610 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:54:35.10 ID:aLGYjQc0
薄翅蜉蝣<Hagenomyia micans>
コレは、私、有珠巴 鈴音が、幼女を拾った事で、始まった日記である。
一日目
何気ない朝。何時もの狭い部屋で起きて着替えて髪を漉き、顔を洗いに洗面所に向かう。
途中リビングで、新聞を読んでいるサラリーマンである親父に、軽く挨拶する。
もう、親父から返事が無くなって久しくない。
台所に立つお袋にも、挨拶をする。お袋は、軽く手を振った。私を見ずに。
さっさと行けと言う事だろう。私は、さっさと洗面所に行き顔を洗う。
鏡に写った私の顔を見てため息を付く。醜い。醜いよ私の顔。
顔をタオルで拭き、そのままタオルを洗濯機の中に放り込む。
リビングに戻る時に、年が七つ離れた妹とすれ違う。
途中リビングで、新聞を読んでいるサラリーマンである親父に、軽く挨拶する。
もう、親父から返事が無くなって久しくない。
台所に立つお袋にも、挨拶をする。お袋は、軽く手を振った。私を見ずに。
さっさと行けと言う事だろう。私は、さっさと洗面所に行き顔を洗う。
鏡に写った私の顔を見てため息を付く。醜い。醜いよ私の顔。
顔をタオルで拭き、そのままタオルを洗濯機の中に放り込む。
リビングに戻る時に、年が七つ離れた妹とすれ違う。
妹は、私を見て……見てと言うか睨んでる。まぁ、知っていたが私は嫌われている。
そんな、妹の横をすり抜けてさっさと朝食を頂く。
出来上がったばかりの食事は、暖かい。でも、冷め切っている。
妹が、リビングに戻ってくるまでに必要な分だけの食事を取り残りは、そのまま残す。
栄養なんぞ、コンビニで売っている栄養ドリンクか錠剤を呑めば事足りる。
私にとって形骸化してしまった食事など、そんなものだった。
そのまま部屋に戻り、学校に行く為の準備を終えリビングに顔を出さずに玄関を出る。
今日も、空は腐った様に蒼い。
そんな、妹の横をすり抜けてさっさと朝食を頂く。
出来上がったばかりの食事は、暖かい。でも、冷め切っている。
妹が、リビングに戻ってくるまでに必要な分だけの食事を取り残りは、そのまま残す。
栄養なんぞ、コンビニで売っている栄養ドリンクか錠剤を呑めば事足りる。
私にとって形骸化してしまった食事など、そんなものだった。
そのまま部屋に戻り、学校に行く為の準備を終えリビングに顔を出さずに玄関を出る。
今日も、空は腐った様に蒼い。
学校につけば着いたで、私以外のクラスメイトとやらは、一人二人しか居ない。
そのクラスメイトに挨拶する事も無く私は、己の席に着きカバンを椅子の下に放り込む。
窓際の席故に、直ぐに外を眺めれる。正直、学校などどうでも良い。
入れと言われたから入った様な物。それに、中学卒業じゃ職業選択が限られる。
正直、退屈な授業。何をしても酷くつまらない。
同年代の友人すら居ない。いや、もう友人を作る方法すら忘れてしまった。
一体、何時から私はこんな酷く醜くなったのだろうか……わからない。
小さい頃を思い出せば、親と笑いながら過ごしていた日々を思い出せ……無い。
611 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:55:11.61 ID:aLGYjQc0
そのクラスメイトに挨拶する事も無く私は、己の席に着きカバンを椅子の下に放り込む。
窓際の席故に、直ぐに外を眺めれる。正直、学校などどうでも良い。
入れと言われたから入った様な物。それに、中学卒業じゃ職業選択が限られる。
正直、退屈な授業。何をしても酷くつまらない。
同年代の友人すら居ない。いや、もう友人を作る方法すら忘れてしまった。
一体、何時から私はこんな酷く醜くなったのだろうか……わからない。
小さい頃を思い出せば、親と笑いながら過ごしていた日々を思い出せ……無い。
611 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:55:11.61 ID:aLGYjQc0
楽しかった思い出。嬉しかった思い出が、思い出せない。
人間とは、そう言う生き物であると知っているが、一つも思い出せないとは……
既に始まった授業中に、ついため息を一つ付いてしまった。
教師に目ざとく目撃され、前に出て問題を解けと言われてしまう。
なんら難しくもなく基本公式を覚えていれば出来る問題を解く。
何故か教師は、顰め面を浮かべるが知った事ではない。
人間とは、そう言う生き物であると知っているが、一つも思い出せないとは……
既に始まった授業中に、ついため息を一つ付いてしまった。
教師に目ざとく目撃され、前に出て問題を解けと言われてしまう。
なんら難しくもなく基本公式を覚えていれば出来る問題を解く。
何故か教師は、顰め面を浮かべるが知った事ではない。
機械的に動き、機械的に答え、機械的にその場に居る。
学校とは、私にとってそんなモノだった。
学校が終わってしまえば、私は、再び家に帰る。
なんら変わりない何百回と往復したこの帰路。
私は、家に帰るまでの途中にある喫茶店に立ち寄る。
この喫茶店は、つい最近出来たばかりの店で、有名でもなんでもない。
喫茶店の客といえば、喫茶店のマスターの知り合いばかり。
学校とは、私にとってそんなモノだった。
学校が終わってしまえば、私は、再び家に帰る。
なんら変わりない何百回と往復したこの帰路。
私は、家に帰るまでの途中にある喫茶店に立ち寄る。
この喫茶店は、つい最近出来たばかりの店で、有名でもなんでもない。
喫茶店の客といえば、喫茶店のマスターの知り合いばかり。
新規客など、居ないに等しいのだが、その新規客の第一号が私だ。
入店した私に、コップを磨いていたマスターは、何時もの笑顔を浮かべ、いらっしゃいと、言う。
そんなマスターに軽く会釈し、何時ものカウンター席に座りマスターのブレンドコーヒーと、今日のケーキを頼む。
色々とコーヒーを飲んできたが、此処のブレンドコーヒーが一番巧く美味いと思っている。
マスターは、慣れた手つきで、コーヒーを淹れて行く。
私の目の前にあるサイフォンで、淹れられるコーヒー。それを見るのが一番の時間つぶしだった。
私とマスターが会話する事は殆ど無く、私は淹れられたコーヒーと今日のケーキを食べソレが終えれば、会計を済ませ
さっさと喫茶店を後にするのが常だ。
淹れたてのコーヒーを飲み、ケーキを食べる。それが、終われば会計を済ませ私は、喫茶店を後にした。
ふと、後ろを向けば、マスターが静かに空になったカップと皿を流しに居れている所だった。
612 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:55:45.93 ID:aLGYjQc0
入店した私に、コップを磨いていたマスターは、何時もの笑顔を浮かべ、いらっしゃいと、言う。
そんなマスターに軽く会釈し、何時ものカウンター席に座りマスターのブレンドコーヒーと、今日のケーキを頼む。
色々とコーヒーを飲んできたが、此処のブレンドコーヒーが一番巧く美味いと思っている。
マスターは、慣れた手つきで、コーヒーを淹れて行く。
私の目の前にあるサイフォンで、淹れられるコーヒー。それを見るのが一番の時間つぶしだった。
私とマスターが会話する事は殆ど無く、私は淹れられたコーヒーと今日のケーキを食べソレが終えれば、会計を済ませ
さっさと喫茶店を後にするのが常だ。
淹れたてのコーヒーを飲み、ケーキを食べる。それが、終われば会計を済ませ私は、喫茶店を後にした。
ふと、後ろを向けば、マスターが静かに空になったカップと皿を流しに居れている所だった。
612 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:55:45.93 ID:aLGYjQc0
再びの帰路。今度は本屋に寄る。正確には、本屋で売っているCDに用事がある。
CDの棚を見れば、新曲入荷やら有名になったアーティストのアルバムやらが並んでいる。
しかし、私はそれを無視して視線を下に向ける。其処には、もう古くなったCDが陳列され
値段もシングル百円。アルバム三百円と厚紙に書かれ棚に貼り付けられていた。
私は、一枚のアルバムを手に取りそれを購入する。
購入したアルバムのタイトルは……FRIENDSⅡ……B'zのアルバムだ。
別にB'zのファンとかそう言う訳じゃない。ジャケットの後ろに書かれた曲欄を見て購入しただけだ。
聴くか聴かないかは、不明。寧ろ購入しただけという感じもある。
用件が済んでしまえば、さっさと本屋を後にしまた、帰路に戻る。
CDの棚を見れば、新曲入荷やら有名になったアーティストのアルバムやらが並んでいる。
しかし、私はそれを無視して視線を下に向ける。其処には、もう古くなったCDが陳列され
値段もシングル百円。アルバム三百円と厚紙に書かれ棚に貼り付けられていた。
私は、一枚のアルバムを手に取りそれを購入する。
購入したアルバムのタイトルは……FRIENDSⅡ……B'zのアルバムだ。
別にB'zのファンとかそう言う訳じゃない。ジャケットの後ろに書かれた曲欄を見て購入しただけだ。
聴くか聴かないかは、不明。寧ろ購入しただけという感じもある。
用件が済んでしまえば、さっさと本屋を後にしまた、帰路に戻る。
家まであと数分と言う所で、私は、道端に置かれたダンボールについ視線をやってしまった。
ダンボールには、殴り書きで「拾ってください」なんて書かれてある。
捨て猫が捨て犬か……と、思いそのままダンボールを放置してさっさと家に帰ればよかったのだが……
ダンボールから、ボソボソと小さな声が聞こえる。人間が聞いて判る声。
だから、ついダンボールを覗き込んでしまった。
ダンボールの中に居たのは、うずくまって横になっている幼女だった。
幼女は、やせ細っていてお腹空いた。と、ブツブツと言っている。
捨てられた幼女。虚空の様な空ろな瞳。
気が付いたら、その幼女を抱き上げていた。軽い。抱き上げてまずはじめに感じたのはそれだった。
そして、その幼女が抱き上げられた事に驚く様子も無く、相変わらず空ろな瞳で私を見ていたのには少々衝撃を受けた。
ダンボールには、殴り書きで「拾ってください」なんて書かれてある。
捨て猫が捨て犬か……と、思いそのままダンボールを放置してさっさと家に帰ればよかったのだが……
ダンボールから、ボソボソと小さな声が聞こえる。人間が聞いて判る声。
だから、ついダンボールを覗き込んでしまった。
ダンボールの中に居たのは、うずくまって横になっている幼女だった。
幼女は、やせ細っていてお腹空いた。と、ブツブツと言っている。
捨てられた幼女。虚空の様な空ろな瞳。
気が付いたら、その幼女を抱き上げていた。軽い。抱き上げてまずはじめに感じたのはそれだった。
そして、その幼女が抱き上げられた事に驚く様子も無く、相変わらず空ろな瞳で私を見ていたのには少々衝撃を受けた。
抱き上げてしまった。そのままダンボールに戻す訳にも行くまい。
もし、幼女を家に連れて行ったならば両親は妹は、どう思うだろうか?
いや、寧ろどうとも思わないのかもしれない……私は、苦笑を浮かべてしまう。
私は、幼女をそのまま抱きかかえ家に向う。
おなかすいた。さむいよ。と、呟き続ける幼女の声を聴きながら。
613 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:57:46.54 ID:aLGYjQc0
もし、幼女を家に連れて行ったならば両親は妹は、どう思うだろうか?
いや、寧ろどうとも思わないのかもしれない……私は、苦笑を浮かべてしまう。
私は、幼女をそのまま抱きかかえ家に向う。
おなかすいた。さむいよ。と、呟き続ける幼女の声を聴きながら。
613 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:57:46.54 ID:aLGYjQc0
家に着くと、案の定家の鍵は閉まっており、両親はおろか妹も居ない。
私は、そのまま風呂へと足を進める。汚れている幼女の体を洗ってやった。
あったかい。と、呟く幼女。洗い終え体を拭き終わった後で、幼女を私の部屋に連れて行き
幼女に、私の上着を着せる。着せると言うよりも被せる。
その幼女を部屋に残したまま、私は台所に足を運び冷蔵庫を開ける。
牛乳が二本。うち一本は、三分の一も残っていない。
それを手に取りコップを一つ食器棚から拝借する。
何か、食べ物と思ったが……食べ物を勝手に拝借して何か言われてはたまらない。
私は、そのまま風呂へと足を進める。汚れている幼女の体を洗ってやった。
あったかい。と、呟く幼女。洗い終え体を拭き終わった後で、幼女を私の部屋に連れて行き
幼女に、私の上着を着せる。着せると言うよりも被せる。
その幼女を部屋に残したまま、私は台所に足を運び冷蔵庫を開ける。
牛乳が二本。うち一本は、三分の一も残っていない。
それを手に取りコップを一つ食器棚から拝借する。
何か、食べ物と思ったが……食べ物を勝手に拝借して何か言われてはたまらない。
故に、私が部屋に持ち帰ったのは数量少ない牛乳とコップ一つだけ。
コップに牛乳を注ぎ、それを幼女に渡すが、幼女は反応すらしない。
しかたないので、幼女の手をとり、コップを両手で持たせる。
そこでやっと幼女が、私の顔を見た。私は、短く飲め。と言うと、幼女は恐る恐るコップに口を付けて牛乳をゆっくりと飲み始めた。
ゆっくりとだが、空になったコップにまた牛乳を注いでやると、幼女は再びコップに口をつける。
しかし、幼女幼女と呼ぶのに少々抵抗が出てきた。
幼女とは、幼女と言う種族を差す言葉で、どう考えても名称ではないと思ってしまったからだ。
だから、名前があるかどうかしらないが、私は幼女に名称を与える事にする。
コップに牛乳を注ぎ、それを幼女に渡すが、幼女は反応すらしない。
しかたないので、幼女の手をとり、コップを両手で持たせる。
そこでやっと幼女が、私の顔を見た。私は、短く飲め。と言うと、幼女は恐る恐るコップに口を付けて牛乳をゆっくりと飲み始めた。
ゆっくりとだが、空になったコップにまた牛乳を注いでやると、幼女は再びコップに口をつける。
しかし、幼女幼女と呼ぶのに少々抵抗が出てきた。
幼女とは、幼女と言う種族を差す言葉で、どう考えても名称ではないと思ってしまったからだ。
だから、名前があるかどうかしらないが、私は幼女に名称を与える事にする。
「蜉蝣」
と。
しばらくすると、蜉蝣は眠ってしまった。眠ってしまった蜉蝣を布団に寝かしつける。
安心したのかどうかわからないが、蜉蝣は嬉しそうな表情で眠っていた。
両親が帰宅するまでまだ時間があった為、私は自分のパソコンに電源を入れネットに接続する。
そして、昔、気まぐれで作って一切更新していないブログに、初めて書き込みを始めた。
ブログのタイトルは、薄羽蜉蝣。そして、初めての書き込みのタイトルは、蜉蝣を拾った。だった。
614 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:58:18.50 ID:aLGYjQc0
しばらくすると、蜉蝣は眠ってしまった。眠ってしまった蜉蝣を布団に寝かしつける。
安心したのかどうかわからないが、蜉蝣は嬉しそうな表情で眠っていた。
両親が帰宅するまでまだ時間があった為、私は自分のパソコンに電源を入れネットに接続する。
そして、昔、気まぐれで作って一切更新していないブログに、初めて書き込みを始めた。
ブログのタイトルは、薄羽蜉蝣。そして、初めての書き込みのタイトルは、蜉蝣を拾った。だった。
614 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/23(火) 23:58:18.50 ID:aLGYjQc0
両親が帰宅し、私は直ぐに蜉蝣の事を告げる。
すると、両親は、そう。とかあぁ。としか答えず、拒否もしなかった。
妹も、私を睨むだけで何も言わない。
それだけ伝えると、私はさっさと部屋に戻る。夕食までまだ時間がある。
その時間を有効利用する為に、私はパソコンで幼女の事を調べる事にしたのだった。
すると、両親は、そう。とかあぁ。としか答えず、拒否もしなかった。
妹も、私を睨むだけで何も言わない。
それだけ伝えると、私はさっさと部屋に戻る。夕食までまだ時間がある。
その時間を有効利用する為に、私はパソコンで幼女の事を調べる事にしたのだった。
一日目終わり。
おまけ。
朝・妹
「う。また、お姉ちゃんに挨拶できなかった……お姉ちゃんも挨拶してくれなかった……うぅ……」
「う。また、お姉ちゃんに挨拶できなかった……お姉ちゃんも挨拶してくれなかった……うぅ……」
学校・女子生徒
「はぁ。今日も有珠巴様は、お綺麗だわ……窓を見て黄昏る姿がもう……」
「はぁ。今日も有珠巴様は、お綺麗だわ……窓を見て黄昏る姿がもう……」
学校・男子生徒
「おい! 有珠巴様の写真集できたぜ!!」
「流石だな! 写真部!!」
「一冊千円でどうだ!!」
「買ったっ!!」
「おい! 有珠巴様の写真集できたぜ!!」
「流石だな! 写真部!!」
「一冊千円でどうだ!!」
「買ったっ!!」
夜・両親
「貴方。あの子珍しいわね。自発的になんて」
「あぁ………」
「……新聞読みながら人の話を聴かないで頂戴。貴方」
「あぁ………」
「貴方!」
「お、おぅ!? あ、なんだ? なんの話だったかな?」
「……はぁ……」
「貴方。あの子珍しいわね。自発的になんて」
「あぁ………」
「……新聞読みながら人の話を聴かないで頂戴。貴方」
「あぁ………」
「貴方!」
「お、おぅ!? あ、なんだ? なんの話だったかな?」
「……はぁ……」
669 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:30:52.01 ID:dzbzMC20
薄翅蜉蝣<Hagenomyia micans>
二日目
何時もの時間に目を覚ます。
目覚ましをセットした覚えも無いのだが、幼少からの癖なのか
どんなに疲れを覚えていたとしてもこの時間に目を覚ます。
まだ眠気の残る頭で、昨日飼う事になった幼女<蜉蝣>を思い出す。
蜉蝣は、私より先に布団で寝ていた為、私は部屋のスペース上。
もう一人寝れるだけのスペースを作りそこで毛布を被り寝た訳なのだが……
非常に辛い体制での睡眠だった故に、間接がギシッと錆びた蝶番の様な音を立てた。
と、言ってもそんな気がするだけだが……
目覚ましをセットした覚えも無いのだが、幼少からの癖なのか
どんなに疲れを覚えていたとしてもこの時間に目を覚ます。
まだ眠気の残る頭で、昨日飼う事になった幼女<蜉蝣>を思い出す。
蜉蝣は、私より先に布団で寝ていた為、私は部屋のスペース上。
もう一人寝れるだけのスペースを作りそこで毛布を被り寝た訳なのだが……
非常に辛い体制での睡眠だった故に、間接がギシッと錆びた蝶番の様な音を立てた。
と、言ってもそんな気がするだけだが……
ふと、布団に視線をやる。
其処には、蜉蝣がいまだ眠り続けている姿がある。
ソレを見た後は、普通に着替え部屋を出る。
顔を洗いに洗面所に向かい、何時も通りに挨拶し何時も通りに顔を洗う。
そして、何時も通りに妹に睨まれる。
そんな妹の横を通り過ぎ、朝食を取った後で、残った朝食をそのまま部屋に運ぶ。
部屋に戻れば、蜉蝣が、起きており相変わらずの虚(から)の目で此方を見た。
蜉蝣を抱き上げ、椅子に座らせた後、布団をたたみ。簡易テーブルを組み立て
その上に朝食……まぁ私の残りなんだが、それを置く。
670 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:31:22.77 ID:dzbzMC20
其処には、蜉蝣がいまだ眠り続けている姿がある。
ソレを見た後は、普通に着替え部屋を出る。
顔を洗いに洗面所に向かい、何時も通りに挨拶し何時も通りに顔を洗う。
そして、何時も通りに妹に睨まれる。
そんな妹の横を通り過ぎ、朝食を取った後で、残った朝食をそのまま部屋に運ぶ。
部屋に戻れば、蜉蝣が、起きており相変わらずの虚(から)の目で此方を見た。
蜉蝣を抱き上げ、椅子に座らせた後、布団をたたみ。簡易テーブルを組み立て
その上に朝食……まぁ私の残りなんだが、それを置く。
670 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:31:22.77 ID:dzbzMC20
蜉蝣がそれを見て何処か困った様な表情を浮かべた気がしたが……
私は、蜉蝣にそれを食べろと、告げた後で、空になった食器はそのままにしていていい。
部屋は極力出ないようにしてくれ。と、告げた。
あぁ、それと、トイレはこの部屋を出て右の突き当りだ。と、最後に付け加える。
これで、言い残している事は無いと確認した上で、私はカバンを手に家を後にする。
何時もよりも時間を消費してしまった為。
珍しく妹と共に登校する事となってしまう。
私と登校する事を認知した妹は、驚いた様な表情を一度浮かべた後で、キッと睨んできた。
其処まで私が嫌いか? と、口には出さずに心の中で思う。
私は、蜉蝣にそれを食べろと、告げた後で、空になった食器はそのままにしていていい。
部屋は極力出ないようにしてくれ。と、告げた。
あぁ、それと、トイレはこの部屋を出て右の突き当りだ。と、最後に付け加える。
これで、言い残している事は無いと確認した上で、私はカバンを手に家を後にする。
何時もよりも時間を消費してしまった為。
珍しく妹と共に登校する事となってしまう。
私と登校する事を認知した妹は、驚いた様な表情を一度浮かべた後で、キッと睨んできた。
其処まで私が嫌いか? と、口には出さずに心の中で思う。
今日の空は、綺麗な灰色に覆われた晴天だ。
途中まで同じ道を歩く私に妹が、何やら私に言おうとするが結局言わずに下を向き
目だけを此方に向ける事を数回。一体、どんな罵詈雑言を私に告げようと言うのか?
まぁ、私にはどうでも良い事を思いながらの登校だった。
途中まで同じ道を歩く私に妹が、何やら私に言おうとするが結局言わずに下を向き
目だけを此方に向ける事を数回。一体、どんな罵詈雑言を私に告げようと言うのか?
まぁ、私にはどうでも良い事を思いながらの登校だった。
学校に到着し何時も通り靴を履き替える為に私に与えられた靴箱の戸を開ける。
ザラッと手紙が落ちてくる。私は、それらを無視し上履きを手にし外履きを、靴箱に突っ込む。
そして、上履きに履き替え、足元に散乱した手紙を拾い集め。そのまま近くのゴミ箱に捨てた。
私に恨み辛みを持つ輩は、学校でも多すぎる。
可愛らしい封筒。普通の封筒。中に一体どれだけの……
其処まで考えて諦めた。私は、嫌われ易いのだ。それで十分だ。
それにしても、私を油断させる為に可愛らしい封筒まで用意するとは……恐れ入る。
その後は、いたって何時も通りだった。
ただ、三時限目辺りに雨がパラパラと降って来た事に、嬉しさを覚える。
671 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:31:53.03 ID:dzbzMC20
ザラッと手紙が落ちてくる。私は、それらを無視し上履きを手にし外履きを、靴箱に突っ込む。
そして、上履きに履き替え、足元に散乱した手紙を拾い集め。そのまま近くのゴミ箱に捨てた。
私に恨み辛みを持つ輩は、学校でも多すぎる。
可愛らしい封筒。普通の封筒。中に一体どれだけの……
其処まで考えて諦めた。私は、嫌われ易いのだ。それで十分だ。
それにしても、私を油断させる為に可愛らしい封筒まで用意するとは……恐れ入る。
その後は、いたって何時も通りだった。
ただ、三時限目辺りに雨がパラパラと降って来た事に、嬉しさを覚える。
671 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:31:53.03 ID:dzbzMC20
雨は、良い。色の無い雨は、空の色に染まって灰色になる。
教師にまた、指名される。英文は苦手だ。わからない旨を伝えると教師は、外ばかりみてるな。と私に言う。
しょうがないじゃないか。窓から見える枠に囲まれた灰色の世界は美しいのだから。
授業はその後、差し当たり無く進み昼食の時間になる。
この学校では、弁当を持ってくる者と学食、もしくは購買部で昼食を済ませる者の三者に分かれる。
まぁ、ごく一部には、近くのコンビニへと学校を抜け出し食料購入に行く者も居るが……
教員に見つかれば、説教を免れないのがネックだろう。
因みに、私は購買部で済ませる者になる。
購買部に足を運べば、其処は他の生徒達でごった返している。
購買部は、この時間に限り戦争と言った状況である。
教師にまた、指名される。英文は苦手だ。わからない旨を伝えると教師は、外ばかりみてるな。と私に言う。
しょうがないじゃないか。窓から見える枠に囲まれた灰色の世界は美しいのだから。
授業はその後、差し当たり無く進み昼食の時間になる。
この学校では、弁当を持ってくる者と学食、もしくは購買部で昼食を済ませる者の三者に分かれる。
まぁ、ごく一部には、近くのコンビニへと学校を抜け出し食料購入に行く者も居るが……
教員に見つかれば、説教を免れないのがネックだろう。
因みに、私は購買部で済ませる者になる。
購買部に足を運べば、其処は他の生徒達でごった返している。
購買部は、この時間に限り戦争と言った状況である。
そんな擬似戦争を眺める。十分もすれば戦争は終わり、人が掃ける。
そうなってから私は、やっと購買部の販売員に声をかけ、今何が残っているのか尋ねた。
すると、シュークリームと紙パックのコーヒーが残っていると告げられた。
嬉しい事だ。シュークリームは私の好物。コーヒーも好きな飲み物だ。ただ、無糖じゃないのが残念だが。
購入を済ませば、購買部をさっさと後にして歩いて直ぐ其処にある広間に足を運ぶ。
設置された長椅子に腰をかけ、シュークリームの袋をあけ一口食べた。
ある意味、私にとって人生の最大の楽しみなのかもしれない。
ただ、その頻度は非常に高いのでよく分からないが……
シュークリーム一つと紙パックのコーヒーは、数分と立たない内に胃袋の中に消える。
ゴミは、備え付けのゴミ箱に放り込む。
いつもならば、図書室に足を運ぶのだが、今日は窓から見える綺麗な灰色の世界を堪能するとしよう。
672 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:32:39.80 ID:dzbzMC20
そうなってから私は、やっと購買部の販売員に声をかけ、今何が残っているのか尋ねた。
すると、シュークリームと紙パックのコーヒーが残っていると告げられた。
嬉しい事だ。シュークリームは私の好物。コーヒーも好きな飲み物だ。ただ、無糖じゃないのが残念だが。
購入を済ませば、購買部をさっさと後にして歩いて直ぐ其処にある広間に足を運ぶ。
設置された長椅子に腰をかけ、シュークリームの袋をあけ一口食べた。
ある意味、私にとって人生の最大の楽しみなのかもしれない。
ただ、その頻度は非常に高いのでよく分からないが……
シュークリーム一つと紙パックのコーヒーは、数分と立たない内に胃袋の中に消える。
ゴミは、備え付けのゴミ箱に放り込む。
いつもならば、図書室に足を運ぶのだが、今日は窓から見える綺麗な灰色の世界を堪能するとしよう。
672 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:32:39.80 ID:dzbzMC20
数分ぼんやりしていると、見知らぬ女子生徒に声を掛けられた。
ネームプレートの色から見るに、私と同じ学年の女子生徒。
立てロールが嫌に印象的だ。
その女子生徒は、私に向ってビシッと指差した。
そして、凛とした表情で口を開く。
ネームプレートの色から見るに、私と同じ学年の女子生徒。
立てロールが嫌に印象的だ。
その女子生徒は、私に向ってビシッと指差した。
そして、凛とした表情で口を開く。
「貴女を超えて見せますわ!」
と、だけ言うと彼女は、さっさとこの場から去っていった。
……訳がわからない。超える? 私を? 何を? はて? 私を超えるとは……なんだ?
結局、彼女の言葉に対しての答えが、まったく見つからずに学校は終わってしまった。
……訳がわからない。超える? 私を? 何を? はて? 私を超えるとは……なんだ?
結局、彼女の言葉に対しての答えが、まったく見つからずに学校は終わってしまった。
帰路につく。帰りにそういえば近場に幼女関連の品物を取り扱う店が、あったなと足を運んだ。
幼女ショップ『Seven Acoustic』と、その店には書いてあった。
看板に書かれた名前の理由はわからない。別に其処が幼女ショップならばそれでいいと思う。
とりあえず、私は店に入る。店に入れば、ゲージに入れられた幼女らに一斉に凝視される。
コレには、単純に驚いてしまった。
私に気づいた、店員が「いらっしゃいませ」と営業スマイルと言うヤツを浮かべて挨拶する。
そんな店員に私は、幼女を昨日から飼い始めたのだけど、最低限必要な物は何だ? と、尋ねる。
すると店員は、直ぐ近くにあった豆粒が封入された袋を手に取る。
商品の説明をし始める店員に、私はその言葉を遮り要約すると何だ? と、少々性急に尋ねた。
673 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:33:09.44 ID:dzbzMC20
幼女ショップ『Seven Acoustic』と、その店には書いてあった。
看板に書かれた名前の理由はわからない。別に其処が幼女ショップならばそれでいいと思う。
とりあえず、私は店に入る。店に入れば、ゲージに入れられた幼女らに一斉に凝視される。
コレには、単純に驚いてしまった。
私に気づいた、店員が「いらっしゃいませ」と営業スマイルと言うヤツを浮かべて挨拶する。
そんな店員に私は、幼女を昨日から飼い始めたのだけど、最低限必要な物は何だ? と、尋ねる。
すると店員は、直ぐ近くにあった豆粒が封入された袋を手に取る。
商品の説明をし始める店員に、私はその言葉を遮り要約すると何だ? と、少々性急に尋ねた。
673 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:33:09.44 ID:dzbzMC20
店員は困った表情を浮かべた後で、一週間に一度コレを幼女に与えれば病気等に抵抗が付く。と、説明してくれた。
私は、それを二袋購入し袋の後ろの簡易説明を読む。
説明には、一週間に一度、適量(10g前後)食べさせてください。とだけ書いてあった。
レジ前を占領してしまって居た様で、気が付いた後は店員に軽く会釈し店を後にした。
私は、それを二袋購入し袋の後ろの簡易説明を読む。
説明には、一週間に一度、適量(10g前後)食べさせてください。とだけ書いてあった。
レジ前を占領してしまって居た様で、気が付いた後は店員に軽く会釈し店を後にした。
家に到着してまずした事は、濡れた制服を洗濯機に放り込み動かす事だった。
一緒に下着も放り込んでおく。全裸になってしまうが、家に誰も居ないのだから問題は無い。
そのままバスタオルで全身の湿り気や髪が吸収してしまった水分をふき取る。
それが終われば、自分の部屋へと足を進めた。
部屋に入れば、何故かゴスロリ衣装を着たまま眠りこけている蜉蝣。
何故? と、思ったがお袋の趣味を思い出す。私が、幼少の頃良く着せられた覚えがあるので間違いない。
蜉蝣にゴスロリを着せたのはお袋。流石に、服装まで気が回らなかったので、この点に関しては感謝するしかない。
寝ている蜉蝣を尻目に、私は箪笥から下着を取り出し着替える。
黒いジーパンと黒いシャツをクローゼットから取り出しそれを着る。
一緒に下着も放り込んでおく。全裸になってしまうが、家に誰も居ないのだから問題は無い。
そのままバスタオルで全身の湿り気や髪が吸収してしまった水分をふき取る。
それが終われば、自分の部屋へと足を進めた。
部屋に入れば、何故かゴスロリ衣装を着たまま眠りこけている蜉蝣。
何故? と、思ったがお袋の趣味を思い出す。私が、幼少の頃良く着せられた覚えがあるので間違いない。
蜉蝣にゴスロリを着せたのはお袋。流石に、服装まで気が回らなかったので、この点に関しては感謝するしかない。
寝ている蜉蝣を尻目に、私は箪笥から下着を取り出し着替える。
黒いジーパンと黒いシャツをクローゼットから取り出しそれを着る。
私の物音で起きたのか、蜉蝣が私を見ていた。
そんな蜉蝣を抱き上げ私は、たたんだ布団の上に座りそんな私の膝の上に蜉蝣を座らせた。
蜉蝣は、顔を上に上げ私を見る。そんな蜉蝣を私は見る。
別段やる事は無い。本を読むつもりもないし、勉強なんて毛頭するつもりは無い。
試験が始まる期間ならば勉強の一つでもしたのだろうが、試験はまだまだ先。
そう気張る事でもない。
なんとなく、蜉蝣に今日の出来事を話す事にした。
それにしても……彼女は一体なんだったのだろうか? 私を超すとは何だ? わからん。
674 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:33:36.66 ID:dzbzMC20
そんな蜉蝣を抱き上げ私は、たたんだ布団の上に座りそんな私の膝の上に蜉蝣を座らせた。
蜉蝣は、顔を上に上げ私を見る。そんな蜉蝣を私は見る。
別段やる事は無い。本を読むつもりもないし、勉強なんて毛頭するつもりは無い。
試験が始まる期間ならば勉強の一つでもしたのだろうが、試験はまだまだ先。
そう気張る事でもない。
なんとなく、蜉蝣に今日の出来事を話す事にした。
それにしても……彼女は一体なんだったのだろうか? 私を超すとは何だ? わからん。
674 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:33:36.66 ID:dzbzMC20
他愛なく過ぎる時間。灰色の世界は、いつの間にか終わり。
夜空には、血の様な朱<あか>い満月が浮かんでいた。
夕食の時間。私はさっさと食事を済ませた後、お袋が珍しく私に声をかけた。
夜空には、血の様な朱<あか>い満月が浮かんでいた。
夕食の時間。私はさっさと食事を済ませた後、お袋が珍しく私に声をかけた。
「蜉蝣ちゃんも、今度からちゃんとこの場に呼びなさい」
それに、私はわかった。とだけ答えて部屋に戻ったのだった。
二日目終了。
675 名前: SS@黒百合 投稿日: 2008/09/28(日) 08:34:07.99 ID:dzbzMC20
おまけ。
登校時
妹「お、お姉ちゃんと一緒。一緒に登校だ……ど、どきどきするよぅ……な、なにか話を話し……うぅ」
妹「お、お姉ちゃんと一緒。一緒に登校だ……ど、どきどきするよぅ……な、なにか話を話し……うぅ」
登校・靴箱前
男子生徒×10「ちぃ!! これで通算三十回目の撃沈か! せめて読んでくださいよ! 有珠巴様ッ!!」
女子生徒×10「あぁ。また捨てられてしまったわ……せめて、お手にとって読んでくだされば……」
男子生徒×10「ちぃ!! これで通算三十回目の撃沈か! せめて読んでくださいよ! 有珠巴様ッ!!」
女子生徒×10「あぁ。また捨てられてしまったわ……せめて、お手にとって読んでくだされば……」
昼食時間・購買部
男子生徒・女子生徒達「シュークリームと紙パックコーヒーは必ず、一つのこぉおおおす!!!」
男子生徒・女子生徒達「シュークリームと紙パックコーヒーは必ず、一つのこぉおおおす!!!」
昼食時間・購買部・有珠巴購入終了時。
男子生徒・女子生徒達「有珠巴(様)が、笑った……努力した甲斐があった(わ)」
男子生徒・女子生徒達「有珠巴(様)が、笑った……努力した甲斐があった(わ)」
昼食時間・貴女を超えますわ!!
男子生徒A「だれ? あの女?」
男子生徒B「しらね」
女子生徒A「私も知らない」
女子生徒B「Aに同じく~」
男子生徒A「だれ? あの女?」
男子生徒B「しらね」
女子生徒A「私も知らない」
女子生徒B「Aに同じく~」
帰宅時・朱い月
蜉蝣「………わらってる?」