204 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:57:26.76 ID:56PiawAO
新ジャンル「幼女980円(税)」 実験SS
新ジャンル「幼女980円(税)」 実験SS
世界中を旅して歩き回っている俺は、今夜の宿を探していた。
月明かりで仄かに照らされた石畳の道を歩いていると、怪しい男に声をかけられた。
月明かりで仄かに照らされた石畳の道を歩いていると、怪しい男に声をかけられた。
怪しい男「ちょいとそこのお兄さん」
??「……ん、俺か?」
怪しい男「そうさ。ちょいと珍しいモノがあるんだが、みていかないかい?」
??「珍しいモノ?」
怪しい男「ま、ま、その物騒な刃物に手をかけないで、黙って付いてきな」
??「………む」
??「……ん、俺か?」
怪しい男「そうさ。ちょいと珍しいモノがあるんだが、みていかないかい?」
??「珍しいモノ?」
怪しい男「ま、ま、その物騒な刃物に手をかけないで、黙って付いてきな」
??「………む」
警戒はしたもの、ついでに宿が見つかればいいと思い、怪しい男に付いていった。
205 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:57:59.60 ID:56PiawAO
導かれた先は、暗く不気味な光を発するオンボロ小屋だった。
男は先に小屋に入るように促した。
中には、暗幕のようなものに覆われ、先ほどの光を漏らす何かがあった。
205 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:57:59.60 ID:56PiawAO
導かれた先は、暗く不気味な光を発するオンボロ小屋だった。
男は先に小屋に入るように促した。
中には、暗幕のようなものに覆われ、先ほどの光を漏らす何かがあった。
怪しい男「ほぅれ………、これだよ」
男は光が微かに漏れ出す暗幕を取り払った。
視界が急に明るくなった。
その内眩しさに慣れ、光の中のモノを見た。
視界が急に明るくなった。
その内眩しさに慣れ、光の中のモノを見た。
??「これは………」
噂には聞いていた。
人の形をした人ならざるモノ。
清楚可憐な殺戮人形。
男を求めさまよう性奴隷。
人の形をした人ならざるモノ。
清楚可憐な殺戮人形。
男を求めさまよう性奴隷。
それはホムンクルス───人造人間の一種で、“幼女”と隠語で呼ばれるモノだった。
206 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:58:27.49 ID:56PiawAO
怪しい男「どうだい、この私の“作品”は」
??「………………」
206 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:58:27.49 ID:56PiawAO
怪しい男「どうだい、この私の“作品”は」
??「………………」
男が感想を求める。
俺は声を出せなかった。
“幼女”に魅入っていた。
俺は声を出せなかった。
“幼女”に魅入っていた。
“幼女”は硝子の箱の中に、緑色の発光する液体の中に目を閉じて寝そべっていた。
姿は隠語の通り、人間の女児のようであった。
髪は肩まで伸び、、発光液でよく分からないが、美しいブロンドのように見えた。
水の中にもかかわらず、人よりは遅い周期ではあるが、呼吸もしていた。
姿は隠語の通り、人間の女児のようであった。
髪は肩まで伸び、、発光液でよく分からないが、美しいブロンドのように見えた。
水の中にもかかわらず、人よりは遅い周期ではあるが、呼吸もしていた。
怪しい男「どうだね……… 欲 し い か い ?」
??「……!」
??「……!」
今度は男の声がはっきり聞こえた。
まるで、その言葉を待ちわびていたかのように、脳の中に入ってきた。
まるで、その言葉を待ちわびていたかのように、脳の中に入ってきた。
首が勝手に、縦に振っていた。
207 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:59:00.87 ID:56PiawAO
男は嬉しそうに俺に話しかけた。
207 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:59:00.87 ID:56PiawAO
男は嬉しそうに俺に話しかけた。
怪しい男「お代は血を一滴……、それと980円(税)だよ」
??「………なんだそれ」
怪しい男「さあ、私も知らぬ。秘術書には、契約者は一滴の血と“980円(税)”を払う、そう書かれていた」
??「………なんだそれ」
怪しい男「さあ、私も知らぬ。秘術書には、契約者は一滴の血と“980円(税)”を払う、そう書かれていた」
意味が分からなかった。
980円(税)。
“ぜいこみきゅうひゃくはちじゅうえん”と発音するらしい代償は、生憎持ってなかった。
980円(税)。
“ぜいこみきゅうひゃくはちじゅうえん”と発音するらしい代償は、生憎持ってなかった。
怪しい男「一説によると、古代の流通貨幣と解釈されるらしいがね。あくまでも一説だが」
??「古代の流通貨幣、ねぇ………」
??「古代の流通貨幣、ねぇ………」
その言葉を聞き、無意識に俺の両手は財布を探し始めた。
俺はこの小さな化生を欲していた。
208 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:59:31.14 ID:56PiawAO
いかほどかの価値かも知らぬので、路銀の大半をこの怪しい男にくれてやった。
俺はこの小さな化生を欲していた。
208 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:59:31.14 ID:56PiawAO
いかほどかの価値かも知らぬので、路銀の大半をこの怪しい男にくれてやった。
??「………これでどうだ」
怪しい男「ふふ、毎度あり………」
怪しい男「ふふ、毎度あり………」
後は、血。
俺は腰に下げた片手半剣を抜き、左手の親指に傷を付けた。
そして左手を、“幼女”の眠る硝子の水槽の上に置いた。
俺は腰に下げた片手半剣を抜き、左手の親指に傷を付けた。
そして左手を、“幼女”の眠る硝子の水槽の上に置いた。
赤い雫が垂れる。
───ピチャリ
209 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:59:55.99 ID:56PiawAO
たった一滴の赤が、“幼女”を包む緑色の発光液を赤黒く染めた。
同時に、僅かに見える“幼女”の指先がピクリと動く。
水面から膝と思われるものが覗いた。
硝子水槽の真ん中から両手が現れ、縁を掴んだ。
209 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 01:59:55.99 ID:56PiawAO
たった一滴の赤が、“幼女”を包む緑色の発光液を赤黒く染めた。
同時に、僅かに見える“幼女”の指先がピクリと動く。
水面から膝と思われるものが覗いた。
硝子水槽の真ん中から両手が現れ、縁を掴んだ。
そして、“幼女”の頭が赤黒い水の中から持ち上げられた。
目は、とうに開かれていた。
綺麗な翡翠色だった。
綺麗な翡翠色だった。
風呂に浸かっているように見える“幼女”は、俺を見た。
『アナタガ、私ノゴ主人ネ───?』
“彼女”の初めての声は、問いだった。
210 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 02:00:20.61 ID:56PiawAO
ならば答えてやらぬ訳にはいかぬ。
210 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします [sage] 投稿日: 2008/08/02(土) 02:00:20.61 ID:56PiawAO
ならば答えてやらぬ訳にはいかぬ。
ただ一言、「そうだ」と答えた。
彼女はにっこりと微笑み、俺に手を伸ばす。
俺はその手を取り、彼女を立ち上がらせた。
すると彼女の手が俺の首に回され───軽く口づけを交わした。
俺はその手を取り、彼女を立ち上がらせた。
すると彼女の手が俺の首に回され───軽く口づけを交わした。
『コレカラ宜シクオ願イシマスワ、ゴ主人』
「……あぁ」
「……あぁ」
契約は完了した。
振り返ると、男はいつの間にか居なくなっていた。
振り返ると、男はいつの間にか居なくなっていた。
新ジャンル「幼女980円(税)」 実験SS ~終わり~
366 名前: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 投稿日: 2008/09/11(木) 01:55:56.57 ID:JT6PtIAO
実験SS単発ネタその2
実験SS単発ネタその2
夏もそろそろ終わりに差し掛かろうとするある日のこと。
雲一つ無く、何処までも広がる青い空。
膨大な光と熱量を放つ太陽は、南の空のど真ん中に居座っている。
その下の大地を這い回る生き物は、ほぼ例外なく暑さにやられて緩慢な動きをしている。
心地よさを施してくれる風は、これっぽっちも吹いていなかった。
一方屋内では、扇風機やクーラーといった文明の利器の恩恵を得ることが出来る。
しかし、それは万人に与えられる物ではない。
恩恵から溢れた者は、団扇などの薄っぺらい板状の物で扇ぐという原始的な方法を取らざるを得ない。
その場合、手首の運動によっては疲労と共に少しずつ熱が蓄積していく。
多量の風を生み出すと、疲労と汗が溜まる。
かといって微弱な風は、暑気を払うには圧倒的に足りない。
膨大な光と熱量を放つ太陽は、南の空のど真ん中に居座っている。
その下の大地を這い回る生き物は、ほぼ例外なく暑さにやられて緩慢な動きをしている。
心地よさを施してくれる風は、これっぽっちも吹いていなかった。
一方屋内では、扇風機やクーラーといった文明の利器の恩恵を得ることが出来る。
しかし、それは万人に与えられる物ではない。
恩恵から溢れた者は、団扇などの薄っぺらい板状の物で扇ぐという原始的な方法を取らざるを得ない。
その場合、手首の運動によっては疲労と共に少しずつ熱が蓄積していく。
多量の風を生み出すと、疲労と汗が溜まる。
かといって微弱な風は、暑気を払うには圧倒的に足りない。
「あづ………」
この少年もまた、熱地獄に悩まされる者の一人である。
彼は学生の身分であるが、この日は休校日。
久方ぶりに惰眠を貪ろうとと思ったら、この猛暑である。
気づくと、寝汗は酷く、衣服を搾れば雫が滴りそうだった。
寝覚めが相当不快なものであったのは言うまでもない。
367 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:57:12.55 ID:JT6PtIAO
先述のように、彼は冷房器具の恩恵を受けられない。
具体的には、クーラーは5日前に故障した。
その当時は、暑さも段々和らぐだろうと楽観し、修理には出さなかった。
扇風機も有るには有るが、クーラーより前に故障しており、やはり修理していない。
彼は学生の身分であるが、この日は休校日。
久方ぶりに惰眠を貪ろうとと思ったら、この猛暑である。
気づくと、寝汗は酷く、衣服を搾れば雫が滴りそうだった。
寝覚めが相当不快なものであったのは言うまでもない。
367 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:57:12.55 ID:JT6PtIAO
先述のように、彼は冷房器具の恩恵を受けられない。
具体的には、クーラーは5日前に故障した。
その当時は、暑さも段々和らぐだろうと楽観し、修理には出さなかった。
扇風機も有るには有るが、クーラーより前に故障しており、やはり修理していない。
残されたものは、団扇以外に何もなかった。
「死ぬ………」
言葉とは真逆に、駆け足で冷蔵庫へと向かった。
冷蔵庫の扉を開け放つと、肉や野菜がお出迎えし、昨夜の残り物が留守番をしていた。
脂が白く固まった、惣菜の豚の角煮だった。
残念ながら冷たい飲み物は無かった。
冷凍室を見ても、氷はひとかけらも無く、製氷皿は空っぽだった。
冷蔵庫の扉を開け放つと、肉や野菜がお出迎えし、昨夜の残り物が留守番をしていた。
脂が白く固まった、惣菜の豚の角煮だった。
残念ながら冷たい飲み物は無かった。
冷凍室を見ても、氷はひとかけらも無く、製氷皿は空っぽだった。
「………ゔぁ」
悲鳴ともうめき声とも、断末魔とも思えるノイズを発し、少年はばったりと倒れ込んだ。
が、フローリングの床は意外と熱を持っており、数秒後には上体を反らすこととなった。
368 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:58:10.89 ID:JT6PtIAO
時刻は真昼を少し過ぎ、太陽も本気を出すアップを始める頃。
少年は意を決し、軽くシャワーを浴びて汗流す。
そして灼熱地獄の中、近くのコンビニへと向かう支度を始めた。
狙うは、軽食と冷たい飲料。
外の熱気を覚悟して、玄関の戸を開けた。
が、フローリングの床は意外と熱を持っており、数秒後には上体を反らすこととなった。
368 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:58:10.89 ID:JT6PtIAO
時刻は真昼を少し過ぎ、太陽も本気を出すアップを始める頃。
少年は意を決し、軽くシャワーを浴びて汗流す。
そして灼熱地獄の中、近くのコンビニへと向かう支度を始めた。
狙うは、軽食と冷たい飲料。
外の熱気を覚悟して、玄関の戸を開けた。
「ぅゎ………」
光を遮る物が無い外界は、熱風のような空気と矢のような光線が支配していた。
それでも進まねばならぬ。
進まなければ、この暑さから逃れられる術を得ることができないからだ。
少年は、コンビニへと続く道を歩き始めた。
369 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:59:16.95 ID:JT6PtIAO
コンビニがすぐそばに見える曲がり角に差し掛かろうとしたとき、少年は電柱の下に見慣れぬ物が有るのを見つけた。
近寄るとそれは、晴天には似合わぬ、大きな黒い傘であった。
その下には、赤く大きな字で“拾ってください”と書かれた段ボール箱。
何が在るのだろうと、好奇心が働いた。
傘をよけて、中を見てみた。
それでも進まねばならぬ。
進まなければ、この暑さから逃れられる術を得ることができないからだ。
少年は、コンビニへと続く道を歩き始めた。
369 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:59:16.95 ID:JT6PtIAO
コンビニがすぐそばに見える曲がり角に差し掛かろうとしたとき、少年は電柱の下に見慣れぬ物が有るのを見つけた。
近寄るとそれは、晴天には似合わぬ、大きな黒い傘であった。
その下には、赤く大きな字で“拾ってください”と書かれた段ボール箱。
何が在るのだろうと、好奇心が働いた。
傘をよけて、中を見てみた。
「………あ」
そこには、汗ばみながらもうたた寝をする、可愛らしい幼女がいた。
水色のワンピースとピンク色の靴を身につけていた。
最近まで飼われていたのか、それらはあまり汚れていなかった。
赤毛色の髪の毛はまだ、毎日手入れされているようにサラサラだった。
幼女から発するほろ甘い匂いに、少年は思わず息をのんだ。
370 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:59:58.26 ID:JT6PtIAO
少年は幼女を見るのは初めてではなかったが、間近で見ることはあまり無かった。
野良の幼女は警戒感が強く、触ろうとすると逃げるか噛みついてしまう。
しかし今、目の前にいる幼女はすやすやと眠っている。
それも、幼女ショップでは一介の学生が到底手を出せない、綺麗で可愛らしい幼女が。
水色のワンピースとピンク色の靴を身につけていた。
最近まで飼われていたのか、それらはあまり汚れていなかった。
赤毛色の髪の毛はまだ、毎日手入れされているようにサラサラだった。
幼女から発するほろ甘い匂いに、少年は思わず息をのんだ。
370 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 01:59:58.26 ID:JT6PtIAO
少年は幼女を見るのは初めてではなかったが、間近で見ることはあまり無かった。
野良の幼女は警戒感が強く、触ろうとすると逃げるか噛みついてしまう。
しかし今、目の前にいる幼女はすやすやと眠っている。
それも、幼女ショップでは一介の学生が到底手を出せない、綺麗で可愛らしい幼女が。
(……まあ、撫でるくらいなら大丈夫か?)
試しに、側頭部に束ねられた髪を撫でてみようとし───。
『……うぅん』
───起きてしまった。
幼女が寝ぼけ眼を擦りながら、少年を見た。
やがて、大きな瞳をぱちくりとさせ、首を傾げた。
幼女が寝ぼけ眼を擦りながら、少年を見た。
やがて、大きな瞳をぱちくりとさせ、首を傾げた。
凝視。
「あ、あはは……」
少年は苦笑するしかなかった。
伸ばした右手は、幼女のサイドテールの根元に触れかけている。
さくらんぼのような飾りのついたヘアゴムが、かつんと音を立てた気がした。
伸ばした右手は、幼女のサイドテールの根元に触れかけている。
さくらんぼのような飾りのついたヘアゴムが、かつんと音を立てた気がした。
『あなた、私を飼ってくれるの?』
371 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:00:41.58 ID:JT6PtIAO
「………へぁ?」
371 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:00:41.58 ID:JT6PtIAO
「………へぁ?」
間抜けな声が出た。
いきなり何を言い出すんだこの幼女、と少年は思った。
いきなり何を言い出すんだこの幼女、と少年は思った。
『ねえ、飼ってくれるの?』
幼女の瞳は爛々と輝いている。
不安など微塵も無いような、期待に満ち溢れた瞳だった。
不安など微塵も無いような、期待に満ち溢れた瞳だった。
しかし、少年は返答に窮した。
別にペット飼育を禁じてる訳ではない。
両親が二、三ヶ月前から海外出張で、少年は家で一人暮らしという、所謂sneg状態。
だからというわけではないが、ペット大歓迎ばっちこーい体勢なのである。
しかし実際世話をするとなると、どうも面倒くさそうだと思ってしまうのだ。
別にペット飼育を禁じてる訳ではない。
両親が二、三ヶ月前から海外出張で、少年は家で一人暮らしという、所謂sneg状態。
だからというわけではないが、ペット大歓迎ばっちこーい体勢なのである。
しかし実際世話をするとなると、どうも面倒くさそうだと思ってしまうのだ。
幼女を飼う情熱というか努力というか、それが足りないと感じた少年は、腹を決めた。
「すまんな、ウチは幼j───」
クキュウゥゥ………
『あ』
「………………」
「………………」
幼女は容姿に違わぬ、可愛らしい音を生む腹の虫を飼っているようだった。
372 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:01:25.41 ID:JT6PtIAO
『ホントに何でも選んでいいの!?』
「……財布の中身を考えてくれよな」
372 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:01:25.41 ID:JT6PtIAO
『ホントに何でも選んでいいの!?』
「……財布の中身を考えてくれよな」
結局少年は、幼女をコンビニにまで連れてきてしまった。
少年の口から、はぁ、と溜め息が出てしまう。
バイトの給料日や、海外の両親からの仕送りが思考を埋める。
少年の口から、はぁ、と溜め息が出てしまう。
バイトの給料日や、海外の両親からの仕送りが思考を埋める。
だが店内に入ると、それは体に帯びた熱と共に消え去った。
幼女との邂逅で忘れていたが、炎天のコンクリートジャングルの中を進んでいたのだった。
その中に点在するコンビニは、まさにオアシス。
砂漠の中の泉の如く、冷房の有り難さをしかと受け取る。
幼女との邂逅で忘れていたが、炎天のコンクリートジャングルの中を進んでいたのだった。
その中に点在するコンビニは、まさにオアシス。
砂漠の中の泉の如く、冷房の有り難さをしかと受け取る。
『それじゃあ、選んでるねっ!』
「おー」
「おー」
幼女がお菓子の棚に駆けていくのを見送った少年は、サンドイッチの吟味を始めるのであった。
373 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:02:20.58 ID:JT6PtIAO
「お会計980円(税)でーす」
373 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:02:20.58 ID:JT6PtIAO
「お会計980円(税)でーす」
代金を払い、大きな袋を持って二人はコンビニを出た。
冷房に当たっていたためか、来たときよりも更に暑く感じた。
少年はペットボトルの飲料を一口飲み、キャップを閉めた。
その後、ボトルは中指と薬指でキャップの下を挟み込む。
冷房に当たっていたためか、来たときよりも更に暑く感じた。
少年はペットボトルの飲料を一口飲み、キャップを閉めた。
その後、ボトルは中指と薬指でキャップの下を挟み込む。
幼女の方はというと、最中(もなか)のアイスにカプリと食らいつく。
縦に2列、横に6列に別れた最中は、最初の横一列が噛みちぎられた。
縦に2列、横に6列に別れた最中は、最初の横一列が噛みちぎられた。
「美味いか、それ?」
『うん! 美味しいよ!』
『うん! 美味しいよ!』
なんて、少年は平凡な問いを投げかけた。
少年はゆっくり帰路を歩き、その横を幼女が、とてたた、と擬音が付きそうな歩調でぴったりとついて行く。
やがて、幼女が眠っていた段ボール箱のところに───。
やがて、幼女が眠っていた段ボール箱のところに───。
『あ、そう言えば私を飼ってくれるかの件なんだけど』
それじゃあここでお別れバイバイ、と持っていきたかった少年は、膝と両手を着いてうなだれた。
しかし、アスファルトの地面は結構な熱を持っており、数秒後には上体を反らすこととなり。
しかし、アスファルトの地面は結構な熱を持っており、数秒後には上体を反らすこととなり。
(あれ、デジャヴ?)
出発前にも似たようなことがあったなぁ、と思ったりした。
374 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:03:04.26 ID:JT6PtIAO
『ねぇ、どうなの?』
374 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:03:04.26 ID:JT6PtIAO
『ねぇ、どうなの?』
出会った時に尋ねられた事を、少年は再び問われた。
最初は寝ている幼女を起こさぬよう、少し撫でてみたい、と思っただけだった。
それがどういう訳か、食事をあたえて、少しだけど話をして。
今では一緒に暮らしてもいいかな、と思っている。
最初は寝ている幼女を起こさぬよう、少し撫でてみたい、と思っただけだった。
それがどういう訳か、食事をあたえて、少しだけど話をして。
今では一緒に暮らしてもいいかな、と思っている。
(どーせ帰っても一人だ。出費が少し増えることくらいなんともない………はず)
「ああ、お前を飼ってやる」
「ああ、お前を飼ってやる」
少年は答えを示した。
すると、幼女の顔が瞬く間に、ぱあっと明るくなっていった。
すると、幼女の顔が瞬く間に、ぱあっと明るくなっていった。
『ホント!? やったー!! 今日からよろしくね、ご主人様!!』
少年は軽く笑い、
「ああ」
と、照れくさそうに返した。
(“ご主人様”ねぇ………)
375 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:04:33.03 ID:JT6PtIAO
家への帰り道、太陽が本気で活動をする頃。
少年と幼女が手をつないで歩いている。
出会いからまだ30分程度しか経っていないが、お互い既に心を開いている。
その姿は楽しそうで、それはまるで、年の離れた兄妹のよう。
375 名前: 実験SS 投稿日: 2008/09/11(木) 02:04:33.03 ID:JT6PtIAO
家への帰り道、太陽が本気で活動をする頃。
少年と幼女が手をつないで歩いている。
出会いからまだ30分程度しか経っていないが、お互い既に心を開いている。
その姿は楽しそうで、それはまるで、年の離れた兄妹のよう。
願わくば、この二人に幸あれ。
実験SS単発ネタその2 終
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