春なのか夏なのかわかんないような、微妙な季節。
日差しがじりじりとまではいかないけど、でも黙ってても少し汗ばむくらいの暑さ。
ベッドの上に座ってる舞美ちゃんは汗かいてるみたい、だけど。
お昼に仕事じゃなくてこんな風にふたりきりでいるなんて事、今まであったかな。
私の部屋で舞美ちゃんがくつろいでいる。
にこにこ笑顔で話してくれる内容は、いつもと変わらない。
なのに少しだけ違う気がするのは、いつもと違うこんな環境のせいなのかな。
「それにしても、今日暑いねー・・・。」
舞美ちゃんは自分の手をうちわ代わりにぱたぱた仰いでる。
テーブルの上にあるコップは空っぽになっていた。
「お茶いる?」
「うんっ!」
注いであげると溶けかけた氷がからん、と乾いた音を立てた。
と、同時に胸が跳ねて。なんか急に緊張してドキドキしてきた。
「ありがとう。」
そう言ってごくごくと豪快にお茶を飲む舞美ちゃんの喉が綺麗だな、とか。
一気に飲んだもんだから「ぷふぁー」って息を吐き出して笑顔を向ける舞美ちゃんの光ってる唇に目が行く、とか。
---私、ちょっと、ヘン、かも。
暑いだけじゃない違う暑さが襲ってきて、急に汗が出る。
髪の毛がくねくねしてきてる。
熱を下げたくて、私も舞美ちゃんのように豪快にお茶を飲んだ。
「愛理も暑い?」
「ん?なんかね。」
「じゃあ、氷食べたら?」
すでに溶けて小さくなったコップの中に入ってる氷を指差す。
それを口に入れようかと思ったら、先に舞美ちゃんがコップに手を伸ばした。
「そ、それ私の・・・。」
って言葉が聞こえたのかわかんないけど、舞美ちゃんはそのまま私のコップに口づけて氷を口に含んだ。
そして、舞美ちゃんが1歩・・・1歩、私に近づく。
重なった唇は少し冷たかった。
遅れて、口の中に入ってきた氷。
するり、と何の抵抗もなく入ってきて、遅れて温かくてやわらかいものが入り込んできた。
ふたりの熱で、氷はあっという間に小さくなった。
声が漏れる度に、お互いの口からは溶けた水が流れた。
熱さと冷たさが私の口の中で溶けあう。
氷が溶けて唇が離れるのを目で追ったら、切なくなって引き寄せてまた唇を重ねた。
触れ合わせているうちに熱だけがこもる。暑い熱い。もうどっちでもいい。
唇が離れて、舞美ちゃんは私の口のまわりを手で拭った。
その後に自分の口のまわりを拭う。
それで一気に正気に戻って恥ずかしくなる。
また、熱が上がる。汗が噴き出るのが自分でもわかる。
「愛理、まだ暑い?」
こくり、と頷いたら、舞美ちゃんが笑う。でもそれはすぐに消えて。
切なげに顔が近づいてきて、引き寄せられて、そのままベッドの上に優しく乗せられた。
「もっと暑くなりたい?それとも涼しくなりたい?」
どうして欲しいのかわかってる目で聞くから、私は舞美ちゃんのカラダを引き寄せた。
「熱く、して?」
その答えを待ってた、と言うように。舞美ちゃんは私の唇を奪った。
重なる熱は心地よくて、もっともっとってねだるように引き寄せた。
からん、と氷が鳴る。
その音を頭の片隅で聞きながら、舞美ちゃんの熱に溺れていった。
最終更新:2010年11月01日 07:08