なく踏みつける。
何処かの骨が折れる音がする。踏みつけた足をおもむろにあげ……再び、踏みつける。
男の口から、声にならない悲鳴と血が吐かれる。折れた骨が内臓系列に刺さったのかどうかは不明だが、
少なくとも消化器系か呼吸器系に傷が入ったのは確かだ。
嫌な音と共に男はのけぞった。鼻の骨が折れたのだろう。ミス・フランの拳に少々の血が付着していた。
細い足で男の右脹脛目掛けて蹴る。ゴキリと鈍く湿った音が響く。
声にならない苦痛にまみれた悲鳴が、男の口から盛大にこぼれる。
足の骨が折れた事で、立つという事柄が出来なくなった男の体を容赦なく踏みつける。
何処かの骨が折れる音がする。踏みつけた足をおもむろにあげ……再び、踏みつける。
男の口から、声にならない悲鳴と血が吐かれる。折れた骨が内臓系列に刺さったのかどうかは不明だが、
少なくとも消化器系か呼吸器系に傷が入ったのは確かだ。
『消去。消去消去ショウキョショウyコアショウyソエラウエ』
段々と、ミス・フランの口から漏れる言葉が、言葉にならずに居る。
単語として口からもれる文字。無常にも続けられる『害意アル者』への消去と言う行為。
その行為が、終わったのは……男の四肢の骨が全部砕けて口と鼻があった場所から血が垂れ流れ。
男としての行為をするための場所が潰された後だった。
941 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:17:44.90 ID:iKLLkzg0
ミス・フランは、御主人に歩み寄りその様子を見る。
傷は、浅かったのか頭部から流れていた血は既に止まり髪に幾ばくかの血が、固まってこびりついていた。
その御主人をその小さな体で抱き上げ歩き始める。向かう場所は、何時もの家。
御主人とミス・フランの家。
単語として口からもれる文字。無常にも続けられる『害意アル者』への消去と言う行為。
その行為が、終わったのは……男の四肢の骨が全部砕けて口と鼻があった場所から血が垂れ流れ。
男としての行為をするための場所が潰された後だった。
941 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/18(日) 05:17:44.90 ID:iKLLkzg0
ミス・フランは、御主人に歩み寄りその様子を見る。
傷は、浅かったのか頭部から流れていた血は既に止まり髪に幾ばくかの血が、固まってこびりついていた。
その御主人をその小さな体で抱き上げ歩き始める。向かう場所は、何時もの家。
御主人とミス・フランの家。
「………御主人ノ容態ヲ」
きっと、あの女性と同属のタイプ2が居るはず。そう思ったかは不明だが、ミス・フランは黙々と歩いてゆく。
血の涙を流すような夕日が、ミス・フランと御主人を照らしていた。
説明:タイプ1=幼女。タイプ2=幼男。
951 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/20(火) 20:41:13.69 ID:V0ItHBs0
本作品とは、まったく関係ありませんなSS
本作品とは、まったく関係ありませんなSS
視点 男
ミス・フランとシゼル君を二人っきりにしたらどうなるのか?
と、僕が女に提案したところ、どうにもならんだろ。と、そっけなく返された。
でも、やってみようよ。と、ちょっと押して言うと女は、うんざりした顔しながらも承知してくれた。
と、僕が女に提案したところ、どうにもならんだろ。と、そっけなく返された。
でも、やってみようよ。と、ちょっと押して言うと女は、うんざりした顔しながらも承知してくれた。
「と、いう訳で、シゼル君。ミス・フランの面倒をお願いね?」
「はぁ……祥子さんにも頼まれたので、了解しました」
「ミス・フランも今日は、シゼル君と一緒に居てね?」
「………了解」
「はぁ……祥子さんにも頼まれたので、了解しました」
「ミス・フランも今日は、シゼル君と一緒に居てね?」
「………了解」
僕は、女を連れて半日ぐらいのお出かけ……デートではない……に、出かけるのだった。
952 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/20(火) 20:42:07.64 ID:V0ItHBs0
視点 シゼル
952 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/20(火) 20:42:07.64 ID:V0ItHBs0
視点 シゼル
唐突に、祥子さんに「男の所の赤いヤツの面倒を見ろ」と、言われた時はちょっと頭が真白になった。
ポカンとしている僕を見て、祥子さんは珍しく狼狽する。
「ただ、赤いのの面倒を見てくれれば良い。半日だ。時間きっかりに向かえに行くからな?」
あわあわと、祥子さんは身振り手振りあわあわ。
そんな祥子さんを見て、僕は多分笑ってしまった。
とりあえず、僕は頷いて答えるのだった。
ポカンとしている僕を見て、祥子さんは珍しく狼狽する。
「ただ、赤いのの面倒を見てくれれば良い。半日だ。時間きっかりに向かえに行くからな?」
あわあわと、祥子さんは身振り手振りあわあわ。
そんな祥子さんを見て、僕は多分笑ってしまった。
とりあえず、僕は頷いて答えるのだった。
それにしても、フランの面倒を見るって言っても……フランの面倒を見る時なんてあるのかな?
無表情であまり言葉も喋らないし……活発な行動をする訳でもな……
無表情であまり言葉も喋らないし……活発な行動をする訳でもな……
「フラン……僕をジーッと見てどうしたの?」
「………タイプ2・名称シゼル。私ハ何ヲスレバ良イ?」
「………僕もわからないよ。何時も通りでいいと思うけど……?」
「把握シタ」
「………タイプ2・名称シゼル。私ハ何ヲスレバ良イ?」
「………僕もわからないよ。何時も通りでいいと思うけど……?」
「把握シタ」
それだけ言うとフランは、僕の傍から離れてゆく。
そして、徐に冷蔵庫に近づくと……思いっきり冷蔵庫のドアを開ける。
凄まじい音にドアとぶつかった壁から白い煙が見えた気がする。気がするのであって実際は煙なんて上がってない。
上がってないんだ。
そして、徐に冷蔵庫に近づくと……思いっきり冷蔵庫のドアを開ける。
凄まじい音にドアとぶつかった壁から白い煙が見えた気がする。気がするのであって実際は煙なんて上がってない。
上がってないんだ。
「フ、フラン?」
「………御主人ノ何時モヲ、トレース。スル」
「………御主人ノ何時モヲ、トレース。スル」
そう言いながら、フランは冷蔵庫の一番上の棚にあるスモークチーズに手を伸ばし取ろうとして……
953 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/20(火) 20:43:26.88 ID:V0ItHBs0
「届カナイ。トレース。出来ナイ」
「………男さんは、スモークチーズを食べるの? 何時も」
「………………次ヲトレーススル」
953 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/20(火) 20:43:26.88 ID:V0ItHBs0
「届カナイ。トレース。出来ナイ」
「………男さんは、スモークチーズを食べるの? 何時も」
「………………次ヲトレーススル」
凄い間の後、フランは顔を不意に背けまた歩き出す。
……実は、ただ食べてみたかっただけなんじゃ? でも、祥子さん曰くフランは色がないから、そう言う思考はないはず。
……実は、ただ食べてみたかっただけなんじゃ? でも、祥子さん曰くフランは色がないから、そう言う思考はないはず。
「………包丁デ、斬ル」
「待って! 待って!! 駄目! 危ないから!!」
「…………御主人ハ、包丁デ植物ト肉ヲ斬ッテイタ」
「でも駄目!」
「待って! 待って!! 駄目! 危ないから!!」
「…………御主人ハ、包丁デ植物ト肉ヲ斬ッテイタ」
「でも駄目!」
チッ。と、舌打ちが聞こえた。フラン!? 君ってそんな幼女でしたか?!
無表情で無感情で無言で、腹黒とかそう言う系では絶対無いはずでしょ!?
フランの面倒を見てね。と、男さんに頼まれてからまだ十分しか経過していない。
祥子さん。半日といわず今すぐ戻ってきてください。僕を一人にしないで……
無表情で無感情で無言で、腹黒とかそう言う系では絶対無いはずでしょ!?
フランの面倒を見てね。と、男さんに頼まれてからまだ十分しか経過していない。
祥子さん。半日といわず今すぐ戻ってきてください。僕を一人にしないで……
半日経過
視点 男
「ただいま~。ミス・フラン~。シゼル君~お土産を…………ヌァンデスカ!? ゴレ?!」
「………凄まじいの一言だな」
「………凄まじいの一言だな」
僕の言葉に、女がそう相槌を打つ。
その変な言葉を発生する原因は、玄関を開けて直ぐに見えた光景。
まるで、泥棒が侵入したかの様な置物やら壁飾りやらが壁に突き刺さってたり床にめり込んでたり……天井をぶち抜いてるのもあった。
954 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/20(火) 20:44:09.28 ID:V0ItHBs0
「もう、やめて! フラン! もうらめぇ! この家の耐久度数は零近いよぉ!?」
「………トレース。掃除。ソウ。掃除」
「掃除じゃない! 掃除じゃないよ!?」
その変な言葉を発生する原因は、玄関を開けて直ぐに見えた光景。
まるで、泥棒が侵入したかの様な置物やら壁飾りやらが壁に突き刺さってたり床にめり込んでたり……天井をぶち抜いてるのもあった。
954 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/05/20(火) 20:44:09.28 ID:V0ItHBs0
「もう、やめて! フラン! もうらめぇ! この家の耐久度数は零近いよぉ!?」
「………トレース。掃除。ソウ。掃除」
「掃除じゃない! 掃除じゃないよ!?」
シゼル君の悲鳴と淡々としたミス・フランの声。その聞こえた断片だけで何が起こったのかが非常に把握できた。
「………まだ、この家……ローンあるんだよ?」
「私に言われてもな。おーい。シゼルー!」
「私に言われてもな。おーい。シゼルー!」
はっはっは。自業自得とはよく言ったもんだな! と、笑う女は、シゼル君の名前を大声で呼ぶ。
その大声の数秒後で、シゼル君が走ってやってきて……
その大声の数秒後で、シゼル君が走ってやってきて……
「祥子さぁ~ん!」
「ははは。ご苦労様」
「ははは。ご苦労様」
目じりに涙を浮かべるシゼル君を抱きしめながら、いい笑顔を浮かべる女。
「僕は、駄目でした! 祥子さん! 僕は!」
「わかった。わかったわかった。帰ったらゆっくりたっぷりねっぷり慰めてヤルからな」
「わかった。わかったわかった。帰ったらゆっくりたっぷりねっぷり慰めてヤルからな」
女とシゼル君は、アニメのようなフェードアウトで我が家から出てゆく。
いつの間にか僕の目の前にいるミス・フラン。
いつの間にか僕の目の前にいるミス・フラン。
「………掃除」
「違うからね?」
「……………チッ」
「フラァァッァアン!?」
「違うからね?」
「……………チッ」
「フラァァッァアン!?」
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