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愛理が私の事を好きなのは知ってる
でも私は知らない振りを続ける
だってどうせ叶わぬ恋だから
どうせ許されない恋だから
愛理に辛い思いはさせたくないから

私が名前を呼べば嬉しそうに寄り添ってきて
私が話しだせば大きく頷いて相槌を打ち
私が口を閉じると大きな目で覗き込んできて
私が頬笑みかけるとふにゃっと幸せそうに笑う

私が他の子のところに行くとちょっと悲しそうな顔をして
私が他の子を選ぶと泣きそうになるのを必死に堪えて

そんな顔しないでよ

私の気持ちが揺らぎそうになる
今すぐにでも
抱きしめて
頭を撫でて
私の気持ちを伝えたい

でもね
だめなんだ
できないんだよ、愛理
私にとってどんなに愛理が特別だって
それは許されないこと
私は皆に平等じゃなきゃ
じゃなきゃリーダー失格でしょ?
じゃなきゃ…

「んぅ…」

まどろんでいた意識が現実に引き戻される

隣にいる物体がもぞもぞと動いた
少し隙間ができて
それまで温かかったところがすーすーする

おでこだけを私の右肩につけて眠る愛理
すぅすぅと規則正しい寝息が聞こえる

「あした朝早いから遊んでないで早く寝るように」
全員に与えられた一人部屋
電気を消してベットに入ろうとした時にノックの音

ドアを開けると眠そうな愛理
パジャマ姿で枕と携帯を持っている愛理に
「だめ」って言ってみたけど
ひどく悲しい顔をして俯いたもんだから
放っておけなくて一緒に眠ることにした

たった「だめ」の一言だったけど
愛理を拒むのは、拒否するのは初めてだった
それで愛理がこんなに悲しい顔をするなんて
たった一言でこんなにも傷つくなんて

謝りたい
抱きしめたい
キスしたい
愛理だけだよ、って伝えたい
安心して笑って欲しい
私だけに見せるあの笑顔で…

愛理は私の気持ち、知ってるの?

私の手ではなく
私のパジャマの袖を遠慮がちに握る愛理の指
きっと、知らないんだろう

胸が苦しい
知って欲しいけど
知らないままでいて欲しい

だって叶わぬ恋だから
最終更新:2010年05月19日 21:32