~First kiss.~短編集
629 名前:SS@牛乳[sage] 投稿日:2008/03/12(水) 02:00:19.48 ID:RkoHoQw0
~First kiss.~
付いたテレビから流れるのはゆったりとした音楽。
男は勉強机に向かっていて、幼女はその隣で勉強している男の顔をじっと凝視している。
静かな部屋に響くのはカリカリ、カリカリとシャーペンの音のみ、それの上に乗っかる幼女のまだ幼いその声。
男は勉強机に向かっていて、幼女はその隣で勉強している男の顔をじっと凝視している。
静かな部屋に響くのはカリカリ、カリカリとシャーペンの音のみ、それの上に乗っかる幼女のまだ幼いその声。
「ご主人様と私ってどういう関係?」
「普通に考えて幼女と飼い主だろ。」
「…そっか……」
「普通に考えて幼女と飼い主だろ。」
「…そっか……」
幼女はあからさまな溜息を付いた後、机の上においてあるコップを手に取ると、中に入っている牛乳を一口飲む。
それを見ていた男が小さな声で呟いた。
それを見ていた男が小さな声で呟いた。
「…ちょ、ユズ…それ俺の。」
そう言うと男は幼女の手からコップを取り戻し幼女を軽く睨む。そしてコップの中に入っている白い液体を一気に飲み干した。
「細かい事気にしちゃダメ。牛乳は大好物なの。」
「…俺s「私、ご主人様の事…好きだよ」
「…俺s「私、ご主人様の事…好きだよ」
ご主人様が言おうとした言葉を遮り自身の想いを告げる。
それは恋愛感情等ではなく執着に近いもの。
唯それを伝えたくて言葉に紡ぐ。
それは恋愛感情等ではなく執着に近いもの。
唯それを伝えたくて言葉に紡ぐ。
「…は?」
相手は目を丸くしきょとんとした顔で此方を見つめる。
口から漏れた声に自分では気が付いていないようだ。
私はそれを見れば相手と目線を合わせにこりと微笑する。
口から漏れた声に自分では気が付いていないようだ。
私はそれを見れば相手と目線を合わせにこりと微笑する。
「えへへ、大好き。」
「…そうか」
「…そうなの!だから……、………して?」
「…そうか」
「…そうなの!だから……、………して?」
630 名前:SS@牛乳[sage] 投稿日:2008/03/12(水) 02:02:27.57 ID:RkoHoQw0
幼女は頬を林檎色に染め、相手の視線から逃れるようにそっぽを向くと小さな声で呟く。
男は聞き取れなかったのか首を傾げ、問い掛ける。
幼女は頬を林檎色に染め、相手の視線から逃れるようにそっぽを向くと小さな声で呟く。
男は聞き取れなかったのか首を傾げ、問い掛ける。
「?何だ、聞こえなかったぞ」
「…だからっ!…き、…キス――…して?」
「はぁ?!な、なっ…意味わかんね!」
「…だからっ!…き、…キス――…して?」
「はぁ?!な、なっ…意味わかんね!」
行き成り言われた言葉に驚いて、椅子ごとユズの方を見る。
何を妄想したか男は頬を紅潮させる。
何を妄想したか男は頬を紅潮させる。
「っ…もう、…キスだってばっ!キ・ス!」
「…いやいや、何で!どう考えてもそれおかしいだろ!」
「してよ、お願い。一回だけで良いから、ね、ご主人様!」
「…いやいや、何で!どう考えてもそれおかしいだろ!」
「してよ、お願い。一回だけで良いから、ね、ご主人様!」
言いながらユズは男にずずいと近寄る。
あたふたしながらも男はぶんぶんと首をはち切れそうなほど横に振る。
あたふたしながらも男はぶんぶんと首をはち切れそうなほど横に振る。
「ユズ、ちょ…バカか!」
「…バカじゃないよ、本気。……ご主人様からしてくれないのなら…」
「…バカじゃないよ、本気。……ご主人様からしてくれないのなら…」
言い終えればむぅ、と頬を膨らませたユズは男の前に立ち尽くす。
「私からキスするもん」とユズがソコに座っている自分より背丈が数倍大きいご主人様の唇に触れるだけの優しい口付けを落とした。
「私からキスするもん」とユズがソコに座っている自分より背丈が数倍大きいご主人様の唇に触れるだけの優しい口付けを落とした。
初めてのご主人様とのキスは、触れるだけの甘い甘いミルク味。
fin.
732 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/12(水) 23:53:10.82 ID:YCrMqs.0
タイトル同じだけど昨日のユズじゃないんだぜ
いつものように描写とかgdgdだけど気にしないでくれると嬉しい
タイトル同じだけど昨日のユズじゃないんだぜ
いつものように描写とかgdgdだけど気にしないでくれると嬉しい
~First kiss.~
妹系の幼女の場合。
閉ざされたカーテンからは灯り一つすら入ってくる事も無く、暗くなった部屋では唯ぼんやりと相手の姿が目に映るだけ。
幼女みうの目に映るのは余裕が無さそうに此方を見ている飼い主とその後ろにある天井からぶら下がった電気のみ。
風呂上りで身体にタオルすら巻かずに真っ裸なみうは男にベッドに押し倒されていて、手首は押え付けられている。
静まった部屋に聞こえるのは二人の吐息と外から聞こえる道行く人の喋り声。
幼女みうの目に映るのは余裕が無さそうに此方を見ている飼い主とその後ろにある天井からぶら下がった電気のみ。
風呂上りで身体にタオルすら巻かずに真っ裸なみうは男にベッドに押し倒されていて、手首は押え付けられている。
静まった部屋に聞こえるのは二人の吐息と外から聞こえる道行く人の喋り声。
「(どうしよう…?怒られる…?…襲われる…?)…」
「…………」
「…おにー…ちゃん…?」
「…………」
「…おにー…ちゃん…?」
只管の沈黙。それに耐え切れなくなったみうは目の前の男に声をかけた。
心配そうに相手の目をじっと見つめる。
そして続けて、「髪の毛乾かしてないから枕濡れちゃうよ?」とみうが言いながら首を傾げる。
心配そうに相手の目をじっと見つめる。
そして続けて、「髪の毛乾かしてないから枕濡れちゃうよ?」とみうが言いながら首を傾げる。
「………」
返事は無い。みうは心配したのか、男の頬に優しく触れた。
男はそれに気が付けばびくりと肩を震わせ、その手を退ける。
男はそれに気が付けばびくりと肩を震わせ、その手を退ける。
「…、……どうしたの?…」
「あ、…や、…その…な?」
「……もしかして、みうが裸で出ちゃったから…よくじょー?…しちゃったの?」
「あ、…や、…その…な?」
「……もしかして、みうが裸で出ちゃったから…よくじょー?…しちゃったの?」
みうの声に気が付いた男はしどろもどろになって答えるが次に出てきたみうの言葉に頬を真っ赤に染める。
が、暗がりで相手の顔がよく見えない為みうが気付くわけもなく、唯相手の返事を待つ。
が、暗がりで相手の顔がよく見えない為みうが気付くわけもなく、唯相手の返事を待つ。
「っ…いや、…その…」
みうは否定の言葉を捜しているのか、男のその必死な様子が可笑しくてくすりと苦笑した後からかうように問い掛ける。
「……みうに…?」
「…うあ…そ……だな」
「…うあ…そ……だな」
っておい、何てこと言わせるんだ。などと男が嘆く。
妖しげに笑みを浮べたみうを見れば男も引き攣った笑みを浮べた。
妖しげに笑みを浮べたみうを見れば男も引き攣った笑みを浮べた。
「……みうと、シたいの?」
言った途端、頬が一気に熱くなるのが分かった。
733 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/12(水) 23:54:05.04 ID:YCrMqs.0
外は既に静まりきっていて、それと同様部屋の中も静まりきっていた。
カーテンを開ければ空はまだオレンジ色に染まっている最中であろう、たまにちらほらとカーテンからオレンジ色の光が漏れる。
幼女の髪はまだ濡れていて、ソコから滴る水が男の枕を濡らしていく。
頬を紅潮させている二人は静かに会話をしていく。
733 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/12(水) 23:54:05.04 ID:YCrMqs.0
外は既に静まりきっていて、それと同様部屋の中も静まりきっていた。
カーテンを開ければ空はまだオレンジ色に染まっている最中であろう、たまにちらほらとカーテンからオレンジ色の光が漏れる。
幼女の髪はまだ濡れていて、ソコから滴る水が男の枕を濡らしていく。
頬を紅潮させている二人は静かに会話をしていく。
「あ、あのな?…その、いや、したくないって言ったら嘘になるけど!」
「おにーちゃんがシたいならシてもいーよ?」
「おにーちゃんがシたいならシてもいーよ?」
唐突な言葉に男は呆ける。そして、今なんていった?と続けて問い掛けた。
手首を押さえていた男の力が弱まって逆にみうがその手を取ると、口元まで持っていく。
そしてその掌に口付け、微笑し、告げた。
手首を押さえていた男の力が弱まって逆にみうがその手を取ると、口元まで持っていく。
そしてその掌に口付け、微笑し、告げた。
「…おにーちゃんなら、……大丈夫…だよ…」、と。
「みう……」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
更に続く沈黙にみうは不安そうに問い掛けた。
「おにーちゃん?」
返事が帰って来ることも無く、暫く待ってると押え付けられていた手首が急に楽になった。
手首を押さえていた男の手の体温が離れていくのを確認する。
手首を押さえていた男の手の体温が離れていくのを確認する。
「……やめておくよ」
「え…なんで…?」
「え…なんで…?」
そう問い掛けると男は、「みうが大切だからだよ」、と言ってくれた。
その言葉に少し冷えた頬がもう一度、一気に熱くなったのが分かった。
その言葉に少し冷えた頬がもう一度、一気に熱くなったのが分かった。
「ふーん…そっか」
嬉しそうににっこりと笑みながら小さく呟くと冷えた男の掌が頬に触れる。
そして頬を優しく撫ぜる。何?とみうは問い掛けるが男は無言で返事を返す事はない。
暫くみうの頬を堪能していると男は口を開いた。
そして頬を優しく撫ぜる。何?とみうは問い掛けるが男は無言で返事を返す事はない。
暫くみうの頬を堪能していると男は口を開いた。
「…今はまだ、コレだけで良い」
「?……んぅ…っ」
「?……んぅ…っ」
最初は触れるだけで、何度も何度もそれを繰り返す。
次第にそれは深くなっていった。
無理やり奪われたキスは冷え切った身体を少し暑くさせる程度の、優しいキスだった。
次第にそれは深くなっていった。
無理やり奪われたキスは冷え切った身体を少し暑くさせる程度の、優しいキスだった。
fin.
59 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:23:25.35 ID:kcxtKio0
~First kiss.~
~First kiss.~
[幼女視点]
どんな人との出会いの言葉は「私を飼って下さい。」だった。
そして毎回私が大変な事をする。それに耐え切れなくなった飼い主は私を棄てる。
毎回、どんな人との別離の言葉は「忘れない」だった。
そして毎回私が大変な事をする。それに耐え切れなくなった飼い主は私を棄てる。
毎回、どんな人との別離の言葉は「忘れない」だった。
ああ、私は大変な事をしてしまいました。
「(……嫌われた、のかな…?………あ、男さん…起きてる…、謝らないと…)」
幼女セフィは大きな後悔と、更に寒気と、嫌気が混じった複雑な感情でいた。
ごそごそ、と耳元で何かが擦れあう音が聞こえる。
ごそごそ、と耳元で何かが擦れあう音が聞こえる。
「…っ(……!……?…この音……まさか…。)」
「(――最悪だ…)………」
「(――最悪だ…)………」
どこか聞き覚えのある音。この音を最後に聞いたのは一体いつだったか。
そう、この人の前のご主人様に棄てられた時、…段ボールの音だ。
嘘でしょう?耳を疑った。閉じた目を開く勇気すら無い。
信じたくない。
そう、この人の前のご主人様に棄てられた時、…段ボールの音だ。
嘘でしょう?耳を疑った。閉じた目を開く勇気すら無い。
信じたくない。
「(………私、棄てられる?)」
一気に血の気が引く。そんなの、イヤだ。イヤ過ぎる。また幼男に襲われるのか。
また、野良に戻ってしまうのか。また、幼男に襲われたりするのだろうか。
酷い目にあうのはイヤ。
否、気のせいかも知れない。だが過去に数度にわたって聞いたことのあるその音は間違いではなかった。
「ごめんな…」と男が一言。ああ、棄てられる。幼女は悟る。
60 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:23:38.38 ID:kcxtKio0
ふかふかで温まった毛布が捲られ冷えた空気が幼女の肌に触れる。そして、そのまま男は幼女の身体を持ち上げた。
――これは何かの間違いでしょう?
また、野良に戻ってしまうのか。また、幼男に襲われたりするのだろうか。
酷い目にあうのはイヤ。
否、気のせいかも知れない。だが過去に数度にわたって聞いたことのあるその音は間違いではなかった。
「ごめんな…」と男が一言。ああ、棄てられる。幼女は悟る。
60 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:23:38.38 ID:kcxtKio0
ふかふかで温まった毛布が捲られ冷えた空気が幼女の肌に触れる。そして、そのまま男は幼女の身体を持ち上げた。
――これは何かの間違いでしょう?
「…わ、…私、棄てられるんだ…」
悲しみの余り咄嗟に出た言葉。声にするつもりは無かったのに。
起きているのがバレてしまった以上目を瞑っている必要は無い。目を開けば男の後ろには段ボールとガムテープ。
暗がりの中で目を丸めて此方を見ている男の表情は、幼女には読み取る事が出来なかったが、
酷く動揺しているのはなぜか分かった。
起きているのがバレてしまった以上目を瞑っている必要は無い。目を開けば男の後ろには段ボールとガムテープ。
暗がりの中で目を丸めて此方を見ている男の表情は、幼女には読み取る事が出来なかったが、
酷く動揺しているのはなぜか分かった。
「……せ、セフィ…」
「………っ…契約書どーりに……どーぞ…」
「………っ…契約書どーりに……どーぞ…」
契約書。この人と最初初めて逢った時に、渡したもの。
契約書と言っても大げさなものではない、唯の約束事だ。…唯の紙キレ一枚の約束事。
ソコには廃棄する際は「幼女(名前)を廃棄する」と発言するらしい。
それは、最初二人が出会った時の決まり事。
契約書と言っても大げさなものではない、唯の約束事だ。…唯の紙キレ一枚の約束事。
ソコには廃棄する際は「幼女(名前)を廃棄する」と発言するらしい。
それは、最初二人が出会った時の決まり事。
「………ごめんな…っ」
「……いいえ。貴方が謝る事じゃない…男さんには"彼女"と言う存在がいるのにも関らず私が勝手に襲ったんだし…ね…」
「……いいえ。貴方が謝る事じゃない…男さんには"彼女"と言う存在がいるのにも関らず私が勝手に襲ったんだし…ね…」
「…彼女なんか…!……、……っ…、…それでも…ごめん…」
耐え切れないんだ、と続けた男さん。
誰のせいでこんな顔をさせているの?
誰のせいでこんな苦しんでいるの?
誰のせいでこんな顔をさせているの?
誰のせいでこんな苦しんでいるの?
全て、私のせい。
61 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:24:08.64 ID:kcxtKio0
まるで自嘲の様な、笑みが零れた。
61 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:24:08.64 ID:kcxtKio0
まるで自嘲の様な、笑みが零れた。
「…悪いのは私、気にしないで下さい。ね。正直…安心しているんですよ?」
「あん…しん……?」
「あん…しん……?」
繰り返された言葉を聞けばこくんと一度頷く。
そして満面の笑みを浮べた。
笑えばこの人は、安心するだろうから。
そして満面の笑みを浮べた。
笑えばこの人は、安心するだろうから。
「ええ。…もうこれ以上、貴方の事苦しめなくて済むでしょう?」
「…っ…!なんで……」
「…っ…!なんで……」
「貴方が私の飼い主だからですよ。…でももうそうじゃなくなりますね。……ね、私の最後のお願い、聞いて貰えますか?」
"大好きよりもっと大好き"は"愛してる"と言うことになるのだろうか。
ならば、"愛してるよりもっと愛してる"は何になるのだろう。
そんな事をぽっかりとどこか床が抜け落ちた心で想っていた。
ならば、"愛してるよりもっと愛してる"は何になるのだろう。
そんな事をぽっかりとどこか床が抜け落ちた心で想っていた。
「(こんな時まで私は、わがままだ。)」
言った後襲ってくるのは激しい自己嫌悪。
それでも私は微笑んだ。
安心してくれるのなら、幾らでも微笑んであげたい。
それでも私は微笑んだ。
安心してくれるのなら、幾らでも微笑んであげたい。
「最後…………ごめんな…俺の聞けることなら…なんでも」
男はそう言うと俯いた。嗚呼、苦しませているのだろうか。
それでも、最後のワガママ聞いてください、なんて…私はやっぱりワガママだろうか。
涙を堪えるように、私は下唇を軽く噛んだ。
62 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:24:38.97 ID:kcxtKio0
「…ありがとう、男さん。…では、キスを下さい。」
「き…キス?」
「ええ、キス。…唇だけは守ってきたんです。…私の初めてのキス、貰ってください。」
それでも、最後のワガママ聞いてください、なんて…私はやっぱりワガママだろうか。
涙を堪えるように、私は下唇を軽く噛んだ。
62 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:24:38.97 ID:kcxtKio0
「…ありがとう、男さん。…では、キスを下さい。」
「き…キス?」
「ええ、キス。…唇だけは守ってきたんです。…私の初めてのキス、貰ってください。」
どんなに襲われようとも、どんなに酷い目にあおうとも、
例えそれが飼い主であろうとも、唇だけは守っていた。
ソレ故棄てられたこともあるが、今この人に貰ってもらえればよかった。
言いながら幼女は顔を相手に寄せた。
例えそれが飼い主であろうとも、唇だけは守っていた。
ソレ故棄てられたこともあるが、今この人に貰ってもらえればよかった。
言いながら幼女は顔を相手に寄せた。
「………、っ、…ごめんな。」
その言葉の後には私の気の抜けた返事。
悲しくなんてない、初めてのキスの相手がこの人なのだから。
悲しくなんてない、棄てられるのは慣れていることなのだから。
そんな風に自身の脳を洗脳していく。
悲しくなんてない、初めてのキスの相手がこの人なのだから。
悲しくなんてない、棄てられるのは慣れていることなのだから。
そんな風に自身の脳を洗脳していく。
相手の唇が自身の唇に寄ってくる。
「…セフィを廃棄する…」
「………さようなら、元飼い主…貴方との事、…忘れないです…」
「………さようなら、元飼い主…貴方との事、…忘れないです…」
言った後私は、私達は、深い口付けをした。
私は目を閉じる。もう何も考えたくない、と思いながら。
私は目を閉じる。もう何も考えたくない、と思いながら。
「(なんて、幸せなんだろう――)」
何故か、頬を一筋の涙が伝った。
63 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:26:06.57 ID:kcxtKio0
―――…
63 名前: SS@牛乳 [sage] 投稿日: 2008/03/16(日) 17:26:06.57 ID:kcxtKio0
―――…
目が覚めれば知る筈も無い、見覚えの無い公園。
不運にも私の全身は濡れていて、これ以上無いほど冷え切っていた。
段ボールは意外と役に立たないもので、中に侵入してきた雨は段ボールを使えない物へと変化させていた。
雨で濡れた段ボールは更に身体を冷やす。どこか、暖かい場所は無いか、と幼女は公園の中をさまよう。
そこには今まで一緒にいた飼い主はいない。
冷たい雨粒が、黒に染まったアスファルトを強く叩く。
身体を叩く雨に混じって頬から涙が伝った。
嗚咽すらも出ない、唯、無言で私は其処に立ち尽くした。
不運にも私の全身は濡れていて、これ以上無いほど冷え切っていた。
段ボールは意外と役に立たないもので、中に侵入してきた雨は段ボールを使えない物へと変化させていた。
雨で濡れた段ボールは更に身体を冷やす。どこか、暖かい場所は無いか、と幼女は公園の中をさまよう。
そこには今まで一緒にいた飼い主はいない。
冷たい雨粒が、黒に染まったアスファルトを強く叩く。
身体を叩く雨に混じって頬から涙が伝った。
嗚咽すらも出ない、唯、無言で私は其処に立ち尽くした。
「(…男さんの隣は…唇は暖かかったのに……どうして?)」
「(…こんなにも冷たいの?……なんでだろう…)」
「(…悲しくなんて、無いのに…なんで涙?……悲しくなんてない…悲しんだら…あの人は…)」
「(…こんなにも冷たいの?……なんでだろう…)」
「(…悲しくなんて、無いのに…なんで涙?……悲しくなんてない…悲しんだら…あの人は…)」
今までこんな事無かったのに。
「(もうこれ以上は…やめよう……)」
「(私はあの人の事だけ考えて…もう寝よう…)」
「(私はあの人の事だけ考えて…もう寝よう…)」
そう、目が覚めればきっと隣に男さんはいる。これは悪い夢。
そんな事を思いながら私は、冷え切った身体を温める術も無く、前の元飼い主の事を想いながら重くなった瞼をゆっくりと閉ざした。
瞼の裏に張り付いた元飼い主の姿、それがどんどんと黒く、黒く染まっていく。
そんな事を思いながら私は、冷え切った身体を温める術も無く、前の元飼い主の事を想いながら重くなった瞼をゆっくりと閉ざした。
瞼の裏に張り付いた元飼い主の姿、それがどんどんと黒く、黒く染まっていく。
その身体が発見したのは数日経った後だとか。
第一発見者は野良幼男。何も分からず、眠っているだけだと思っていた幼男に見つかった時に何をされたかは――言うまでも無い。
第一発見者は野良幼男。何も分からず、眠っているだけだと思っていた幼男に見つかった時に何をされたかは――言うまでも無い。
fin.